じじぃの「歴史・思想_404_2050年 世界人口大減少・少数民族が滅びる時代」

The Edge of the Bazaar: A short documentary about Uyghur rural life

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=59MgouO78pM&feature=emb_title

Now, Uyghur script is being erased from street signs and wall murals.

The ‘patriotism’ of not speaking Uyghur

January 2, 2019 SupChina
In Xinjiang, Chinese is increasingly the only permitted language. This purging of language publicly began with Arabic. The most notable way this was done was through the elimination of the common Arabic greeting “Peace be unto you.” Then the state eliminated Arabic-sounding names. Then they erased the Arabic in restaurant signage and mosques.
Now, Uyghur script is being erased from street signs and wall murals.
https://supchina.com/2019/01/02/the-patriotism-of-not-speaking-uyghur/

『2050年 世界人口大減少』

ダリル・ブリッカー、ジョン・イビットソン/著、河合雅司/解説、倉田幸信/訳 文藝春秋 2020年発行

少数民族が滅びる日 より

アポリジナル、ネイティブ・アメリカンもしかり

カナダは毎年30万人の移民を受け入れる。その多くはフィリピンやインド、中国などアジア太平洋諸国からやってくる。先住民の出生率低下はカナダだけの現象ではない。
人口の3%がアポリジナルとされるオーストラリアでは、2015年のアポリジナルの出生率が2.3(オーストラリア全体では1.8)とと1960年代の5.8から急落している。ニュージーランドは特殊で、マリオ族が総人口の15%を占めるため、その出生率が国全体の数値に影響を与える。マオリ出生率も1961年には6.9と高かったのに、1986年には2.1へと急落し、近年はベビーブームの残存効果が2.8とわずかに上向いた。
先住民といえば、ネイティブ・アメリカンほど詳細にその歴史が描かれてきた先住民社会派ない。ただし、そうした記録のほとんどはハリウッド製で、完全なデタラメである。彼らについて間違いなく正しいと言えるのは、以下のような事実だ。――ヨーロッパがアメリカ大陸を植民地化したころ、ネイティブ・アメリカンの人口はおそらく500万人から700万人の間だった。その後、伝染病や戦争(実態は民族皆殺し運動)、強制移転、貧困、飢饉により、1890年までにその人口は25万人程度に激減した。当時のネイティブ・アメリカンの状況はあまりにも脆弱で、いずれは絶滅するだろうと予測する専門家が多かった。
ところがその後、ネイティブ・アメリカン出生率は他の民族集団を上回るほど高くなり、彼らの人口は増加した。そして1880年までにはアメリカのすべての人種で出生率が下がり、白人アメリカ人の出生率は1.7、「ネイティブ・アメリカンとアラスカ先住民」(アメリカの人口統計学者の分類法は2.2になった。きわめて不思議なことが起きたのはその後だ。ネイティブ・アメリカン出生率はどんどん下がり続け、1999年には白人アメリカ人を下回り、それでも低下は止まらなかった。2014年にはついに1.3に達し、アメリカのあらゆる人種のなかで最低となった。この数値は世界的に最低レベルに属する。白人女性は1.8人の赤ちゃんを産むのに、ネイティブ・アメリカンはそれより赤ちゃん半人分も少ないのだ。この水準の出生率が続けば、いずれネイティブ・アメリカンは消滅の危機に瀕するだろう。今回は純粋に人口統計的な理由で――。しかも、2017年の調査研究の指摘によれば、なんでもかんでも研究対象とするアメリカにおいても、ネイティブ・アメリカンとアラスカ先住民の出生率低下に関する研究はほぼ皆無だという。
オーストラリア人はアポリジナルの文化を守り、後生に残そうと大いに努力している。現在、アポリジナルの言語や文化をデジタル化する作業に130人ほどが取り組んでいる。ミック・ドッドソンはこうした努力を評価しつつも、「このようなやり方で生きた文化を保有するのは難しいでしょう」と指摘する。世界中の先住民とその文化が似たような状況にある。

世界的な出生率低下により、文化の多様性が危機にさらされている。未来は今より均質でつまらないものになりかねない。

バベルの塔と、言語の消滅

創世記によれば、主はバベルの塔の建設を止めさせ、ひとつだった共通言語をバラバラに乱した。言語がひとつだけだと人間の進歩が加速されると知っていたからだ。「彼らがしようと思うことを止めることはなにをもってしてもできない」と知っていたからだ。主が我々をバベルから全地表に散らしたことで、我々の相互理解はとてつもなく困難になった。言葉の面だけでなく文化の面からも。やつらは我々にとって無意味な音をペラペラとしゃべる。これがやつらを恐れ、避ける理由のひとつになる。
だが、我々はいま再びバベルの塔を建設している。
英語はこれといって特別なところのない言語だ。他の大半のヨーロッパ系言語に比べた特徴は、名詞に性別がなく、動詞に複雑な語形変化がないことぐらいだ(三人称単数現在形にはsがつく。過去形にするにはedをつけ、未来形にするのはwillをつける。以上)。英語はかつてのラテン語と同じ役割を担っている。理由も同じ。征服だ。1000年以上にわたり教養あるヨーロッパ人の共通言語だったラテン語は、ローマ帝国から受け継がれた。大英帝国の後継者であるアメリカは、これまで100年にわたり経済面でも地政学面でも覇権を握っている。その間、メディアの発達に歩調を合わせてアメリカ文化は世界中に広がり、英語とマクドナルドは普遍的存在となった。
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だが、英語はあちこちで人々が協力し合うのを容易にしたかもしれないが、同時に文化的脆弱性をもたらした。現在この地球上ではざっと7000の言語が使われていると推定されるが、それぞれの言葉を使う人の数にはきわめて大きなばらつきがある。例えば標準中国語と広東語の話者はおよそ12億人いる。一方、1000人未満の話者しかいない言葉も2000言語ほどある。こうした言語は危機に瀕している。存命の話者がひとりしかいない言語は46あり、毎年25の言語が消滅している。この消滅ペースは今後も都市化とグローバル化のせいで加速するだろう。100年後、世界には600程度の中核言語しか残されず、新しい世界共通語として標準中国語とスペイン語と英語が幅をきかせているだろう。すべての言語はそれぞれ違っており、構文と文法は話者の世界観に影響を与えるため、ひとつの言語が失われるごとにかけがえのない何かが同時に失われる。多様性が人類を豊かにしているとすれば、言語と文化の消滅は、代々引き継いできた人類の遺産を貧しくすることになる。
出生率低下は、すでに十分に危機的な状況にある文化とコミュニケーションをいっそう追い詰めている。各コミュニケーションはそれぞれに異なる戦略で自分たちの文化を守り、盛り立てようとしているが、そうした戦略は多くが矛盾を内包している。
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こうしたことすべての根底には、動かしがたい次の事実がある。すなわち、今どれほど大勢の若者がいようとも、世界中のほとんどの社会で次の世代は数が減る。その次の世代はさらに少数になる。そして最後には人類全体の数が減り始める。この事実が文化の絶滅に及ぼす脅威に対しては、まだ誰一人として解決策を見つけていない。