じじぃの「科学・芸術_1010_米国の企業・AMD(半導体)」

スパコン TOP500 夏の陣 '22- 富岳墜ちる、ついに1Exa越え! そして逆襲のAMD

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-ymccO2GwY8

第59回TOP500で1位を獲得したエクサスケールスパコン「Frontier」


第59回TOP500の1位は米ORNLの1EFlops超えスパコン「Frontier」、Exa時代が幕明け

2022/05/30 TECH+
トップは米ORNL(米オークリッジ国立研究所)に設置された次世代スパコン「Frontier」で、LINPACK性能は1102PFlops=1.102ExaFlopsで、ついにエクサスケールスパコンが実際に登場することとなった。
FrontierスパコンAMDの第3世代EPYC(3D V-Cacheを搭載したカスタム版。64コア/2GHz)とCDNA2アーキテクチャベースのGPUAMD Instinct MI250X」で構成されており、873万112コアで消費電力2万1100kWで1.1ExaFlopsを達成したという。
1.United States
2.Japan
3.Finland
4.United States
5.United States
6.China
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20220530-2354835/

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ

ウィキペディアWikipedia) より
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (Advanced Micro Devices, Inc. / AMD) は、アメリカの半導体企業である。
1969年に設立され、インテルx86互換マイクロプロセッサ及び、自社64ビット技術のAMD64対応マイクロプロセッサ、APU (Accelerated Processing Unit)、GPU (Graphics Processing Unit) や、フラッシュメモリ等を生産している。米国本社所在地はカリフォルニア州サンタクララ半導体製造部門は2009年3月にGlobalFoundriesとして分社化した。
AMDの日本法人である日本AMD株式会社の登記社名は「日本エイ・エム・ディ株式会社」であり、公式発表などでも常に「エーエムディー」と呼称される。

                  • -

『「スパコン富岳」後の日本ー科学技術立国は復活できるか』

小林雅一/著 中公新書ラクレ 2021年発行

第4章 米中ハイテク覇権争いと日本――エクサ・スケールをめぐる熾烈な国際競争 より

近年のトランプ政権下で始まった米中貿易戦争は、やがて中国のIT企業「ファーウェイ」や動画サービス「ティックトック」などをめぐるハイテク派遣争いへと発展し、2021年に発足したバイデン政権へと引き継がれた。それは両国の狭間で身を屈めてチャンスを窺う巨大経済圏EUや日本を巻き込み、国際政治と先端技術が複雑な絡み合う「テクノ・ポリティクス」時代の幕開けを告げている。
これを象徴するのが、スーパーコンピュータの開発競争だ。スパコンが次なる「エクサ・スケール(1000ペタ級)」に向けて世代交代の時期を迎える中、「富岳の世界ナンバーワンは短期間に終わる」との見通しも当初囁かれたが、間もなく相反する見方も出てきた。米中のハイテク覇権争いの影響などから、両国による次世代スパコンの開発プロジェクトが滞る気配があるのだ。これらエクサ級のスパコンが実現されない限り、優に440ペタ以上の性能を誇る富岳の世界王座は当面揺るがない。
『ニューヨーク・タイムス』の報道によれば、世界初のエクサ・スケールに到達するスパコンの有力候補と見なされたオーロラの開発がかなり遅れているという。オーロラは米エネルギー省の発注を受け、米インテルとHPEクレイが共同で開発を進めている次世代スパコンだ。
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このオーロラ以外にも、米国にはエクサ・スケールをめざして開発中のスパコンが2台ある。テネシー州オークリッジ国立研究所に納入予定の「フロンティア」とカリフォルニア州ローレンス・リバモア国立研究所に入る予定の「エル・キャビタン」だ。が、いずれの完成時期も(開発が順調に進んでも)21年後半~22年であることから、少なくも米国勢が21年中にエクサ級の次世代スパコンを稼働させるのは微妙な情勢となってきた。

エクサ級CPUの開発をインテルに委託

インテルは年間売上額では世界最大の半導体メーカーで、かつては基本ソフト「ウインドウズ」を提供するマイクロソフトと共に「ウィンテル陣営」を築き、世界のスパコンやIT産業をリードしてきた。細菌はスマホやIoTなどモバイル端末が勢いを増す中、インテルはARM陣営に押され気味だが、それでも今なお半導体開発における優れた技術力を有している点に変わりはない。
しかしエネルギー省が次世代スパコンの開発をインテルに任せたのは、それだけが理由ではない。もう1つの大きな理由は、同社が半導体製品の設計から製造まで全工程をカバーするオールラウンド・プレイヤー(垂直統合型メーカー)であることだ。
第2章でも紹介したように、1980年代に世界市場を席巻した日本の半導体メーカーが「日米半導体協定」などを境に衰退した後、90年代に世界の半導体産業は「設計(開発)」と「製造」が分離する水平分業方式へと移行していった。このうちCPUやGPU、SoCなど半導体製品の設計(と販売)のみ手掛けるメーカーは「ファブレス」、逆に製造に特化したメーカーは「ファウンドリ」と呼ばれる。
このように水平分業化した主な理由は、半導体の製造工場における「クリーンルーム」など巨額の設備投資や維持コストなどを単独企業では賄いきれなくなってきたことだ。結果、新興メーカーの多くは半導体の設計のみを行うファブレス企業となり、毎年何十億ドル(何千億円)もの巨額投資を要する半導体製品の製造(大量生産)の部分は、世界でも限られた数のファウンドリに任せるようになった。

これらファウンドリの中でも、世界最大の売上額を計上すると共に、最先端の製造技術を有するのが台湾のTSMC(台湾積体電路製造)だ。米国のエヌビディアやクアルコムAMD、あるいは(本来、半導体開発が専門ではないが)アップルなど名立たるメーカーはいずれもファブレスとして、CPUやGPUなど半導体製品の設計に徹し、その製造はTSMCに委託している。

また理研富士通が共同開発した富岳のCPU・A64FXも、その製造はTSMCが受託した。
今や、このような分業方式が世界の主流なのだ。