じじぃの「歴史・思想_403_2050年 世界人口大減少・最強のアメリカ」

Shining City on a Hill?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ObqBtoz_fRA

Shining City on a Hill

A Shining City on a Hill

Nov 6, 2018 Chris Benson
I have quoted John Winthrop’s words more than once on the campaign trail this year - for I believe that Americans in 1980 are every bit as committed to that vision of a shining ‘city on a hill’, as were those long ago settlers …
These visitors to that city on the Potomac do not come as white or black, red or yellow; they are not Jews or Christians; conservatives or liberals; or Democrats or Republicans. They are Americans awed by what has gone before, proud of what for them is still… a shining city on a hill.
https://medium.com/@chrisbenson/a-shining-city-on-a-hill-e24078b37864

『2050年 世界人口大減少』

ダリル・ブリッカー、ジョン・イビットソン/著、河合雅司/解説、倉田幸信/訳 文藝春秋 2020年発行

アメリカの世界一は、今も昔も移民のおかげだ より

経済、文化、軍事でアメリカはまだまだ大国

アメリカはもはや世界の大国じゃない。落ち目の大国だ。アメリカのことなど気にしなくていい」――パキスタンの外交官は2016年のある国際会議でそう述べた。おそらく自分の発言が録音されていると知らなかったのだろう。彼の意見はぜんぜん少数派ではない。2008年の金融危機中国経済の台頭、ウラジミール・プーチン率いるロシアの復権イラクアフガニスタンリビアの泥沼――すべてが大国アメリカの衰えを示している。
国内を見れば、大都市では人種間の対立が深まり、アフリカ系アメリカ人と警察との間に戦争でも起きているかのようだ。インフラは老朽化し、学力テストの国際比較を行えばアメリカ人の学生は恥をかく。大統領選挙では驚くべきことにドナルド・トランプが勝利し、進歩的アメリカ人の多くは”トランプ大統領”という現実を受け入れるのを拒否している。これは政治の分極化のもたらす毒が、ついに共和制そのものさえ揺るがしかないレベルに達すたことを示す。先日、米国家情報会議(NIC)が次のように分析したのも不思議はない。「単極の時代は一瞬で終った。1945年から始まったパクス・アメリカーナ――超大国アメリカが国際政治を仕切って平和を維持する時代――は急速に終りつつある」。
おそらくそうなのだろう。しかし、そう述べた後にはたくさんの「とはいえ」を付け足す必要がある。中国の経済規模がどれほど大きいとはいえ、アメリカ人の収入は中国人の8倍であり、国際準備通貨としての米ドルの地位はまったく揺るぎない。中国は軍隊へ巨額の新規投資を行っているとはいえ、アメリカの防衛費は中国の3倍もあり、世界50ヵ国に800の軍事基地を置いている。世界の大学ランキング上位20校のうち10校がアメリカにある。世界の9大ハイテク企業のうち8社はアメリカに本社がある。
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アナリストのイーライ・ライトナーとト^マス・ライトは、ワシントンポスト紙上でこう述べている。「アメリカは、人口動態・地理的条件・高等教育・イノベーションの各面における強固な基盤が優れた連携をなす、という好条件に恵まれている。この好条件により、アメリカは国内でも世界の舞台でも成功できるだけの人材・アイデア・信頼を確保できている。いまでも世界中のエリートが、自分の財産だけでなくしばしば家族さえも、なんとかアメリカに送り込もうとするのには理由があるのだ」

白人がマイノリティになるアメリ

進歩主義者や民主党の政治家は、不法移民の罪を問わずになんとかアメリカ国籍を与える方法はないかと模索し、それが難しいならせめて不法入国時に子供だった移民だけでも救済できないかと道を探っているが、共和党の政治家や保守主義者は不法入国の罪を不問にすることに反対している。トランプ大統領はひとりでも多くの不法移民を国外追放したい考えだ。だがその戦いに勝ち目はない。今のペースだと2044年ごろにアメリカではコーカソイド(白人)がマイノリティになる。
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ここで注意書きをひとつ。「我々の社会は以前より多様性に満ちた社会になってきたが、それでも”脱・人種”社会ではない」と社会学者のリチャード・アルバは指摘する。奴隷制、人種分離、人種隔離などさまざまな形をとった人種差別の歴史は、過去のものとしてお気楽に片付けるにはまだあまりにも生々しいからだ。「しかし、将来の我々の姿をこうした(人種による)分類で理解しようとしても、せいぜいが乱暴な近似値にしかならない点は認める必要がある」。さらにアルバは続ける。「移民によって、また彼らが新しい形で社会に同化することによって変貌を遂げた我々の社会は、その進化がもたらした陰影に富む現実を的確に表現できる言葉をまだ生み出していない」
要するに、出生率低下が人種問題の解決にどれほど明るい兆しをもたらそうとも、労働力人口が、そして一国全体の人口が減少を始めれば、少子高齢化による別の根深い問題が起きるという事実は何1つ変わらない。アフリカ系アメリカ人出生率急減は、彼らの、とりわけ女性の経済状況と自律性が向上している証拠である。ラテン系アメリカ人の出生率低下は、移民先の国に合わせて移民の出生数も下がるという世界的傾向を示している。どちらのケースも人種間の調和という面では勇気づけられる話だが、同時に将来のアメリカの問題点も示している。すなわち、国内の出生だけでは人口を維持できなくなる未来が待っているということだ。アメリカが偉大なままでいたいなら、移民を受け入れ続けなければならない。そのためには、アメリカ人は彼らの「悪しき伝統」をもう一度克服しなければならない。

移民はアメリカの”隠れた武器”

アメリカは望むと望まざるとにかかわらず移民の国である。250年近いアメリカの歴史を振り返ると、いつもどこかに反移民感情があった。だが、反動が長時間にわたり猛威を振るうことはなかった。それもまた歴史の教訓だ。外国人・治安諸法からドナルド・トランプに至るまで、国粋主義や人種差別に基づく反移民の動きは常に全盛期を迎えるが、例外なくその勢いは衰える。それはアメリカにとっても有り難いことである。なぜなら移民はアメリカの”隠れた武器”なのだから。
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アメリカが今後も変わらずに移民を受け入れるならば、核武装した世界の3大超大国アメリカ、中国、ロシア)のうち、アメリカだけが今世紀いっぱい人口を増やし続けていける。増加率が変らないとしても、現在の3億4500万人とから2050年には3億8900万人へ、そして2100年には4億5000万人と、いまより1億人ほど着実に人口を増やし、その頃にはだいぶ人口減少の進んだ中国との差を縮めているだろう。いかなる地政学上の別要因をここに加味したところで、人口動態の面から言えばアメリカの優位は動かない。
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ほとんどの国で人口が減少するようになれば、いつか国同士や移民を奪い合うようになるかもしれない。そのような競争がいつ起きたとしても、アメリカは常に優位に立つであろう。ジーンズとTシャツからHBOに至るまで、アメリカ文化は世界の価値観を支配している。アメリカ経済は混沌としているかもしれないが、それでも世界中が投資先として選ぶほど活気に満ちた場所だ。アメリカ政治も、経済に負けないほど混沌としつつ活気に満ちている。起業家精神や創造性においても、アメリカは常に先頭を走っている。新たなチャンスとより良い暮らしを求める人々は、今後もずっとこの野性的で、ピカピカで、乱雑で、無計画で、知らないうちに素晴らしい結果を出すアメリカという<丘の上に輝く町>に群がり続けることだろう。

<丘の上に輝く町>が自ら門戸を閉ざさない限り、この地の繁栄が止まることはない。