じじぃの「屈辱の夜・オバマに笑い物にされた!トランプ信者 潜入一年」

Watch Obama dig into Trump at the 2011 White House Corres...

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https://www.youtube.com/watch?v=HHckZCxdRkA

WWE 2K18 Hulk Hogan VS Donald Trump Requested 1 VS 1 Match

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https://www.youtube.com/watch?v=B0QHJH9vmgs

2011 White House correspondents’dinner


Obama pokes fun at Donald Trump

1 May 2011 BBC News
After weeks of attacks from his would-be Republican challenger Donald Trump, he joked about having to release his birth certificate to prove he was born in America.
https://www.bbc.com/news/av/world-us-canada-13252126

『トランプ信者 潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ』

横田増生/著 小学館 2022年発行

第7章 ウソと陰謀論の亡者を生んだ「屈辱の夜」 より

ドナルド・J・トランプは1946年6月14日、ニューヨーク郊外のクイーンズで、ドイツ系移民の3世として生まれる。5人兄弟姉妹の次男だった。
父親フレッドは、ブルックリンで中低所得者向けの住宅建設業を営む立志伝中の人で、病気がちな母親のメアリーは専業主婦だった。
トランプの祖父はドイツに生まれ、祖国の兵役を忌避するためアメリカに渡ってきた。その後、カナダに移り住み、飲食店や売春宿などを営んで財を成す。幼馴染と結婚してからニューヨークに移り住み、トランプの父フレッドが生まれる。
祖父は理髪店やホテルなどで働きながら、不動産を購入した。これが、後にトランプ家の家業となる不動産業の始まりとなる。しかし、スペイン風邪が猖獗(しょうけつ)を極めると、祖父はこの流行病にかかり急死する。

弱さこそが最大の罪

フレッドはその後、ブルックリンやクイーンズに、政府の補助金付きの集合住宅の建設を請け負い、中流家庭向けに貸し出し、家賃を集金したり、住宅を修理したりした。戦後、急増する市民の住宅の受け皿となり、事業は拡大した。
フレッドが子どもたちに教えた人生訓とは、人生とは戦いであり、必ず勝者と敗者が存在する。勝てないということは負けることであり、負けると、とことんやられる。負けることは、自分の存在が無になることだ。弱さこそが最大の罪である。だから、必ず勝者(killer)になれ、と教えた。
トランプは、地元の私立の小学校に通った。しかし、子どものころから手の付けられないいじめっ子だった。年少の生徒を罵倒したり揶揄(やゆ)したりするだけにとどまらず、暴力沙汰まで引き起こしたため、学校にとどまれなくなってしまった。
父フレッドは、トランプを、規律が最も厳しいニューヨーク・ミリタリー・アカデミーに送り込むことを決めた。家族の子どもたちはそのことを「矯正施設送り」と呼び、トランプ自身も、これが罰であることが分かっていた。
トランプが日本でいう中学と高校生活を過ごしたのは、全寮制の男子校で、陸軍士官学校を模して造られた。全員が兵舎で眠り、毎朝、夜明け前に起床ラッパで叩き起こされた。退役軍人が指導教官となり。体罰や罵倒は日常茶飯事で、上級生からのしごきもあった。
同校を卒業後、トランプはニューヨークのフォーダム大学に入学し、名門ペンシルベニア大学のウォーオン・ビジネス・スクールに移って卒業する。
大学を卒業すると、父親が経営する複数の企業を束ねる《トランプ・マネジメント》(後の《トランプ・オーガナイゼイション》)で役員として働き始める。ニューヨークのブルックリンとクイーンズ、ステタン島に自社が所有する1万4000戸超のアパートを管理した。

リアリティ番組出演

トランプが改革党からの出馬を諦めたころ、あるテレビディレクターが、トランプに目を留めていた。リアリティ番組『サバイバー』で数百万人の視聴者を獲得したディレクターが、都会を舞台にしたリアリティ番組を企画していた。
アリが蜜に集まるように、若者が群れ集い、都会で鎬(しのぎ)を削るような番組が作れないものか、と考えていた。
番組を牽引するような好感度が高い番組で、精神的にもタフで、視聴者の興味を惹きつけることができる人物として、トランプに白羽の矢を立てた。番組を放送するのは3大ネットワークの1つであるNBCだ。
『見習い生』では、16人の若者を2チームに分けて競い合わせる。敗北したチームからは、毎週1人か2人が、トランプから「お前はクビだ!(You're fired!)」と告げられ、番組から去って行く。最終的な勝者が手にするのは、トランプのもとで見習いとして1年間働く権利である。トランプの決め台詞となる「お前はクビだ!」は、トランプのアドリブから生まれた。

オバマの出世陰謀論

トランプは、国民の怒りがワシントンのエリート層に向けられていることを知り、人びとがオバマ社会主義者ではないか、イスラム教徒ではないかと疑い、さらにはアメリカで生まれていないのではないか、という疑問を抱いていることに気づいた。サラ・ペイリン(元アラスカ州知事)の先には大統領に当選する方程式があると見通していた。
テレビのリアリティ番組で場数を踏んできたトランプは、オバマが再選をかけた12年の選挙に打って出ようとした。選挙戦に斬り込むための切り札としたのが、オバマアメリカ以外で生まれているので大統領になる資格がない、という陰謀論だった。

オバマにおちょくられる

出生問題に片が付いた数日後、ホワイトハウス特派員協会が主催する晩餐会が、ワシントンのホテルで開かれた。百年近い伝統を持ち、報道関係者のみならず各界の著名人が正装で出席し、その模様はテレビでも生中継される華やかな催しだ。式典の目玉は現職大統領のスピーチで、時事ネタや毒舌、冗談を交えながら、聴衆を笑わせるのがお約束だ。
トランプはその年、ゲストの1人として晩餐会に招待されていた。トランプは黒のスーツと白のシャツ、黒の蝶ネクタイという姿で現れた。
この日のオバマのスピーチは、初めからトランプをおちょくるのが目的だった。
オープニングのビデオには、「私は本物のアメリカ人」というプロレスラーであるハルク・ホーガンの入場テーマ曲を使った。会場のスクリーンに映し出された星条旗を破って出てきたのは、オバマが公開した出生証明書だった。
その後も、アメリカの紋章である白頭鷲やラシュモア山に彫刻された4人の大統領の顔、カウボーイの後ろ姿やアンクル・サムなど、アメリカを連想させるイメージショットの間に、出生証明書を挟み込む。
    ・
オバマがトランプへの直接の口撃を始める。
ドナルド・トランプが今日、この場に来ています。最近、彼はいろいろと非難を浴びたようですが、この出生証明書が片付いたことを最も誇りに思っているのはドナルドなのです。というのも、これで、ようやく本当に大切なことに取り組めるからです。たとえば、月着陸はウソだったのか、というような問題です」
ここまで聴衆は大笑いしながら聞いている。口撃の矛先は、トランプの看板となったテレビ番組におよんだ。
「冗談はさておき、われわれは、これまでのドナルドの立派で幅広い経歴を知っています」
として、最新の『アプレンティス』の放送に触れた。
その回は、男性チームと女性チームが、ステーキハウスで即興の料理を提供した。だが、男性チームが敗北に終わる。その負けた原因を、男性の俳優のリーダーシップが欠けているとトランプが判断を下し、番組は大団円を迎える。
そこでオバマが真面目な顔で言う。
「こうしたことが心配になって、私は夜も眠れないのです。しかし、あなたの判断は間違っていませんでした」
聴衆が再度、爆笑した。
最後にもう一押し。
「もしトランプ氏が、ホワイトハウスの住人になれば、たしかに変化をもたらすでしょう」
そう言って、「トランプ・ホワイトハウス・ホテル・カジノ・ゴルフコース」と文字を入れたホワイトハウスのイラストを会場のスクリーンに映し出した。カジノで何度も破産しているトランプへの強烈な当てこすり。
トランプは満座の中で笑い物にされた。

じじぃの「科学・地球_358_気象の世界ハンドブック・人間による要因・海面の上昇」

The World's Cities After Global Sea-Level Rise

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=xE0KtLy5j8w

海面上昇とは?


海面上昇とは?海洋に与える影響や原因、対策について解説

2021年11月26日 海の豊かさを守ろう
●海面上昇の原因
海面上昇の原因は、水温が高くなることによって海水が膨張したり、山岳氷河や南極・グリーンランドなどの氷河や氷床が融けたことにより海水上昇したと考えられています。
陸上にある氷河や氷床が解けてしまった場合、陸上の氷が水へと変わり海へと流れ込むことによって、海面上昇へとつながるのです。氷河や氷床は、大陸や島などを覆うほどの大きさであるなど、様々であり、その大きさによっては深刻な影響を与えることになります。
また気温の上昇による水温は高くなることで、海水が膨張し体積が増加するため、海面上昇の要因の一つとなります。
そして近年の地球温暖化による気候変動などにより、海面上昇の進行は加速しているのが現状です。
https://gooddo.jp/magazine/sdgs_2030/life_below_water_sdgs/7489/

『地図とデータで見る気象の世界ハンドブック』

フランソワ=マリー・ブレオン, ジル・リュノー/著、鳥取絹子/訳 原書房 2019年発行

人間が気候を妨害するとき より

1979年、気候にかんする初の国際会議で開かれて以降、世界中の気候学者が地球の気候の安定のために動員されている。1990年と1995年、2001年、2007年、2014年までの5回、気候変動に関する政府間パネルIPCC)によって発表された気候の評価報告書作成には、国際的な科学者3000人近くが参加、つねにより正確に事実を確認している。気候システムへの人間の影響は明確だ。2021年に予定されている第6次評価報告者でも、それが再評価されるだけだろう。

いっぽう、1000年単位の気候のゆれや変動を口実に反論している気候温暖化の懐疑派は、その言説を引っこめるしかなさそうだ。IPCCの第5次評価報告者では、大洋や大気が受けとって保存したエネルギーの増加において、自然の要因がほとんどかかわっていないことが明らかになっている。現在の地球のエネルギー均衡の変化は、人的活動の結果であり、おもに、二酸化炭素を排出する化石エネルギーが原因なのである。

わたしたちの知的レベルはいま、その原因を特定し、解決法を策定するまでに達している。あとは知性と意志を結集し、状況からいって避けて通れない、環境を配慮したエネルギーの移行を働きかけるだけなのである。

海面の上昇

19世紀のなかば以降、海水面の平均水位の上昇ペースは、過去2000年に比べてあきらかに上まわっている。衛星で測定できるようになって(1992年)以降、海水面の水位は8センチ上昇。これは年平均3.4ミリのペースである。現在、専門家がおそれているのは、2050年には年平均50センチ、2100年には倍の1メートルも上昇することだ。その場合、浸食の加速と水没が現実味をおびてくるだろう。

海水面の水位が上昇する要因

水位が上昇するおもな要因は、熱膨張と、陸地の氷(氷河、極地の氷冠、氷床)の融解である。
氷河と氷冠。
混同を避けるために、海上を漂流する海氷である流氷が融解しても、海面の水位は変わらないことを確認しておこう。海氷は、海の水温がマイナス1.8℃以下になったとき、海表面に結晶が形成されて生じるもので、この結晶が厚くなって2、3メートルの層をつくるものだ。その面積が仮に数百万平方キロメートルになったとしても水深4000メートルまである北極海では、その厚さは比較的薄いといえる。
対して氷山は、陸地の氷の塊[北極地域では氷河]が離れて、海に「沈んだ」ものである。その容積の大きさ――ときに面積数百平方キロメートル、厚さ数百メートルに――から、極地の氷冠からの氷の流出が、確認されるように加速すると、海面の水位を上昇させることになる。北極の氷河の融解は、海面に淡水塊を増やすと同時に、熱塩循環も遅らせ、大西洋に向かう暖流の水塊にブレーキをかけることになる。
水の膨張。
大気の気温上昇は、氷を融解させるのにくわえ、海面に熱を伝播する。ところで、水温4℃以上では、水は温度の上昇とともに膨張する。この膨張はまず、大洋の上層部1000メートルで起こり、それが海水面の上昇のおもな原因になっている。

時代でみる海水面の上昇

専門家の算定によると、1901年から2015年のあいだに21センチ上昇していた海水面は、現在も上昇ペースをあげつづけている。ここ110年間の年平均の上昇は1.7ミリだったのに対し、1971-2015年期は2ミリ、1993-2017年期は3.4ミリと、さらにベースを上げているのである。これらの数字は、大洋の熱膨張と、気候変動によりグリーンランドや南極の氷河や氷床、陸地の保有水が融解したことなどの全体を説明される。気候変動に関する政府間パネルIPCC)が、太陽光線全体の測定値にもとづいて「高いレベルの信頼度をもって」断言するのは、現在の地球温暖化に太陽光線の変化は寄与していなかったということだ。したがって、氷河の大量の消滅や、大洋の熱膨張、海面上昇のは、確実に人間活動が気候にあたえた影響の範疇に入ることになる。

氷冠の変化のプロセスはいまだよく解明されていないにもかかわらず、最新の研究によると、2100年には海面上昇の平均が1メートルに達するとされている。

地球の歴史に見る先例。
現在進行中の現象を完全に認識するために、最後の間氷期のあいだ(12万9000年前から11万6000年前)、海水面の平均は現在より4から6メートル高かったことを復習しておこう。このときは、グリーンランドの氷冠がほぼ確実に海水面を平均1.4から4.3メートル上昇させ、南極の氷床もおそらく加担していたと思われる。この水位の違いは、太陽のまわりをまわる地球の軌道が、現在と微妙に違っていたことで生じたものだ。高緯度の地表の気温も、現在よりすくなくとも2℃高く、それが数千年にわたっての平均だった。

じじぃの「くたばれトランプ・献花・BLM暴動!トランプ信者 潜入一年」

the bouquets of flowers at Mr. Floyd’s memorial withered


Pie for Minneapolis: A Small But Mighty Thing to Do

June 5, 2020 The World Needs More Pie
the bouquets of flowers at Mr. Floyd’s memorial withered, the four officers handed down their prison sentences, Minneapolis will still get free pie.
https://theworldneedsmorepie.com/2020/06/pie-for-minneapolis-small-but-mighty.html

『トランプ信者 潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ』

横田増生/著 小学館 2022年発行

第5章 BLM暴動で闇に響いた銃声 より

ジョージ・フロイド事件

私がミネソタ州ミネアポリスに到着したのは、5月30日の土曜日のことだった。
黒人男性のジョージ・フロイドが、市内にある《カップ・フーズ》という食料品雑貨屋で偽札の20ドルを使おうとして、警察に通報されたのが25日。
現場に現れた白人警官のデレク・チョービン(44)が、手錠をかけられて身動きの取れないフロイドの首筋に膝を落とす。フロイドは、
「息ができない! (I can't breathe!)」
と何度も訴えるが、チョービンが9分以上、膝で気道を圧迫した結果、フロイドは命を落とす。
事件が起これば、警察が捜査をして容疑者を逮捕する。検察が起訴するか不起訴かを決め、裁判所が量刑を決める。仮に容疑者に極刑が宣告されれば、司法長官が指示し刑を執行する。
デレク・チョービンは、そうした過程をすべてすっ飛ばして、ジョージ・フロイドを殺した。そうした超法規的な手法は、1960年代まで続いた、白人による黒人への死刑(リンチ)を想起させる。ジャズシンガーのビリー・ホリディが歌った「奇妙な果実」の世界である。
チョービン以外にも3人の警官が現場にいた。周囲の目撃者が、その警官たちに、チョービンの行為を止めるようにと頼むが、誰も目の前の殺人を止めることができなかった。
現場近くに居合わせた地元の女子高生が、一部始終をスマートフォンで撮り、ソーシャルメディアに投稿。あまりに残酷な動画であったため瞬く間に拡散。動画に誘発され、抗議デモが全米のみならず、世界中を席巻する(彼女が撮った動画は21年、ピュリッツァー賞の特別賞を受賞した)。
    ・
私は当日の朝、カーナビに事件現場である《カップ・フーズ》の住所を打ち込んで出発した。
到着したのは午後6時だった。ジョージ・フロイドが殺された店の壁には、大きな似顔絵が描かれており、数多くの献花が並んでいた。
事件現場を歩いてすぐに気づいたのは、集まった人びとの人種の多様性だった。もちろん黒人が多いのだが、白人も数多くいた。アジア系アメリカ人のグループは、「アジア系がこの黒人の問題で沈黙すれば、アジア系が同意したのも同じだ。黒人たちのために立ち上がれ」と書いたプラカードを持っていた。
次に気づいたのはマスク着用率の高さだ。目測では半分以上の人がマスクを着けている。これら2つの点は、ほぼ白人だけで、マスクもしないトランプの支援者集会などとは真逆の位相にあった。

「くたばれドナルド・トランプ!」

事件現場に献花が並んでいる場所があり、そこに「くたばれトランプ 2020」というプラカードがあった。臨時の演説場からは、大音量でラップが流れてきた。参加者が踊る。サビになると全員が声を合わせて叫んだ。
「くたばれドナルド・トランプ! (Fuck Donald Trump!)」――と。
私と同年代の白人女性に話を聞かせてくれないか、とお願いすると、
「一緒にきた娘の話を聞いてくれない。彼女は少し戸惑っているみたいだから」と言う。事件現場から車で30分ほど離れた郊外に住むキャラ・ジョンソン(25)は、初めてこの黒人街に足を踏み入れた。
「人種の対立の現場を知りたいから、ここに足を運んだの。私が生まれ育った郊外は、周りの9割以上が白人で、治安もよく、人種間の緊張した関係を感じることなく今まで生きてきたわ。結婚した親戚を探しても、黒人は1人もいないわね。
 フロイド事件には本当に驚いたわ。動画も、最初はとても正視することができなかった。2、3分見るだけで、本当に、気分が悪くなったから。どうしたら、無抵抗の人間をあんな残酷なやり方で殺せるのかが分からなかった。その動画も、ここに来る前に、どうにか最後まで見たわ。まずは、事実を向き合うのが大切だと思ったから。
 事件現場に立つと、私たちじゃなく、白人が多くいることを知った。ここに集まっている白人は、この事件を黒人の問題としてではなく、社会の問題としてとらえ、共感を寄せているんだと思う」

――ここには反トランプの空気が充満しています。

「トランプがアメリカの大統領であるというのは、悪い冗談のようなものね。フロイド事件後も。抗議デモに理解を示すことなく、各州の知事に、抗議デモを抑え込むために軍隊を投入して街を制圧しろ、なんて言っているじゃない。とても正気の沙汰とは思えない。トランプには人の痛みを感じる能力が欠けているのよ。大統領選でトランプに投票することは、決してないわ」

じじぃの「科学・地球_357_気象の世界ハンドブック・人間による要因・気温の上昇」

Syukuro Manabe - 2015 Laureate of the Franklin Institute in Earth and Environmental Science

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2VCgLnU2-60

Three scientists have been awarded the 2021 Nobel Prize in Physics


Nobel in physics: Climate science breakthroughs earn prize

5 October 2021 BBC NEWS
●Three scientists have been awarded the 2021 Nobel Prize in Physics for their work to understand complex systems, such as the Earth's climate.
Syukuro Manabe, Klaus Hasselmann and Giorgio Parisi were announced as the winners at an event in Stockholm.
Research by Manabe and Hasselmann led to computer models of the Earth's climate that can predict the impact of global warming.
The winners will share the prize money of 10 million krona (£842,611).
It is incredibly difficult to predict the long-term behaviour of complex physical systems such as the climate. Computer models that anticipate how it will respond to rising greenhouse gas emissions have therefore been crucial for understanding global warming as a planetary emergency.
https://www.bbc.com/news/science-environment-58790160

16. How confident are scientists that Earth will warm further over the coming century?

Royal Society
https://royalsociety.org/topics-policy/projects/climate-change-evidence-causes/question-16/

『地図とデータで見る気象の世界ハンドブック』

フランソワ=マリー・ブレオン, ジル・リュノー/著、鳥取絹子/訳 原書房 2019年発行

人間が気候を妨害するとき より

1979年、気候にかんする初の国際会議で開かれて以降、世界中の気候学者が地球の気候の安定のために動員されている。1990年と1995年、2001年、2007年、2014年までの5回、気候変動に関する政府間パネルIPCC)によって発表された気候の評価報告書作成には、国際的な科学者3000人近くが参加、つねにより正確に事実を確認している。気候システムへの人間の影響は明確だ。2021年に予定されている第6次評価報告者でも、それが再評価されるだけだろう。

いっぽう、1000年単位の気候のゆれや変動を口実に反論している気候温暖化の懐疑派は、その言説を引っこめるしかなさそうだ。IPCCの第5次評価報告者では、大洋や大気が受けとって保存したエネルギーの増加において、自然の要因がほとんどかかわっていないことが明らかになっている。現在の地球のエネルギー均衡の変化は、人的活動の結果であり、おもに、二酸化炭素を排出する化石エネルギーが原因なのである。

わたしたちの知的レベルはいま、その原因を特定し、解決法を策定するまでに達している。あとは知性と意志を結集し、状況からいって避けて通れない、環境を配慮したエネルギーの移行を働きかけるだけなのである。

気温の上昇

地上の平均気温の変化は、この間の気候変化となってあらわれる。世界中に集められたデータのおかげで、この平均気温は19世紀なかばから上昇していることが確認されている。この温暖化において気候学者が特定したのは、いわゆる「温室効果」ガスが果たした役割だ。社会の産業化とともに放出量が増大したガスである。

明白な温暖化

ここに明白な数字がある。地上の平均気温は、1880-2917年のあいだに約1℃上昇し、この上昇のうち半分以上が1970年代以降である。また、危惧すべき確認事項としてあげられるのは、1850年以降においてどの30年間をとっても、先立つ30年に比べて平均気温が高くなっており、なかでもここ30年間がもっとも暑くなっていることである。同様の報告として、気温の低い(真)冬日と夜の平均数は減少し、逆に、気温の高い(真)夏日と夜の平均数は増加、ヨーロッパやアジア、オーストラリアを襲った熱波の回数も増えている。実際、1988年から2017年は、北半球がすくなくとも2000年前から体験したなかで、もっとも暑い30年となっている。
いっぽう、海と大洋は地球の表面の70パーセント近くを占めている。大気の気温上昇は、陸上のほうが海面上より高いのだが、それは海水がそれ以上に熱を吸収しているからである。もっとも注目すべき変化を確認できるのは、海水面と深度75メートルまでの上層部で、水温は1971-2010年のあいだに0.11℃高くなっている。この間に大洋は、地上に集積されたエネルギーの90パーセントを吸収したと算定される。

人的活動のフットプリント(足跡)

産業革命以前、気温の変化は自然要因(火山の爆発、太陽の変化など)によるものだった。ところが1850年以降、観察された変化は、人的活動を計算に入れないと説明できないものになっている。
2014年に発表された最新の第5次評価報告書で、気候変動に関する政府間パネルIPCC)が、「きわめて可能性が高い」――つまり95パーセント以上の確信――こととして認めているのは、20世紀なかば以降に記録された気温上昇は、人間が発する温室効果ガスの集積によるものだということだ。この確信は、2007年に発表されたその前の第4次評価報告書では90パーセントだった。

もしわたしたちが、このまま温室効果ガスの放出を増大させつづければ、2100年には平均気温の上昇は4.8℃に達するだろう。

じじぃの「新型コロナ・銃はアメリカの自由の象徴!トランプ信者 潜入一年」

Trump calls out NRA in meeting on gun control

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5A5-ikLYPzg

Trump calls out NRA in meeting on gun control


Donald Trump Rejects Calls For Stricter Gun Control After Texas Shooting

May 28, 2022 ndtv.com
Houston: Former US president Donald Trump rejected calls for tightened gun controls Friday following the Texas school massacre, saying decent Americans should be allowed the firearms they need to defend themselves against "evil."
https://www.ndtv.com/world-news/donald-trump-rejects-calls-for-stricter-gun-control-after-texas-shooting-3016646

『トランプ信者 潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ』

横田増生/著 小学館 2022年発行

第4章 新型コロナ VS トランプの泥仕合 より

迷走に次ぐ迷走

アメリカのコロナ対策は、ここまで迷走に次ぐ迷走を重ねてきた。その原因は、トランプにあった。
世界で最初の新型コロナの患者は、中国の武漢市で19年11月に現れた。当初、同市の海鮮市場で売られていた動物から人に感染したという説が有力だった(武漢ウイルス研究所から流出したという説もある)。症状は肺炎に似ており、高熱が出て、死に至ることがある。20年1月に入り、中国で最初の死者が出た。
その間、中国からの旅行者とともに、静かに、しかし着実にウイルスが世界中に広まってゆく。新型コロナウイルスアメリカに渡り、最初の感染者が出たのが1月下旬のこと。このワシントン州に住む30代の男性には、武漢への渡航歴があった。2月末日には、アメリカ初の死者が出た。
ウイルスが徐々にアメリカを浸食していく間、トランプは、新型コロナの危険性を打ち消すことに躍起になっていた。
トランプが公式な場で新型コロナに言及したのは1月22日が最初。前日、アメリカ国内で最初の感染者が出たことに関して、質問する記者に、
「完全にコントロールしている(totally under control)。中国から帰国してきた1人が罹患しただけだ。すぐに大丈夫になる」と答えている。

「漂白剤で病気を消滅させる」

トランプが突然、既存の抗マラリア薬であるヒドロキシクロロキンが、新型コロナにも効果があると言い出したのは3月中旬のこと。
きっかけは、ニューヨーク州の田舎街のかかりつけ医が、新型コロナに感染したと疑われる数百人患者に、ヒドロキシクロロキンとほか2種類の薬を混ぜて投薬したら、「100%の患者が完治した」と言い出したことだ。
    ・
トランプは、ツイッターに「ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンを合わせれば、医薬品の歴史上最大の画期的な革命を起こす可能性が十分ある」、「直ちに実用化されることを祈る。人々が死んでいる、急いで動け、そしてみんなに神のご加護があるように!」と投稿している。記者会見では、「この薬が、天からの贈り物になる。もしうまく行けば、ゲームチェンジャーになる」と語っている。
科学的裏づけはなかったが、トランプからせっつかれたFDAは当初、承認に向け動き始めた。しかし、二転三転した結果、6月に入り、ヒドロキシクロロキンが新型コロナの治療に効くという根拠はない、として、承認を撤回している。
トランプ派さらに4月下旬の記者会見で、塩素を含む消毒剤を体内に注射してはどうか。と言い出した。
「俺は、消毒剤が病原菌を1分で消滅させることを知っているんだ。これを体内に注射などすることで体内を浄化することを可能にする方法はあるんだろうか。試してみることは興味深いことだ」と記者会見で言った。
新型コロナに関して、トランプが放った最も愚かで危険な一言だっただろう。

銃はアメリカの自由の象徴

セミライフルを抱え、銃弾を差したテンガロンハットにサングラスといういかつい格好の男性を見つけた。身長は180センチを超え、私を見下ろすほどの、身長差がある。ミネソタ州も、また抜き身の銃器を持って歩くことが許されたオープンキャリーの州だ。
苗字は名乗らず、スティーブン(35)とだけ教えてくれた。職業は新築の家にカーペットを張る職人で、新型コロナによる影響は受けていないと言う。妻と10代の息子を連れてデモに参加していた。
自宅待機命令に反対することと銃を持ち歩くことに、どんな関係があるのか訊いてみた。
「獣を持つ権利は、憲法の修正第2条で認められている。と同時に、銃はアメリカの自由の象徴でもある。このデモも、州知事の横暴な命令からの自由を求めているんだから、その象徴である銃を持ってくることには意味があるわけさ」
――……。
「たとえば、あんたとオレとでは体格差があって、素手で戦えば、オレの方が有利だろう。けれど、あんたが銃を持っていれば、そういう体格差からも逃れられる。オレはこの権利を誰からも取り上げられたくないから、機会があるごとに抗して実弾が入った銃を持ち歩くんだ」

――トランプは17年、銃所持に関する権利の擁護団体である全米ライフル協会(NRA)の年次総会で、レーガン大統領以来、初めて演説した大統領として自分を売り込んでいます。

「その通りだ。トランプに任せていれば、憲法修正第2条は安心だな。これまでで一番、銃を持つ権利を理解してくれている大統領だ」

じじぃの「科学・地球_356_気象の世界ハンドブック・気候を妨害する自然要因」

エルニーニョ現象ラニーニャ現象 入試で問われるのは考える力

2018年7月31日 中学受験ナビ
エルニーニョ現象と日本への影響
エルニーニョ現象とは、南米のペルー沖の海水の温度が上昇する気象現象です。数年に1度の頻度で発生しています。
さて、ここからが本題です。このエルニーニョ現象が発生する原因はなんでしょうか? そしてこの現象が発生した結果、何が起こるでしょうか?
https://katekyo.mynavi.jp/juken/7209

『地図とデータで見る気象の世界ハンドブック』

フランソワ=マリー・ブレオン, ジル・リュノー/著、鳥取絹子/訳 原書房 2019年発行

気候の働き より

気候――大気の低層部で、持続して支配的な気象条件の統計として定義される――とは、数百万年以来、太陽の日射や地表が発する熱放射、大気中の化学物質と大気の循環、海流、風。植物の光合成などが、地球の自転や大陸の移動、火山の爆発、隕石の落下などで乱される、力学的均衡の働きにある。

水と炭素の循環は、すべてがオーケストラのように、非常に異なる時間的スパンで、4つの自然のあいだでの組織的な交換によって行われいる。4つとは、生物圏(植物、動物など生物全体)、岩石圏(陸地および海域の表土層と底土)[リソスフェア。地球表層部の地殻と岩盤をあわせた総称]、水圏(海、太陽、湖、川)、大気圏である。大気圏の大量の空気と、大洋の大量の水の循環は、エネルギーを過剰な地域から不足する地域へ、とくに熱帯地方から極地方へと運搬する役をになっている。

気候を妨害する自然要因

気候は、つねに動きつつ気候を特徴づけるさまざま異なる要因どうしの均衡があらわれたものである。炭素交換、太陽光の変化、アルベド効果[雪や氷が太陽の光を反射すること]、大気の循環、温室効果ガス(GHG)の濃度、風、火山の爆発、隕石、太陽活動、海流などである。

突発する破壊的かく乱

気候は数千年単位で変化する。とくに変化を左右するのが、大気中の温室効果ガスの濃度(地球のエネルギー均衡への影響とともに)と、地球上の一部でのアルベド効果の変化である。また、すでに述べたほかの自然要因の影響によっても変化する。大気の循環、地球の自転、海流、大陸移動などだ。いっぽう、予測不能で、モデル化がむずかしい妨害要因の部類に入るのが、地球の起源と結びつく2つの要因、火山と隕石である。
火山の爆発では、大気中にガス、とくに二酸化硫黄と、大量の火山灰が放出され、火山灰は高度数十キロメートルまで噴きあげられたことがある。火山から噴出した粒子はその後、大気の循環により、数ヵ月で地球全体に分散。それから数年かけて徐々に地上に落ちていく。ちなみにこれらの粒子は、人的活動によって放出された粒子よりも長く大気中にとどまっている。というのも、より上空の、大気を浄化する降雨より上に位置しているからである。これらの粒子によるおもな影響は、太陽光線の一部を宇宙に反射することが、噴火の規模によっては気温が下がり、寒くなることがある。

たとえば1991年、20世紀最大の大噴火といわれたフィリピンのビナトゥボ火山の噴火では、2000万トンの二酸化硫黄が高度20キロメートルまで噴出し、ほぼ2年間にわたって、大気の気温が平均0.6℃低下した。

大きな隕石の落下は、大規模な火山の爆発に比べればきわめてまれな出来事なんだが、気候を長期間にわたって急変させることがある。結果として、生物圏に深刻なダメージをあたえ、炭素と水の循環の役割をはたせなくなる。また、隕石による衝撃はが直径数10キロの範囲におよび、大量の熱で火災が発生するうえ、大気中に放出されたほこりが何ヵ月も太陽光線を遮断して、「衝撃の冬」を引き起こすこともある。そうなると、光合成が行われなくなり、結果として植物ー草食動物ー肉食動物の食糧チェーンが崩壊、多くの種が消滅することになる。
ちなみに、もっとも近年の巨大な隕石による衝撃の痕跡(メキシコのチクシェループ・クレーター。直径180キロメートル)は6500万年前にさかのぼる。それによって生じた結果は生物圏に甚大な損害をもたらし、白亜紀の大量絶滅期[5番目の「大量絶滅期」]の原因
――いまや認められている――となった。このとき地球の生物種の50パーセントが絶滅、なかには恐竜もふくまれていた。

エルニーニョ

エルニーニョは、大気と太平洋の相互関係の結果として生じる現象である。通常は、貿易風が大洋を東から西へと押し流し、海水は徐々に温かくなる。この循環によって、深海部の水が南アメリカの沿岸にそって上層部にあがってくる。この冷たい海水は魚にとって好条件、したがってそこは絶好の漁場となる。この循環は、不定期な間隔でペースが落ち、その結果、大洋の水温に重大な結果をもたらすことになる。

太陽活動

太陽のエネルギーは、その中心で行われる熱核融合によって生じるもので、中心の温度は1000万℃を超えるのだが、表面の温度はわずか6000℃ぐらいである。太陽活動の周期は11年で、それは表面の黒点の数の変化となってあらわれる。黒点は、大洋の磁場が強くなった部分である。しかし、太陽から放出されるエネルギー流束は、この周期のあいだで0.1パーセントしか変化しないのに対し、紫外線の放出は大きく変化する。気候へのインパクトはそれほどでもないのだが、しかし、成層圏オゾン層には影響をおよぼしている。
過去の観察で明らかなのは、太陽活動が17世紀と18世紀は静かだったことで、一部の専門家のあいだでは、これが当時のヨーロッパを襲った「小氷期」の原因と考えられている。

じじぃの「冴えないバイデンが大統領候補になるまで!トランプ信者 潜入一年」

シャーロッツビル 春からの対立がついに死傷事件に

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=aTaZVOUPMcQ

極右集会に抗議する人たちの中に自動車が突入した

(2017年8月12日、米バージニア州シャーロッツビル

米南部の極右集会に抗議、1人死亡 州知事は白人至上主義者に「帰れ」

2017年8月13日 BBC NEWS
米南部バージニア州シャーロッツビルで12日、白人極右集会に抗議する人たちの間に自動車が突入し、1人が死亡し19人が負傷した。これに先立ち市内では、極右集会に参加する白人国家主義者たちと、抗議する人たちの間で衝突が相次ぎ、少なくとも15人が負傷した。
州知事は、白人至上主義者に「帰れ」「お前たちは愛国者とは程遠い」と強い調子で批判した。一方で、ドナルド・トランプ米大統領が白人至上主義者を特定して非難しなかったことを、共和党内からも疑問視する声が上がっている。
https://www.bbc.com/japanese/40914856

『トランプ信者 潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ』

横田増生/著 小学館 2022年発行

第2章 冴えないバイデンが大統領候補になるまで より

予備選挙の試金石

オバマが8年の任期を迎えた16年のアメリカ大統領選挙では、共和党民主党の両党が、大統領候補者選びのために党員集会と予備選での選挙戦を繰り広げた。しかし、20年は共和党には現職大統領で再選を狙うトランプがいるので、実質的にはトランプが不戦勝で勝ち上がる。よって、この年は、民主党の候補者の中から誰がトランプの対抗馬として出馬するかを選ぶことになる。
民主党では当初、過去最多となる30人近い候補者が名乗りを上げた。だが、数回のテレビ討論会などを経てふるいにかけられ、すでに半数が脱落している。事実上、ここから勝ち上がっていく候補者は上位5人に絞られていた。
アイオア党員大会の事前の世論調査では、トップがオバマ政権の下で副大統領を務めたジョー・バイデンだ。2位の上院議員バーニー・サンダースは、自ら社会民主主義者を名乗る頑固者である。

スーパーチューズデー

私は、フロリダ州ミシガン州でも予備選挙を取材するが、スーパーチューズデーで出来上がったバイデン有利の流れを、サンダースが覆すことはできなかった。両者が獲得した代議員数の差はじりじりと広がっていった。
しかも、フロリダ州での予備選挙の数日前、トランプが新型コロナウイルスによる国家非常事態を宣言したことで、予備選挙を行うことも、取材することも難しくなっていた。フロリダでは、コロナ対策で、ホテルは朝食の提供をとりやめ、レストランやバーが慌てて店を閉めたため、私は食料を確保するのに苦労した。
サンダースは4月、選挙戦から撤退することを表明した。
バイデンが民主党予備選挙での勝利を確定するのが6月のこと。バイデンの最終的な大議員数は2708人だった。

吃音を克服した男

バイデンは1942年11月20日、4人兄弟姉妹の長男として、ペンシルベニア州スクラントンに生まれる。家族はアイルランドカトリック教徒で、父親は中古車のセールスマンという中流家庭だった。
布教で父親が職を失うと一家はデラウェア州に引っ越している。
子ども時代、バイデンを苦しめたのは吃音だった。まだ、吃音が学習障害の1つではなく、低能の表れとみなされていた時代の話だ。しかし、両親、特に母親は、バイデンの能力を信じ、吃音をからかう教師がいると、自ら学校に乗り込んでいき、「息子をバカにすると許さない」と強く抗議した。
中学生になると、バイデンは独力で吃音を克服する。繰り返し詩を朗読し、鏡の前で顔をゆがめることなく話す訓練をした。
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大学は地元のデラウェア大学に進んだ。
春休みに友達と行ったバハマの海岸で、バイデンはニューヨークの大学からきた女子学生と出会い恋に落ちる。すぐにこの女性と結婚すると確信した。その女性の名は、ネイリア・ハンターといった。2人は結婚すると、3人の子どもに恵まれた。
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バイデンが、オバマ後の大統領に出馬を考えていたとき、長男のボーが脳腫瘍で亡くなる。生前、ボー・バイデンは、デラウェア州の司法長官を務め、州知事への野心を抱いていたが、その夢が現実になる前に鬼籍に入る。15年春のこと。バイデンにとっては、息子を亡くしたショックは大きかった。
心理的な痛手が癒えていないこともあり、バイデンは16年の大統領選挙への立候補を見送る。70代という高齢を考えれば、バイデンはこれで引退するだろう、と多くの人が考えた。
だが、トランプが大統領になった17年の夏、白人至上主義たちがバージニア州シャーロッツビルで、南北戦争奴隷制維持を掲げる南部連合の軍を率いたリー将軍銅像撤去をめぐり、抗議集会を重ねていた。
《右派の団結せよ(ユナイト・ザ・ライト)》と名づけられた集会のテーマは、トランプ政権と白人至上主義を結びつけることだった。白人至上主義たちはたいまつを手に黒人やユダヤ人の排斥を主張し、これに抗議する人たちとの衝突が起きた。その中で、白人至上主義者の男が運転する車が故意にデモ隊に突っ込んで、死傷者が出たのだった。事件後、衝突の際に負傷した人たちが、主催者らが人種差別に基づく暴力を招いたとして民事訴訟を起こした。連邦地裁は21年11月、主催者らに2500万ドル(27億5000万円)の支払いを命じる判決を下した。車を運転していた男には2019年に終身刑が言い渡されている。

事件以上にアメリカで大きな問題となったのは、トランプが頑なにKKKクー・クラックス・クラン)やネオナチを含む白人至上主義者を非難することを拒んだことだった。

記者会見で、事件について何度も質問されたトランプが、しびれを切らして「両方に素晴らしい人がいた」と語り、白人至上主義者たちを擁護したことで、アメリカ中が茫然自失となった。
その言葉を聞いたバイデンは「いったい何てことだ!」と呻吟(しんぎん)した。
このトランプの言葉は、バイデンにとって一線を越えたものだった。アメリカの先行きに危機感を募らせたバイデンは、最後にもう一度、大統領選挙に打って出ることを決める。
バイデンは出馬宣言の際、トランプの先の言葉を引用して、
「こうした言葉で、アメリカ合衆国の大統領が、憎悪を撒き散らす人たちと、勇敢にそれに立ち向かった人たちを道徳上、同等に扱った。私はその時、アメリカが直面している脅威はこれまでの人生でも経験したことがないものだ、と知った」と語った。
三度目の正直でようやく手に入れた民主党の大統領候補の切符を手に、バイデンはトランプと第46代大統領の座をかけて闘う。