じじぃの「科学夜話・なぜ深海魚は水圧に押しつぶされないのか?面白い雑学」

[NHKスペシャル] 大発見!世界最深部の魚マリアナスネイルフィッシュ | 超深海 地球最深(フルデプス)への挑戦 | ディープオーシャン | NHK

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=1YiYPS6MzOo

超高圧でもつぶれないのはなぜ?


NHKスペシャル 世界“最深”の魚の撮影に成功、その舞台裏に迫る!

2023.04.12 NHK
日本近海の海底には海溝と呼ばれる、深い谷がいくつも存在する。その深さは1万メートル近くに達する場所もある。あのエベレスト山がすっぽりと納まるほどだ。

水深6000メートルを超える海溝の内部は「超深海」と呼ばれ、日本の有人深海調査船「しんかい6500」でも、わずかな領域しか探査できない。
このため、どんな生物が生息しているのか、実態は十分には分かっていなかった。
今回結集したのは、日本に加え、オーストラリア、アメリカなどの国々の科学者、技術者らで、生物学、地質学など深海調査のエキスパートたちだ。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2023/04/story/deepsea/

【謎だらけの深海生物】超高圧でもつぶれないのはなぜ? 猛毒の餌でも平気って本当?

2022.05.27 gendai.media
深海魚の最大深度
山根 ところで、相模湾初島沖の深度約1200m、鳩間海丘の深度約1500mは、もし私が潜水船の外へ出れば即死する高い水圧の世界です。しかし深海生物は超高圧でも平気なのが不思議でした。
窪川 深海で生物が高圧でつぶされずに生きられることは、大きな謎です。
   
深海魚の耐超高圧メカニズム
窪川 深海魚の細胞膜には、耐超高圧メカニズムが備わっています。水深8200mの圧力はそのメカニズムが機能する限界なんでしょうね。

深海魚の細胞膜の脂質は、常温では液体であり不飽和率が高いため、流動性が高い。そのおかげで、圧力を受け脂質の並びが多少乱れても、それを整列させ細胞膜の機能を維持できると考えられています。さらに敏感な圧力センサーがあり、圧力に応じて脂質に「整列しろ!」という指令が出ることもわかっています。

山根 その原理、深海調査船の構造に応用できるかも……。タンパク質の立体構造の方はどうなんですか?
窪川 それも壊れないようにするしくみとして、TMAO(トリチルアミン-N-オキシド)の研究が進んでいます。腐った魚の生臭さはTMAOの分解物が原因なんですが、TMAOはいわば「タンパク質安定装置」です。

細胞が圧力を受けると、水分子がタンパク質(酵素)の立体構造のすきまに押し入ってきます。それをTMAOが防ぐのです。高い圧力を受けるとTMAOが増えて水分子をがっちり捕らえ、タンパク質の立体構造を守ることがわかってきたんですよ。
https://gendai.media/articles/-/95213?page=3

『科学・考えもしなかった41の素朴な疑問』

松森靖夫/編著 ブルーバックス 2008年発行

なぜ深海魚は水圧に押しつぶされないの?

空気と水の性質の違い
発泡スチロールでできたカップめんの容器を水に沈めていくと、だんだん小さくなります。
カップめんの容器が小さくなるのは、容器の素材に含まれる気体の体積が水圧によって小さくなるためです。水面での圧力を1気圧とすると、約10m潜るごとに周囲の圧力は1気圧ずつ増えますので、深さ約10mの圧力は2気圧となります。気体には温度が一定ならば、「体積と圧力の積は一定」という性質があるので、圧力が2倍になれば気体の体積は半分になります。

しかし、スキューバダイビングで10mほど潜ったら体の大きさが半分になってしまってしまった、などという話は聞いたことがありません。これはいったいどういうことでしょうか。

人間をはじめとする生物の体は水で満たされています。空気と比べて水は、加えた力に対して伸びたり縮んだりする度合いがずっと小さいのです。『理科年表』に記された水の圧縮率をもとに計算してみますと、深さ1000mの海底で、100気圧くらいの圧力がかかったときでも、水の体積はわずか0.4%程度減少するだけです。

素材に空気を含むカップめんの容器は深海で小さく押しつぶされますが、水で満たされた生物たちの体が深海で押しつぶされることはありません。

深海魚の工夫
魚の水にすむ動物です。魚の体の密度と水の密度が釣り合っていないと、じっとしていると底まえ沈むか、水面まで浮くかしてしまいます。ある深度を保つために、いつもエネルギーを使って泳ぎ続けなければなりません。

そんなエネルギーのロスは魚にとってありがたいことではありません。筋肉や骨の密度は水の密度よりも高いので、ウキブクロをもつ魚(有鰾漁、ゆうひょうぎょ)は、そこに気体を満たすことによって、体全体の平均の密度を環境の密度に近づけているのです。

深海生物研究の最前線
しかし、ここまでのような高等学校の物理の時間に学習する議論で深海の生物を考えることができるのは、せいぜい1000~2000m程度の深さまでのことです。これ以上深いところになると、水の圧力は、細胞や細胞をつくる分子に直接影響を及ぼすようになります。

ヒトやネズミの細胞を培養して300気圧(海ではおよそ3000mの深さの圧力)にさらすと、細胞の形が変形して球状になります。さらに圧力を加え続けると細胞は死んでしまいます。
細胞の形を維持する細胞骨格はアクチンというタンパク質でできていますが、アクチンの並び方を観察すると、200気圧で乱れ始め、600気圧で構造そのものが壊れてしまうそうです。圧力が体をつくる細胞や分子に直接影響を及ぼす例です。つまり、私たちと同じような性質を細胞でできた生物は、3000mを超えるような深海では生きていけないということです。

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じじぃの日記。

少し古い本だが、松森靖夫編著『科学・考えもしなかった41の素朴な疑問』に「なぜ深海魚は水圧に押しつぶされないの?」があった。

「ヒトやネズミの細胞を培養して300気圧(海ではおよそ3000mの深さの圧力)にさらすと、細胞の形が変形して球状になります。さらに圧力を加え続けると細胞は死んでしまいます」

それでも、深海には生物がうようよいる。

前にも、こんなことを書いたなあ。 (^^;;