じじぃの「カオス・地球_307_白人がマイノリティになる日・第9章・住み分け」

London - population characteristics

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=E59yUaQnEPI

London Minority growth in ward 2001-11


White Flight in England? White attraction rather than repulsion seems to be the story

December 17th, 2013 British Politics and Policy at LSE
https://blogs.lse.ac.uk/politicsandpolicy/white-flight-in-england/

WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換
第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡

第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却

■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来
第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却 より

これまで、民族変化に対する白人の抵抗について論じてきたが、同時に、彼らはリベラルの規範の遵守のために不安を抑圧するという、正反対の反応も強いられてきた。しかし、白人マジョリティには他の選択肢もある。「闘争か逃走か」とは、脅威に対する動物の反応を述べるときに言われることだが、人間もこれに変わりはない。つまり、私たちもしばしば困難から逃げたりこれを避けたりしているのである。本章では、逃亡という反応、つまり、白人が、自分たちが優勢な地域や、あるいは白人の非常に多い社会的ネットワークのなかに逃げることについて考察していきたい。

人々は、社会的特徴に基づいて群れる傾向があり、そのため、選択肢が多くなればなるほど、住み分けは進んでいく。英国のある研究によると、公営住宅の居住者が住む場所の選択を許されると、民族的な住み分けが強まる傾向がある。対照的に、シンガポールでは住民の大部分は公営住宅に住み、住む場所は公的機関によって割り当てられている。エスニック集団がかたまって住まないよう政府が策を講じ、住み分けが起こらないように設計しているのである。これをよいことだと考える人もいるが、選択の自由がないおkとは別としても、マイノリティの健康と幸福は、自分と同じ民族が密集して暮らす地域で同胞による支援ネットワークに頼れる時に向上することが多いため、その利点が得られないという欠点もある。人の住む場所の構成には経済的要因も重要である。マイノリティ集団の多くは白人より貧しく、そのため、住む場所も貧困地域であることが多い。したがって、欧州やアメリカの大部分のように民族(エスニシティ)と所得がかなり重なり合っている場合、所得層の混合する混合住宅団地化によって統合が促進される可能性がある。混合住宅団地化とともに公営住宅の質のよさを維持しているドイツなどの欧州本土の国々では、ある程度住み分けを緩和することができている。

一方、特に欧州などの欧米の都市部には、多くの白人貧困層が暮らしている。白人貧困層とマイノリティは同じように経済の影響を受ける存在かもしれないが、どの貧困地域に住むかについてはまだ選択の余地がある。社会階層の対極にある裕福なマイノリティが、よりよい家に引っ越す場合には、もはや白人のみが居住する地域を選択する必要はなく、多様性に富む通流階級の住宅地を選択することができる。カナダの都市部には大勢のマイノリティの中流階級を暮らし、またアメリカや英国でも著しく増えている。さらに、バンクーバーの都市リッチモンドやロンドンのハーロウ地区、カリフォルニア州の都市クパチーノのような裕福な「他民族居住郊外都市(エスバーブ)」が増加傾向にあり、上昇志向の強いマイノリティたちが移り住んできているが、一方で、白人中流階級家庭は次第にこのような地域から離れていく。これは、マイノリティの経済的向上が必ずしも統合につながるものではないことを意味している。混合住宅団地の規模によっては、結局、その地域に住む同じ民俗的背景をもつ富裕層と貧困層が混合するだけになる可能性もある。