じじぃの「人の死にざま_1186_田村・学造」

田村学造 - あのひと検索 SPYSEE
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米のとぎ汁を発酵させる方法 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=ElcGLPLcCqY
田村学造 【たむら-がくぞう】 コトバンク
1924−2002 昭和後期-平成時代の微生物学者。
大正13年8月20日生まれ。昭和44年東大教授となる。日本酒を腐敗させる菌の生育をたすける火落(ひおち)酸の分離に成功。また抗生物質ツニカマイシンを発見し,その作用機構を解明した。59年学士院恩賜賞。平成8年文化功労者。平成14年12月14日死去。78歳。愛知県出身。東京帝大卒。
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アスコフラノン ウィキペディアWikipedia)より
アスコフラノン(ascofuranone)は子嚢菌の一種のAscochyta viciaeが生産する抗生物質である。オルタナティブオキシダーゼを阻害し、アフリカ睡眠病やナガナ病を引き起こす寄生性原虫ブルーストリパノソーマに対する薬剤開発のリード化合物とされている。この化合物はin vitro培養細胞および感染マウスの両方で効果がある。
火落ち ウィキペディアWikipedia)より
火落ち(ひおち)とは、日本酒の製法用語の一つで、製造している日本酒が貯蔵中に白濁して腐造することをいう。火落ち菌(火落菌)によって引き起こされる。これを防ぐために火入れという工程が行なわれる。
【火落ち菌】
火落ち菌についての研究は、1906年東京帝国大学の高橋偵造によって開始され、ふつうの細菌用培地には育たないが日本酒を入れてやると生育する菌がいることを発見し真性火落菌と命名した。これは、日本酒の中だけに菌の生育に必須の成分が存在することを示していた。
その後、多くの微生物学者や醸造学者によって更なる研究がなされたがなかなか進捗を見ず、ようやく1956年になって、微生物定量法を採用した東京大学の田村学造によって、この成分がメバロン酸であることが発見された。日本では当初火落酸と命名されたが、後に改称された。

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『ビヨンド・エジソン 12人の博士が見つめる未来』 最相葉月/著 ポプラ社 2009年発行
日本生まれの薬でアフリカ睡眠病に挑む (一部抜粋しています)
神田お玉ヶ池に設立された江戸幕府の種痘所を起源とし、日本の医学研究を牽引してきた東京大学医学部は、2008年に創立150周年を迎えた。本郷校舎の赤門から直進した先にある庭園の正面に建つのが、医学部2号館本館である。大学院医学系研究科教授、北潔の研究室はこの3階にある。建物は伝統建築の重厚さをたたえているが、風通しのよい北の部屋には大学院生や留学生が自由に出入りし、穏やかに言葉を交わしている。
「この週末に必死でレポートを書いていて、昨晩も3時間ほどアリジェン製薬で打ち合わせしていたんです。患者さんになんとしても早く薬を届けたいものですから」
取材中にも電話やメールが次々と入る。北は、1951年生まれ、今年57歳になるが、研究室を軽やかに動き回るその姿から、北のプロジェクトが今まさに進行形であることがうかがわれた。
北が研究リーダーとなって日本のバイオベンチャー企業、アリジェン製薬と開発を進めている薬とは、アフリカ睡眠病の治療薬アスコフラノンである。
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アスコフラノンは、1972年に日本で発見された物質だ。発見者は、東大農学部農芸化学科教授の田村学造である。田村は、「酒は博士」として知られる発酵学の世界的権威、坂口謹一郎教授の助手として、戦後の東大農学部農芸化学科醗酵学教室を支えた、日本のバイオテクノロジー草創期の研究者の一人である。日本酒特有の「火落ち」という腐敗現象を引き起こす”火落酸”の発見で知られるが、60年代半ばごろからは新しい抗生物質を探しており、植物に病気を起こすカビの一種である糸状菌の菌糸からアスコクロリンという抗ウイルス活性を示す物質を見つけていた。アスコフラノンは、このアスコクロリンと化学所構造が若干異なり、抗がん作用を示す物質だった。
研究はその後、田村の弟子にあたる永井和夫・現中部大学教授に受け継がれ、永井の研究によって、アスコフラノンはがん細胞を攻撃するリンパ球の一種、マクロファージの呼吸に影響を与え、細胞の抗がん活性を高めることが明らかになった。ここでいう呼吸とは、私たちが行っている肺呼吸ではなく、細胞が糖類を分解して生命活動に必要なエネルギーを得る仕組みを意味する。
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日本で発見され、開発されたアスコフラノンがアフリカへ届けば、発展途上国へ向けた純国産の国際新薬第1号となる。それが、日本が世界に誇る発酵学の研究室で生まれた物質となれば、まさに、日本の研究者たちの祈りの結晶といえるだろう。途上国向け医薬品は価格が大きな課題となるが、採算はできるだけ家畜のナガナ病治療でとって、人間の治療用では利潤は追求せずに国際機関が実用化までもっていき、それを日本政府が政府間開発援助(ODA)で買い上げる図式が理想ではないかと、北は考えている。