じじぃの「死ぬということ・第12章・理想的な死に方!死の雑学」

晩年の手塚治虫


手塚治虫さんの最期の言葉は「頼むから仕事をさせてくれ」だった

2022年02月09日 HUFFPOST
鉄腕アトム』『火の鳥』『ブラック・ジャック』など数々の名作を残した手塚さんは1989年2月9日午前10時50分、東京都千代田区半蔵門病院で死去しました。60歳。死因は胃がん、前年11月から入院していました。
著書『手塚治虫 壁を超える言葉』(かんき出版)では、亡くなる間際の手塚さんの様子が以下のように描写されています。

「隣へ行って仕事をする。仕事をさせてくれ。『頼むから仕事をさせてくれ』これが私の聞いた、手塚の最後の言葉です。一緒にいた悦子夫人は、自宅にいるものだと思って隣の部屋へ行こうとしていた、とおっしゃいます。悦子夫人が寝かせようとしても、必死になって起き上がろうとしていました」
https://www.huffingtonpost.jp/entry/tezuka-osamu_jp_62030e84e4b08357089924ec

読書メーター 死ぬということ-医学的に、実務的に、文学的に (中公新書 2819)

●感想・レビュー
中公新書らしからぬ、何とも掴みどころのない一冊。著者は医学者で日本癌学会会長や岐阜大学学長を歴任された重鎮。
病気、老衰、安楽死、延命治療、遺品など、医学的な視点を中心に死に関する話題が次から次へと語られる。300ページの中に「死」という単語が791回登場というから、正に、死のオンパレード。図表やデータ、短歌・詩などを引用しての語り口は軽妙で痛快。「ピンピン生きて、コロリと死なず、ごろりと死ぬ」のが理想の死に方だとか。ただ、「宗教と哲学に触れないで死を描く」という本書の方針には、やはり限界があったのでは…。
https://bookmeter.com/books/22061042

中公新書 死ぬということ――医学的に、実務的に、文学的に

黒木登志夫【著】
【目次】
はじめに
第1章 人はみな、老いて死んでいく
第2章 世界最長寿国、日本
第3章 ピンピンと長生きする
第4章 半数以上の人が罹るがん
第5章 突然死が恐ろしい循環器疾患
第6章 合併症が怖い糖尿病
第7章 受け入れざるを得ない認知症
第8章 老衰死、自然な死
第9章 在宅死、孤独死安楽死
第10章 最期の日々
第11章 遺された人、残された物

第12章 理想的な死に方

終章 人はなぜ死ぬのか――寿命死と病死

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『死ぬということ――医学的に、実務的に、文学的に』

黒木登志夫/著 中央公論新社 2024年発行

「死ぬということ」は、いくら考えても分からない。自分がいなくなるということが分からないのだ。生死という大テーマを哲学や宗教の立場から解説した本は多いが、本書は医学者が記した、初めての医学的生死論である。といっても、内容は分かりやすい。事実に基づきつつ、数多くの短歌や映画を紹介しながら、ユーモアを交えてやさしく語る。加えて、介護施設や遺品整理など、実務的な情報も豊富な、必読の書である。

第12章 理想的な死に方 より

3 理想的な死に方

理想的な死に方はどんな死に方だろうか。死んだ人に聞くわけにも行かないので、代わって次の7つの条件をまとめてみた。

 (1)「ピンピン」と生きる。
 (2)「コロリ」と死なない
 (3)「ごろり」と死ぬ。
 (4)病気をよく理解する
 (5)ルビング・ウィルを決めておく。
 (6)遺る人に迷惑をかけないで死ぬ。
 (7)苦しむなく、平穏に死ぬ。

(1)「ピンピン」と生きる
「理想的な死」は「ピンピン」と生きることが大事だ。そのためには、よい生活習慣を心がけねばならない。タバコを吸わない、バランスのとれた食事をする酒は適量、運動をする等の簡単な生活習慣を守る。それでも、病気になるだろう。ほとんどの病気は、最初はこれという症状もなく忍び寄ってくる。健康と思っていても、年に1回は健康診断をうkることによって、病気を早期に見つけて治すようにしよう。われわれは、世界の最長寿国、そして健康寿命の1番長い国で生活しているのだ。その名に恥じぬよう、80歳半ばまで「ピンピン」と元気に生き、そして寿命の限界に近づいたら、死を受け入れ、平穏に死にたいものである。

(2)「コロリ」と死なない
「死にたい病気」のアンケートで、世の中には、「ピンピンコロリ」が理想的な死に方という考えの人が多い。40歳から79歳までの男女800人にどんな病気で死にたいかを聞いた第一生命経済研究所の調査によると、驚いたことに、65%の人が「心筋梗塞などで、ある日突然死にたい」と答えたというのだ。心筋梗塞がこんなに人気があるとは知らなかった(2003年調査)。

確かに心筋梗塞になると半分はその場で死んでしまう。しかし、あなたには、いつ突然死んでもよいだけの心の準備ができているのだろうか。家族も、友人も、あなたがいつ突然死んでもよいと願っているはずがない。だいたい心筋梗塞なら楽に死ねると思うのが間違いである。強烈な胸痛が襲ってくるのだ。

「コロリ」と死にたいという人は、「長患いをして家族に迷惑をかけたくない」「苦しみたくない」「寝たきりで生きてもしかたがない」というのが主な理由であろう。それは、昔からある「ぽっくり信仰」と同じである。しかし、「コロリ」と死んだら、周りは大変である。家族にもトラウマを残す。「死ぬということ」は人生の一大事であり、一大事業なのだ。それを突然終わらせるわけにはいかない。責任を果たしてから死んでほしい。

「ピンピンコロリ」が許されるとすれば、十分に歳をとり、誰も「まだ若いのに」とか「早すぎる」とか言わなくなった歳になってからのことである。(たとえば、私)。85歳を超えていれば、「ピンピンコロリ」は悪くないであろう。本人も周りの人も、口に出さなくても。覚悟ができているはずだ。それでも条件はある。遺された人に迷惑をかけないよう、遺言など、死後の準備をしっかり整えてあることだ。

(3)「ごろり」と死ぬ
「死にたい病気」のアンケートで、3分の2は心筋梗塞などによる突然死を選んだが、残りの3分の1は、「病気などで多少寝込んでもいいから、少しずつ死に向かっていく」を選んでいる。「ゆっくり死」を選んだ人たちは、その理由として「死ぬ心づもりをしたい」「家族に迷惑をかけたくない」「少しでも長生きしたい」を選んでいる。

私は「ゆっくり死」の方が、「コロリ」よりも、本人とっても、周りの人にとっても「やさしい」死に方だと思っている。人生を終わるときには、それなりの時間をかけて自分の人生を振り返り、愛する人たちに感謝し、友人たちにお礼を言い、身近を整理して死ぬ。「ごろり」として過ごす最後の時間んがあなたの人生を豊かにしてくれるだろう。

私は、これを「ピンピンコロリ」の向こうをはって、「ピンピンごろり」と呼ぶことにした。