じじぃの「地球温暖化の予測の先駆者・2021年・ノーベル物理学賞に真鍋淑郎氏!ひるおび」

【解説】60年代から"地球温暖化"を研究 ノーベル物理学賞・真鍋さんの研究のすごさとは?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5L8ylvzfiog

ひるおび!

2021年10月6日 TBS
【レギュラー出演】恵俊彰江藤愛八代英輝朝日奈央、若林有子、小笠原亘小森谷徹伊藤隆太、日比麻音子、久保井朝美、伊藤聡子、森朗、宇内梨沙、駒田健吾、小沢光葵 【ゲスト】神沢博(名古屋大学名誉教授 中継)、原晋(青山学院大学陸上競技部監督)

ノーベル物理学賞】真鍋淑郎氏が受賞 “地球温暖化研究の先駆者”

●栄誉 ノーベル物理学賞に真鍋淑郎・地球温暖化の予測法開発
今年のノーベル物理学賞に米国・プリンストン大学上席研究員・真鍋淑郎、ドイツ人のクラウス・ハッセルマン教授(真鍋氏の理論を発展させた)、イタリア人のジョルジュ・パリージ教授(物理システムにおける不規則性と揺らぎの相互作用を研究)の3人が選ばれた。
真鍋淑郎氏は、二酸化炭素(CO2)の上昇が大気や海洋に及ぼす影響を世界に先駆けて研究し、地球温暖化予測の基盤を築いた。
研究のきっかけについて。
真鍋淑郎氏、「好奇心でです。それからスタートした。でももとはといえば、今毎日の生活に必要不可欠になっている天気予報のモデルです」
●快挙 地球温暖化の予測の先駆者・物理学賞に真鍋淑郎(90)
気候温暖化対策を巡る主な動き。
1988年、「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」設立。
2005年、先進国に温室効果ガスの削減義務を課した国際枠組み「京都議定書」発効。
2007年、IPCC第4次評価報告書で「人間活動が温暖化をもたらした可能性が非常に高い」と指摘。
2016年、先進国のみならず世界各国に削減を求める国際枠組み「パリ協定」発効。
2021年、IPCC第6次評価報告書で地球温暖化について、「人間活動の影響は疑う余地がない」と断定。
真鍋淑郎氏ら3人がノーベル物理学賞受賞。
スウェーデン王立科学アカデミーは、真鍋淑郎氏の研究について、「二酸化炭素の増加量が地表の気温上昇にどのようにつながっているかを明らかにした」と評価。
真鍋淑郎氏らへの受賞理由について、スウェーデン王立科学アカデミー担当者は、「気候モデルは物理学にのっとった分析だ。地球温暖化の概念は確かな科学に基づく。それが(世界の政治家への)メッセージだ」と語った。
理論は、大気が熱の放出を防ぐことで地球全体の気温が上がる「温室効果」、この現象そのものは200年前から知られていた。
1967年真鍋淑郎氏が二酸化炭素濃度が2倍になったとき、地表付近の温度が2℃以上上がるとする論文を発表。
●解説 気候研究では異例の受賞・真鍋淑郎の予測“ココが凄い”
真鍋淑郎氏は、地球温暖化による未来の気候がどうなるかという予測シミュレーションの基礎を築いた。
【ステップ1】大気と気温のメカニズムを解明。
プリミティブ方程式の一例を紹介。
1967年、シミュレーション結果発表→二酸化炭素が2倍になると、地上気温が2.36℃上昇。
【ステップ2】大気だけでなく海洋の影響も加えた気候予測シミュレーションを作成。
1969年、大気海洋結合モデルを世界で初めて発表。
コンピューター上に仮想の地球を作成 → 地球をマス目に区切り地域を細分化 → マス目ごとの大気や海洋の流れを計算 → 各地域の気候の特性を加味した詳細な未来の気候がマス目ごとに出る。
●功績 “温暖化研究の父”真鍋淑郎・物理学賞受賞までの歩み
ノーベル物理学賞受賞までの道のり。
1931年、愛媛県生まれ。
1958年、東京大学大学院博士課程修了、米国海洋大気局に招かれ渡米。
二酸化炭素濃度の上昇が大気などに及ぼす影響を世界に先駆けて研究。
1967年、大気の運動と気温との関係を定めるモデルを開発し、「二酸化炭素が2倍に増えると地上気温が2.36度上昇する」との予測を明らかにする。
1997年の取材で。
真鍋淑郎氏、「その頃は反響はあまりない。誰も温暖化の心配をしていたわけでもないし、環境問題として温暖化というものがその頃存在していなかった」
1977年、世界最大最高速(当時)のコンピュータ-を利用しての真鍋淑郎氏の大循環モデルによる解説。

1990年、国連の「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」の報告書が出版 → 真鍋淑郎氏の論文が大きく引用され注目を集める。

のちに、国連気候変動枠組み条約、京都議定書、パリ協定など世界の温暖化対策を大きく進める政策に繋がる。

1997年、日本に帰国し、科学技術庁(当時)の地球温暖化研究チームを率いる。
2001年、米国に戻る。
2021年、ノーベル物理学賞受賞、現在は米国国籍。
米東部ニュージャージ州の自宅で、日本からの取材に応じた。
取材スタッフ、「60年以上研究を続けてきた。困難があったときにどう克服したか」
真鍋淑郎氏、「困難を乗り越えるというのは、あんまりですね。結局、気候変動の問題を研究するのが楽しくて仕方がなかったので、まぁ、困難はあったかもしれんけど、非常に面白い人生だと思っています」
取材スタッフ、「家族と受賞について話をしたか」
真鍋淑郎氏、「もう、うちの奥様がサポートしてくれなければ、こういう研究は絶対にできなかったと思います。家のいろんなこと、子供の教育、本当に素晴らしい貢献をしてくれたので、感謝以外の何もない。非常に喜んでくれました。こんな賞をもらうとは思っていなかったと思います」
取材スタッフ、「日本の若者に対しては」
真鍋淑郎氏、「研究費を取るには、実用的なものを選ぶことになっているが、研究の醍醐味(だいごみ)は好奇心。なぜこういうことが起きるのか、という研究がいいのではないか」
https://www.tbs.co.jp/hiru-obi/

『地球46億年 気候大変動 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来』

横山祐典/著 ブルーバックス 2018年発行

エピローグ より

2018年4月、ネイチャーに2つの論文が掲載された。著者は、ドイツのポツダム気候影響研究所を中心としたグループと、イギリス・アメリカ・カナダの国際研究チーム。両者は独立した研究グループだが、奇しくも、いずれも北大西洋の海洋熱塩循環が弱くなっているという趣旨のレポートだった。
第9章で説明したとおり、北太平洋グリーンランド沖にはアマゾン川のおよそ100倍の量の海水が深海に沈み込むポイントがあり、そこからおよそ1000年で世界を1周する「熱塩循環」が始まる。この大循環は、赤道など低緯度、中緯度帯で生じた余剰の熱を寒冷な高緯度帯に運び、グローバルでマイルドな気候を保つ役割を保つ役割を果たしてきた。
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注目すべきは、両チームともその原因としてグリーンランド氷床の融解にともなう塩分低下をあげていることだ。融け出した氷からもたらされた淡水により、北大西洋の表層水塩分が低下することで、深層水の形成が弱まっているというのだ。
第10章で説明したハインリッヒイベントでは、地球の寒冷化によって巨大氷床が崩壊したことがさらなる寒冷化を誘発したが、今回観測された熱塩循環の弱化は、地球の温暖化によりグリーンランド氷床が融けたことが原因になっているという点で大きな違いがある。
ヤンガードライアスやハインリッヒイベントの場合は、熱塩循環の弱化は寒冷化の引き金となったが、現在進行している熱塩循環の弱化も同様に寒冷化につながるのだろうか・長期間、熱塩循環の弱化が続くかといかは論文を発表した研究グループでも見解が分かれているところだ。そのまま寒冷化に移行し、氷期に突入するのではという危惧もあるが、それを否定する考えもある。仮に熱塩循環の弱化が今後も続き、周辺の寒冷化が一時的に起こったとしても氷床融解にブレーキがかかることで、淡水流入の制限がかかり、深層に向かう海流の動きが活発になることで、一転して熱塩循環の強化が起こる可能性もある。
それにしても、熱塩循環の弱化がすでに起きているにもかかわらず、地球は寒冷化どころか温暖化が進行しているのは不可解にもみえる。前述の熱塩循環の弱化を発表した論文では、一見寒冷化とは逆の現象が起こっているのは、二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの影響が思いのほか大きく、熱塩循環の弱化がもたらす寒冷化の効果を打ち消している可能性があると指摘している。仮にこの分析が正しいとすると、人為起源の温室効果ガスは、地球に内在する「気候平準化」のフィードバック機構を無効化するほど深刻なレベルにあることになる。
地球温暖化問題については、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が現状の温室効果ガスの排出が同じペースで続くと、地球の平均気温は今後10年あたり0.2℃ペースで上昇を続けて、2040年ごろには産業革命前と比べて1.5℃高くなると予測、地域によっては気温が5℃以上上昇し、豪雨や洪水、高潮などの水害が発生するリスクが高まり、海面上昇による生態系への被害が広がると警告している。一方で、地球温暖化は懸念されるほど深刻なものにはならず、むしろ地球は寒冷化に向かうと主張するグループも少数ながら存在する。
はたして、これから地球は温暖化に向かうのか、それとも一転寒冷化に進むのだろうか。

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どうでもいい、じじぃの日記。
2019年12月4日、アフガニスタンで長年、現地住民の生活環境の改善に尽くした日本人医師の中村哲さん(73)が、現地で銃撃され死亡した。
その後、アフガニスタンの首都カブールで、中村哲さんを描いた壁画が白く塗りつぶされていたことが分かった。
2021年 今年のノーベル物理学賞に、気候学者の真鍋淑郎さん(90)が選ばれた。
いち早く温室効果ガスに注目し、地球温暖化の予測モデルを切り開いた研究が高く評価された。
アフガニスタンで亡くなった中村哲さんは、アフガニスタンの人々に勇気と希望を与えた。
ノーベル物理学賞の真鍋淑郎さんは、今世界規模で問題になっている温暖化予測の先駆者だ。
中村哲さんと真鍋淑郎さんでは規模が違うが、その貢献の大きさに変わりがない。
気候変動政府間パネル(IPCC)の本部に、中村哲さん、真鍋淑郎さん2人の銅像を建てようではないか。