じじぃの「科学夜話・土星の衛星エンケラドスで生命の鍵大発見!カズレーザーと学ぶ」

Icy Moon Enceladus Rains Water On Saturn | Planet Explorers | BBC Earth Lab

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=YnsNYBnSpcA

NASAが公開したエンケラドスの「氷の海」の想像図


カズレーザーと学ぶ】地球外生命体が太陽系に!? あのエンケラドスで生命の鍵大発見

2023年11月28日 日本テレビ
【MC】カズレーザーメイプル超合金) 【出演者】影山優佳黒島結菜斉藤慎二ジャングルポケット)、なすなかにし 【専門家】奥山輝大、渡邉正峰、細田千尋、井田茂 、東島智
●「地球外生命体が太陽系に!? あのエンケラドスで生命の鍵大発見」
日本天文学会会長、東京工業大学地球生命研究所 教授井田茂先生が、2023年一番驚いた日本のチームによる大発見について講義された。

エンケラドスには海が存在するが、リン酸の発見などを踏まえてこの海の成分が昔の地球の海と似た環境であることが明らかとなり、地球の生命体に似た存在が誕生している可能性が高まったのだという。すでにエンケラドスを再現した環境で生き続けることができそうな微生物は見つかっており、近い将来に地球外生命体発見のニュースが私たちのもとに届けられるかもしれない。
https://news123.work/life/kazu231128et/

『星のかけらを採りにいく――宇宙塵小惑星探査』

矢野創/著 岩波ジュニア新書 2012年発行

フロンティアへの挑戦

多くの言語で「海」と「母」は語源を同じくすると言われますが、3本目の柱である「今も存在する隣人」を探す海水は、地球以外のどこでどうすれば得られるのでしょうか?

太陽系の惑星では、微惑星から供給された原材料の比率が太陽からの距離とともに異なっていくことが、小惑星や彗星の研究から示唆されています。火星の原材料はすぐ内側を巡る地球のそれと比較的近いのですが、天体サイズの違いがその後の進化の道筋を大きく変えました。それでも液相の水が存在できる「ハビタブルゾーン(居住可能領域)」にあるため、太古の一時期には今よりも濃い大気とか海が全球に広がっていたという学説を支持する地質的証拠が、周回探査機や着陸機の繰り返し調査によって、近年多数得られています。そして、地球上で火星隕石が発見されることから、もし過去、あるいは今でも火星生命が存在したら、それらは地球生命と共通の祖先をもつ「親戚」の可能性があります。泥のような火星土壌試料のサンプルリターン計画は、過去20年近く欧米で検討が続けられていますが、技術的、経済的ハードルの高さから実現していません。
太陽からの距離で定義されるハビタブルゾーンの外側でも、木星の衛星で太陽系最大の衛星でもあるガニメデや、その隣を巡るエウロパなどには、木星からの強い潮汐力をエネルギー源として液体かシャーベット状の氷でできた「内部海」の存在が考えられます。その内部海から海水を得るには、表層の流氷の割れ目で凍ったばかりの水しぶきを採取する着陸機か、少なくとも数kmもの厚みの氷の近くを高熱で溶かして潜っていく「潜水艦型ローバー」が必要になると考えられます。
木星よりも倍以上太陽から離れた土星圏では、最大の衛星で、極低温の世界であるタイタンに、地球上の水をメタンに置き換えたような海、湖、川、そして降雨を伴う気象現象が、カッシーニ探査機とホイヘンス着陸機の初訪問によって確認されています。しかしここでは水は岩のような固体になっています。
最後の候補は、同じく土星の衛星ながら、タイタンの10分の1未満の大きさである直径500kmのエンケラドスです。そんな小ささにもかかわらず南極地域の亀裂から、190℃もの高熱のエネルギーによって、水氷が宇宙空間に向かって噴出される「氷の火山」または「間欠泉」が2005年にカッシーニ探査機によって発見されました。この噴出物が、土星の輪の最も外縁を形成している「Eリング」の材料であることも確かめられました。さらに、噴出物の中には有機加工物や「塩」や炭酸塩が含まれることが、ダスト計測器などの観測から確認され、まさに地球同様に改定にある鉱物と化学反応を起こした「海水」らしいことが分かったのです。
地球の深海底でも高温の熱水が地下から噴き出る環境には、太陽光が届かなくても水素と二酸化炭素からメタンを作る時に得られるエネルギーを使って生命を維持できる生態系があります。これこそ、地球上でもっとも古い生態系だと考える研究者もいます。つまり、似たような生態系を持ったエンケラドス生命体やその死骸、いわば「地球外マリンスノー」が、海水と共に宇宙空間にまき散らられている可能性もゼロではないでしょう。この生命体こそ「今も存在する隣人です。火星と違って地球との間には往来がほとんど想定できない以上、宇宙塵によって地球と同じ生命前駆物質がエンケラドスの海中にもたらされたとしても、まったく別の進化を遂げた「真の地球外生命」である可能性が高いでしょう。
地球外マリンスノーを含むかもしれない、エンケラドスの海氷微粒子を採取するには、着陸機も潜水艦もいりません。彗星塵をフライバイで採取したスターダスト探査機のように、間欠泉の中になるべく低速度で突っ込んで、微粒子の破壊を抑えながら捕獲できるエアロゲルの発展型のような捕集器を曝露すればよいのです。

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どうでもいい、じじぃの日記。

11月28日、日本テレビカズレーザーと学ぶ】地球外生命体が太陽系に!? あのエンケラドスで生命の鍵大発見を見た。

「エンケラドスには海が存在するが、リン酸の発見などを踏まえてこの海の成分が昔の地球の海と似た環境であることが明らかとなり、地球の生命体に似た存在が誕生している可能性が高まったのだという」

リン酸はミネラルの一種で、生物の設計図である「遺伝子」の材料として欠かせない物質だが、リン酸を構成するリンは宇宙の中にごくわずかしか存在しない。

「地球外マリンスノーを含むかもしれない、エンケラドスの海氷微粒子を採取するには、着陸機も潜水艦もいりません。彗星塵をフライバイで採取したスターダスト探査機のように、間欠泉の中になるべく低速度で突っ込んで、微粒子の破壊を抑えながら捕獲できるエアロゲルの発展型のような捕集器を曝露すればよいのです」

なんか、比較的簡単にエンケラドスから海水を採集して、持ち帰ることができるようなことが書かれている。
203Y年、202X年に打ち上げられた日本の探査機「はやぶさ3」が、土星の衛星であるエンケラドスの海水を持ち帰ることに成功しました。果たして、持ち帰った海水に生物はいるんでしょうか? NASAが興奮して日本の調査結果を見守っています。英国BBCが臨時ニュースで世界に大きく報道しています。

はやぶさ3」は世界中の人々が期待もしなかった快挙を成し遂げた。

こんなこと、ありそうな気がする。

じじぃの「カオス・地球_163_共感革命・第3章・シェアとコモンズ」

【理事長対談Vol.15】ゴリラから人間を考える | 山極壽一氏 総合地球環境学研究所所長・人類学者

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=wPbD4wXgMsM


【人類を繁栄させた「共感力」が、いま人類を滅ぼそうとしている】京大前総長・山極壽一氏による最新刊『共感革命』(河出新書)発売!

2023.10.24 antenna
第3章 人類は森の生活を忘れない--狩猟採集民という本能
森を追い出された人類/ネアンデルタール人はなぜ滅びたのか/所有のない、平等な遊動生活/ヴァーチャルな縁で動く時代/自由を取り戻し始めた人類/ジャングルというコモンズ/生態系から切り離される文明/人間社会の3つの自由/シェアとコモンズを再考する時代
https://antenna.jp/articles/20595209

河出新書 共感革命――社交する人類の進化と未来

【目次】
序章 「共感革命」とはなにか――「言葉」のまえに「音楽」があった
第1章 「社交」する人類――踊る身体、歌うコミュニケーション
第2章 「神殿」から始まった定住――死者を悼む心

第3章 人類は森の生活を忘れない――狩猟採集民という本能

第4章 弱い種族は集団を選択した――生存戦略としての家族システム
第5章 「戦争」はなぜ生まれたか――人類進化における変異現象
第6章 「棲み分け」と多様性――今西錦司西田幾多郎、平和への哲学
第7章 「共同体」の虚構をつくり直す――自然とつながる身体の回復
終章 人類の未来、新しい物語の始まり――「第二の遊動」時代

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『共感革命』

山極壽一/著 河出新書 2023年発行
人類は約700万年前にチンパンジーとの共通祖先から分かれ、独自の進化を遂げた。やがて言葉を獲得したことによって「認知革命」が起きたとされている。しかし、実はその前に、もっと大きな革命があった。それが「共感革命」だ。

第3章 人類は森の生活を忘れない――狩猟採集民という本能 より

ヴァーチャルな縁で動く時代

今後、「第2の遊動」時代が到来すると私は考えている。

皮肉に感じるかもしれないが、人類に文明生活をもたらした科学技術のさらなる進展が、、遊動の感覚や生活を甦(よみがえ)らせてくれているのだ。

今、交通手段の発展による、安価にいくらでも遠くへ行けるようになった。例えば東京から沖縄まで飛行機の往復が数千円で可能なこともある。グローバルな時代とは誰もが自由に移動できる時代で、国境を越えることにも昔ほどの制約はなくなった。入国にビザが要らない国もたくさんある。移動が自由になったことで個人を縛る縁がきわめて薄くなった。
    ・
人類は生活を農耕牧畜に切り替え、定住生活をスタートしてから、定住先で自分の所有物を貯めることによって、自分の価値を高めていった。その生活が1万年近く続いていた。
高価な首飾りをしたり、高級な外車を乗りまわしたり、高価なブランドものの服を着たり、高級レストランで食事をしたりする、そういう行為が社会的地位を表すと考えられていた。

だが今は、新型コロナウイルスによるパンデミックというインパクトのある体験も経て、そのような感覚が急速に低下したように感じる。装飾品で自分を飾ることが自分の社会的地位を表すものではなくなりつつある。

今やFacebookInstagramに載せる情報は、自分は何をした、何を見た、何を経験した、という行為そのものなのである。それにみんなが「いいね」をする時代で、所有物がその人の価値を表すのではなく、その人の行為が価値を表す時代になってきた。

これが「第2の遊動」時代の変化なのだ。かつてのように、移動が当たり前で、所有や縄張りという概念がなかった時代に、現代人は非常に近づいてきている。

ジャングルというコモンズ

現在、地球上でジャングルと呼ばれる熱帯雨林は大きく分けて3ヵ所ある。

南米のアマゾン川流域、南アジアの半島や島嶼(とうしょ)地域、アフリカのコンゴ盆地だ。この中で、現在でも類人猿が生息しているのはアジアとアフリカで、人間に最も近いゴリラとチンパンジーはアフリカだけに生息している。もともと中南米に霊長類は存在していなかったが、今ではサルが生息している。かつて、アフリカから流木などに乗って流れ着き、アマゾンの浸水林に適応したと思われる。アマゾンでは雨季になると森林が水浸しになるから地上を歩くサルは進化できず、樹上生活だけに適応し、大型の類人猿が登場することもなかったのだろう。
    ・
人間の祖先は700万年前にこれらの類人猿の祖先から分かれ、しだいにジャングルからサバンナへと進出した。ジャングルを離れた理由としては、森が小さくなりゴリラやチンパンジーとの競合があった可能性をすでに指摘した。しかし、なぜ危険なはずのサバンナで生き延びられたのかなど、人類のサバンナ進出について、まだたくさんの解明されていない疑問が残っている。その秘密を解く鍵は、現代の人間、すなわち私たちの体と心のどこかに宿っているはずだ。

ジャングルはすべての生物にとってのコモンズである。コモンズとは「共有財」という意味で、誰もが平等に利用できる資産のことだ。ジャングルには多種多様な生物が共存し、それぞれの種がその特徴に応じてジャングルを利用し、調和関係を保って生きている。このジャングルの生態系こそが、コモンズの原型だと思うのだが、現代人はその記憶を忘れかけているのではないか。

人間社会の3つの自由

先に述べたように、人間の社会は3つの自由によってつくられえている。動く自由、集まる自由、対話する自由である。人間は毎日働いて、さまざまな場所に出向いて集まり、そこで語り合い、他者と交流することかよって生きる喜びを得る。サルや類人猿と比べ、人間はこの3つの自由を拡大してきた歴史がある。

サルも類人猿も年間に動く範囲は決まっており、熱帯や亜熱帯の森で暮らすサルたちはせいぜい1平方キロメートルの範囲が生活圏だ。
    ・
ゴリラやチンパンジーなどの類人猿は、サルよりもさらに胃腸の働きが弱いため、熟した果実が豊富にある熱帯雨林から離れられない。サルより広い範囲を動き回ったとしても年間20平方キロメートルほどである。

同じ森にすむピグミーと呼ばれる狩猟採集民は、年間100平方キロメートル以上、サバンナで暮らすブッシュマンと呼ばれる狩猟採集民は、数百平方キロメートル、ときには1000平方キロメートルに及ぶ範囲を歩き回って暮らしている。

集団に参加する自由度も、人間とサルでは大きく異なる。群れをつくるサルたちは集団への帰属意識を強く持ち、めったに群れから離れない。
    ・
サルや類人猿と比べると、人間は集団の出入りに関して許容度がかなり高いといえるだろう。
私たちは日々、家庭や会社や取引先やご近所といった複数の異なる集団に出入りをしながら暮らしており、それぞれの集団で違う顔を持っている。この多層的な社会は、都会でも地方でも変わらない。この違いこそ、人間の社会の大きな特徴なのだ。

このようなことが可能なのは、人間の中に帰属意識とともに自己犠牲を払っても集団のために尽くすという独特な社会性があるからだろう。多くの人は、自分がどのような集団に所属しているかを意識し続けており、それがアイデンティティの1つになっている。帰属意識があるからこそ、ほかの集団が行き来しても、いつかは戻れるという安心感を持てるし、自己犠牲を厭わないからこそ他の集団に受け入れられるのだ。

シェアとコモンズを再考する時代

私はアフリカの熱帯雨林でゴリラを調査しながら、現地に住むピグミー系の狩猟採集民と長く付き合ってきた。彼らは今でこそ保護区の外で定住生活を強いられているが、つい最近まで熱帯雨林の中で移動生活を送っていたし、場所によっては今でも移動しながら暮らしている人々もいる。

森での住居は、ドーム形の葉っぱの小屋だ。細い木を円形に地面に突き刺して上に束ね、つるを周囲にめぐらしてクズウコンなどの葉で覆う簡単なもので、30分程度で完成する。所有物といえば、調理に必要な鍋やナイフ、狩猟に使う槍、弓、網、山刀などで、必要なものはなんでも森で手に入れる。椅子やテーブルは木を切ってつくるし、大きな葉がお皿になる。毎朝川で体を洗い、森で用を足せば虫たちが分解してくれる。きわめて衛生的な生活なのだ。

それでも同じ場所に長居すれば、採集できる野生の食事がだんだんと不足するし、排泄物やゴミなどで周囲が汚染される。それを漁(あさ)る動物や寄生虫が増える。そこで数日から数週間ほどで、次の適した場所を求め移動する。

その生活の中で徹底しているのは、すべてを分配し、共有することだ。狩りで捕らえた獲物やヤムイモなどの採集物は、持ち帰ってみんなの前で広げ、各家族に分配する。燻製(くんせい)などの保存食をつくることもあるが、誰かが富として独占することもない。分配のやり方は細かく決められていて、必ずすべての仲間に行き届くようになっている。自分の狩猟具を持っていてもあえて使わず、互いに貸し借りして使う。大きな獲物を捕ってきても、むしろ大した獲物ではないと恐縮して見せる。これらの態度は一貫して仲間の間で権力をつくらず、互いに平等な関係を維持しようとする努力の反映なのだ。狩猟採集民の社会では、そのような仕掛けがたくさん用意されている。

このようなコモンズを増やし、平等な関係を構築しようとする狩猟採集民的な精神を再び広げることこそが、今、必要とされる選択なのではないか。

これからの日本は人口減少が続くが、狩猟採集民的な精神を持って科学技術を使えば、たとえ人々が地方に散らばって生活していたとしても、遠隔医療は可能だし、ドローンでの生活物質輸送もできる。複数の拠点を転々としながら、多様な暮らしを謳歌(おうか)できるはずだ。これからは人々が小規模な集団を訪ね歩き、ネットで効果的につながれる時代になっていくはずだ。

じじぃの「科学夜話・ASD・オキシトシン経鼻スプレーで症状改善!世界を変える100の技術」

のばそう!しずおか健康寿命自閉スペクトラム症オキシトシンによるその治療の試み】浜松医科大学精神医学講座 教授 山末英典氏

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=hOUL1NG336s


オキシトシンの秘めたる力とは?自閉症の子どもの治療に革命をもたらす可能性を徹底解説

2023年10月8日 RSS Feed
自閉症の子どもを持つ母親として、日常のコミュニケーションや行動に悩みや不安を感じることは多いでしょう。新しい治療法やアプローチには常に耳を傾け、子どもの可能性を最大限に引き出したいと願います。

この記事では、オキシトシンというホルモンが自閉症の子どもたちの治療にどのように関与し、どのような効果が期待されるのかを徹底解説します。オキシトシンは「愛のホルモン」とも称され、人と人との絆や感情のコミュニケーションに深く関わる成分です。
近年の研究で、このホルモンが自閉症の症状に対して革命的なアプローチをもたらす可能性が浮上してきました。
https://osakachild.com/oxytocin-autism-child/

『世界を変える100の技術』

日経BP/編 日経BP 2023年発行

経鼻投与型製剤 従来、注射薬しかなかった製剤で簡便な経鼻投与が可能になる より

鼻から投与できる製剤。2020年に発売された低血糖時救急治療薬(バクスミー点鼻粉末剤)、2023年3月に承認され、2024年秋に発売予定の経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト点鼻薬)などがある。
従来注射しかなかった製剤に経鼻投与の選択肢が加わることで投与が簡便になる。
さらに近年、中枢系疾患に対する薬物治療における経鼻投与の研究開発が進んでいる。鼻腔に投与された薬物は嗅神経領域から脳へと直接移行することが知られており、血液脳関門などを迂回して脳へと薬物を送達できる。

浜松医科大学精神医学講座の山末英典教授らの共同研究チームは2022年1月、帝人ファーマと共同して改良したオキシトシン経鼻スプレーの医師主導治験を実施し、有効性と安全性を示したと発表した。オキシトシンは脳の下垂体から出るホルモンで、社交性の改善に効果があるとされている。

このため、改良型オキシトシン経鼻スプレーは自閉症スペクトラム症に対する治療薬として期待されている。研究チームは改良型オキシトシン経鼻スプレーの次段階の知見と承認申請に協力する企業を探していく。

製薬スタートアップのアキュリスファーマは2022年11月から、てんかん重積状態またはてんかん重積状態にいたる恐れのあるけいれん発作を対象とした、抗けいれん薬ジアゼパム経鼻投与スプレー製剤の国内第3相臨床試験を開始している。

同剤は米ニューレリスが開発し、アキュリスファーマが日本を含むアジア太平洋地域での独占的開発・商業化に関するライセンスを取得、日本における開発を進めている。ニューレリスは2020年にジアゼパム経鼻スプレーについて米食品医薬局(FDA)の承認を得た

製薬会社から非臨床試験を受託する新日本科学は鼻から吸引する片頭痛薬について米FDAに承認申請し、2023年5月、受理された。審査収量は2024年1月ごろを見込み、2024年夏には最初の薬を販売したい、としている。

新日本科学は粘着付着性を持たせた経鼻粉末担体をつくる技術と、経鼻製剤を簡便かつ確実に鼻腔内に送り込む経鼻投与用デバイスを開発している。

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どうでもいい、じじぃの日記。

70を過ぎても、発達障害のじじぃ。

5年前だが NHKクローズアップ現代』という番組で、「少年犯罪・加害者の心に何が」を見た。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3613/index.html

発達障害の治療に効果があるという「オキシトシン」というホルモンが紹介されていた。

当時 近くの薬局に行ってみたが、置いていないという。

また、病院でそれとなく、「オキシトシン」について聞いたが、日本では「オキシトシン」の治療は一般的でない、とか言われた。

「製薬会社から非臨床試験を受託する新日本科学は鼻から吸引する片頭痛薬について米FDAに承認申請し、2023年5月、受理された。審査収量は2024年1月ごろを見込み、2024年夏には最初の薬を販売したい、としている」

鼻から投与できる「オキシトシン」製剤が、日本でも2024年夏ごろから発売されるらしい。

なんとなく、どうでもいいと思うようになった。

トホホのホ。

じじぃの「カオス・地球_162_共感革命・第3章・森を出た人間」

1. Prehistoric Family Life - OUT OF THE CRADLE [人類誕生CG] / NHK Documentary

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=vEpEZjxmmuw

Ancient human out of forest


Ancient footprints in Crete challenge theory of human evolution - but what actually made them?

September 4, 2017 theconversation.com
●Gorilla prints?
So what or who made the Trachilos prints? They are certainly convincing as real footprints, from the few pictures provided in the paper.
The age estimate of 5.7m years also seems correct. The prints do have a narrow heel compared to our general idea of what human footprints look like, as the authors note. But that could easily be matched by the shape of human footprints walking in wet mud, such as in an estuary - which may have been the case. They have a big toe placed quite close to the others, like our own, but so do the feet of gorillas.
https://theconversation.com/ancient-footprints-in-crete-challenge-theory-of-human-evolution-but-what-actually-made-them-83412

河出新書 共感革命――社交する人類の進化と未来

【目次】
序章 「共感革命」とはなにか――「言葉」のまえに「音楽」があった
第1章 「社交」する人類――踊る身体、歌うコミュニケーション
第2章 「神殿」から始まった定住――死者を悼む心

第3章 人類は森の生活を忘れない――狩猟採集民という本能

第4章 弱い種族は集団を選択した――生存戦略としての家族システム
第5章 「戦争」はなぜ生まれたか――人類進化における変異現象
第6章 「棲み分け」と多様性――今西錦司西田幾多郎、平和への哲学
第7章 「共同体」の虚構をつくり直す――自然とつながる身体の回復
終章 人類の未来、新しい物語の始まり――「第二の遊動」時代

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『共感革命』

山極壽一/著 河出新書 2023年発行
人類は約700万年前にチンパンジーとの共通祖先から分かれ、独自の進化を遂げた。やがて言葉を獲得したことによって「認知革命」が起きたとされている。しかし、実はその前に、もっと大きな革命があった。それが「共感革命」だ。

第3章 人類は森の生活を忘れない――狩猟採集民という本能 より

ネアンデルタール人はなぜ滅びたのか

熱帯雨林から移動を始めた頃の人類の行動範囲は、今のグローバルな時代と比べ、まだ広くはなかった。だが狭い場所で皆が交流し合っていたことは確かだ。

さらにホモ・サピエンスが登場して言葉が生まれ、交流は深まったはずだ。
ネアンデルタール人は3万年前までヨーロッパで生き延びていたが、ヨーロッパに進出したホモ・サピエンスによって駆逐された。駆逐といっても、戦争によって滅ぼされたわけではない。1番大きな原因はホモ・サピエンスが喋るような言葉をネアンデルタール人が喋れなかったことだ。

会話ができたことによって一体どのような違いが生まれたのか。恐らく自分が経験していないことを他人の言葉によって伝えられるネットワークができたことが大きかったのだろう。会話によって、自分では見ていないものをあたかも見たかのように実感できる。そうやって人と人、やがては集団同士がつながれるようになった。

また言葉によって計画性も生まれた。言葉がないと計画は立てられない。例えば、数日のうちにこの山の上で落ち合おう、というような約束は、言葉を持っていない時代にはできなかった。

ネアンデルタール人は、おそらく10数人から30人程度の小集団で暮らしていたのではないか。閉鎖的で、集団間の交流もなかったと思われる。しかしホモ・サピエンスは頻繁に交流した。これらによって、ネアンデルタール人が徐々に劣勢になっていった。

狩猟効率も随分とちがった。オーロックスという今は絶滅してしまった野生の牛を崖まで追い込んで、落下させる集団狩猟がホモ・サピエンスには可能だったが、ネアンデルタール人は計画もなしに頑丈な身体で立ち向かうしかなく、狩りのたびに犠牲が発生しやすかった。

人口増加率も違ったはずだ。ヨーロッパの冬は厳しい。冬場を生き延びるためには食料を確保しなければならないが、簡単なことではない。幼児死亡率も高まり、流産も増える。こうした差が合わされば、結果的に大きな差になって現れてくる。1万年の間にネアンデルタール人がいた場所は、すべてホモ・サピエンスによって占拠されてしまった。1万年と聞くと長いように感じるが、徐々にネアンデルタール人は追いつめられていき、ついにはポルトガルの突端の海辺で最期の1人が死んだといわれている。

所有のない、平等な遊動生活

もう1つ、類人猿と人間の違いは、手が自由になったことである。

直立二足歩行は敏捷性(びんしょうせい)に劣るし、木登りにも適さない。足で地面を踏んで歩くから、足の形が変わり、ゴリラやチンパンジーのように足で木を掴めなくなった。人類が速力や樹上生活を犠牲にしてまで、直立二足歩行を選んだのは、先に紹介したように長距離を歩くためにエネルギー効率に加え、手の活用法を発見したからだ。

自由になった手で何をしたのかといえば、食物を運んだのである。その頃の人類は、まだ道具をつくっていない。しかもサバンナには木が少ない。地上の大型肉食動物に襲われないよう、身重な女性や小さな子どもを安全な場所に隠し、屈強な者が遠くへ出かけて行って食物を探して採集する。それを手で持って、安全な場所に隠れている仲間のところへ持って帰り、分配して一緒に食べたに違いない。これが人間的な食事を伴う遊動生活の始まりである。定住はせず、安全な場所を転々としながら食物を探して歩くスタイルを長く続けたと考えれている。

遊動生活の利点は先にも書いた通り所有という概念が必要なかったことだが、加えて、何かトラブルがあった際にも有効だ。定住生活の場合は、トラブルを起こした双方が共存できるようなルールを考えなければならなくなる。しかし遊動生活では双方が離れてしまえば解決するので、共存するための細かなルールを考案する必要がない。

狩猟採集民には権威者もリーダーもいない。形式上のリーダーは置いても、生活は対等に運営されるのだ。

人類はこの対等かつ平等な遊動生活を、700万年近く続けてきた。そのマインドは、実は現代に生きる我々にも備わっている。数人が集まって「さあ、一緒に食事をしよう」となったとき、食卓の上にある食物を1人で独占しようと考える人は現代でもいないだろう。例えば、ホールケーキを切ってみんなで分配しようとする際は等分に切ろうとするはずだ。

食事における分配と共食は、人間関係の最も根本的なことなので、私たちはこうした行為を当たり前のようにやっている。鍋やすき焼きを囲んでも上手に分配、共食している。今でも遊動生活時代の精神は消えていないのである。

このように、徹底的に平等だった人類だが、定住を初めてから土地に固執するようになった。また所有の有無が人の価値を決める指標になってしまった。人類にとって本来持ち合わせていなかった感覚が、現代の人間を支配するようになったのだ。

しかし、現代人の所有と土地に対する執着は、少しずつ薄れ始めているのではないか。

ヴァーチャルな縁で動く時代

今後、「第2の遊動」時代が到来すると私は考えている。

皮肉に感じるかもしれないが、人類に文明生活をもたらした科学技術のさらなる進展が、、遊動の感覚や生活を甦(よみがえ)らせてくれているのだ。

今、交通手段の発展による、安価にいくらでも遠くへ行けるようになった。例えば東京から沖縄まで飛行機の往復が数千円で可能なこともある。グローバルな時代とは誰もが自由に移動できる時代で、国境を越えることにも昔ほどの制約はなくなった。入国にビザが要らない国もたくさんある。移動が自由になったことで個人を縛る縁がきわめて薄くなった。
    ・
人類は生活を農耕牧畜に切り替え、定住生活をスタートしてから、定住先で自分の所有物を貯めることによって、自分の価値を高めていった。その生活が1万年近く続いていた。
高価な首飾りをしたり、高級な外車を乗りまわしたり、高価なブランドものの服を着たり、高級レストランで食事をしたりする、そういう行為が社会的地位を表すと考えられていた。

だが今は、新型コロナウイルスによるパンデミックというインパクトのある体験も経て、そのような感覚が急速に低下したように感じる。装飾品で自分を飾ることが自分の社会的地位を表すものではなくなりつつある。

今やFacebookInstagramに載せる情報は、自分は何をした、何を見た、何を経験した、という行為そのものなのである。それにみんなが「いいね」をする時代で、所有物がその人の価値を表すのではなく、その人の行為が価値を表す時代になってきた。

これが「第2の遊動」時代の変化なのだ。かつてのように、移動が当たり前で、所有や縄張りという概念がなかった時代に、現代人は非常に近づいてきている。

じじぃの「科学夜話・アポトーシス・老化細胞を除去する治療法!世界を変える100の技術」

老化細胞を選択的に除去する「GLS1阻害剤」って何?【医師監修アニメーション解説】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=HHmYz7yM4Jk

老化細胞を選択的に除去するGLS1


老化細胞を選択的に除去するGLS1(グルタミナーゼ1の略称)阻害剤が加齢現象等を改善させることを証明

2021.01.15 POST
15日、東京大学医科学研究所の城村由和助教(癌防御シグナル分野)、中西真教授(癌防御シグナル分野)らの研究グループは、新たな老化細胞の純培養法を構築し、老化細胞の生存に必須な遺伝子群をスクリーニングにより探索した結果、グルタミン代謝に関与するGLS1を同定したー。
https://1post.jp/5899

『世界を変える100の技術』

日経BP/編 日経BP 2023年発行

老化細胞除去療法 自然の成分を用いて老化細胞を除去する療法 より

加齢が進んだ老化細胞を除去し、健康寿命を伸ばすこと。老化細胞が炎症物質を分泌して周辺の若い臓器に障害をもたらすことを防ぐ。
老化細胞のアポトーシス(細胞死)の歯止めとなっているたんぱく質の働きを阻害する薬剤によりアポトーシスを促し、老化細胞を取り除く試みがされている。
老齢マウスから遺伝子工学により老化細胞を除去すると、動脈硬化や腎障害などの老年病の発症が遅れることが期待されている。

米ユニティ・バイオテクノロジーは2023年4月14日、アポトーシス蛋白質を阻害する低分子薬のUBX1325が、糖尿病黄斑浮腫患者を対象とする臨床試験において、硝子体内へ1回注入することで約1年にわたる視力改善効果を示したと発表した。

同社のアニルヴァン・ゴーンCEO(最高経営責任者)は「UBX1325は老化細胞の標的薬として初めて臨床試験に進んだ開発品で、成功すれば標準薬である抗血管新生薬による治療アプローチを見直す契機になる」と語った。

UBX1325は、アポトーシス(細胞の自殺)調節蛋白質を阻害することにより、糖尿病で障害を受けた眼内血管に蓄積した老化細胞のアポトーシスを促進し、除去する薬剤だ。

眼内血管の閉塞や漏出、出血により、網膜中心の黄班部分がむくんで見え方が歪むと、視力低下が進行し、失明に至る危険がある。これまで使われてきた、抗血管新生薬の場合、1年に複数回硝子体内に注入する必要があり、患者にとって投与の負担が大きかった。

一方、東京大学医学研究所癌防御シグナル分野の城内由和助教と中西真教授らは、老化細胞に強く発現するグルタミン代謝酵素を阻害すると、老化細胞だけが除去されることを見いだしている。

中西教授らが老齢マウスや加齢関連疾患モデルマウスにグルタミン代謝酵素阻害剤を投与したところ様々な臓器・組織の加齢現象や老年病、生活習慣病が改善した。

さらに「老化細胞においてグルタミン代謝酵素を阻害すると細胞内PH(水素イオン指数)が低下することでアポトーシスが誘導される」「アンモニアを過剰添加し、培養液のPHを高めるとグルタミン代謝酵素阻害によるアポトーシスが抑制される」といったことが分かった。

中西教授が見つけたグルタミン代謝酵素の作用は多くの老化細胞に共通していることから、適応の広いアンチエイジング薬に結びつく可能性がある。

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どうでもいい、じじぃの日記。

2021年、老化細胞を選択的に除去するGLS1阻害剤が、さまざまな加齢現象や老年病、生活習慣病を改善させることを、東京大学医科学研究所が証明した。

老化細胞の代謝特異性を標的とした老化細胞除去による、新しい抗加齢療法の開発につながるかもしれない。
つまり今後の研究成果次第では、人間の不老不死を実現する可能性がある。

私も77歳になり、身体の衰えがひどくなっている。
まず、眼だ。この間、自動車免許更新のために眼鏡を新調した。
耳はテレビのボリューム音を最高度にして、テレビを見ている。

「中西教授らが老齢マウスや加齢関連疾患モデルマウスにグルタミン代謝酵素阻害剤を投与したところ様々な臓器・組織の加齢現象や老年病、生活習慣病が改善した」

老化とは

通常、古い細胞が分裂を停止して新しい細胞に置き換わるときには、自ら死んで壊れるアポトーシス(細胞死)を起こすか、免疫細胞に食べられて体内から消える。
ところが、細胞老化によって分裂を停止した細胞の中には、なぜか死なずに、臓器や組織の中に残ってたまっていくものがある。

老化細胞が蓄積することで過度なSASP(細胞老化関連分泌形質)が起こると、がん、心血管疾患、糖尿病、白内障、慢性閉そく性肺疾患、アルツハイマー認知症骨粗しょう症、変形性膝関節症など、加齢によって増える様々な病気につながる。

単純に言えば、老化を防ぐにはアポトーシスした細胞を取り除けばいいんだ。

まあ例では、アルツハイマー病のアミロイドβだ。

「中西教授が見つけたグルタミン代謝酵素の作用は多くの老化細胞に共通していることから、適応の広いアンチエイジング薬に結びつく可能性がある」

だそうです。
もう少し、長生きしたいです。

じじぃの「カオス・地球_161_共感革命・第2章・石器(ハンドアックス)」

【VOICEVOX解説】打製石器の作り方

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=AOIO8qiaAGs


小型化する石器

石器は、人類が最初に作り始めた道具である。およそ260万年前には、東アフリカで原始的な石器製作がおこなわれていた。
約175万年前には、多くの加工を施したハンドアックス(握斧)が同地域で出現し、その製作技術を持った人類がアフリカの外へも進出する。
https://www.um.u-tokyo.ac.jp/UMUTopenlab/library/b_53.html

河出新書 共感革命――社交する人類の進化と未来

【目次】
序章 「共感革命」とはなにか――「言葉」のまえに「音楽」があった
第1章 「社交」する人類――踊る身体、歌うコミュニケーション

第2章 「神殿」から始まった定住――死者を悼む心

第3章 人類は森の生活を忘れない――狩猟採集民という本能
第4章 弱い種族は集団を選択した――生存戦略としての家族システム
第5章 「戦争」はなぜ生まれたか――人類進化における変異現象
第6章 「棲み分け」と多様性――今西錦司西田幾多郎、平和への哲学
第7章 「共同体」の虚構をつくり直す――自然とつながる身体の回復
終章 人類の未来、新しい物語の始まり――「第二の遊動」時代

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『共感革命』

山極壽一/著 河出新書 2023年発行
人類は約700万年前にチンパンジーとの共通祖先から分かれ、独自の進化を遂げた。やがて言葉を獲得したことによって「認知革命」が起きたとされている。しかし、実はその前に、もっと大きな革命があった。それが「共感革命」だ。

第2章 「神殿」から始まった定住――死者を悼む心 より

心が文化を生み、社会をつくった

チンパンジーやオランウータンの事例を見てもわかる通り、類人猿は道具を使用する中で文化的な能力を発揮している。ということは、700万年前に類人猿との共通祖先から分かれた人類の祖先たちも、恐らく道具を使用して生活していた可能性が高い。

ただ残念なことに、木製の道具は化石して残りにくい。道具が化石として最初に現れたのは260万年前のタンザニアのオルドバイ渓谷の地層で、ここで見つかったのは大きな石を割ってできた破片だ。この破片の尖った部分を使用して、肉食獣が食べ残した獲物から肉を切り取ったり、骨を割って骨髄を取り出したりして食べたと考えられている。骨髄はやわらかいため、加工しなくても食べられるのだ。

この最古の石器はオルドワン石器と呼ばれているのだが、石から使いやすいサイズの破片をつくるのは案外難しい。石を別の石などに向かって正確にぶつけなければ使える破片は取れないのだ。石をしっかりと掴むためには、親指が大きく、他の指としっかり対向していなければならない。類人猿の親指は短かったため、石を強く握るのは不可能だ。そのため、この石器をつくったと思われる人類の化石が見つかったとき、推定される脳の容量は600ccほどで、ゴリラより100ccほど大きかっただけなのに、親指のサイズと他の指との対向性から、先史人類学者リーキーはホモ・ハビリス(器用な人)と名付けて、初めてホモ属の仲間入りをさせた。

このオルドワン石器だが、長い期間、形が変わることはなく、美的な感覚があったとは思えない。ただ、次に登場するホモ・エレクトスになると、形が洗練されて、手でしっかりと握って作業できる効果的な形状の石器に変わる。

代表的なものが、ハンドアックス(握斧)と呼ばれる。左右対称形の大型の石器だ。そもそも左右対称で大きな石器をつくるためには、まず完成形を想像し、適した石を選び、石を丁寧に打ちおろしていかなければいけない。時代を経るごとに涙のような形をした石器も見つかっており、そこには美的なセンスや知性が感じられる。中には使用した形跡のない石器もあることから、象徴物として扱われた可能性もある。

シンボルと道具、芸術、そして言葉が生まれた

石器の芸術性が高まっている時期に、集団の規模も拡大し、脳の容量も増加している。

仲間の数が増えて、その仲間同士の社会関係を記憶するために社会脳として発達した、というのがこれまでに紹介したダンバーの仮説だが、道具の発達と脳のサイズの変化にも何らかの関係があるのは間違いないだろう。

ホモ・エレクトスは180万年ほど前に誕生し、その後、初めてアフリカ大陸からユーラシアへと進出した人類だ。インドネシアのジャワ島や中国などで化石が見つかっており、多様な環境へ踏み出していったことがわかる。これまでとは全く違う土地へ移り住む中で、道具を使って環境に適応し、さらに道具を洗練させていったのであれば、そこには現在にも通じるような社会的な知性があったはずだ。
道具は本来の機能だけではなく、自分の価値を示すことに使ったり、別の道具や食物の交換に使ったりした可能性もあるだろう。ホモ・エレクトスは、家族と複数の家族を含み共同体という重層構造の社会をつくっていたと推定されるので、家族の中での自分や、家族以外の集団の中での自分など、複数の人格を使い分ける必要があったはずだ。道具も集団内の位置づけや役割の一端を担ったのだろう。

またトルコの辺りでは、障害のある仲間が長く生き延びた証拠も見つかっており、シンパシーやエンパシーといった感情もその頃には芽生え始めていた可能性がある。

人間の認知能力とコミュニケーションは、インデックス(指標)→アイコン(類像)→シンボル(象徴)へと進化したと考えられている。
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現代人は、類人猿より2段階ほど上の認知能力を持っているが、これは映画やドラマを見て、解釈する能力につながる。他人同士の会話やちょっとした表情の変化などを見て、他者の内面や考えを推測できる能力だ。日常の中でも、抽象化の度合いを上げて何らかのシンボルによって表現させれば、解釈や推測が容易になる。必ずしも言葉でなくてもよくジェスチャーや図形、音楽であったかもしれない。

人類は関わりあう集団の数が増え、社会が複雑化していく中で、様々なシンボルで周囲を飾り、そこに意味を与え始めた。様々な意味を持つようになった道具は、従来の機能に加えて計画性を未来に伝える。

シンボルは物語る環境を人類に与えたのだ。それは、人類が共感力をどんどん発達させ、他者や物に憑依(ひょうい)する能力を高めた結果でもあった。

言葉はそういった能力の上に登場した。シンボルの中でも最も抽象化の進んだもので、時空を超えて体験を再現し、伝承できる能力がある。言葉の登場によって芸術的な作品が急増したのも当然だろう。芸術が一般化し、進化するためには、自己主張する能力とそれを受け入れる大きな集団社会、高い共感力に基づいて何かに同化したいという願望、人や物に憑依する能力、世界を解釈したり無から創造したりする能力が必要である。そのためには、仲間との継続的に密なコミュニケーションが取れる定住生活という環境が大きく寄与する。シンボルと芸術によってシナジー効果が生まれ、その土地ならではの自然とも合わさり、地域に根差した文化が生まれたのだ。

単なる道具が芸術や文化へ発展し、集団の共有する価値観や使命に対する意識が強まる。
その意識が行動を組織化して、社会的役割を構造化したのだろう。言葉は集団の構造や組織を規定し共有する機能を果たした。小規模な社会とその文化をつないで社会の規模を徐々に拡大し、組織化していった。

現在のような社会へと加速させたのは言葉だが、そもそもの起源を辿(たど)れば、言葉のない社会があり、それでも人間社会の基本的な機能は十分に成立していたことは覚えておくべきだろう。

じじぃの「科学夜話・量子センサー・微弱な信号や生体内の活動を調べる!世界を変える100の技術」

図2 量子ドット(QD)のイメージと量子サイズ効果による発色の例


2023年ノーベル化学賞は量子ドット、医療やディスプレー発色改善に貢献

2023.10.04 xTECH
QD(量子ドット)は、硫化カドミウムCdS)やセレン化カドミウム(CdSe)、硫化亜鉛(ZnS)といったありふれた半導体材料から成る微粒子である(図2)。具体的には直径が10ナノ(n)m前後の微粒子で、通常の材料特性とは異なる特性を発揮する。

●今後のディスプレーの主流の1つに
QDで液晶ディスプレーの発色を改善したテレビなどは以前から発売されており、最近はQDをカラーフィルターに用いた有機ELテレビなどが発売された。シャープは、QDを有機EL有機半導体材料に代わる材料として用いる「nanoLED」を開発中だ。

今後、本格的に登場する見込みのマイクロLEDディスプレーと並んで次世代ディスプレーの柱の1つになっていく可能性が高い。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/16042/?i_cid=nbpnxt_sied_blogcard

『世界を変える100の技術』

日経BP/編 日経BP 2023年発行

量子センサー 原子や分子の挙動を観測し、微弱な信号や生体内の活動を調べる より

量子力学の原理を利用してさまざまな物理量を高精度に計測できるセンサー。原子や分子レベルの小さな物体の挙動を観測することで、現状のセンサーでは計測できなかった微弱な信号や生体内の活動などを調べられる。

量子センサーの研究開発を巡っては、大学などの研究機関だけでなく民間企業の参入も広がり、自動車業界などに向けた量子センサーの販売も始まりつつある。

量子センサーによるセンシングでは物質中のスピンや原子気体を利用する。それらは周囲の環境に影響を受けやすく、その挙動を観測することで高精度なセンシングが可能になる。スピンを演算に用いる量子コンピューターではこの不安定さが正確の演算の妨げになっていたが、量子センシングではその性質を逆手にとることで優れた機能を実現できる。

大阪大学量子情報・量子生命研究センター准教授の根来誠氏らの研究グループは、量子センシング技術を応用した高感度な磁気共鳴画像装置(MRI)の開発に取り組んでいる。分子構造を解析する核磁気共鳴(NMR)の信号を増強させる独自の技術により、室温下で対象物を高感度に計測できるようにするもの。
マウスの体内の代謝を調べることでがん細胞の活動を調べたり、タンパク質の結合状態から薬剤スクーリングに利用したりといった応用を目指している。

海外では既に量子センサーの商用化が進んでいる。量子コンピューターの開発を手掛けるスタートアップの米コールドアンタは量子技術の中で「冷却原子力式」と呼ばれる量子コンピューターと量子センサーを開発している。2022年11月には住友商事と代理店パートナーシップ契約を締結し、日本市場で販売活動を始めた。

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どうでもいい、じじぃの日記。

下村脩博士は、オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質GFP」を発見した功績で2008年にノーベル化学賞を受賞した。

下村博士は、オワンクラゲからGFPを最初に単離するとともに、紫外線を当てるとこのタンパク質が緑色に光ることを発見した。

蛍光タンパクは、これまで目に見えなかった生物の現象を目に見えるようにし、生物学に革命的変化をもたらした。
即ち、蛍光タンパクは腫瘍細胞の動き、浸潤、転移や血管新生などのような生きた動物の体内での癌の重要な側面を目で見ることを可能にした。

2023年のノーベル化学賞の受賞者に、「量子ドット」と呼ばれる、1ミリの100万分の1という「ナノ」サイズの極めて微細な結晶を発見するなどして、「ナノテクノロジー」の発展につながる基礎を築いたアメリカの大学の研究者など3人が選ばれた。

「量子ドット」を使った技術はさらに、今まで目に見えなかった生物の現象を目に見えるようにしてくれるものと思われる。

画像診断技術と組み合わせて検査し、すい臓がんも治る病気になるのかなあ。