CHANCE FAVORS THE PREPARED MIND
チャンスは周到な準備をした者だけにやってくる
Quotes about Prepared Mind
『ケミストリー世界史 その時、化学が時代を変えた!』
大宮理/著 PHP文庫 2022年発行
第15章 2つの世界大戦のあいだ より
第一次世界大戦は1918年に終わりましたが、人類が体験した新しい戦争でした。機械化された兵器が大量投入され、史上例を見ない殺戮が行われました。戦争が終わっても伊豆着いた軍人が街にあふれ、もう戦争はごめんだ、と多くの人が心に刻みました。この教訓から国際連盟が発足しました。
1928年 ペニシリンが人類を救う――抗生物質の発見は偶然から起こった
●平均寿命が伸びたのは抗生物質のおかげ
世界の平均寿命は、ざっくりとした推計値で11世紀ごろに24歳くらいだったのが、1900年では31歳、21世紀の現在では70歳くらいになっています。20世紀に入るまでの低い平均寿命の理由の1つとして、乳幼児の死亡率が高かったことがあげられます。
この20世紀の平均寿命の躍進には、ペニシリンなどの抗生物質といわれる医薬品が発明されて、さまざまな感染症を治療できるようになったことがあります。じつは、抗生物質の発見は偶然から起こったのです。
1928年、日本の関東軍が中国の軍閥、張作霖を爆破した直後のことです。ロンドンのセントメアリー病院で細菌学者をしていたアレクサンダー・フレミングは、たくさんのシャーレに黄色ブドウ球菌(風邪を引いたときに鼻汁が黄色くなる原因の菌の仲間です)を寒天の培地につけて培養していましたが、夏休み中、別の研究者に部屋を貸すことから、シャーレを日陰の隅っこに雑に放置しました。なかには蓋をするのを忘れたものもあったほどです。
長い夏休みを終えて、元の仕事にとりかかろうとしたとき、培地に青カビが発生しているシャーレを見つけました。青カビが入り込んでは、純粋培養は失敗です。薬液につけて消毒し、リセットのため消毒液につけようとしたその瞬間、フレミングはふと気になってシャーレをくわしく見て見ました。
なんと、青カビが繁殖しているまわりの培地のブドウ球菌は死んでしまい、培地が透明になっていたのです。
●青カビが生み出すペニシリン
この青カビが細菌の成長を邪魔する物質を出していることに気がついたフレミングは、青カビの特定と培養にとりかかりました。青カビは、彼の研究室の下の階のカビ研究者のところから、空気を伝わってシャーレに入り込んだのです。
この青カビはペニシリウムという種でした。ペニシリウムの語源はペンシルと同じで、ラテン語の「ペニス」(「小さい尻尾」という意味)から「ペニキッルス」(「画家の刷毛、ブラシ」という意味)となり、このカビが顕微鏡で発見されたとき、刷毛のように先端が枝状に割れていることから名づけられました。
フレミングは、この青カビが生産している未知の物質を「ペニシリン」を名づけて、青カビの培養液を濾過したものが細菌を殺すことを確認しました。しかし、論文を書いて発表しただけで、青カビが生み出す物質が何かを特定することまではしませんでした。
ペニシリンが医薬品として世に出るまでには、もう2人の研究者の功績があります。フレミングと2人の研究者は、1945年のノーベル生理学・医学賞を受賞することになります。
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
どうでもいい、じじぃの日記。
「なんと、青カビが繁殖しているまわりの培地のブドウ球菌は死んでしまい、培地が透明になっていたのです」
2002年にノーベル物理学賞を受賞した東京大学特別栄誉教授、小柴昌俊さん。
小柴さんのノーベル賞は、ニュートリノを実験装置「カミオカンデ」で観測することに成功した功績によるものだ。
小柴さんの言葉。
「運がいいなんてありえない。チャンスは周到な準備をした者だけにやってくる」
フレミングが発見した「ペニシリン」。
こっちのほうは、単なる運が良かっただけという感じがする。
偶然の発見にしては、ペニシリンの効果がすごいです。
●ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、髄膜炎菌、ジフテリア菌、炭疽菌、放線菌、破傷風菌、ガス壊疽菌群、回帰熱、鼠咬症、梅毒。