じじぃの「謎だらけのカビ・放射菌とは!ヒトはなぜ病むのか」

大村さん、英語で講演 満場の拍手に「ほっとした」(15/12/08) 動画 YouTubehttps://www.youtube.com/watch?v=nd8CqWUYXLw
放射菌

放線菌(放射菌) Weblio辞書
培地上や病巣部の細菌集落が放射状に広がることから放射状菌ともよばれた。細胞の形が分枝した糸状(菌糸)で多核の場合もあり、集落は一見かびに似ており、真菌と細菌の中間に位置するような微生物であるが、細胞の幅は約1μm(1mmの千分の1)で、その他の性質から細菌の1群とされ、放線菌目中の結核菌などが含まれるマイコバクテリア科を除く細菌を放線菌とよんでいる。広い分類ではノカルジアも放線菌に属している。S.A.ワクスマン(アメリカ)によって、抗生物質ストレプトマイシンが放線菌ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)から発見されて以来、土壌中の一微生物群である放線菌が注目されるようになった。
気菌糸をつくるものやつくらないもの、胞子を包む胞子嚢をもつもの、根粒中で窒素を固定するものなど多種類があり、ストレプトマイセス属以外に約30属が知られている。抗生物質を産生する放線菌の多くがストレプトマイセス属の放線菌である。家畜に放線菌症をおこすアクチノマイセスもある。放線菌の多くは土壌に生息し、一般にグラム陽性で、好気性または通性嫌気性である。放線菌に寄生するウイルスも知られ、アクチノファージ(actinophage)とよばれている。アクチノ・ファージは六角形の頭部に細長い尾部をもっている。アクチノ・ファージは近年、遺伝子の組替え技術でクローニングの媒介(ベクター)の一つとして研究されるようになった。

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『ヒトはなぜ病み、老いるのか―寿命の生物学』 若原正己/著 新日本出版社 2017年発行
抗生物質――カビが細菌に対抗する より
生物が侵入者に対して抵抗するシステムの2番目として、カビが作り出す抗生物質がある。
実はカビもバクテリアの感染に悩まされてきた。カビにはそれに対抗する免疫もないから、防御物質の一種としてバクテリアの増殖や繁殖を抑える物質を開発した。それがよく知られている抗生物質だ。
1番有名なのはペニシリンでアオカビから分離された。見つけたA・フレミングノーベル賞(1945年)だ。フレミングはブドウ状球菌の培養実験をしていたが、実験中に不注意でアオカビが混入してしまった。細胞培養や細菌培養はまわりの雑菌が入らないように無菌状態でやるが、ちょっとした不注意で雑菌が感染することがある。実験室ではよくある事故だったのだ。しかし、よく観察するとそのカビの周りにブドウ状球菌のコロニーが円形状に溶けていたのに気がついた。阻止円という。どうやらアオカビにはブドウ状球菌を殺す物質、もしくは増殖を抑える物質が入っているらしいことに気がついたのが始まりだ。結局、アオカビはバクテリア細胞壁の原料であるプロテオグリカン、ペプチドグリカンという物質の合成を阻害する物質を作り出していることがわかった。それがアオカビの学名ペニシリウム・ノターツムからとってペニシリンと名付けられた。
ストレプトマイシンは別のカビである放射菌という真菌からとられた。こちらはバクテリアのタンパク質合成阻害剤だ。ストレプトマイシンバクテリアのタンパク質合成を阻害するが、核細胞つまりヒトの細胞を含めて高等動物の細胞には無害なので有力な薬となったわけだ。結核によく効いて、結核の特効薬として用いられた。
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このように抗生物質というものは、ヒトが発見する前からカビが自分の生き残りをかけて一生懸命はたらいてきたわけだ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
カビが抗生物質を作り出している?
「このように抗生物質というものは、ヒトが発見する前からカビが自分の生き残りをかけて一生懸命はたらいてきたわけだ」
2015年、北里大学教授大村智さんがノーベル医学・生理学賞を受賞した。
1974年に静岡県伊東市にあるゴルフ場から採取した微生物から得られたのが、あのイベルメクチンのもととなる化学物質。新種の放射菌の一種が生産する物質を基に作られたエバーメクチンだ。
畜産業やヒトの皮膚病に有効なこの薬は、数億人の人びとの命を救い続けている。
放射菌は、抗生物質をはじめ多くの薬を生産してくれる細菌だ。
しかし、カビ(菌類)の中には私たちの皮膚や身体の中に住み着いて病気を起こす仲間もいる。
カビはまだまだ、謎に包まれているのです。