じじぃの「カオス・地球_325_LIFESPAN・第8章・かつてないほど広がる格差」

SF映画ガタカ』本編映像 (オープニングシーン)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=8iCZ-Q0RyjM

映画『ガタカ


カズレーザーと学ぶ

2024年5月7日 日本テレビ
【MC】カズレーザーメイプル超合金
【進行】岩田絵里奈日本テレビアナウンサー)
【出演者】影山優佳 コットン 斉藤慎二ジャングルポケット松本まりか ゆうちゃみ
【専門家】濵﨑洋子(京都大学 iPS細胞研究所)、六車恵子(関西医科大学 医学部教授)、野村慎一郎(東北大学大学院 工学研究科 分子ロボティクス研究)

年をとらない体を作る?改造T細胞の可能性
特に注目されるのが「改造T細胞」の研究です。この技術は、体内の免疫細胞であるT細胞を遺伝子操作によりカスタマイズし、老化細胞のみを標的とすることで、老化の進行を遅らせるというもの。番組内では、この画期的なアプローチがどのようにして老化を阻止し、最終的には「一生老けない体」を実現可能にするのかが丁寧に説明されています。この研究が現実のものとなれば、医療だけでなく、私たちの日常生活にも革命をもたらすかもしれません。

濵﨑洋子教授が、注射1発で老化を防ぐ、改造T細胞について解説。
T細胞はウイルス・がんなどから身を守る免疫細胞で、細胞ごとに反応する病原体が異なる。改造T細胞は、どうか細胞を攻撃するようにT細胞を人工的に改造したもの。CAR-T細胞は白血病の治療に使用されているが、3000万円ほどの費用がかかる。T細胞には、サイトカインなどの副作用がある。
https://tver.jp/episodes/ep7dnw9pa1

ガタカ

映画ナタリー より
【あらすじ・ストーリー】 遺伝子で人間の優劣がつけられる未来社会。“不適性者”のビンセントは宇宙飛行士になる夢をかなえるべく“適性者”の協力で宇宙局入りする。だが、そこに思わぬ邪魔が入り……。

【解説】 遺伝子研究の来るべき(?)未来を反映したSFドラマ。遺伝子組み替えが可能な未来世界を舞台に、不条理な社会システムに抵抗して夢に挑む若者の奔走を、スリリングに描き出す。

                    • -

LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界

【目次】
はじめに――いつまでも若々しくありたいという願い
■第1部 私たちは何を知っているのか(過去)
第1章 老化の唯一の原因――原初のサバイバル回路
第2章 弾き方を忘れたピアニスト
第3章 万人を蝕(むしば)む見えざる病気
■第2部 私たちは何を学びつつあるのか(現在)
第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法
第5章 老化を治療する薬
第6章 若く健康な未来への躍進
第7章 医療におけるイノベーション
■第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)

第8章 未来の世界はこうなる

第9章 私たちが築くべき未来
おわりに――世界を変える勇気をもとう

                    • -

『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』

デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント/著、梶山あゆみ/訳 東洋経済新報社 2020年発行

第8章 未来の世界はこうなる より

かつてないほど広がる格差

仮にあなたが1970年代のアメリカで中の上の階級に属しているとしたら、暮らし向きが豊かなだけでなく寿命も長いはずだ。当時、収入で見た場合の人口の上位半分は、下位半分より平均して1.2年長く生きていた。

ところが、21世紀に入るとこの数字は大きく上昇した。上位半分は6年も長い人生を期待できるようになったのだ。2018年の時点ではその差がさらに開き、アメリカ人の上位10%が下位10%より13年も長く生きるようになっている。

この格差がどれほどの影響をもたらすか、どんなに強調しても足りない。なにしろ、長生きをしているだけで、金持ちはもっと金持ちになっていくのである。そしてもちろん、もっと金持ちになればさらに長生きするようになる。たとえば、寿命が延びれば、同族経営の企業を取り仕切る時間が長くなる。その分、投資の結果として得られる一族の資産も指数関数的に増えていく。

その資産は事業に対してつぎ込まれるだけでない。世界トップクラスの医師(アメリカでは5人ほどの医師が金持ち御用達のようだ)、栄養アドバイザー、パーソナルトレーナー、ヨガインストラクターを雇うほか、最新の医学療法(幹細胞注射、ホルモン療法、長寿薬)を利用するのにも使われる。ということは、金持ちは健康を保ったままより長く生き、一生のあいだにより一層の富を蓄積する結果となる。これまでの例からいって、富の蓄積が好循環をもたらすのは、幸運にもその富に触れることのできる一族に対してだけだ。

しかも、富裕層が金をかける対象は自身の健康だけではない。政治にも金を惜しまない。そのことが少なからず影響して、アメリカにおける一連の税法改正では富裕層が圧倒帝に優遇されてきた。

ほとんどの国では、人が死んだときに何らかの税金がかかる。それは、財産が世代を超えて蓄積されるのを制限するためだ。
    ・
こうしたすべてが意味するのは、金持ちの家に生まれれば尋常ではなく暮らし向きが良くなるということだ。富裕層からもっと金を取るような税法改正がなされない限り、彼らはますます恵まれた状況に置かれることになる。相続する金額の面でも、ほかより断然長生きできるという面でもそうだ。

さらに忘れないでほしいのだが、老化を病気とみなす国はまだどこにもない。国の規制当局が承認していない病気に対しては、治療薬があってもその費用は保険の対象外である。たとえそれが人類のためになり、国家の利益につながるとしても、だ。すでに糖尿病でメトホルミン(カロリー制限や運動に似た効果をもたらす薬)を飲んでいるような場合は別だが、老化が病気と認定されない限り長寿薬は選ばれし者のための贅沢品だ。当然、自費で賄わねばならない。その認定がなされないうちは、老化研究の成果を手にする余裕があるのは当初はほぼ富裕層に限られる。本当の意味で医療の個別化を可能にする最先端のテクノロジー(バイオトラッキング、DNA解析、エピゲノム解析など)についても、ほとんどが同じ道をたどるだろう。いずれは価格が下がるにしても、政府が迅速に動いてくれないと、しばらくは非常に裕福な層とそれ以外とが大きな溝で隔てられることになる。

中世以降には例がないほど、もてる者ともたざる者とに分かれた世界。その世界では、特定の身分のもとに生まれる幸運に恵まれた者だけが、その他大勢より30年長く生きることができる。なぜなら彼らは、寿命を延ばす療法を受け、働き盛りの時期を長く維持し、投資に対する収益も今以上に大きくできるからだ。

1997年のSF映画ガタカが予言した世界へと、すでに私たちは不確かな一歩を踏み出している。つまり、もともとは人の生殖を助けるための技術が、「不利な条件」を排除するために使用される社会へ、だ。ただし、その道は金銭に余裕のある者だけに開かれている。安全上の問題が生じたり、未知のものにたいする反発が世界中で起きたりしない限り、この先数十年で遺伝子編集の技術はさらに進歩し、おそらくは世界中で受け入れられていくだろう。そうなれば世の親には選択肢が与えられる。生まれてくる子のゲノムを編集するのだ。そうすれば、病気へのかかりやすさを減らすことも、特定の身体的特徴を選ぶことも、さらには知的能力や運動能力を高めることまでできるようになる。
ガタカ』のなかで医師がカップルに向かって話すように、子どもに「できる限りいいスタート」を切らせてやりたいなら、金さえあればその願いは叶う。長寿遺伝子を操作することで、「できる限りいいエンディング」を迎えさせてやるのも夢ではない。遺伝子強化を受ける人間はただでさえ数々のメリットを得ることになる。おまけに、長寿薬や臓器移植や、現時点では想像もつかないような療法を利用できる財力があるわけだから、そのメリットは何倍にも膨れ上がっていく。

平等を確保する手を打たない限り、私たちは暗澹(あんたん)たる世界へと堕(お)ちていくことになるだろう。そこでは超のつく金持ちだけが、自分の子どもやペットまでをも、貧しい子どもより格段に長く生きさせることができるのだ。

そうなれば、富める者と貧しい者は経済の面だけで隔てられるのではない。人間としてのありようそのものに差が現われてくる。なにしろ、富裕層だけが進化を許され、貧困層は取り残されるのだ。

それでも……。
人間の寿命を延ばすことによって、現時点での深刻な問題の一部ださらに悪化を余儀なくされ、新たな問題までもが私たちを待ち受けているのだとしても……それでも私は未来への希望を失わない。世界をより良い方向に変える力が長寿革命にはあると、信じているからである。

なんといっても、私たちはすでに同じような経験をしてきているからだ。