じじぃの「カオス・地球_310_白人がマイノリティになる日・第12章・未来のシナリオ」

米首都のモルモン教神殿、半世紀ぶりに一般公開(2022年4月撮影)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=SBw0iiNGDVQ


モルモン教 (アメリカ生活・e-ニュース第15号)

モルモン教末日聖徒イエスキリスト教会)は、1827年、当時18歳のヴァージニア州の少年ジョセフ・スミス・ジュニアが、旧約、新約に続く、アメリカを舞台にした第3の聖書「モルモン書」を近所の丘で掘り出した事件から始まります。
信者はキリスト教信者の迫害を避け、ソルトレーク冬季五輪で有名なユタに集団移住しますが、1890年に神のお告げで一夫多妻制を廃止するまでユタ州は合衆国に編入を認められませんでした。今でも70%の州民はモルモン教徒です。優秀なビジネスマンも多く私も一緒に仕事をしましたが、モルモン教徒は、飲酒、喫煙ばかりかコーヒーやお茶などカフェイン飲料を禁じているので、お付き合いしているうちにすぐ分かります。信者の若者には世界各地への布教活動を勧めているので、日本語を覚えて日本でタレントになった人も大勢います。

アーミッシュは、中世風の地味な衣服を着て外出も馬車でお出かけという時代錯誤の生活をしています。
スイスで生まれた元祖バプティスト(=形だけの幼児洗礼を否定し自分の意思で再洗礼を受ける)の流れを汲むドイツ系の子孫で、ペンシルバニアオハイオに多く住んでいます。謙虚と平穏が美徳で、家でお祈りをするので教会はありません。電気など文明の利器を使わないのは、楽をして、村人が勤労により支え合う理想郷が失われないよう警戒してのことだとか...。ひっそりと暮らしているのですが、好奇心旺盛な観光客の餌食にされている村落もあるようです。
http://www.jlifeus.com/e-news/015/mormon.htm

WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換
第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来

第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?

第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか? より

未来のシナリオ

非混血前の白人は、変化に取り残された田舎か東欧や、いくつかの緊密に結びついた離散ユダヤ人の間では生き残るかもしれない。だが、それが西洋の白人マジョリティ社会の結末なのだろうか? もちろん、未来のことはわからないと言われるだろう。それでも、社会科学で最も確実と思われる予測では、西洋では白人は減少するだけだという。だが、そうとは限らない。なぜその未来が不確実なのか理解するために、まずは蓋然性の低いシナリオを見て、それから実現可能性の高いシナリオを検証していこう。
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西洋の宗教離れの進行とともに、宗教復興はマジョリティの民族意識エスニシティ)にとって重要な意味ををもたなくなっている。というよりも、西洋が世俗化し、キリスト教以外の宗教マイノリティが信心深さを保っているため、問題となるのは、ポスト・キリスト教社会の世俗主義からその人々が際立っていることである。この場合、同化の手段は世俗化であり、これは非キリスト教のグループではその進行は遅いが、将来的にはその速度を増すだろう。世俗主義の時代においてマジョリティの民族意識の有無となるものは人種である。
2200年の欧州の姿を想像しようとするのなら、この主張は私たちの物語にとって重要なものになる。そこでは、混血の白人が優勢なグループとなっていて、博物館に並んだり映画のスクリーンで演じられている白人の原型は、依然として文化的な基準点となっているだろう。ウルトラナショナリスト[自国の発展を志向するナショナリズムが極端な形にまで推し進められた反動的国家・政治思想]の小集団は、かつて入れ墨をした部族のように、自らを四六しようとするのだろうか? そうでないにしても、明日の混血の親たち、特に女の子の親は、より白い肌を得るために胚を選別したり、胎児の遺伝子操作をおこなうのだろうか? これらの行為の累積的影響は、数世代で急速に社会の人種構成を変えうるのだろうか? 白人化は、非白人の存続を脅かすのだろうか?
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白人原理主義

2200年の西洋の混血の白人が、仮想現実や遺伝子工学を利用する可能性は低いだろう。
ではそれは、少数の特別な地域のみ、あるいはまったくの遺伝子の偶然でしか非混血の白人は生き残らないということだろうか? 必ずしもそうではない。拙著『信仰心の篤い人々が地球を受け継ぐのだろうか』で私が主張したのは、現代社会を拒否し、高い出生率で増加し。子孫を維持する宗教原理主義者たちの方法が、偶然にも、リベラルな社会で生き残るための最も着実な成功モデルであったということである。

彼らが寛大に扱われる限り、超正統派のユダヤ人、アーミッシュ、フッター派、伝統的メノナイト[質素な生活を送り、平和と非暴力を信条とする再洗礼派(アナパブテスト)の教会員]、レシターディウス・ルーテル派、正統主義のカルヴァン主義者、新カルヴァン主義のクイヴァーフル運動家、モルモン教徒などのグループは急激に拡大していくだろう。世界の人口の圧倒的多数を占めている、世俗もしくは中程度の進行をもつ人々は、少子化と人口減少の方向に向かっている。現在、移民は西洋の人口不足を補っているが、このペースが落ちれば、閉鎖的な原理主義者の出生率の優位性が決定的なものとなるだろう。

これらの産児増加提唱派の教派を動機づけているのは宗教だが、これの教派の信者はたまたま全員白人である。そのため、これらの教派は特定の時代や場所から運ばれた遺伝子の「タイムカプセル」だと言える。アーミッシュ、フッター派、伝統的メノナイトはドイツ系のグループで、その人数は近年数百人となっている。超正統派のユダヤ人は、主に東欧のアシュケナジムである。モルモン教徒はほとんどが英国系で、アメリカのアイルランド移民到来前のニューイングランドの民族分布を繁栄し、信者には英国系とスウェーデン系の改宗者の混血がいる。モルモン教の中心地のユタ州が、アメリカで最も民俗的にイングランド系の多い州であるのは不思議なことではない。クイヴァーフル運動は、新カルヴァン主義のために、避妊をせず、200年後にはその人口でアメリカを再び征服することを目指しているが、おそらく、これはアメリカのバイブルベルトにおいて、イングランド人、スコッツ・アイリッシュ、またはドイツ人の祖先をもつ白人が大多数を占めているためだろう。
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西洋で原理主義者の人口増加を最初に経験した国はイスラエルである。現在、超正統派はエルサレムを心配している。大きな変化がなければ、彼らの支配は今世紀末までに全イスラエルに及ぶだろう。大量の原理主義者の波は、2100年の終わりまでにはアメリカ中に拡がることになる。それが起これば、民族性や人種などという問題は消えていき、あらゆる背景をもつ世俗と穏健派の人々が結束し、原理主義的教派に反対するだろう。これは、イスラエルで「シヌイ」「イスラエル我が家」などの反ハレーディーム政党が目覚ましい成果を上げたことを見れば明らかであり、特にアラブ・ユダヤ間の紛争が鎮まっている期間には顕著である。