【南シナ海】中国海警局の船が“放水” フィリピン側が映像公開
中国海警局の船(右)がフィリピンの船に向かって放水銃を発射する映像
習近平の覇権戦略―中国共産党がめざす「人類運命共同体」計画
イーストン・イアン【著】〈Easton Ian〉/信田 智人【訳】
PHP研究所 2023年発行
●内容
イアン・イーストンの『The Final Struggle: Inside China’s Global Strategy』は、自由の将来を心配する者なら誰もが読むべきものである。それは、中国共産党がもつ世界支配への抑えきれない野望に関する説得力のある詳細な研究である」
著者イアン・イーストン氏は「プロジェクト2049研究所」の上級研究員。『China 2049』(マイケル・ピルズベリー著)で天下に知られた「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年に当たる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」習近平政権の戦略分析に携わる。中国語で書かれた公開情報を調査する、対中研究のスペシャリストだ。
巷間、習近平主席の個人的野望と見られている中国の「2049」覇権戦略。だがこのプロジェクトは、マルクスが果たせず、ソ連が失敗した「民主主義と資本主義を破壊し、国際共産主義を完成する」という歴史的プログラムを忠実に実行するものだった。
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『2050年の世界――見えない未来の考え方』
ヘイミシュ・マクレイ/著、遠藤真美/訳 日経BP 2023年発行
第12章 この先の世界を形づくる大きなテーマ――不安、希望、判断 より
10の不安
1 アメリカの政治体制が崩れる
アメリカは3つの起きな課題に直面している。
まず、富が平等に行き渡り、公平な機会が与えられるようにしなければいけない。そして、世界最大の経済圏から中国につぐ世界2位の経済圏に移行しなければいけない。さらに世界ではじめてほんとうの意味での多人種社会になることを受け入れ、むしろ歓迎しなければいけない。
こうした問題はずっとくすぶっていたが、ドナルド・トランプが大統領に就任すると、不満が一気に爆発した。トランプは幅広い層から支持されたが、共通するテーマがあるとしたら、リベラル・エリートには機会が与えられているのに自分たちにはないと、支持者の多くが感じていたことだ。
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グローバルリーダーはなによりも世界の手本にならなければならない。アメリカは21世紀いっぱい、世界最大の軍事国でありつづけるが、どんな国であるかと同じくらい、なにをするかが重要になり、アメリカはハードウェアを裏づけとししたソフトパワーを発揮しつづける。もしもアメリカが自信を失ったら、世界はいまよりはるかに危険な場所になるだろう。
2 中国、インド、アメリカの関係が悪化する
アメリカと中国のあいだの緊張が高まるのは避けられないだろう。
中国がアメリカを抜いて世界最大の経済国になる瞬間の前後はとくにそうなる。本書の予測が正しければ、中国は人口が高齢化するにつれて、国内の情勢が落ち着いていき、対外政策での攻撃的な姿勢も見直される。だが、そこにいたるまでの難局をうまく乗り越えなければならず、2030年代か2040年代になんらかの形で政治体制が転換され、大きな混乱が生まれるだろう。インドの台頭も受け入れなければならない。インドは21世紀後半を通じて躍進しつづける見通しだ。発火点は言うまでもない。中国による台湾の軍事的併合、インドとの国境紛争、南シナ海情勢などである。この移行を穏当に秩序立った形で管理することは、アメリカと中国の両方にとって、ひいては世界全体にとって、非常に大きな利益になるため、米中が衝突する事態はさすがに考えにくい。それでも誤算は生じるし、破滅へとつづくシナリオはすぐに思い浮かぶ。
たとえば、新型コロナウイルスがほんとうに武漢の研究所から流出したもので、中国当局が起源を故意に隠蔽したことが明らかになれば、アメリカの中国に対する信頼は消し飛ぶ。あるいは、中国が台湾を支配下に置こうとして、多数の使者が出る事態になったら、アメリカはたとえそれが直後には国益に結びつかないとしても、武力で対抗するかもしれない。中国がアメリカではなくインドと対立し、それがその後、アメリカ軍も関与する争いへと波及することも考えられる。
わたしが心配なのは、中国は心の底ではアメリカを軽蔑していて、アメリカは心の底では中国を理解も尊重もしていないことだ。いずれにしても、両国間の緊張は2020年代を通じて高まるのは避けられず、世界全体にとって非常に危険な時期になるだろう。
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じじぃの日記。
ヘイミシュ・マクレイ著『2050年の世界』という本に、「アメリカの政治体制が崩れる」があった。
「アメリカと中国のあいだの緊張が高まるのは避けられないだろう」
中国は周辺国の経済水域を含む南シナ海のほぼ全域について領有権を主張しているほか、東シナ海でも海洋進出を進めている。
中国政府が2023年8月に発表した新しい地図を巡り、アジアの周辺国から反発の声が上がっている。
地図では南シナ海の90%を中国の「領海」とした。
中国が南シナ海の領有権問題に関して一方的に主張する「九段線」は、台湾の東側に引かれた1本の線とともに計10本で構成され、「十段線」となっている。
フィリピンが領有権を主張するスプラトリー諸島(南沙諸島)は「中国領」となっている。
フィリピンは自国の沿岸で漁をすることさえできなくなった。
自国の沿岸で漁をしていると、中国海軍の船がやってきて、漁船に向かって放水してくるのだ。
「戦略のパラドックス」
ルトワックと奥村真司両氏による著作はいつ読んでも明瞭かつ痛快である。
著者は持論である「戦略のパラドックス」論を用い、習近平の中国が大国意識に基づいて採るさまざまな強硬政策が、実は相手のリアクションが見えていない愚策であると指摘する。そしてアメリカのみならず、「小国」と見なされている世界の各国が「No」を突きつけることが、習近平を「つまずかせる」ために有効であると説く。
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