じじぃの「科学・地球_355_気象の世界ハンドブック・氷期と温暖化」

about 20,000 years before present, in northern Europe


ミランコビッチ・サイクル


Glaciers extended over much of Europe during the last ice age

APRIL 10, 2019 U.S. Geological Survey
During the last age, ending about 20,000 years ago, glaciers extended over much of northrn Europe and also over much of Canada and some of the northern United States.
This map shows Europe during its last glaciation, about 20,000 to 70,000 years before present, in northern Europe called Weichselian Glaciation, in the Alpine Region Wurm Glaciation.
https://www.usgs.gov/media/images/glaciers-extended-over-much-europe-during-last-ice-age

ミランコビッチ・サイクル

ウィキペディアWikipedia) より
ミランコビッチ・サイクル(Milankovitch cycle)とは、地球の公転軌道の離心率の周期的変化、自転軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動という3つの要因により、日射量が変動する周期である。
1920 - 1930年代に、セルビアの地球物理学者ミルティン・ミランコビッチは、地球の離心率の周期的変化、地軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動の三つの要素が地球の気候に影響を与えると仮説をたて、実際に地球に入射する日射量の緯度分布と季節変化について当時得られる最高精度の公転軌道変化の理論を用いて非常に正確な日射量長周期変化を計算し、間もなくして放射性同位体を用いた海水温の調査で、その仮説を裏付けた。

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『地図とデータで見る気象の世界ハンドブック』

フランソワ=マリー・ブレオン, ジル・リュノー/著、鳥取絹子/訳 原書房 2019年発行

気候の働き より

気候――大気の低層部で、持続して支配的な気象条件の統計として定義される――とは、数百万年以来、太陽の日射や地表が発する熱放射、大気中の化学物質と大気の循環、海流、風。植物の光合成などが、地球の自転や大陸の移動、火山の爆発、隕石の落下などで乱される、力学的均衡の働きにある。

水と炭素の循環は、すべてがオーケストラのように、非常に異なる時間的スパンで、4つの自然のあいだでの組織的な交換によって行われいる。4つとは、生物圏(植物、動物など生物全体)、岩石圏(陸地および海域の表土層と底土)[リソスフェア。地球表層部の地殻と岩盤をあわせた総称]、水圏(海、太陽、湖、川)、大気圏である。大気圏の大量の空気と、大洋の大量の水の循環は、エネルギーを過剰な地域から不足する地域へ、とくに熱帯地方から極地方へと運搬する役をになっている。

氷期と温暖化、過去の気候

200万年前から、氷期[俗にいう氷河期]と間氷期が交互におとずれているのは、地球にとどく太陽光の分布に働く「軌道強制力」[本項のミランコビッチ・サイクルで後述]のせいである。ほかのいくつかの自然要因も、地球の気候を長期的に変え、また、正負のフィードバックも変化を強め、あるいは弱めることがある。それぞれの要因は、10年単位から数万年単位まで、異なる時間的スパンで変化する。

古気候学

放射能測定で年代が確定できる[原子核崩壊などを測定して、岩石や化石の年代を推定]ようになったおかげで、地球の年齢――岩石が溶解していた原始大陸地塊の成長が終わり、表面に冷却した地殻が出現した年代で定義するという意味において――は、45億5000万年と断定できるようになっている。ちなみに太陽の年齢は45億7000万年である。地球上の生命が、初期の細胞の形で出現したのは、38億年から35億年前である。この最初の生物体には、水に溶けた大気中の二酸化炭素を回収し、酸素を徐々に大気中に増やしていく(光合成)能力があり、こうして水と気候の大循環が作動しはじめた。
では、最初のヒト科が誕生した約400万年前は、どんな気候だったのだろうか? わたしたちには詳しいことはわからない。そのかわり、氷河などから取り出された氷床コアの記録のおかげで、ここ数百万年の気候はかなりよくわかっている。特徴的だったのは、氷期(約8万年)と温暖化[間氷期](約2万年)が10万年ぐらいの周期で、交替していたことだ。人類が出現して以来、地表の平均気温が約15℃に対して数℃変化しているだけである。
ここで手短に気候の歴史を展望したのは、異なる時間の尺度を紹介するためで、氷期を基準にした気候の自然な変化を理解するには、これをおさえておくことが必要だからである。地質学的な時代の民度は数億年、氷期は数万年、対して、人間の時間の尺度は数年単位である。

ミランコビッチ・サイクル

温暖期と氷期が定期的に交替するのは、天文学で説明できる。1924年セルビアの ミルティン・ミランコビッチ(1879-1958)は、それぞれ独立した3つのパラメータが、太陽のまわりをまわる地球の軌道を特徴づけ、季節によって地球が受け取る太陽エネルギーの量を変化させることを証明している。これらのパラメータはそれぞれ、独立した期間で短時間で変化し、それらが結合することで、北半球の氷冠[山頂部などをおおう氷河]の形成、あるいは消滅がいくらか促進される。氷冠は気候で決定的な役割をはたすものだ。

炭素の役割

5億4100年前(541基底年代=Mya[数値の単位、100万年前])の古生代初期、空気中の二酸化炭素は現在の5倍から10倍だった。以降、この率は何度も変化してきた。
たとえば、古生代前期のオルドビス期(485基底年代)は、二酸化炭素濃度は現在の20倍。それによって植物が爆発的に多様化し、大気中の二酸化炭素を大量に消費した。それが引き金となって2000万年後、気温は5℃低下し、氷期をもたらしている。また、古生代後半の石炭紀の後期(300基底年代)は、二酸化炭素濃度は現在の50パーセントだった。それによって温室効果が低下、氷河が形成されることになる。これら二酸化炭素濃度の差は、軌道の動きによる日照時間の変化だけではとうてい理解できない、大気の気温の変化を説明している。つまり二酸化炭素は、気候の要因の増幅役をになっているのである。気候が寒いと、二酸化炭素は水に溶けやすく、大気中の濃度が低くなることから、気温が下がることになる。対して、暑いと水に溶けにくいので、海は二酸化炭素を大気中に放出する。それが温室効果を高めて、気温も上昇、海はさらに温かくなるというわけだ。

じじぃの「トランプ劇場・中絶禁止法・彼は必ず約束を守る!トランプ信者 潜入一年」

【中絶の是非】アメリカで対立激化 "二極化"進んだワケ

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Z43S5xb5fAg

最高裁判事のバレット氏指名、何が争点?


最高裁 保守派が圧倒 反「中絶・移民」に傾斜

2020年9月27日 日本経済新聞
米連邦最高裁判所で、トランプ大統領の価値観に近い判事が安定多数となる可能性が高まった。
最高裁が人工妊娠中絶や移民の受け入れに否定的な立場へと傾くことを意味する。トランプ氏が再選を逃しても判事は代わらず、最高裁には数十年にわたりトランプ氏の影響が残る。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64300120X20C20A9FF8000/

『トランプ信者 潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ』

横田増生/著 小学館 2022年発行

第1章 トランプ劇場に魅せられて より

いざ支援者集会へ

私がトレドに出発したのは前日の8日の午後2時ごろ。気温は1℃。
トレドは、中西部のいわゆる《ラストベルト(さびついた工業地帯)》に位置し、大統領選の激戦州の1つとなるオハイオの工業地帯を一角を占める。街の愛称は、ガラスの都市。80年代までは、窓ガラスや飲料水のボトル、車のフロントガラスなどの生産地として栄えた。
しかし、おおかたの田舎街のご多分に漏れず、90年代以降は経済のグローバル化の波に飲まれ、街の人口は2000年の31万人強から2019年時点で27万人へと緩やかに、だが確実に減り続けている。その間、アメリカ全体の人口は増えているのだから、置き去りにされた街といえよう。
街に近づくと、工場の煙突から炎と煙が上がっているのが目に入ってくる。集会が開かれるダウンタウンにある多目的アリーナの周りは、人通りも少なく、飲み屋もほとんどない。時流に乗りそこねたわびしさが漂う。
アメリカ第一主義を掲げて大統領に当選したトランプが、就任演説で、「これまで政治から忘れてきた男性や女性たちよ、今後、あなたたちが忘れられることはない。<中略>これからは全力であなたたちのために闘い、決してあなたたちの期待を売切らない」と、語りかけた人たちが多く住む街である。
大統領選では1964年以降、オハイオ州を制した候補者が大統領になっている。オハイオを落として大統領になった共和党候補は1人もいない。
16年の選挙で、ミシガンと並んでここオハイオが、4年前の民主党支持から共和党支持に変わったことが、トランプの勝利へとつながった。トランプが、20年最初の支援者集会の地にオハイオ州を選んだのも、ぜひとも同州を手に入れたい、という思いからだ。

「ほかの政治家とは違い、必ず約束を守る」

男性の名前はロブ・コーティス(54)。映画のPR会社を早期退職し、16年から、勝手蓮としてトランプを応援しているのだという。
「住んでいるのはミシガン州デトロイト郊外だよ。そこから、このトラックで、ハワイとアラスカを除く本土全48州を回り、トランプを応援しているんだ。これまで2万6000マイル(4万1600キロ)を走った」

――なぜそんなことをしているのですか。

「大統領の前向きなメッセージを伝えて、アメリカを勇気づけようとしているんだよ。トランプはもともと政治家じゃないだろう。不動産業で大成功したビジネスマンだ。その経営者のセンスを活かして、アメリカという国の舵取りをしてほしいのさ。それに、彼の語る家族を大切にする価値観も大好きだ。運動資金は支援者からの寄付金だ。10万ドル(1100万円)以上が寄付で集まったし、自分自身のお金も使っている」

――トランプのどこが好きですか。

「大統領の言っていることは、いつも筋が通っている。それにほかの政治家とは違い、必ず約束を守るだろう」

――トランプの選挙公約の1つに、海外での戦線を拡大しないというのがありました。けれど、数日前(2020年1月2日)に、アメリカ軍がイランの軍司令官ソレイマニを殺害したため、アメリカとイランは今、戦争の瀬戸際にあるとも報道されています、

「それはフェイクニュースだ。イランへの攻撃は、残酷なテロリストに対してきちんと対応しただけだよ。戦争なんかにはならないって、大統領自身が言っているじゃないか。それに、健康保険制度も見直しているし、退役軍人への保護も手厚くしている。女性だってちゃんと尊敬している。大統領は中絶を認めない生命尊重派(プロライフ)の立場だ。オレ自身、クリスチャンだから、そこは譲れないポイントだな」

生命尊重派という言葉は、大統領選挙に限らず、アメリカで生活していると必ず出くわす言葉だ。

反対に中絶を肯定する立場は中絶擁護派(プロチョイス)と呼ばれる。日本では想像しづらいが、中絶を容認するか否かは、アメリカでは大きな政治問題の1つだ。大きく分けると、共和党が生命尊重派で、民主党が中絶擁護派の立場をとる。
トランプは昨年19年末、下院で歴史上3人目の弾劾を受けた大統領となりました、と私が尋ねると、相手の表情が険しくなるのが分かった。
「それもフェイクニュースに決まっているじゃないか! たとえば、オレがあんたのことを気に入らないっていう理由で弾劾することもできるんだぜ。それをあんたなら受け入れるのかい。あれは民主党の一方的な弾劾であって、そんなことには、なんの意味もないね」
トランプにぞっこん入れ込んでいるコーティスに訊いてみた。トランプに不満な点はないのか、と。
「そうだな。ヒラリー・クリントンや(前副大統領の)ジョー・バイデン、(民主党の大物上院議員の)チャック・シューマーを、まだ監獄に送っていないことかな」
冗談かと思って相手の顔を覗き込むが、目は笑っていない。

じじぃの「科学・芸術_1010_米国の企業・AMD(半導体)」

スパコン TOP500 夏の陣 '22- 富岳墜ちる、ついに1Exa越え! そして逆襲のAMD

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-ymccO2GwY8

第59回TOP500で1位を獲得したエクサスケールスパコン「Frontier」


第59回TOP500の1位は米ORNLの1EFlops超えスパコン「Frontier」、Exa時代が幕明け

2022/05/30 TECH+
トップは米ORNL(米オークリッジ国立研究所)に設置された次世代スパコン「Frontier」で、LINPACK性能は1102PFlops=1.102ExaFlopsで、ついにエクサスケールスパコンが実際に登場することとなった。
FrontierスパコンAMDの第3世代EPYC(3D V-Cacheを搭載したカスタム版。64コア/2GHz)とCDNA2アーキテクチャベースのGPUAMD Instinct MI250X」で構成されており、873万112コアで消費電力2万1100kWで1.1ExaFlopsを達成したという。
1.United States
2.Japan
3.Finland
4.United States
5.United States
6.China
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20220530-2354835/

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ

ウィキペディアWikipedia) より
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (Advanced Micro Devices, Inc. / AMD) は、アメリカの半導体企業である。
1969年に設立され、インテルx86互換マイクロプロセッサ及び、自社64ビット技術のAMD64対応マイクロプロセッサ、APU (Accelerated Processing Unit)、GPU (Graphics Processing Unit) や、フラッシュメモリ等を生産している。米国本社所在地はカリフォルニア州サンタクララ半導体製造部門は2009年3月にGlobalFoundriesとして分社化した。
AMDの日本法人である日本AMD株式会社の登記社名は「日本エイ・エム・ディ株式会社」であり、公式発表などでも常に「エーエムディー」と呼称される。

                  • -

『「スパコン富岳」後の日本ー科学技術立国は復活できるか』

小林雅一/著 中公新書ラクレ 2021年発行

第4章 米中ハイテク覇権争いと日本――エクサ・スケールをめぐる熾烈な国際競争 より

近年のトランプ政権下で始まった米中貿易戦争は、やがて中国のIT企業「ファーウェイ」や動画サービス「ティックトック」などをめぐるハイテク派遣争いへと発展し、2021年に発足したバイデン政権へと引き継がれた。それは両国の狭間で身を屈めてチャンスを窺う巨大経済圏EUや日本を巻き込み、国際政治と先端技術が複雑な絡み合う「テクノ・ポリティクス」時代の幕開けを告げている。
これを象徴するのが、スーパーコンピュータの開発競争だ。スパコンが次なる「エクサ・スケール(1000ペタ級)」に向けて世代交代の時期を迎える中、「富岳の世界ナンバーワンは短期間に終わる」との見通しも当初囁かれたが、間もなく相反する見方も出てきた。米中のハイテク覇権争いの影響などから、両国による次世代スパコンの開発プロジェクトが滞る気配があるのだ。これらエクサ級のスパコンが実現されない限り、優に440ペタ以上の性能を誇る富岳の世界王座は当面揺るがない。
『ニューヨーク・タイムス』の報道によれば、世界初のエクサ・スケールに到達するスパコンの有力候補と見なされたオーロラの開発がかなり遅れているという。オーロラは米エネルギー省の発注を受け、米インテルとHPEクレイが共同で開発を進めている次世代スパコンだ。
    ・
このオーロラ以外にも、米国にはエクサ・スケールをめざして開発中のスパコンが2台ある。テネシー州オークリッジ国立研究所に納入予定の「フロンティア」とカリフォルニア州ローレンス・リバモア国立研究所に入る予定の「エル・キャビタン」だ。が、いずれの完成時期も(開発が順調に進んでも)21年後半~22年であることから、少なくも米国勢が21年中にエクサ級の次世代スパコンを稼働させるのは微妙な情勢となってきた。

エクサ級CPUの開発をインテルに委託

インテルは年間売上額では世界最大の半導体メーカーで、かつては基本ソフト「ウインドウズ」を提供するマイクロソフトと共に「ウィンテル陣営」を築き、世界のスパコンやIT産業をリードしてきた。細菌はスマホやIoTなどモバイル端末が勢いを増す中、インテルはARM陣営に押され気味だが、それでも今なお半導体開発における優れた技術力を有している点に変わりはない。
しかしエネルギー省が次世代スパコンの開発をインテルに任せたのは、それだけが理由ではない。もう1つの大きな理由は、同社が半導体製品の設計から製造まで全工程をカバーするオールラウンド・プレイヤー(垂直統合型メーカー)であることだ。
第2章でも紹介したように、1980年代に世界市場を席巻した日本の半導体メーカーが「日米半導体協定」などを境に衰退した後、90年代に世界の半導体産業は「設計(開発)」と「製造」が分離する水平分業方式へと移行していった。このうちCPUやGPU、SoCなど半導体製品の設計(と販売)のみ手掛けるメーカーは「ファブレス」、逆に製造に特化したメーカーは「ファウンドリ」と呼ばれる。
このように水平分業化した主な理由は、半導体の製造工場における「クリーンルーム」など巨額の設備投資や維持コストなどを単独企業では賄いきれなくなってきたことだ。結果、新興メーカーの多くは半導体の設計のみを行うファブレス企業となり、毎年何十億ドル(何千億円)もの巨額投資を要する半導体製品の製造(大量生産)の部分は、世界でも限られた数のファウンドリに任せるようになった。

これらファウンドリの中でも、世界最大の売上額を計上すると共に、最先端の製造技術を有するのが台湾のTSMC(台湾積体電路製造)だ。米国のエヌビディアやクアルコムAMD、あるいは(本来、半導体開発が専門ではないが)アップルなど名立たるメーカーはいずれもファブレスとして、CPUやGPUなど半導体製品の設計に徹し、その製造はTSMCに委託している。

また理研富士通が共同開発した富岳のCPU・A64FXも、その製造はTSMCが受託した。
今や、このような分業方式が世界の主流なのだ。

じじぃの「書き言葉・ツイッター・ブログ・時間が作り出すもの!ゴリラの森」

Cave Art: World's Oldest Pictorial Story

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=UhZ0mncE-Rs

世界最古の絵画? オーカーで印をつけた石の薄片


「夫を殺す方法」の作家、夫殺害で有罪評決 米オレゴン州

2022.05.27 CNN.co.jp
オレゴン州ポートランドの裁判所の陪審は25日、2018年にシェフの夫を殺害したとして、作家のナンシー・クランプトン・ブロフィ被告(71)に第2級殺人罪の有罪評決を言い渡した。
被告の夫は講師を務める料理学校で射殺されていた。
クランプトン被告は「夫を殺す方法」と題したエッセーを書いたことで知られる。評決が読み上げられた際に特に感情は示さなかった。
https://www.cnn.co.jp/usa/35188085.html

世界最古の絵画? 7万3000年前の石に描かれた模様

2018.09.15 ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
7万3000年前、今日の南アフリカにあたる地域に住んでいた初期人類が、石の表面にハッシュタグ(#)のような印を描いた――模様が描かれた石を発見した国際考古学チームは、石に描かれた赤い模様は最古の絵画だと主張する。
科学誌「ネイチャー」に発表された論文によると、今回の石の絵画は、これまで最古の洞窟アートとされてきたインドネシアやスペインの洞窟の絵画より3万年も古いという。本当なら、古代のヒトが「現代的な行動」をした時期は、もっと古い時代まで遡ることになる。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/091400403/

ゴリラの森、言葉の海 Amazon

山極 寿一 (著), 小川 洋子 (著)
【著者略歴】
・山極寿一
1952(昭和27)年、東京都生れ。霊長類学者・人類学者。京都大学理学部卒、同大学院理学研究科博士課程修了。アフリカ・ルワンダのカリソケ研究センター研究員、日本モンキーセンター京都大学霊長類研究所、同大学院理学研究科助教授を経て同研究科教授。2014(平成26)年10月より京都大学総長。
小川洋子
1962(昭和37)年、岡山県生れ。早稲田大学第一文学部卒。1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991(平成3)年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。

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『ゴリラの森、言葉の海』

山極寿一、小川洋子/著 新潮文庫 2019年発行

Ⅲ ゴリラとヒトの間で遊ぶ より

時間が作り出すもの

小川 以前の対談でも伺いましたが、みんなで協力しないときちんと育たないぐらい、人間の子どもは未熟な状態で生まれます。それに、サバンナのような外敵の危険が多い場所にいる。だから自分の子ども、他人の子どもと区別していられない中で子育てしなくてはいけませんでした。
    ・
山極 子どもにとって一番幸福なのは、自分の食欲を満たしてくれる環境が整っていて、そこで自由に振舞えるということです。
小川 あのときはまさにそうだったと思います。自分の食べるものが用意されつつあって、自分は好きな絵本を読んでいるわけですから。
山極 誰かがそういう場を作ってあげないといけないんです。いくら食べ物があっても食べるというだけではだめで、誰かが作って与えないといけない。それが幸福につながる。だから、いま居酒屋ブームじゃないですか。あれはそういう気持ちを満たしてくれるからですよ。大人が子どものようにカウンターに並んで、おかみさんに叱られながら、酒を飲んでおいしいご飯を食べている。
小川 愚痴を聞いてくれたりね。
山極 客同士も互いに愚痴を言い合って。
小川 そこにいない人の話ですね。上司とか(笑)。
山極 上司の悪口を言うことは、自分にとって人間的な環境を回復するためで、その噂話を共有しないといられない。でも実際には、われわれはギリギリの人間関係を渡り歩いて生きているので、共有するのは難しい。でも飲み屋のママというのは、聞いたふりをしてくれるわけです。それで客は共有したような気持になる。
小川 例えばツイッターなどで自分の木に入らない人をコテンパンにやっつける、人の悪口を言わないではいられない衝動も、そういうことに関係しているのでしょうか。
山極 悪口というのは、人間が肉声で言う分にはぜんぜんかまわないけど、ネットでやると炎上してしまう。言葉というのはイマジネーションを広げる力があるけれど、その一方で、特に文字になると視覚的な環境を固定して化石化させてしまう。肉声なら誰が言ったのか分けるから広がる範囲に限界がありますが、文字になるとそれが際限なくなる。その過程で発する側から内容が遊離してしまって、発せられたときには別の意味を帯びてしまいます。作家にこんなことをいうのはおこがましいですが。
小川 小説を書くのが難しい理由を、今ご説明いただいた気がします。放っておいたら固定化しようとする文字を使って、いかに自在な世界を構築するか。ここに矛盾を抱えているわけです。
山極 だから、インターネット上では議論をしないという作法があるのは、それを避けるためでしょう。例えば、「あいつを殺してやる」といくら怒鳴っても、これまではみんな相手にしなかった。本気で殺すと思ってないから。怒鳴るだけで済んでいた。でもそれを文字にすると意思表明としてとても大きなものになって、証拠としても残る。一方で、いまブログやツイッターでは、声を出すように文字を書くわけでしょ。声がそのまま文字になっていくというか。
小川 そう考えると、ツイッターという命名は絶妙ですね。さえずり、つぶやきを書き言葉にして固定する。
山極 本来つぶやくだけで済んでいたのがものすごく大きなインパクトを持ってしまうんです。
小川 書き言葉の出現が人間にとって大きな段階だったということでしょうか。
山極 しかも、書き言葉は時間を超える。同時性を超えるから、いつそれが発せられたかが確定できなくなるんですよね。通常、われわれの言葉には同時性があります。こうして小川さんが何かを話したら、僕が答える。そのプロセスが目に見えるんですが、書き言葉にはそれがない。

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どうでもいい、じじぃの日記。
先日、テレビで報道番組を見ていたら、「世界衝撃 『夫の殺し方』著者が“被告”に 実際に銃で殺害か 裁判難航」をやっていた。
被告の女性は「夫を殺す方法」と題したエッセーを書いていたことで知られていた。
裁判所側は、エッセーで書かれたのが事件の7年も前だとして証拠採用せず、陪審員が読むことも禁止。
状況証拠として、当時殺害された夫の現場近くにいたことと、夫に100万ドルの保険金がかけられていたことが決め手となって、有罪判決が下された。
話言葉に比べて書き言葉は、時間を超えて人に影響を与える。
しかし、ツイッターやブログで「あいつを殺す」というのは、証拠にはならない。
被告が当時殺人現場にいた、お金が絡んでいる、は証拠になりうる。
とか。
「人類が何か書いた」、はいつ頃からだっただろうか。

じじぃの「科学・芸術_1009_台湾・安全保障・台湾有事」

台湾空域に中国軍機 米長官の訪台を牽制か (20/08/11)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5IX5lsikDWQ

中国共産党創建100年で演説する習近平国家主席


習氏、台湾統一は「歴史的任務」「能力見くびるな」と米牽制

2021/7/1 産経ニュース
中国の習近平国家主席共産党総書記)は1日の党創建100年記念式典での演説で、台湾統一は「党の変えることのできない歴史的任務」だと強調し、「平和統一の過程を進める」としながらも、「いかなる『台湾独立』のたくらみも粉砕する」と強調した。
同時に、「誰であれ、国家の主権と領土の一体性を守る中国人民の強い決心と能力を見くびってはならない」と述べ、台湾問題への米国などの干渉を牽制(けんせい)した。
https://www.sankei.com/article/20210701-7VEJKMXHXNJBTHQYLMKXXYONZY/

『台湾を知るための72章【第2版】』

赤松美和子、若松大祐/編著 赤石書店 2022年発行

Ⅴ 対外関係 より

第67章 安全保障――米中に翻弄され続ける台湾の防衛

台湾の安全保障、すなわち中台関係は、冷戦時代から常に東アジアにおける重大な安全保障問題として取り上げられてきたが、国際情勢の変化によってその内包的合意も変化してきている。本章では台湾の安全保障を概観したい。
1949年12月、中国共産党中共)との内戦(国共内戦)で敗北した中華民国中央政府中国国民党部は台北へ移転した。大局的にみて中共の武力による「台湾解放」はいつ実現されてもおかしくない状況であったが、朝鮮戦争の勃発によって米国は台湾海峡を「中立化」させた。その後、米台は1954年に米華相互防衛条約を調印した。
米国の目的は、台湾海峡の中立化と米華相互防衛条約で中共の「台湾解放」だけではなく、台湾の蒋介石政権が武力で中国本土へ反攻する「大陸反攻」をも阻止することにある。ここに、東アジアの冷戦体制に組み込まれる中台の対立構造と、米国による中台の武力衝突を阻止する構造が形成された。
蒋介石1860年代に「大陸反攻」を試みようとしたが、米国にもけん制された。米国の支援がなければ大陸反攻の実行は不可能であるため、蒋介石政権は軍事戦略を防衛中心へと事実上転換させた。台湾の軍事戦略は今日に至るまで、防衛という目的は変更されていない。
ところが、国際社会でどちらが「中国」を代表する正統性を有するのかという問題については、中国は蒋介石蒋経国政権の争いに勝利し、1970年代にかけて国連加盟や日本および米国と米国との国交正常化を果たした。台湾はこの失敗によって国際的な孤立状態に陥ったのである。
この点、日米は中国との国交正常化プロセスで台湾問題の平和的解決を前提として交渉していた。米中和解の上海コミュニケには「” It reaffirms its interest in a peaceful settlement of the Taiwan question by the Chinese themselves.”([米国政府は、]中国人自らによる台湾問題の平和的解決についての米国政府の関心を再確認する)。」という文言が記されている。また、米中国交正常化(米華断交)にも拘わらず、米国は国内法である台湾関係法によって台湾の安全保障にも関与している。米中が「武器輸出問題に関する共通コミュニケ」において台湾への武器販売を徐々に減らすことに合意した際にも、米国は台湾問題の平和的解決が絶対条件であることを台湾側に保証している(「6つの保証(The Six Assurances)」)。一方日本は、日米安全保障条約第6条の規定(いわゆる極東条項)によって、間接的に台湾の安全保障にコミットメントしてきた。日中国交正常化の際には、台湾を極東条項から除外しないことを前提として交渉を進めた。
このように、日米は台湾と断交したものの、中台の争いを抑止し、平和的解決を導かせるための枠組みが維持されてきた。中国が李登輝総統の米国訪問に反発し、1995年から1996年3月にかけて台湾周辺で軍事演習を実施した、いわゆる第三次台湾海峡危機において、米国は2つの空母戦闘群を派遣したとともに、中台と同時に対話し、危機を鎮静化させた。日本の橋本龍太郎首相も米国の対応に合わせ、中国の李鵬国務院総理に憂慮を表明したのであった。
他方、中国は、1979年から「武力行使」を「平和統一」の補助手段と位置付ける「平和統一」政策へと転換した。また、1つの国家に2つの異なった制度を共存させる「一国二制度(一国両制)」による国家統一を提案し、台湾との貿易・投資の優遇処置や接触に向けた準備などを整えていった。
これに対し、蒋経国政権は当初、「(中共とは)妥協せず、接触せず、交渉せず(不妥協、不接触、不談判)」という「三不政策」で臨んだ。
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また、蒋経国一国二制度の対象として民主化の推進を主張したとともに、交流の拡大によって中国本土の人々に台湾の民主化を認識させようとした。その結果、間接貿易の規制緩和渡航解禁に伴う台湾住民の大陸里帰り解禁などの措置が取られたのである。
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しかし、中台間の軍事バランスは2000年代から中国側に有利な方向に代わり、その差は年々拡大していく一方である。米国の軍事的抑止力も中国の台頭で相対的に低下してきている。しかも、台湾の対中経済依存度も高まっている。

蔡英文政権の発表では、中国が台湾の半導体に依存するようになった結果であるが、2020年1月から11月までの台湾の対中輸出額(香港含む)は対外輸出の43.8%を占めるまでに至っているという。

それに加え、習近平政権はより主導的に、台湾独立志向である民主進歩党蔡英文政権に対して自身の主張を受け入れるよう、多方面から圧力をかけ続けている。特に台湾の要人・政治機関などへのサイバー攻撃、親中のマスコミやSNSによるフェイクニュースの流布だけではなく、政治団体、宗教団体、中国に進出した台湾企業で台湾内部に影響を与えようとしている「シャープパワー」が近年では注目されている。
2021年4月16日に行われた日米首脳会議の共同声明では台湾海峡の平和と安定の重要性や、台湾海峡問題の平和的解決を促すことが強調されている。蔡英文政権が2021年に発表した『四年期国防総検討』(4年ごとの国防戦略の見直し)でも戦争予防、「防衛固守、重層抑止」が強調されている。つまり、日米が両岸の争いを抑止し、平和的解決を導かせるための枠組み、また台湾の防衛を中心とする国防戦略、軍事戦略という安全保障の枠組みには変更がないと言える。しかし、皮肉にも、経済交流や社会交流など、これまで中台関係を安定化させてきた交流活動は、中国がシャープパワーを用い、台湾に非伝統的安全保障の脅威を与えるルートになってしまったのである。そのため、従来の台湾の安全保障の枠組みがどこまで非伝統的安全保障の分野まで適用できるかは、今後台湾の安全保障を考える際の課題になると思われる。

じじぃの「南鳥島・沖ノ鳥島・中国の海洋調査船・日本の島が危ない!あなたの鳥類学」

【タカオカ解説】目的はいったい!? 日本のEEZ内で中・韓が無断海洋調査、高まる”海の緊張”のワケ

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=MLsDeX_Xa80


沖ノ鳥島周辺の中国船、狙いは「資源」と「戦略」 日本に「実力行使」を求める声

2020.7.18 産経ニュース
中国当局が東京・沖ノ鳥島沖の日本の排他的経済水域EEZ)で海洋調査を活発化させている背景には「沖ノ鳥島は島ではなく岩で、EEZや大陸棚は認められない」(華春瑩外務省報道官)との主張を既成事実化する狙いがある。
沖ノ鳥島を基点とする日本のEEZを認めた場合、中国側は周辺の海底資源をめぐる自らの権益と海軍戦略に大きな打撃を被ると認識しているためだ。
https://special.sankei.com/a/international/article/20200718/0003.html

『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』

川上和人/著 新潮社 2021年発行

第6章 鳥類学者は、振り向かない より

3 真夏の夜の夢

C-130はロッキード社のベストセラー輸送機だ。シルエットはダボハゼ風だが、高い輸送性能から世界中で活躍する。4基のターボブロップエンジンが奏でる爆音には耳栓が不可欠である。
エンジン音が収まると、パイプフレームが軋む吊り下げ椅子から解放される。ダボハゼの腹を抜けて4時間ぶりに大地に足をおろす。滑走路は照りつける日差しで揺らめいて見えた。
日に焼けた地元の人がニコニコと出迎え、私たちを観光用看板へ誘う。まずここで記念写真を撮るのが島の慣習のようだ。木彫りの看板が赤字で自己紹介をしている。
「ようこそ南鳥島へ 日本の最東端の島」
出迎えてくれたのは、海上自衛隊南鳥島航空派遣隊の隊長だ。

18時間

地球の表面は多数のプレートに覆われている。日本を支えるプレートはその4枚だ。関東以北は北米プレート、中部以西はユーラシアプレート、伊豆諸島や小笠原はフィリピン海プレートの上にある。
もう1枚は太平洋プレートだ。日本海溝の東に広がり、広く太平洋の海底を支えている。
小笠原諸島の端に位置する南鳥島は、日本で唯一この太平洋プレートにある島だ。
環境省がこの島に鳥獣保護区を設定するあたり、私が現地調査に行くことになったのは2007年7月のことだ。
島には、自衛隊気象庁海上保安庁の職員約40名が常駐していたが、民間の空路はない。環境省から防衛省に協力を要請し、自衛隊機に搭乗させてもらったのである。まずは快く受け入れてくれた防衛省にお礼を申し上げたい。
面積は約1.5km2。直径40cmのマルゲリータピザ換算なら1200万枚相当である。1200万人で食べたら1人1枚しか配給されない程度の小島である。
調査では鳥とともに他の生物のデータも取りたい。だが、輸送機に確保できた席は環境省の担当官と私の2名分だけだ。
輸送機の運行は1週間に1度しかない。2人とはいえこの小さな島なら1週間で各種の調査が完遂できるだろう。
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私に与えられたのはその間の18時間だけだ。

海鳥楽園後始末

右も左もわからぬ我々の身を案じ、ありがたくも隊長がガイドを買って出てくれたまずは車で島の全域を回り、環境を把握する。
南鳥島とんがりコーンのような形をしている。とんがりコーンを立てた形ではなく、うまく膨らまなかったぺちゃんこタイプだ。平たくいうとマルゲリータピザを8等分したような三角だ。最高標高はわずか9mの平坦な島で、中央にはちょっとした森林があり、周囲には草地と低木が散在している。
とんがりコーンの西側の辺に沿って滑走路がある。隊長によると、滑走路に降った雨水を集めて活用しているらしい。小さく平らなこの島には淡水系がない。海水の淡水化装置も調子が悪く水は貴重なのだ。
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この島は海鳥の島なのである。ただし、今見られる鳥達は本来の姿のほんの一部だ。
1896年、この島に約20人の日本人が移住した。海鳥がいたからだ。
当時は11種の海鳥が繁殖していた。小笠原諸島内で最多の海鳥繁殖種数である。オオグンカンドリやコミズナギドリなど、国内ではここでしか繁殖記録のない種もある。数十万、もしかしたら数百万の海鳥がいたかもしれない。
その頃フランスやイギリスでは、羽毛寝具や白い羽毛を飾った帽子がもてはやされていた。おかげで海鳥の羽毛は日本の重要な輸出産品となった。南鳥島にいたコアホウドリはその原料である・捕獲した鳥の翼の羽毛は装飾品に、体の羽毛は布団の材料に、肉や卵は食用に内臓や骨は肥料に利用される。コアホウドリだけでなく全ての海鳥が経済価値を、また島に住んだ人たちの食生活を支えた。
1902年に島を訪れたブライアン博士の記録によると、多産していたはずのコアホウドリクロアシアホウドリはほぼ絶滅状態にあり、その他の海鳥もすでに激減していたようだ。
海鳥がいなくなると、経済活動の対象はグアノの採掘に代わる。グアノは海鳥の糞が蓄積したもので、リンと窒素を多量に含む。化学肥料が開発されるまでは、肥料としてこれもまた重要な産物となった。
海の暮らしは楽ではなかったと記録される。台風が来れば平坦な島は高波に沈む。水や食料は不足し、衛生環境の悪さは感染症を誘う。1930年代にはしまの短い歴史に幕が引かれ、静かな無人島に戻った。
調査をしていると、島の東岸に大きな魚雷が放置されているのが目に入った。最近の大型台風で打ち上げられたそうだ。
南鳥島の名前は天気予報ぐらいでしか耳にしない。しかし、そんな島にも人が住んだ過去があり、その痕跡が残る。
ここは深い傷を負った島なのだ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
中国の王毅外相は5月26日から6月4日まで、南太平洋島嶼(とうしょ)国7ヵ国(ソロモン諸島キリバスサモア、フィジー、トンガ、バヌアツ、パプアニューギニア)と東ティモールを歴訪した。
中国は南太平洋島嶼国と今回の歴訪を通じて安全保障、貿易など幅広い分野での協定締結を目指していた。しかし、一部の国の反対で、安全保障面の協力については中国の意図したとおりには合意できなかった。
テレビの報道番組を見ていたら、軍事専門家がこんなことを言っていた。
王毅外相が回った南太平洋の国々というのは、海洋資源的にはあまり価値がない。彼は習近平国家主席に忖度して出かけていったのではないか」

習近平さんが唱える「一帯一路」構想は、ユーラシア大陸、及びインド太平洋地域で中国が米国に取って代わるというものだ。
太平洋の地図を見ると、太平洋上にポツンと沖ノ鳥島南鳥島が浮かんでいる。
こんな地図を習近平さんが見て、「沖ノ鳥島南鳥島は中国のものだ」、と思っているんだろうなあ。

じじぃの「科学・芸術_1008_台湾・戦後処理・慰安婦・元日本兵」

出征する高砂義勇兵、妻たち、引率の日本人警察官


慰安婦にされた女性たち-台湾

慰安婦問題とアジア女性基金
第二次大戦中、日本の植民地であった台湾から多くの男性が日本軍兵士や軍属として徴集され、同時に女性は「看護」や「炊事」「工場での作業」などの名目で軍や警察に召集されました。
当時の台湾の人々にとって、日本軍や警察にさからうことは、生きる道を絶たれるにもひとしかったのです。
https://www.awf.or.jp/1/taiwan.html

米サンフランシスコ、「慰安婦」像を正式受け入れ

2017年11月24日 BBCニュース
米サンフランシスコ市は22日、第2次世界大戦中に旧日本軍兵士の性奴隷として働くことを強制された「慰安婦」を表す像を正式に受け入れた。
像は、朝鮮半島と中国とフィリピン出身の若い女性3人が手をつなぎ円を描く様子を描いている。
https://www.bbc.com/japanese/42105321

『台湾を知るための72章【第2版】』

赤松美和子、若松大祐/編著 赤石書店 2022年発行

Ⅴ 対外関係 より

第63章 戦後処理と賠償問題――慰安婦、元日本兵

周知のように、日本の「戦後処理」の国際法規範は、1951年に調印されたサンフランシスコ平和条約とそれに関連する賠償協定に基づいて構成され、1950~60年代にかけて次々に調印され仕上げられた。今日外交紛争の火種となっている「歴史認識問題」は、このサンフランシスコ・システムの形成過程、特に「賠償放棄」問題(伝統的な戦争賠償にかわって「役務倍賞」と「経済協力」を採用する)と密接に関連しており、両者はつねにセットで論じられている。1965年日韓基本条約をめぐる歴史論争は、今日まで続いている。
「日台友好」の現状では、歴史問題はしばしば棚上げになり深く立ち入ることができない。その最たるものが、「慰安婦問題」である。メディアは日韓関係に焦点を当てているが、実際には戦前日本植民地統治下の台湾にもいわゆる「従軍慰安婦」がいた。一方、第二次世界大戦中、東南アジアのインドネシアやフィリピンも慰安婦問題を抱えていた。1990年代にはいり問題が浮上し、台湾は韓国、インドネシア・オランダ・フィリピンなどの5つの国の支援団体と連帯しつつ国境を越えて対日求償運動を展開した。1995年には「アジア女性基金」(「女性のためのアジア平和国民基金The Asian Women's Fund」、以下AWFと略す)が設立され、慰安婦個人への補償が行われた。結果から見れば、オランダ、インドネシア、フィリピンなどの旧交戦国ではAWF事業が順調に行われ、和解を達成した。かえって旧植民地の韓国と台湾では激しく抵抗されて挫折した。日本への抗議活動は今も続いている。
2015年の日韓合意後、台湾は韓国に照らしてほしいと日本に要請したが、「台湾は韓国と状況が違う。すべてアジア女性基金で誠実に対応した」という冷たい回答で台湾社会の不満を買い、更に国内において第二次世界大戦をめぐり異なるエスニック・グループの記憶論戦を起こし、政治的論争となった。日本社会でもなぜ「親日」といわれる台湾まで慰安婦問題を起こしているのかと訝る人が多い。こうした日本人の対応ぶりは台湾社会の複雑さに対する日本の理解の欠如を物語っている。
台湾慰安婦問題が民主化後も論争を呼んでいる理由は、1990年代の東アジアにおける冷戦後の歴史問題という一般的な背景に加えて、戦後日台関係史における「日華/日台の二重性」も関係している。どのように謝罪と補償を行うかを議論する時、「慰安婦」は日本植民統治もよる戦争被害者だが、交渉相手は第二次世界大戦の交戦国たる中華民国である。この「二重性」は、求償運動展開にも具体的にあらわれている。
国交がないため、日本からすればAWFが道義的責任を果たすための最善の方策かもしれない(北朝鮮とは対照的に)。しかしながら、台湾人からみれば、日韓会議のように自ら歴史清算を行う機会は一度もなかったため、1952年の日華平和条約締結時には台湾人は参加せず、植民地支配によって戦争に巻き込まれた生命財産の損失は償いようがなかった。(「代行された脱植民地化」)。にもかかわらず、慰安婦支援団体は中華民国史観から出発し、韓国の国家法律賠償の主張に従い、当事者の権益を無視し、ボイコット・キャンペーンを行い、紛争の種を残してきた。
こうした「日華」の枠組みに制限され歴史的正義を達成できなかったのは、台湾籍の元日本兵も同じである。第二次世界大戦中、20万人の台湾人が「日本人」として参戦し、そのうち3万人が戦死したが、戦後、これらの人々とその遺族は日本国籍を失ったため、日本人と同等の補償を受けることができなかった。日華平和条約では中華民国が日本に対する求償を自ら放棄することを明記している。ただし戦前台湾は日本と交戦していないので、第三条において、「台湾及び澎湖諸島」における日本国と国民の財産及び請求権(債権)は、後日「政府対政府」の形で別途協議しなければならないと明記されている(「特別取極」)。
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1975年に王育徳を筆頭にして「台湾人元日本兵の補償問題を考える会」が設立された。1977年に有馬元治らの議員が「台湾人元日本兵士の補償問題を考える議員懇談会」を結成し、在日台湾人と日本の市民社会の力を統合し、世論喚起、司法訴訟、議員懇談などを行い、十数年にわたって運動を続けてきた。1987年に議員立法で成立した「台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金に関する法律」が可決し、遺族一人当たり200万円の救済金を受け取ることができるようになる。また前述した「確定債務」問題は1995年に日本政府が債務の120倍で返済することを一方的に決めた。倍率が日本人に比べて非常に低いため、受給放棄を無言の訴えにする家族も多い。
これまで述べてきた遺族への弔慰補償も債務確定の問題についても、中華民国は日本政府と正式に交渉したことはなく、民間団体の奔走にまかせたままであった。一方、日本政府は、これで「日台」の歴史問題は解決したと考えている。
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台湾の民主化と本土化に伴い、「日華」の影響力はますます「日台」に取って代わられ、あるいは融合され、台湾人の実際の生命経験はより重視されるようになった。歴史問題は国際法・外交政治のレベルにとどまらず、歴史活動の当事者の本音こそ問題解決の鍵となる。日本政府はAWFを通じて台湾の慰安婦問題が解決されたと考えているが、おばあちゃんたちの本当の声はいまだに完全に伝えられていない。2019年に楊馥成元日本軍属らが起こした国籍確認訴訟は、これまでの求償運動の訴えとは異なり、世界人権宣言を援用し、一方的に日本国籍を剥奪されたことは基本的人権に反し、賠償額に関係なく日本人として死にたいと主張した。東京地裁は、2022年1月11日、「日本国籍を喪失した」と判断し、請求を棄却した。