パーフィットの分離脳:脳を半分に分けたらどっちが本当の自分?(知的な小話61)
2019年5月10日 読むと賢くなるブログ
テクノロジーが発展し、完全な脳移植とクローンの技術が確立したとします。
そこで、あなたの脳を取り出して、2つに切り分け、それぞれをクローンの体に移植します。
2人のクローンが目覚めると2人ともがあなたの記憶を持っており、あなたの本来とるべき行動をとりました。
どちらが本当のあなたなのでしょうか?
https://tk252525.work/split-brain/
『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』
ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行
第1章 心を解き明かす より
分離脳のパラドックス
企業の階層構造にもとづく見方と脳の実際の構造とが異なるひとつの点は、分離脳の患者にかんする興味深い事例に見ることができる。脳が持つ変わった特徴のひとつは、左と右でふたつ、ほとんど同じ半分のもの――半球――があることだ。科学者は長いこと、脳は片方の半球をまるごと取り除いても機能するので、なぜそんな不必要な重複性を備えているのだろうかと不思議に思っていた。ふたつの企業の階層構造には、このような奇妙な特徴はない。また、もしもそれぞれの半球に意識があるとしたら、われわれはひとつの頭蓋のなかにふたつの意識の中枢を持っていることになるのだろうか?
カリフォルニア州工科大学のロジャー・W・スペリー博士は、ふたつの脳半球がそっくり同じコピーではなく、実は別々の仕事をしていることを明らかにした功績で、1981年にノーベル賞を受賞した。その成果は、神経科学の分野にセンセーションを巻き起こした(と同時に、左脳・右脳の2分法を人生に宛てはめて語るうさん臭い自己啓発書のささやかなブームも生み出した)。
スペリーは、癇癪患者の治療をおこなっていた。癇癪患者は時として大発作を起こし、それは左右の半球間におけるフィードバックループの暴走が原因であることが多い。マイクがフィードバックループによって耳をつんざくばかりのハウリングを起こすような、こうした発作は、命にかかわることもある。そこでスペリーは、ふたつの脳半球をつなぐ脳梁(のうりょう)の切断を試みた。これにより、両半径はもはややりとりができなくなり、身体の右側と左側の情報を共有できなくなった。これでたいていフィードバックループが停止し発作が治まった。
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リタ・カーターは書いている。「これが意味する可能性には度肝を抜かれる。われわれは皆、頭蓋のなかに、自分だと思っている日ごろの存在とはまるで違う人格や望みや自己認識を持つ、物言わぬ囚人を抱えているかもしれないのだ」
もしかしたら、「あいつのなかには、自由になりたがっている奴がひそんでいる」というよく聞く言葉に真実があるのかもしれない。つまり、ふたつの脳半球が別々の考えを抱くこともありうるというわけだ。じっさい、脳神経学者のV・S・ラマチャンドランは、神を信じるかと訊かれると自分は無神論者だと答えるが、右脳は神を信じると表明するような、ひとりの分離脳患者について紹介している。どうやら、ひとつの脳にふたつの正反対の宗教的観念が共存することは可能らしい。
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じじぃの日記。
ミチオ・カク著『フューチャー・オブ・マインド』という本に、「分離脳のパラドックス」があった。
「科学者は長いこと、脳は片方の半球をまるごと取り除いても機能するので、なぜそんな不必要な重複性を備えているのだろうかと不思議に思っていた。ふたつの企業の階層構造には、このような奇妙な特徴はない。また、もしもそれぞれの半球に意識があるとしたら、われわれはひとつの頭蓋のなかにふたつの意識の中枢を持っていることになるのだろうか?」
右脳と左脳では、その役割分担が違うことが明らかとなった。
ちなみに言語野は、右利きの人の多くは左脳にあるとされているが、左利きの人の一部では右脳にあるともいわれている。
左脳は、言語や計算などの論理的な部分を担当しているといわれ、右脳は、認知や創造などに関与しているとされている。