じじぃの「メッセンジャー・サイコロとヴァイオリン!中国・短編小説集『円』」

Einstein Theory of relativity


   

円 劉慈欣短篇集 honto本の通販ストア

劉慈欣(著)
すごいの一言に尽きる。いまさら言うまでもない『三体』の著者によるSF短編集。
私が好きなのは「地火」「郷村教師」「繊維」「メッセンジャー」「栄光と夢」「円円のシャボン玉」…半分近くじゃないか。絞れない。読んでいる時は難しくて好みじゃないな、と思った他の話も、目次を見返したら長所のほうが目に付いた。テクノロジーのこととか、分からないのに面白いってすごいな。そして素晴らしいSFって懐かしさを感じさせるのね。不思議。

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短編小説集『円』

劉慈欣/著、大森望、泊功、その他/訳 早川書房 2021年発行

メッセンジャー 信使 より

老人は、きのうはじめて、階下に聴き手がいることに気づいた。ここ数日、老人はひどく気分がすぐれず、ただヴァイオリンを弾くばかりで、窓から外を眺めることなどほとんどなかった。カーテンと音楽によって自身を外界から閉ざしたいと思っていたが、それはかなわなかった。
若いころの彼は、大西洋の向こうでせまい屋根裏部屋に暮らしてベビーカーを揺すり、特許局の騒々しいオフィスに出勤しては、退屈な特許申請書をめくりながら、同時にそれとはべつの魅惑的な世界に浸り、光の速さで思考をめぐらせていた。
……現在の彼は、都会の喧騒を離れた静かで小さな田舎町、プリンストンに住んでいるが、かつてのように超然と過ごすのではなく、外界の些事にいつも悩まされている。悩みの種は2つあった。
ひとつは量子論。マックス・プランクが創始して以来、多くの若い物理学者たちが熱心に量子論研究するようになっていたが、彼にとってはひどく不愉快だった。量子論の不確定性がことに気に食わず、最近の彼は、折に触れて「神はサイコロを振らない」とつぶやいている。自身が後半生を捧げた統一場理論については、数学的な中身はあるものの物理的な内容を持たない理論が構築されただけで、ろくに進展がなかった。
もうひとつの悩みは原爆だった。広島や長崎、さらには大戦さえもすでに過去の出来事になっている。しかし、神経が麻痺してなにも感じなくなっていた古傷が、いまさらのようにまた疼きはじめた。それは、じつに短くてシンプルな公式で、質量とエネルギーの関係を簡潔に記述したものにすぎない。実際、フェルミの原子炉が建設される以前は、原子レベルで質量をエネルギーに変換するなど突拍子もない話だと、フェルミ自身も考えていたくらいだった……。
秘書のヘレン・デュカスは、このところ彼を慰める機会が多い。しかし、老人が自分の功罪や栄辱についてではなく、それよりはるかに深刻な悩みを抱えていることなど知る由もなかった。
最近の彼は、眠っている最中にも、洪水や火山の噴火のようなおそろしい音をよく聞くようになっていた。
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青年はうなずき、窓の前に立った。外では天の川が夜空を覆い、星々がきらめいていた。その壮麗な光景をバックに、青年の姿は黒いシルエットになっていた。
いまようやく、これがいったいどういうことなのか、老人にもすこしずつわかってきた。青年の摩訶不思議な予知能力は、実際にはしごく単純な話だった。青年は未来を予知していたのではなく過去を思い出していたのである。
「わたしはメッセンジャーです。われわれの時代が、教授の心痛を見るに見かねて、わたしを派遣したのです」
「では、いったいどんなメッセージを携えてきたんだね? このヴァイオリンがそのメッセージか?」老人はまったく驚かなかった。彼の人生にとっては、宇宙こそが、ただひとつの大いなる驚異だった。だからこそ彼は、ほかのだれよりも早く、宇宙のもっとも奥深くにある秘密を垣間見ることができたのだった。
「いいえ、このヴァイオリンは、わたしが未来から来たことを証明するための道具にすぎません」
「どうやって証明するんだね?」
「この時代の人々は、質量をエネルギーに変換することを可能にしました。それが原子爆弾であり、まもなく完成する水素爆弾です。一方、われわれの時代には、エネルギーを質量に変換することが可能になっています。ほら」青年はヴァイオリンの弦を指さした。「太くなっているでしょう。増えた質量は、教授が弾いたときに発生する音波エネルギーが変換されたものです」
    ・
「さあ、未来から来た子どもよ。きみはなにかメッセージを携えて来たんじゃないかね?」
「メッセージは2つです」
「ひとつめは?」
「人類には未来があります」
老人はほっとして肘掛け椅子に背中を預けた。人生最期の宿願にけりをつけたすべての高齢者と同じように、全身が心地よい感覚に満たされ、ほんとうの安らぎを手に入れた。「若者よ、きみと出会ったとき、すぐそのことに気づくべきだったよ」
「日本に投下された2発の原子爆弾は、人間が実戦で使用した核爆弾としては最後の2発になります。今世紀の90年代末には、ほとんどの国が核実験と核拡散防止の国際条約に署名し、その50年後、人類にとって最後の核爆弾が破壊されました。私はその200年後に生まれたのです」
青年は回収しなくてはならないヴァイオリンを手にとった。「そろそろ行かなくては。教授の演奏を聴くために、すでに多くの計画を無駄にしてしまいましたから。わたしはあと3つの時代で、5人の人物に会わなくてはなりません。そのなかには統一場理論の確立者がいます。教授から100年後のことですがね」
青年が口にしていないことはまだあった。いつの時代でも、偉大な人物と会うときには、先が長くない人物を選ぶということだ。そうすれば、未来への影響は最小限で済む。
「ではきみが携えてきた2つめのメッセージは?」
青年はもう玄関のドアを開きかけていたが、ふりかえって、申し訳なさそうに微笑んだ。

「教授、神はサイコロを振りますよ」

じじぃの「科学・地球_262_366日風景画をめぐる旅・ノルマンディー」

【フランスに乾杯】ジヴェルニー

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=xgPU9MJ7ImY&t=59s

モネの足跡をたどって

ノルマンディー地方を訪れる

フランス北部のノルマンディー地方は、言わずと知れた印象派発祥の地。 リンゴの蒸留酒カルヴァドスや、活気溢れる港街の風景を楽しみましょう。
https://jp.france.fr/ja/campaign/folder/kanpai_normandy

『366日風景画をめぐる旅』

海野弘/解説・監修 パイインターナショナル 2021年発行

画家たちが愛した風景 1 ノルマンディー(Normandie) より

パリからセーヌ河を下って河口に達するとノルマンディー海岸である。印象派の画家たちが描いた海だ。夏は海水浴でにぎわう。海辺にはおしゃれなホテルがある。マルセル・プルーストも夏にやってきた。『失われた時を求めて』の「花咲く乙女たちのかげに」はここが舞台である。夏になるとココ・シャネルもやってきて、店を開いた。
プルーストの跡をたずねてノルマンディー海岸をめぐった旅がなつかしく思い出される。小さなお城が売り出されていて、いつかこれを買って住みたい、などと友人と話し合ったりした。
さて、リゾート地としてのノルマンディー海岸を発見したのはイギリス人だという。なにしろ海水浴というのをはじめたのはイギリス人で、ノルマンディーに海水浴をするためにやってきて、フランス人に教えたのだそうだ。
ここの風景に注目したのもイギリス人の画家であった。かつてはアングロ=ノルマン王国(ノルマン朝)として、イギリスとノルマンディーは一緒であったが、その後、別々になった。ナポレオン戦争では英仏が対立した。それが終わってディエップやル・アーヴルにイギリスから定期船がやってきた。イギリスの画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーやリチャード・パークス・ボニントンがそれでやってきて、ノルマンディーを描いた。
ターナーの絵はフランスの画家を刺激し、彼らもノルマンディーを描くようになった。セーヌ河口の左岸のドーヴィル、トルヴィル、オンフルール、右岸のル・アーヴル、サン=タドレスなどに画家がやってくるようになった。さらに海岸を東にたどると、奇岩のあるエトルタはさまざまな画家に描かれた。そしてフェカン、プールヴィイル、ディエップ、カイユー、エタプルからダンケリクまでのノルマンディー海岸が人をひきつけるようになった。
1840年代からジャン=パティスト・カミーユ・コロー、ジャン=フランソワ・ミレー、ギュスターヴ・クールベ、モネ、ヨハン・ヨンキント、シャルル=フランソワ・ドービニー、ジェームズ・マクニール・ホイッスラーなどがやってきた。オンフルール出身のブーダンはノルマンディーの主であった。またラウル・デュフィル・アーヴル出身で河口付近の風景をよく描いた。
パリから鉄道が開通し、ノルマンディーにやってくる観光客が増えた。そして画家たちが描いた風景をあらためて眺めた。

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じじぃの「アフガニスタン・医師・中村哲さんの死・なぜ殺されたのか?AI支配でヒトは死ぬ。」

Afghanistan: Japanese doctor Tetsu Nakamura shot dead in gun attack

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=0UiX83lS5XQ

Tetsu Nakamura is seen in a photo taken in February 2010 in Afghanistan's Nangarhar province after the completion of an irrigation canal.

Japanese doctor remembered one year after killing in Afghanistan

Dec 4, 2020 The Japan Times
JALALABAD, AFGHANISTAN - Dr. Tetsu Nakamura was remembered Friday by some 100 local staff members of a group founded by him, one year after he was gunned down in Afghanistan.
The 73-year-old local representative of the Peshawar-kai aid group, who dedicated himself to helping the conflict-ravaged Asian country, was killed along with five locals in an ambush as they made their way to an irrigation site in Jalalabad in the eastern province of Nangarhar on Dec. 4, 2019.
None of those involved in the killings has been caught.
Prior to the first anniversary of his death, Peace (Japan) Medical Services, the local unit of the aid organization, pledged to continue Nakamura’s work, which sees several thousand local patients treated every month and provided with free medication.
https://www.japantimes.co.jp/news/2020/12/04/national/tetsu-nakamura-one-year/

『AI支配でヒトは死ぬ。』

養老孟司/著 ビジネス社 2021年発行

第2章 システムを超える「もの」「自然」「身体」「国語」の手触りについて より

中村哲さんの死――「内発性」を抹殺するシステム

―― お話を伺っていると、養老先生が今の日本社会に相当にお詳しいことに驚いてしまうんですが……。下手をすると、僕のほうが老けているかもしれない(笑)。

養老

いや、年取って虫ばかりいじくっているから、逆に、そういうことも関心をもたなきゃいけないのかなと思ってね。それから、やはりもともとの性格として、訳の分からないことが嫌なんですよ。だから政治の話も経済の話も訳が分からないぶん、知りたくなる。
でもね、「元気な人」でいうと、今年(2019年)、1番ショックだったのは、あの中村哲さんがアフガニスタンで殺されたことですね。彼は、ここ(養老山荘)にも来たことがあるんだよ。もともとチョウが好きでね。キャベツのような作物は中近東から来ているから、それを食べるモンシロチョウも中東からついてきたはずだといって、その原種を探しに中東へ行ったんですよ。そしたら、医療状況がヒドイというので診療所を始めてね。でも、診療所じゃラチがあかないんで、川を掘り始めたんです。100万のアフガン難民というのは、干ばつが原因なんで川を掘るのが1番手っ取り早い。それで、10万人単位で人が戻り始めたでしょう。でも、それで目をつけられて、殺されてしまった。
彼は「絶対大丈夫」と言ってたんだけれど、新聞を見たら護衛付きなんだよね。日本政府も忠告したっていうし、そろそろ危ないと分かっていたんだと思う。つまり、彼がどういうことをしたか、していないかということじゃなくと、そこまで政治的な重みがついてくると、殺すこと自体に意味が出てきちゃう、それが政治の嫌なところなんですが、どんなに社会的マイナスがあってもいいんですよ。邪魔なイメージを消すことさえできれば、中村さんは、それが引っかかっちゃったんだなと思ってね。彼自身は、何の関係もないのにね。
それから、いろいろ考えるよね。中村さんの存在自体が、たとえば外務省の人にとっては不愉快だったはずだよなとか、「個人であれだけのことをしているのに、お前は給料をもらって何をしてるのか」って話になるからね。だから、その存在が、日常的な政治批判になっちゃうんですよ。それはアメリカだった同じでね。現に、川を掘ることで、パキスタンから農民が戻ってきているのに、なぜそれをやらないのかということになる。アメリカ軍は、爆弾を落としたり、軍事訓練したりしているけれど、川は掘らないからね。
―― 中村哲さんのお話は大切ですね。チョウが好きで中東に行って、医療が酷いから診療所を始めて、それじゃラチがあかないから川を堀ると。理念で動いているわけじゃなくて、全て、目の前の自分の「必要」に応じて内発的に動いていった結果なんですね。しかし、そんな中村さんが殺されてしまったということは、自分の「必要」に応じて動くこと自体が、この社会では目障りになってきてしまっているんですね。

養老

そう、徹底的にそうなんですよ。それがシステム化ってことだから。
その意味じゃ、最近で1番悲劇的な事件だなと。はっきりいって、システムにつぶされたんですよ。既成の政府組織と、テロ組織があって、そのシステムのなかで個人が抹殺されてしまった。でも、それに対抗するためにシステムを作ると、同じことになっちゃう。だから、中村さんは、それをしなかったわけでしょ。だから悲劇なんですよ。
―― これは個人と社会の永遠のジレンマですね。だからこそ「平衡感覚」が必要になってくるんですが、しかし、それさえ、このシステム社会では通用しなくなりつつありますね。

じじぃの「歴史・思想_541_日本の論点2022・日韓歴史対立・ポスト文政権下でも」

ミサイル連発の北朝鮮…“核”兵器開発も継続 【1月18日(火) #報道1930】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LORwCJMAYEE&t=21s

北朝鮮極超音速ミサイル発射実験に成功=国営メディア

報道1930

2022年1月18日 BS-TBS
【キャスター】若林有子、松原耕二 【コメンテーター】堤伸輔 【ゲスト】小野寺五典自民党衆院議員)、古川勝久(元国連安保理北朝鮮制裁委員)、平井久志(共同通信客員論説委員
●ミサイル連続発射 北朝鮮は何を狙う
北朝鮮は1月17日、今年に入って4回目のミサイル実験を行った。
何故今違うタイプのミサイル発射を続けざまに行ったのか。
そして同じ時期に中国が北朝鮮との貨物輸送を再開したと発表。
北朝鮮の核施設を捉えた衛星写真から何が読み取れるか。
https://www.bs-tbs.co.jp/houdou1930/

『これからの日本の論点2022』

日本経済新聞社/編 日経BP 2021年発行

世界はこれからどうなる

論点21 視界不良、日本の周辺国外交 より

【執筆者】池田元博(編集委員
日本外交にとって、国際社会の焦点となっている米中対立の影響の見極めはもちろん大切だが、それに劣らず重要なのは、周辺国との関係をどう舵取りしていくかだ。隣国の韓国とは歴史問題をめぐる対立が障害となり、かつてなく関係が冷え込んでいる。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮とは公式接触の機会がまく、日本人拉致被害者の問題も解決のめどが立たない。北方領土問題を抱えるロシアとの関係も、決して良好とはいえない。周辺国の韓国、北朝鮮、そしてロシア。視界不良のなか、日本はいずれも難しい外交を迫られそうだ。

歴史対立、ポスト文政権下でも

文大統領は2022年5月に任期満了を迎える。さすがに日本との関係悪化を放置したまま退任できないと考えたのだろう。2021年1月の大統領記者会見では、慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意について「政府間の公式合意だ」と言明。元徴用工訴訟に関しても「強制執行で資産が現金化される方法は両国関係にとって望ましくない」と表明し、事態収拾に乗り出す意向を示した。
大統領の発言が影響したのだろうか。韓国司法の判断にも変化の兆しが出てきた。ソウル中央地裁は2021年4月、日本政府に損害賠償を求めた元慰安婦らの訴えを却下した。同地裁は同年6月には、元徴用工や遺族が日本企業に賠償を請求した集団訴訟でも原告側の訴えを退けた。とはいえ、韓国の政権が抜本的な解決策を示さない限り、問題はくすぶり続け、最終的に決着しない。任期が残りわずかとなった文政権が、そこまで譲歩して抜本解決に取り込むとは考えにくい。文大統領が東京五輪に合わせた首脳会談を見送った理由も、歴史問題ではなく、日本の対韓輸出管理に関して厳格化撤廃への「成果」が見込めなかったからだという。
韓国の次期大統領選は、2022年3月9日に投開票される。出馬表明している保守派の有力候補の一人、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長は文政権の対日政策について、理念偏向で「政権末期になって収拾しようとしているがうまくいっていない」と批判する。もっとも日韓関係は、大統領選の大きな焦点ではない。候補者によって対日観は異なるものの、だれが大統領に当選しても、次期政権の難題は山積する。しかも、対日政策は国民の機微に触れる歴史認識が絡むふだけに、優先課題にはなりそうにない。ポスト文政権下でも日韓の歴史問題をめぐる根深い対立は続くと見られ、こじれた関係を修復するのは容易ではない。

日朝、直接協議への道筋見えず

北朝鮮新型コロナウイルス対策で国境を封鎖した影響もあって、食糧不足など経済苦境がかなり深刻化しているようだ。正恩氏は最大の後ろ盾となっている中国とは良好な関係を維持し、南北関係の改善に躍起となっている韓国の文政権には硬軟両様で対処しながら、経済支援の獲得を目指していくと見られる。一方で米国に対しては再び、中・長距離の弾道ミサイル発射や核実験などを強行して揺さぶりをかけ、制裁緩和などの譲歩を引き出そうとする恐れがある。北朝鮮は2021年9月、新型の長距離巡航ミサイルや短距離弾道ミサイルなどの発射実験を相次ぎ実施した。
シンクタンクの国際戦略研究所とロシアのエネルギー安全保障研究センターによる共同報告書によると、北朝鮮は2020年9月時点で核弾頭13~47発分の核物質を保有しているという。北朝鮮の核・ミサイル開発は日本にとっても大きな脅威となる。2021年版の日本の防衛白書は、北朝鮮弾道ミサイルの技術や運用能力を急速に向上させているなどとし、「重大かつ差し迫った脅威」と位置づけた。
日本政府は従来、対北朝鮮政策で、拉致・核・ミサイル問題の包括的解決を唱えてきた。日朝間の首脳会談も拉致問題の解決と日本人被害者の早期帰国に資する必要があるとしてきたが、2019年5月、当時の安倍首相は「前提条件なし」の日朝首脳会談を提案した。核・ミサイル問題とともに、特に日本人拉致被害者の問題解決を促すのが主な目的だった。
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経済苦境下の北朝鮮にとって日本からの多額の経済協力は魅力だ。だが、日本外交は米国との同盟関係を最も重視する。肝心の米朝関係が改善しない限り経済制裁は解除されず、日本からの経済協力も望めない。このことは北朝鮮も重々承知している。日本政府が重視する拉致問題北朝鮮接触に応じる可能性は皆無ではないが、基本的には米朝対話が進まない限り、首脳会談を含めた日朝の公式直接協議への道筋はなかなか見えそうにない。

じじぃの「いかに生きるか・忘れ物をしても無くならない国・古き良き日本?倫風」


『倫風』 2022年2月号

実践倫理宏正会

わからずや漫筆  普通のことにあらず 【執筆者】林望 より

あれはもう何年前のことになるだろうか。
私は中央高速のパーキングエリアでトイレに入り、そこで財布を落っことしたことに気付かず、そのまま帰宅してしまったことがある。帰ってきて、ふと財布がないことに気付き、その日立ち寄った出先に片端から電話を掛けて、かくかくしかじかの財布が置き忘れていなかっただろうかと尋ねてみたが、みな徒労に終わった。
さあ、こまった。現金はともかく、そこに入れてあるカードなどを取られると、ことはひどく面倒になる。
こうなると、どこかで落としたが、掏摸(すら)れたかに違いない。どうしたものかと途方に暮れていると、まもなく、八王子警察から連絡があった。財布の落とし物が届いているので、取りに来るように、というのだ。やれ嬉しやと、すぐに警察署に出向いて財布を受けとることができたのだが、調べてみると、小銭1枚なくなっていない、まさに落としたままきれいに警察に届いていたのである。トラックの運転手をしているこれこれという方が届けて下さったのだとわかった。
もちろんしかるべきお礼をし鄭重(ていちょう)に感謝を伝えたのであったが、思えばこんなことが起こるのは、たぶん日本だからであったろうと、つくづくありがたく思った。
そういう経験をして、日本が好きになったという外国人の話は、幕末明治の時分から幾多(いくた)記録されているけれど、じっさい、人のものを盗(と)ってはいけない、というこの単純無比なる道徳律が、日本ではかなり正直に守られていることは、世界に誇るべきところであろうと思う。
むかしロンドンに住んでいたときのことだ。私はシティ近くのレストランでランチを食べた。そのとき、ちょっと買い物をした紙袋を椅子の横に置いて食事をし、終わってさっと店を出たところで、その紙袋を席に忘れてきたことに気が付いた。あわてて取って返したが、椅子のわきにはもうなにもなかった。
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しかるに近頃は、農村などでも、収穫寸前の高級葡萄が一夜で何万房と盗まれたり、あるいは牛何十頭も盗んでいって自分たちで解体して売りさばくなどという、従来は考えられなかったような犯罪が、日本各地でわりあいに頻々(ひんぴん)と発生するようになった。
日本人の道徳観が変質劣化してしまったのだろうか。それとも、外国人が急速に増えたことと関係するのだろうか。

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どうでもいい、じじぃの日記。
「ピンポーン!」
「また、雑誌持ってきました」
小太りのおばちゃんが、今年になってもやってきた。
「今週、2回も来たのよ。風邪でもひいているのかと心配した」
「この頃、寒いので夕方早くから風呂入ったりしてたから」
「紙に電話番号書いたから、何かあったら電話して」

パラパラと『倫風』 2月号を読んでみた。

「やれ嬉しやと、すぐに警察署に出向いて財布を受けとることができたのだが、調べてみると、小銭1枚なくなっていない、まさに落としたままきれいに警察に届いていたのである」

私は約13年前、神奈川の藤沢から千葉の東金に引っ越してきた。
その頃、総武線の電車内に財布を落とした。
その日のうち、国鉄の駅から電話がかかってきて取りに行ったが無事に財布が戻ってきた。
私は去年、後期高齢者(75歳)になった。
車の運転が下手で、駐車場の駐車枠内にきちんと駐車できるのはマレだ。
この前、駐車場のコンクリート・ブロックに後ろバンパーを引っ掛けてしまった。
昔は真夜中、車で人をはねたとき、ちゃんと人間らしい行動ができるだろうかと、よく自問した。
たぶん、今は人間らしい行動をとれるだろうと思う。
これから、先のことが見えてきたので、今さらジタバタしてもという心境だ。
75歳は死へのグラデーションの始まりらしい。

じじぃの「歴史・思想_540_日本の論点2022・米中のGDP予想・2030年」

G20 Countries Ranking by GDP (PPP) 1980 - 2050 (Prediction)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=N3J5vo2gdDk

『これからの日本の論点2022』

日本経済新聞社/編 日経BP 2021年発行

世界はこれからどうなる

論点20 中国の人口減少、米中GDP逆転後に再逆転も より

【執筆者】村山宏(編集委員

早まる人口減少の時期

合計特殊出生率と1人あたり国内総生産GDP)のあいだには深い関係が見られる。日本、韓国、台湾では、1人あたりGDPが1万ドルを超えたあたりから合計特殊出生率が急低下した。日本は1980年代前半に1万ドルを越え、1980年代後半から出生率の急低下に見舞われた。中国も2019年に1万ドルを超えており、経験則から見て今後は出生率が低下する時期を迎えている。
これまでの中国の人口予測は、合計特殊出生率が1.6以上で続くと仮定したうえでの予測だった。国連の人口推計(2019年7月発表)によれば、中国の人口は2031年に14億6440億人でピークを迎え、2032年から減少に転じる。中国社会科学院も、2029年に14億4200万人に達した後、2030年から減少に向かうと推計した(2019年1月発表)。ただし、合計特殊出生率が1.6にとどまれば、人口減少の時期は2027年ごろに前倒しになるとも指摘していた。
足元の合計特殊出生率は1.6どころか1.3に低下している。中国の人口減少の時期は従来の予測よりも早まりそうだ。
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中国の出生数を予測するうえで参考になるのが婚姻登録数だ。中国では婚姻外で子どもをもうける人が少なく、結婚件数が減れば2~3年後に出生数が減る傾向がある。中国の2015年の婚姻登録数は1224万組だったが、年々減り続け、2020年は814万組になった。この間、出生数も1655万人から約1200万人へと減少している。

2030年までにGDPで米国を抜くという予測も

次に、中国の少子高齢化が経済成長にどう影響するのかを考えたい。
経済成長は、資本、労働、全要素生産性TFP)に分解し、寄与度を求める分析手法が一般的だ。資本の投下により設備が更新されれば生産(付加価値)は増えるし、働き手が増えればやはり生産が増える。労働力の投下は労働人口と労働時間から計算していたが、最近は労働の質も考慮されるようになった。新米労働者より熟練労働者の生産量や効率が高くなるからだ。

2050年代には米国の再逆転も

2030年以降の中国の成長率については、現時点で想定できない要素が多くあり、予測は極めて困難になる。人口ピラミッドで見たように、人口の多い現在の50代が定年の60歳を迎える。国連の人口推計(中位予測)によると、2020年の60歳以上の人口は約2億5000万人だが、2030年には3億5000万人を超え、2040年に4億人を上回る。その間、人口は減少に向かうため、60歳以上の全人口に占める比率は高まり続け、2040年には3割となる。
これをどう見るか。高齢化対策に追われ、政府も企業も資金を成長に向ける余裕がなくなるのか。それとも、高齢化で介護や医療などの新しいビジネスが生まれ、成長を維持するのか。自動化や人工知能(AI)の導入が進み、生産性が向上するのか。中国の定年制度は男性60歳、女性55歳が基本だが、定年を65歳まで、さらには70歳まで引き上げる選択もありうる。
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丸紅経済研究所の鈴木貴元氏は、2050年代以降の成長率について「米国、中国とも物価上昇を含めた名目で4%程度の成長をすると見られる。米国のインフレ率が中国をやや上回るかもしれない」と予測。2050年代には米国が名目成長率で再び中国を上回る可能性を指摘する。国連の低位予測では、2050年代に中国の人口はさらに1億人以上減って2060年には11億7500万人となる。鈴木氏はこうした事態になれば「米国の成長を大きく下回らざるを得なくなる」と話す。
中国の少子高齢化を踏まえ、エコノミストのあいだでは、たとえばGDPで中国が米国を上回ったとしても、2050年代には再び米国が中国を逆転するという見方が出てきている。低位推計どおりに中国の人口が推移すれば、2040年代にも米中の再逆転があるかもしれない。
今回は人口要素から経済成長を見たが、政治や社会、文化、科学が果たす役割も大きい。中国のいまの体制では、本当の意味での独創的なイノベーションや文化産業が興る可能性は低い。TFPを高め、米国並みの成長をしようとするならどこかで体制を変革させねばならない。
体制の問題を脇に置くとしても、中国が長期にわたって米国と競争していくなら、最低条件として人口の急激な減少は避けなければならない。横ばいか微減が望ましい。繰り返しになるが、少子高齢化は危機感が湧きにくく、気がつけば深刻な事態になっている。日本はバブル崩壊と同時進行で進んだ少子高齢化への対処が遅れ、これからも低成長が避けられない状況だ。中国もこのまま出生数が低下し続ければ、2050年代の経済成長は相当に厳しいものになる。
中国は少子化対策にどこまで踏み込むのか。30年後を決めるのは「いま」なのだ。

じじぃの「中国人よ憤怒の河を渉れ・精神科病院・薬物投与された人たち?ニューズウィーク」

【予告編#1】マンハント (2017) - チャン・ハンユー,福山雅治,チー・ウェイ 原題:追捕

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=guvcD9usI_Q

コードネームは「0.07」…中国、北京五輪目前でパロディ動画制作の意味 【1月20日 #報道1930】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=uiTLUMgd9i4

ラージャオ(風刺画)


映画「マンハント/追補」感想ネタバレあり解説 君よツッコミの河を渉れ。

モンキー的映画のススメ
マンハントManHunt
1974年に刊行された西村寿行原作のサスペンス小説「君よ憤怒の河を渉れ」。
76年には高倉健主演で映画化し、中国では「追捕」というタイトルで、文化大革命後初の外国映画として大ヒットを飛ばし社会現象にまでなる作品となった。
そんな多くの人の心に刻まれた作品を、この映画の、そして高倉健のファンである、アクション映画の巨匠ジョン・ウーが、お馴染みの演出や革新的なアクションで大胆リメイク。
日本と中国を代表するキャストを従え、新たな作品として生まれ変わった。
https://www.monkey1119.com/entry/manhunt-movie

ニューズウィーク日本語版』 2022年1月25日号

風刺画で読み解く「超大国」の現実 中国人よ憤怒の河を渉れ ── ラージャオ(風刺画)&トウガラシ(文) より

●The Silenced Chinese

中国、政府批判をすれば「精神科」に強制入院、薬物投与が疑われる事例も

李田田(リー・ティエンティエン、画像 風刺画の右)は中国・湖南省の貧しい山村にある小学校の教員だ。彼女がまだ小学生の時、通っていた小学校を訪問した複数の日本人と出会い、彼女の作文に感動した2人が小学校4年生から大学卒業まで、彼女を経済的に援助した。
「家は貧しかった。2人の日本人のお姉さんの経済的援助のおかげで大学を卒業できた」と、彼女は言う。日中国交正常化後、中国の貧しい農村部に住む子供たちを長期的に経済支援した日本人は多い。成人した李田田は立派な国語教師になった。個人で詩集を出版する優れた詩人でもある。
昨年12月、上海で専門学校の教師が授業中に、1937年の「南京事件」の犠牲者数について「データがない」と発言して生徒に告発され、除籍処分を受ける騒ぎがあった。責任感の強い李田田はSNS上でその教師を応援したが、地元当局に呼び出され、強制的に精神科病院に入院させられた。「精神病患者」というレッテルを貼られ、家族との面会もできず、携帯電話も没収された。幸い、下着の中に隠して持ち込んでいたもう1つの携帯を使い、ネットを援助を求めた。地元当局は炎上を恐れて彼女を家に帰らせた。

帰宅した時には「まるで別人」に

強制的に精神科病院に入院させられたのは李田田だけではない。2018年には別の湖南省出身の若い女性が、共産党一党独裁政権に反対するために上海で習近平(シー・チンピン)国家主席の写真に墨汁をかけて逮捕され、当局によって精神科病院に収容された。1年半後に精神科病院から帰宅した女性は顔がむくんで目が据わり、全く別人のようだった。「精神科病院で薬物を投与されたのではないか」と家族は疑った。
「日本映画『追補』の完全な現実版だ! 日本の映画はフィクションだけど」(中国のネットユーザー)
中国でかつて『追補』の名前で公開された日本映画『君よ憤怒の河を渉れ』には、登場人物が精神科病院に強制入院させられ、投薬で廃人同然のようにされる場面がある。政府の言うことに逆らって無実の罪で捕まる人たちの姿を見て、中国人はますます口を閉ざすようになった。

だが李田田たちのような人もまだ存在する。「憤怒の河を渉る」中国人は増えるだろうか?

『追捕』

高倉健(画像 風刺画の左)が主演した1976年の日本映画『君よ憤怒の河を渉れ』の中国語名。
1979年、中国で文化大革命後初の外国映画として公開され大ヒットした。今も一定年齢以上の中国人に強い印象を残している。高倉演じる検事が冤罪を晴らそうとするストーリーに、文革で無実の罪を着せられ苦しんだ多くの中国人が共感したといわれている。

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報道1930

2022年1月20日 BS-TBS
【キャスター】若林有子、松原耕二 【コメンテーター】堤伸輔 【ゲスト】佐藤正久自民党外交部会長)、市原麻衣子(一橋大学大学院准教授)、峯村健司(朝日新聞編集委員
映画「007」で知られる英国の情報機関「MI6」のトップが、公の場で中国のスパイ活動の活発化を警告した事が、世界に驚きを与えた。
さらに台湾、沖縄では何が起きているのか。

中国スパイ活動の実態 台湾・沖縄で何が起きているのか

●姿を見せた英国 MI6“007”所属組織
英国の秘密情報部(MI6)のエージェントと言えば、映画「007」シリーズの主人公ジェームズ・ボンドを思い出す人が多いだろう。
2021年11月の終わり、英国のMI6のムーア長官が講演で「中国が世界でスパイ活動を活発化している」と発言。
北京冬季五輪について。
オランダ五輪組織委員会は、中国の諜報活動を懸念して個人用スマホやPCを中国に持ち込まない様選手団に求めた。
代わりに未使用の機器を提供する予定。
英国やベルギーも同様の措置を取るという。
更にセキュリティーに関しては、健康観察アプリ「MY2022」(中国五輪委員会が作成)は、コロナ対策のため五輪参加者全員にインストールを義務づけ、「パスポート情報」「病歴」などの個人情報の入力を求めている。
このアプリについてカナダの研究者らは報告書をまとめ、「個人データを送る際の暗号化が不十分」として、ハッカーに対して脆弱と指摘。
佐藤正久、「私のSNSには約30万人のフォローがいる。その中には”あれがおかしい”とか書いて偽情報を流すのがある。フォローに中国人スパイがかなりまぎれ込んでいる」

●中国「影響力工作」 台湾と沖縄が標的か
台湾国防報告書に中国の「影響力工作」について記載あり。
「農場モデル」とは、SNS等で再投稿などを通して情報を拡散する(育てる)戦術。
台湾・蘇貞昌首相は、「われわれは偽の情報への対抗においては経験豊富だ」と語った。
フランス軍関係シンクタンク軍事学校戦略研究所」は、中国の影響力工作を公表。
その中で、中国が沖縄と仏領ニューカレドニアで独立派運動をあおり、「潜在的な敵」の弱体化を狙っていると警鐘を鳴らした。
市原麻衣子、「中国は、日米の同盟関係に影響力工作で楔を打ち込む狙い」
https://www.bs-tbs.co.jp/houdou1930/