じじぃの「科学・地球_356_気象の世界ハンドブック・気候を妨害する自然要因」

エルニーニョ現象ラニーニャ現象 入試で問われるのは考える力

2018年7月31日 中学受験ナビ
エルニーニョ現象と日本への影響
エルニーニョ現象とは、南米のペルー沖の海水の温度が上昇する気象現象です。数年に1度の頻度で発生しています。
さて、ここからが本題です。このエルニーニョ現象が発生する原因はなんでしょうか? そしてこの現象が発生した結果、何が起こるでしょうか?
https://katekyo.mynavi.jp/juken/7209

『地図とデータで見る気象の世界ハンドブック』

フランソワ=マリー・ブレオン, ジル・リュノー/著、鳥取絹子/訳 原書房 2019年発行

気候の働き より

気候――大気の低層部で、持続して支配的な気象条件の統計として定義される――とは、数百万年以来、太陽の日射や地表が発する熱放射、大気中の化学物質と大気の循環、海流、風。植物の光合成などが、地球の自転や大陸の移動、火山の爆発、隕石の落下などで乱される、力学的均衡の働きにある。

水と炭素の循環は、すべてがオーケストラのように、非常に異なる時間的スパンで、4つの自然のあいだでの組織的な交換によって行われいる。4つとは、生物圏(植物、動物など生物全体)、岩石圏(陸地および海域の表土層と底土)[リソスフェア。地球表層部の地殻と岩盤をあわせた総称]、水圏(海、太陽、湖、川)、大気圏である。大気圏の大量の空気と、大洋の大量の水の循環は、エネルギーを過剰な地域から不足する地域へ、とくに熱帯地方から極地方へと運搬する役をになっている。

気候を妨害する自然要因

気候は、つねに動きつつ気候を特徴づけるさまざま異なる要因どうしの均衡があらわれたものである。炭素交換、太陽光の変化、アルベド効果[雪や氷が太陽の光を反射すること]、大気の循環、温室効果ガス(GHG)の濃度、風、火山の爆発、隕石、太陽活動、海流などである。

突発する破壊的かく乱

気候は数千年単位で変化する。とくに変化を左右するのが、大気中の温室効果ガスの濃度(地球のエネルギー均衡への影響とともに)と、地球上の一部でのアルベド効果の変化である。また、すでに述べたほかの自然要因の影響によっても変化する。大気の循環、地球の自転、海流、大陸移動などだ。いっぽう、予測不能で、モデル化がむずかしい妨害要因の部類に入るのが、地球の起源と結びつく2つの要因、火山と隕石である。
火山の爆発では、大気中にガス、とくに二酸化硫黄と、大量の火山灰が放出され、火山灰は高度数十キロメートルまで噴きあげられたことがある。火山から噴出した粒子はその後、大気の循環により、数ヵ月で地球全体に分散。それから数年かけて徐々に地上に落ちていく。ちなみにこれらの粒子は、人的活動によって放出された粒子よりも長く大気中にとどまっている。というのも、より上空の、大気を浄化する降雨より上に位置しているからである。これらの粒子によるおもな影響は、太陽光線の一部を宇宙に反射することが、噴火の規模によっては気温が下がり、寒くなることがある。

たとえば1991年、20世紀最大の大噴火といわれたフィリピンのビナトゥボ火山の噴火では、2000万トンの二酸化硫黄が高度20キロメートルまで噴出し、ほぼ2年間にわたって、大気の気温が平均0.6℃低下した。

大きな隕石の落下は、大規模な火山の爆発に比べればきわめてまれな出来事なんだが、気候を長期間にわたって急変させることがある。結果として、生物圏に深刻なダメージをあたえ、炭素と水の循環の役割をはたせなくなる。また、隕石による衝撃はが直径数10キロの範囲におよび、大量の熱で火災が発生するうえ、大気中に放出されたほこりが何ヵ月も太陽光線を遮断して、「衝撃の冬」を引き起こすこともある。そうなると、光合成が行われなくなり、結果として植物ー草食動物ー肉食動物の食糧チェーンが崩壊、多くの種が消滅することになる。
ちなみに、もっとも近年の巨大な隕石による衝撃の痕跡(メキシコのチクシェループ・クレーター。直径180キロメートル)は6500万年前にさかのぼる。それによって生じた結果は生物圏に甚大な損害をもたらし、白亜紀の大量絶滅期[5番目の「大量絶滅期」]の原因
――いまや認められている――となった。このとき地球の生物種の50パーセントが絶滅、なかには恐竜もふくまれていた。

エルニーニョ

エルニーニョは、大気と太平洋の相互関係の結果として生じる現象である。通常は、貿易風が大洋を東から西へと押し流し、海水は徐々に温かくなる。この循環によって、深海部の水が南アメリカの沿岸にそって上層部にあがってくる。この冷たい海水は魚にとって好条件、したがってそこは絶好の漁場となる。この循環は、不定期な間隔でペースが落ち、その結果、大洋の水温に重大な結果をもたらすことになる。

太陽活動

太陽のエネルギーは、その中心で行われる熱核融合によって生じるもので、中心の温度は1000万℃を超えるのだが、表面の温度はわずか6000℃ぐらいである。太陽活動の周期は11年で、それは表面の黒点の数の変化となってあらわれる。黒点は、大洋の磁場が強くなった部分である。しかし、太陽から放出されるエネルギー流束は、この周期のあいだで0.1パーセントしか変化しないのに対し、紫外線の放出は大きく変化する。気候へのインパクトはそれほどでもないのだが、しかし、成層圏オゾン層には影響をおよぼしている。
過去の観察で明らかなのは、太陽活動が17世紀と18世紀は静かだったことで、一部の専門家のあいだでは、これが当時のヨーロッパを襲った「小氷期」の原因と考えられている。