じじぃの「アルツハイマー治療薬・プラセボ投与・シンプソンのパラドックス!逆説の雑学」

【ゆっくり解説】事実のデータに騙される-シンプソンのパラドックス

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シンプソンのパラドックスとは? おもな事例とデータの読み間違いを防ぐ方法について

統計データを扱う際に注意するべき「シンプソンのパラドックス」について紹介します。シンプソンのパラドックスにより、同じデータでも分析の仕方によって異なる結論が導かれてしまう恐れも。本記事ではシンプソンのパラドックスの概要と、パラドックスを見抜いてデータの読み間違いを防ぐ方法について紹介します。

ある病気に対して、2つの治療法AとBが存在します。どちらの治療法の効果が高いか確認するため、男女それぞれ2000人ずつの被験者に試して効果を確認することにしました。その結果をまとめたのが次の表です。
https://x-tech.pasona.co.jp/media/detail.html?p=8170

アルツハイマー征服』

下山進/著 角川書店 2021年発行

第23章 中間解析 より

  治験の費用を節約するためにもうけられたのが「中間解析」という考え方だ。中途のデータで治験を続けるか否かを決める。アデュカヌマブの「中間解析」の結果がでるが……。

アルツハイマー治療薬の開発の成功率は、他の薬にくらべてそもそも低かった。
米国研究製薬工業協会が2015年7月にこんな報告書を発表している。
1998年から2014年の間に臨床治験を行ったアルツハイマー治療薬127のうち123が開発を注視した。承認取得にいたったのは、わずか4剤。その成功確率はわずか3.1パーセントだ。

大逆転

アデュカヌマブの「中間解析」は、2018年12月26日までに18ヵ月の治験の期間を終えた1748人のデータをもとに行われた。中止が発表されたのが、2019年3月21日だ。
インターネット上では、この中止の発表のあと、アル・サンドロックについて「ドラッグ・ハンターの伝説もついにお終いか」といった書き込みもみられた。
が、この12月26日から治験の中止は発表になる3月21日の間にも治験は行われていたのだ。そのデータ2066年の分は中止発表以降、バイオジェンに入ってくることになる。
失敗した治験についても、学会等で入ってきた全てのデータをもとに発表しなければならないので、バイオジェンのチームはデータの解析を続けていた。

するととんでもないどんでん返しがあったのである。
あとから入ってきたデータを全ていれて合計3285人のデータでもう一度計算をしなおすと、治験の大きなグループふたつのうちEMERGEでは治療上の目標を全て達している、という結果が出たのだった。
ENGAGEについても、あとから入ってきたデータを加え10ミリグラム以上投与のグループで計算してみるとやはり有意に結果が出ている。
これはどういうことだろうか?

6月には、FDAアメリカ食品医薬品局)との会合がバイオジェンとの間にもたされる。アル・サンドロックが主導した。
この結果を見せるとFDAは大変興味を示したという。

データが初めて意味をなした

2019年10月22日、両社(バイオジェンとエーザイ)は世界中をあっと言わせるプレスリリースを発表する。
<アデュカヌマブ 臨床第Ⅲ試験で得られた大規模データセットの新たな解析結果に基づき、アルツハイマー病を対象した新薬承認申請を予定>

一度は「中間解析」で中止になったはずのアデュカヌマブの復活は、様々なところで議論を巻き起こした。バイオジェン社のCEOのミシェル・ボナッソス自らがニュース番組に出演して、その意味について説明をしたりもした。
プレスリリースでは、2020年の早い時期にFDAに承認申請することをはっきりと書き、プラセボが投与された被験者には、アデュカヌマブを提供する予定があるともうたっていた。
エーザイの内藤晴夫(CEO)は、この発表ののち、審査に影響を与えるからと、アデュカヌマブに関する質問は、記者会見でも一切うけつけなくなった。
その後、2020年にはコロナ禍が発生するのどして、第一四半期の申請からは遅れたが、2020年7月8日、バイオジェン社はFDAにアデュカヌマブの承認申請をはたしたことを表明した。
FDAは60日間のレビュー・ピリオドを通じて、この申請を優先審査とするか通常審査とするかを決める。優先審査のプロセスにのるとすれば、2021年1月には、承認か否かについての結論がでる。通常のプロセスでも2021年5月には、その結果がでる。
このアデュカヌマブのフェーズ3の結果を発表するAAIC(Alzheimer's Association International Conference アルツハイマー病協会国際会議)のバイオジェンのプレゼンテーションでは、プラセボと10ミリグラム投与のグループの様々な認知機能検査の差異について何度も「奇跡的な違い」という言葉が使われ、その有効性が強調された。

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じじぃの日記。

下山進著『アルツハイマー征服』という本に、「中間解析」があった。

アルツハイマー病の新薬開発者である エーザイおよびバイオジェンは、2019年3月に、両方の臨床試験において有効性の証明がなかったとして一旦開発の中止を発表していた。
しかし、その後、研究中断後の症例追加が行われ、再解析された結果を踏まえてFDAに承認申請されるに至った。

アルツハイマー病は脳内にアミロイドベータと呼ばれる有害なたんぱく質が沈着するのが特徴で、米国内に約600万人の患者がいるとされる。

特に脳内のアミロイドβを除去することを目的としたレカネマブは、これら沈着物質の除去を目的とした薬剤の1つで、第3相試験ではプラセボ(偽薬)と比較して投与18ヵ月時点で27%の悪化抑制を示した。

レカネマブは米国で既に承認されている。年間費用が円換算で390万円程度に上ることから、国内での価格が注目を集めていた。
体重によって投与量が変わるため、価格は変わる。

実際の患者の負担額は数万円程度に抑えられる見込みだ。
薬価が高額になった際に患者の年齢や所得に応じて自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」が適用されるためだ。