じじぃの「人の生きざま_740_キム・ピーク(サヴァン症候群・レインマンのモデル)」

Kim Peek - The Real Rain Man [1/5] 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=k2T45r5G3kA
Top 10 SAVANTS With Real Super Powers 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=WZsJ6BtOh60
キム・ピーク

キム・ピークの脳は成長した?! 2013/11/28 Yahoo!ブログ
今回は、サヴァン症候群の中でも極めて高い能力の持ち主であるキム・ピークについてです。
彼は、1951年11月11日アメリカ合衆国ユタ州ソルトレイクシティ―で生まれました。先天性脳障害を発症していたと考えられていますが、特に小脳に問題があったようです。また、左右の大脳半球を繋いでいる脳梁は欠損していました。2009年12月19日心臓発作を起こしてこの世を去りました。享年58歳でした。
https://blogs.yahoo.co.jp/brain_minds/31326645.html
『にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語』 サム・キーン/著、大田直子/訳 朝日新聞出版 2013年発行
人間の賢さとサルの知力を分けるものとは? (一部抜粋しています)
DNAのように小さく分解したものを研究することで、天賦の才のような言葉では言い表せないものを説明できることをもしあなたが疑っているなら、同じ思いの科学者は大勢いる。そして時おり、サヴァンキム・ピークのような例が出てくる。DNAと脳の構造が知性にどう影響するかについて、私たちの理解はあまりに見かけ倒しなので、とりわけ熱心な神経科学者でさえ、きついバーボンに慰めを求め、破産申請することについて真剣に考え始めるような事例である。
ソルト・レーク・シティ生まれのピークは、実はメガサヴァン、つまり正確にはサヴァン症候群の高性能バージョンである。ピークの場合、完璧な円を描くとか、神聖ローマ帝国をすべて順番に列挙するといったスキルに限定されることなく、地理、オペラ、アメリカ史、シェークスピアクラシック音楽、聖書など、基本的にすべて西洋文明について百科事典のような知識を持っていた。さらに圧倒的なのは、ピークは生後18ヵ月から記憶してきた9000冊の本のあらゆる文をグーグルのように引き出せることだ(1冊の本を覚え終ると、彼は自分がそれを片づけたことを示すために、背表紙を上下逆さまにして棚にもどした)。あなたの気休めになるかどうかわからないが、ピークは、アメリカのすべての郵便番号のような役に立たないくだらないこともたくさん知っていた。彼がきっかけとなって制作された映画『レインマン』も暗記していたし、モルモン教の理論についてもあきれるほど細かいことまで知っていた。
ピークの才能をなんとか測定しようとユタ州の医師たちは1988年に彼の脳をスキャンし始めた。2005年、理由はともあれNASAが首を突っ込み始め、ピークの頭脳配線系統を完璧なMRIと断層X線撮影法でスキャンしたところ、ピークには脳の右半球と左半球をつなぐ組織がないことが明らかになった(実際、ピークの父親の記録によると、ピークは幼いとき左目と右目を別々に動かすことができた。おそらく右脳半球と左脳半球がつながっていないからだろう)。大局的な考えに重点を置く左脳半球が、おびつな形になっていて、正常な脳よりもでこぼこで押しつぶされているようでもあった。しかしこのような枝葉末節以外、科学者にわかったことはほとんどなかった、結局NASAレベルの技術でも、ピークの脳の異常な特徴、つまり問題しか明らかにできなかった。なぜピークが自分の服のボタンをかけれなかったのか、何十年も父親の家に住んでいたのに、なぜナイフやフォークのしまってある場所を覚えられなかったか知りたくても、それっきりだ。彼の才能の基盤について、NASAは肩をすくめる。
しかし医師たちは、ピークが珍しい遺伝性疾患のFG症候群を患っていたことも知っていた。FG症候群では、たった1つの機能不全の遺伝子のせいで、ニューロンが正しく発達するために必要なDNAのスイッチが入らない(ニューロンよ、やつらは好みがうるさいんだ)。そしてたいていのサヴァンと同様、これらの問題の影響はピークの左脳に集まっていた。その理由はおそらく、全体像を重視する左脳半球のほうが子宮内で発達するのに時間がかかるからだろう。そのために、機能不全の遺伝子が損傷を与える時間がたくさんあるのだ。しかし意外なことに、通常は有意な左脳半球の損傷が、細部を意識する右脳の能力を引き出すことがある。本当のところ、芸術的な描写、完璧な音楽の再現、暦の計算の早業など、たいていのサヴァンの能力はすべて、脳のなかで損傷を受けにくい右半分に集まっている。したがって悲しいことに、このような抑制されている右脳の才能は、支配的な左脳半球が損傷を受けて初めて表に出るのだ。
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キュヴィエのサイズの脳を持っていたピークのIQは87だった。それほど低かったのは、彼が細かいことに喜びを見いだし、実体のない概念をあまり処理できなかったからかもしれない。たとえば、彼は一般的なことわざを理解できなかった。隠喩はとらえどころがない。また、ピークの父親があるときレストランで声を落とすように言うと、ピークは椅子をズルズルと滑り落ち、喉頭を地面に近づけた。