じじぃの「科学・地球_357_気象の世界ハンドブック・人間による要因・気温の上昇」

Syukuro Manabe - 2015 Laureate of the Franklin Institute in Earth and Environmental Science

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2VCgLnU2-60

Three scientists have been awarded the 2021 Nobel Prize in Physics


Nobel in physics: Climate science breakthroughs earn prize

5 October 2021 BBC NEWS
●Three scientists have been awarded the 2021 Nobel Prize in Physics for their work to understand complex systems, such as the Earth's climate.
Syukuro Manabe, Klaus Hasselmann and Giorgio Parisi were announced as the winners at an event in Stockholm.
Research by Manabe and Hasselmann led to computer models of the Earth's climate that can predict the impact of global warming.
The winners will share the prize money of 10 million krona (£842,611).
It is incredibly difficult to predict the long-term behaviour of complex physical systems such as the climate. Computer models that anticipate how it will respond to rising greenhouse gas emissions have therefore been crucial for understanding global warming as a planetary emergency.
https://www.bbc.com/news/science-environment-58790160

16. How confident are scientists that Earth will warm further over the coming century?

Royal Society
https://royalsociety.org/topics-policy/projects/climate-change-evidence-causes/question-16/

『地図とデータで見る気象の世界ハンドブック』

フランソワ=マリー・ブレオン, ジル・リュノー/著、鳥取絹子/訳 原書房 2019年発行

人間が気候を妨害するとき より

1979年、気候にかんする初の国際会議で開かれて以降、世界中の気候学者が地球の気候の安定のために動員されている。1990年と1995年、2001年、2007年、2014年までの5回、気候変動に関する政府間パネルIPCC)によって発表された気候の評価報告書作成には、国際的な科学者3000人近くが参加、つねにより正確に事実を確認している。気候システムへの人間の影響は明確だ。2021年に予定されている第6次評価報告者でも、それが再評価されるだけだろう。

いっぽう、1000年単位の気候のゆれや変動を口実に反論している気候温暖化の懐疑派は、その言説を引っこめるしかなさそうだ。IPCCの第5次評価報告者では、大洋や大気が受けとって保存したエネルギーの増加において、自然の要因がほとんどかかわっていないことが明らかになっている。現在の地球のエネルギー均衡の変化は、人的活動の結果であり、おもに、二酸化炭素を排出する化石エネルギーが原因なのである。

わたしたちの知的レベルはいま、その原因を特定し、解決法を策定するまでに達している。あとは知性と意志を結集し、状況からいって避けて通れない、環境を配慮したエネルギーの移行を働きかけるだけなのである。

気温の上昇

地上の平均気温の変化は、この間の気候変化となってあらわれる。世界中に集められたデータのおかげで、この平均気温は19世紀なかばから上昇していることが確認されている。この温暖化において気候学者が特定したのは、いわゆる「温室効果」ガスが果たした役割だ。社会の産業化とともに放出量が増大したガスである。

明白な温暖化

ここに明白な数字がある。地上の平均気温は、1880-2917年のあいだに約1℃上昇し、この上昇のうち半分以上が1970年代以降である。また、危惧すべき確認事項としてあげられるのは、1850年以降においてどの30年間をとっても、先立つ30年に比べて平均気温が高くなっており、なかでもここ30年間がもっとも暑くなっていることである。同様の報告として、気温の低い(真)冬日と夜の平均数は減少し、逆に、気温の高い(真)夏日と夜の平均数は増加、ヨーロッパやアジア、オーストラリアを襲った熱波の回数も増えている。実際、1988年から2017年は、北半球がすくなくとも2000年前から体験したなかで、もっとも暑い30年となっている。
いっぽう、海と大洋は地球の表面の70パーセント近くを占めている。大気の気温上昇は、陸上のほうが海面上より高いのだが、それは海水がそれ以上に熱を吸収しているからである。もっとも注目すべき変化を確認できるのは、海水面と深度75メートルまでの上層部で、水温は1971-2010年のあいだに0.11℃高くなっている。この間に大洋は、地上に集積されたエネルギーの90パーセントを吸収したと算定される。

人的活動のフットプリント(足跡)

産業革命以前、気温の変化は自然要因(火山の爆発、太陽の変化など)によるものだった。ところが1850年以降、観察された変化は、人的活動を計算に入れないと説明できないものになっている。
2014年に発表された最新の第5次評価報告書で、気候変動に関する政府間パネルIPCC)が、「きわめて可能性が高い」――つまり95パーセント以上の確信――こととして認めているのは、20世紀なかば以降に記録された気温上昇は、人間が発する温室効果ガスの集積によるものだということだ。この確信は、2007年に発表されたその前の第4次評価報告書では90パーセントだった。

もしわたしたちが、このまま温室効果ガスの放出を増大させつづければ、2100年には平均気温の上昇は4.8℃に達するだろう。