じじぃの「科学・地球_448_世界100年カレンダー・米国・移民政策」

【トランプ前大統領】激戦州で演説…中間選挙「トランプ派」支持を呼びかけ

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=913wkY1vX0g


中間選挙と米国株

2022/06/28 東証マネ部!
中間選挙とは
現在、バイデン大統領が所属する民主党は上院100議席中50議席民主党会派に属する独立系議員2名を含む)、下院435議席中220議席と、上院は共和党と拮抗、下院は過半数218議席)を占めています。
上院では、法案の賛否が拮抗した場合に上院議長を務める副大統領(現在は民主党のハリス氏)が票を投じることとなっていますので、上院でも民主党は多数党の地位にあります。
https://money-bu-jpx.com/news/article038472/

『世界100年カレンダー 少子高齢化する地球でこれから起きること』

河合雅司/著 朝日新書 2021年発行

第7話 米国100年カレンダー より

白人がマイノリティー

米国は今後、移民の受け入れに対して、どのような道を選ぶつもりなのだろうか。その選択に大きな影響を及ぼしそうな、新たな変化が2020年の国勢調査に見つかる。
2020年の国勢調査で米国の白人人口が減少に転じることになったのだ。
国勢調査局によると1960年には総人口に占める白人の割合は約89%であったが、ブルッキングス研究所の試算では2010年の63.8%から59.7%に低下するという。
国勢調査で白人人口の減少が確認されるのは初めてである。
もちろん、白人人口が減少することと移民が増えたことに直接的な因果関係はない。だが、移民の受け入れ拡大が、総人口に占める白人のシェアの縮小を加速させるという意味では、関連付けて受け止める人が少なくないだろう。
同研究所の試算によれは、白人人口は2000年代に入って増加幅の縮小が鮮明になってきていたが、出生数の低下を背景とした少子高齢化に伴い、2016年から減り始め、年々、減少数を拡大している。2019~2020年は約48万人減少した。一方、ヒスパニック系やアジア系、アフリカ系といった非白人人口は、自然増加と移民の流入増加で増え続けている。合計特殊出生率は各人種とも下落傾向にあるが、ヒスパニック系など非白人は白人に比べて総じて高く、長期的に米国の人種別構成に変化をもたらす可能性が大きい。
特に、中南米からの移民とその子孫であるヒスパニック系やラテン系の人口増加が進んでおり2010年以降は毎年100万人前後の増加となっている。アジア系は2019~2020年に30万人、黒人は23万増えたとしている。
白人の人口減少を年齢で見ると、59歳以下の年齢層で顕著だが、とりわけ若い年齢層で著しい。米国国勢調査局によれば、2012年に白人に新生児が初めて過半数を割った。15歳以下の白人も2018年には49.9%に低下し、非白人が過半数を占めた。
ブルッキングス研究所は、2045年には全年齢でも白人人口は総人口の49.7%となると予測している。かねて、「いつかは、白人がマイノリティー(少数派)になる日が到来する」と言われてきたが、その転換点がいよいよ現実的なスケジュールとして認識できるようになってきたということである。

人口動態への抵抗

若年層ほど非白人の占める割合が大きいことで、各政党は若年層への浸透を図るために非白人の若者が抱える問題に、より積極的な姿勢が求められる。
バイデン政権が、インド系移民の母とジャマイカ出身の父を持つハリス副大統領をはじめ、閣僚や高官に非白人を多数任命したのも、こうした社会構造の変化にいち早く対応するための判断との見方がある。どの政治勢力も、旧来型の白人支持層依存からの早期脱却が求められることとなる。
2016年の大統領選挙の際には、「人口動態の変化を考えれば、遠くなく非白人の声を軽視できなくなる時代が来る。トランプ大統領を当選させたのは、それを認めたくない白人たちの最後の抵抗だ」という論評が数多く見られた。
だが一方で、先述の通り、トランプ氏を大統領に押し上げた人種差別的な大衆迎合主義が米社会に根深く浸透しているのも事実だ。しかも、共和党はいまだ「トランピズム」から脱しきれていない。
トランプ氏にいまだ期待する支持者からは、バイデン政権の不法移民への対応に批判の声が上がっている。
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引き続き移民制限が強化されれば、米国は長期的な衰退が避けられなくなるが、それ以前の問題として社会の分断が深刻化すれば、米経済は深く傷つき、政権は内向きにならざるを得ない。とても中国との競争に力を注ぐどころではなくなる。

内部対立という爆弾

もう1つ、2020年の国勢調査がもたらした変化がある。連邦議会下院の各州に対する議席数配分の見直しだ。これは大統領選挙の選挙人数の見直しにも反映される。
どう見直されるかと言えば、テキサス州が2議席上積みされるほか、コロラド、フロリダ、モンタナ、ノースカロライナオレゴンの各州が1議席増やされる。一方、カリフォルニア、イリノイ、ミシガン、ニューヨーク、オハイオペンシルベニアウェストバージニアの各州は1議席失う。
最多の人口を誇るカリフォルニア州議席を減らすのは、170年の歴史で初めてだ。
一方、ニューヨーク州では人口があと89人多ければ議席を維持できたという。このように悲喜こもごもの見直しであるが、これを政治勢力の視点で捉え直すと、議席増となる州は共和党に有利に働きそうだ。
下院は現在、民主党218議席過半数を確保しているとはいえ、共和党の差はわずか6議席と拮抗状況にある。すなわち、次期下院選挙で形勢が逆転する可能性が大きくなったということである。
南部と西部の州で議席が増えて、北東部と中西部で減るというのは長期的な傾向であり、今回もこの流れに沿って議席配分が見直されたことの意味は大きい。今後もこうした人口の流れが止まらないならば、共和党がどんどん有利になる。大統領選ですら、人口動態の変化によって大きな影響を受け得ることを示唆している。
もちろん、「共和党=移民制限の強化」「民主党=移民受け入れ容認」というほど単純な図式ではないが、「トランピズム」から脱却できないでいる共和党の候補者が大統領選挙で勝つ頻度が高まれば、移民の制限を巡る判断においても共和党色が強くなるのは自然な流れだろう。

移民の受け入れをめぐる政策のバランスが、かつてなく政治色を帯びるようになったいま、米国は内部対立という”大きな爆弾”を抱えながら、国家の命運を分かつ岐路に立たされている。