じじぃの「科学・芸術_477_おいしさの秘密・うま味」

Umami: le gout ultime - La Quotidienne la suite 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=HQ_HIA-orj4
 グルタミン酸ナトリウム

クローズアップ現代 「“UMAMI”が世界を制す!? 発見 驚きのパワー」 2013年2月28日 NHK
【キャスター】国谷裕子 【ゲスト】熊倉功夫静岡文化芸術大学学長・和食の世界遺産化プロジェクト座長)、二ノ宮裕三(九州大学大学院 歯学研究院教授)
この秋、「世界遺産」登録をめざす「和食」。その味の基本をなす「うま味」が、デンマークにある世界一のレストランを筆頭に、世界のトップシェフたちをとりこにしている。背景にあるのは、日本の料理人たちの危機感。和食文化の存続を危ぶみ、海外に活路を見いだそうと、海外の有名シェフたちに日本料理の味を教えたことがきっかけになった。今や味が不評だったイギリスの航空会社の機内食改革にも日本発の「うま味」が活用されている。この動きは医療現場にも広がり、高齢者に多い「ドライマウス」の治療や、がん治療の副作用で味覚異常になった患者の食生活改善に役立てる取り組みが始まっている。日本人の味のふるさと「うま味」のパワーに迫る。
現在では甘味、酸味、塩味、苦味、うま味 の5つが受容体を介して膜電位の活性化を引き起こしていると考えられており、生理学的にはこの5つが味覚であるといえるため、5基本味と位置づけられる。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3318.html
『「おいしさ」の科学 素材の秘密・味わいを生み出す技術』 佐藤成美/著 ブルーバックス 2018年発行
うま味とは より
2013年12月に「和食」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、和食の基本である「だし」や「うま味」が注目されています。だしは、「だし汁」の略称とされ、かつお節や昆布などの素材からうま味成分を抽出した液体のことをさします。日本人の「おいしい」の基本は、まさにこの「だし」にあるといっていいでしょう。そのおいしさは、どこからくるのでしょうか。
世界的和食ブームの中、うま味(umami)は、国際的に通用する言葉になっています。うま味とは、5つある基本味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)の1つです。1908年に東京帝国大学の池田菊苗博士が昆布のうま味成分がアミノ酸の一種であるグルタミン酸であることを発見し、それがうま味調味料として製品化されて以来、日本はうま味についての研究の先駆的な役割を果たしてきました。
1913年には、かつお節か抽出したイノシン酸が、また1957年には、シイタケから抽出したグアニル酸が、新たなうま味成分として発見されました。その後、日本の研究者が中心となって、うま味が従来の4つの基本味とは異なる5番目の基本味であることを立証し、1998年に「ニューヨークタイムズ」紙でumamiが5番目の基本味になったことが大きく報じられました。
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昆布にはグルタミン酸が100g当たり3g以上も含まれますが、グルタミン酸そのものは酸味と渋みが混ざったような味でおいしくはありません。食品のPHによって味が異なり、中性のPHで中和されたときが強いうま味を示します。グルタミン酸グルタミン酸塩という中性の状態で食品中に存在(図.画像参照)し、うま味が生じているのです。
昆布と並んで古くからだしとして使われてきたかつお節のうま味成分はイノシン酸、シイタケのうま味成分はグアニル酸です。これらは前述のように核酸系の化合物で、イノシン酸は動物性食品のうま味、グアニル酸はキノコ類のうま味成分として知られています。イノシン酸にはカルボキシル基が、グアニル酸にはリン酸基があり、グルタミン酸と同様、中性の条件では中和されて中性の塩になっています。この潮がうま味を示します。