じじぃの「科学・地球_358_気象の世界ハンドブック・人間による要因・海面の上昇」

The World's Cities After Global Sea-Level Rise

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=xE0KtLy5j8w

海面上昇とは?


海面上昇とは?海洋に与える影響や原因、対策について解説

2021年11月26日 海の豊かさを守ろう
●海面上昇の原因
海面上昇の原因は、水温が高くなることによって海水が膨張したり、山岳氷河や南極・グリーンランドなどの氷河や氷床が融けたことにより海水上昇したと考えられています。
陸上にある氷河や氷床が解けてしまった場合、陸上の氷が水へと変わり海へと流れ込むことによって、海面上昇へとつながるのです。氷河や氷床は、大陸や島などを覆うほどの大きさであるなど、様々であり、その大きさによっては深刻な影響を与えることになります。
また気温の上昇による水温は高くなることで、海水が膨張し体積が増加するため、海面上昇の要因の一つとなります。
そして近年の地球温暖化による気候変動などにより、海面上昇の進行は加速しているのが現状です。
https://gooddo.jp/magazine/sdgs_2030/life_below_water_sdgs/7489/

『地図とデータで見る気象の世界ハンドブック』

フランソワ=マリー・ブレオン, ジル・リュノー/著、鳥取絹子/訳 原書房 2019年発行

人間が気候を妨害するとき より

1979年、気候にかんする初の国際会議で開かれて以降、世界中の気候学者が地球の気候の安定のために動員されている。1990年と1995年、2001年、2007年、2014年までの5回、気候変動に関する政府間パネルIPCC)によって発表された気候の評価報告書作成には、国際的な科学者3000人近くが参加、つねにより正確に事実を確認している。気候システムへの人間の影響は明確だ。2021年に予定されている第6次評価報告者でも、それが再評価されるだけだろう。

いっぽう、1000年単位の気候のゆれや変動を口実に反論している気候温暖化の懐疑派は、その言説を引っこめるしかなさそうだ。IPCCの第5次評価報告者では、大洋や大気が受けとって保存したエネルギーの増加において、自然の要因がほとんどかかわっていないことが明らかになっている。現在の地球のエネルギー均衡の変化は、人的活動の結果であり、おもに、二酸化炭素を排出する化石エネルギーが原因なのである。

わたしたちの知的レベルはいま、その原因を特定し、解決法を策定するまでに達している。あとは知性と意志を結集し、状況からいって避けて通れない、環境を配慮したエネルギーの移行を働きかけるだけなのである。

海面の上昇

19世紀のなかば以降、海水面の平均水位の上昇ペースは、過去2000年に比べてあきらかに上まわっている。衛星で測定できるようになって(1992年)以降、海水面の水位は8センチ上昇。これは年平均3.4ミリのペースである。現在、専門家がおそれているのは、2050年には年平均50センチ、2100年には倍の1メートルも上昇することだ。その場合、浸食の加速と水没が現実味をおびてくるだろう。

海水面の水位が上昇する要因

水位が上昇するおもな要因は、熱膨張と、陸地の氷(氷河、極地の氷冠、氷床)の融解である。
氷河と氷冠。
混同を避けるために、海上を漂流する海氷である流氷が融解しても、海面の水位は変わらないことを確認しておこう。海氷は、海の水温がマイナス1.8℃以下になったとき、海表面に結晶が形成されて生じるもので、この結晶が厚くなって2、3メートルの層をつくるものだ。その面積が仮に数百万平方キロメートルになったとしても水深4000メートルまである北極海では、その厚さは比較的薄いといえる。
対して氷山は、陸地の氷の塊[北極地域では氷河]が離れて、海に「沈んだ」ものである。その容積の大きさ――ときに面積数百平方キロメートル、厚さ数百メートルに――から、極地の氷冠からの氷の流出が、確認されるように加速すると、海面の水位を上昇させることになる。北極の氷河の融解は、海面に淡水塊を増やすと同時に、熱塩循環も遅らせ、大西洋に向かう暖流の水塊にブレーキをかけることになる。
水の膨張。
大気の気温上昇は、氷を融解させるのにくわえ、海面に熱を伝播する。ところで、水温4℃以上では、水は温度の上昇とともに膨張する。この膨張はまず、大洋の上層部1000メートルで起こり、それが海水面の上昇のおもな原因になっている。

時代でみる海水面の上昇

専門家の算定によると、1901年から2015年のあいだに21センチ上昇していた海水面は、現在も上昇ペースをあげつづけている。ここ110年間の年平均の上昇は1.7ミリだったのに対し、1971-2015年期は2ミリ、1993-2017年期は3.4ミリと、さらにベースを上げているのである。これらの数字は、大洋の熱膨張と、気候変動によりグリーンランドや南極の氷河や氷床、陸地の保有水が融解したことなどの全体を説明される。気候変動に関する政府間パネルIPCC)が、太陽光線全体の測定値にもとづいて「高いレベルの信頼度をもって」断言するのは、現在の地球温暖化に太陽光線の変化は寄与していなかったということだ。したがって、氷河の大量の消滅や、大洋の熱膨張、海面上昇のは、確実に人間活動が気候にあたえた影響の範疇に入ることになる。

氷冠の変化のプロセスはいまだよく解明されていないにもかかわらず、最新の研究によると、2100年には海面上昇の平均が1メートルに達するとされている。

地球の歴史に見る先例。
現在進行中の現象を完全に認識するために、最後の間氷期のあいだ(12万9000年前から11万6000年前)、海水面の平均は現在より4から6メートル高かったことを復習しておこう。このときは、グリーンランドの氷冠がほぼ確実に海水面を平均1.4から4.3メートル上昇させ、南極の氷床もおそらく加担していたと思われる。この水位の違いは、太陽のまわりをまわる地球の軌道が、現在と微妙に違っていたことで生じたものだ。高緯度の地表の気温も、現在よりすくなくとも2℃高く、それが数千年にわたっての平均だった。