じじぃの「カオス・地球_377_世界はなぜ月をめざすのか・終章・100年後の月の風景」

JAXAH3ロケットと小型月着陸実証機(SLIM)の両プロジェクトマネージャが盛山大臣を表敬訪問

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2zCEuP-IY9c

月周回有人拠点「ゲートウェイ」と新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」


月面着陸に成功したJAXAが描く「将来の月探査計画」を一挙ご紹介!!H3ロケットも大活躍!?

2024/1/21 Yahoo!ニュース
実は月の南極には永久に日光が当たらない日陰の部分があり、氷が豊富に存在する可能性が高いのです。もし氷を見つけられれば、すなわち電気分解により酸素と水素を手に入れられます。これはロケットの推進薬にも使用でき、月は補給基地として大きな役割を果たせるのです。そのため、「アルテミス計画」でも南極は将来の月面基地の候補になっており、将来的に月は火星への中継地点としても注目されています。

そしてこのLUPEX、日本とインドとの間で役割が分かれています。まず、地球からの出発は日本の新型ロケット「H3」で打ち上げを行います。その中にはインドが開発する月着陸機が搭載されており、月の南極付近のクレータへの着陸に挑戦します。ちなみにインドは、2023年8月23日に無人着陸機「チャンドラヤーン3号」により、インドとして初の月着陸にも成功しています。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e4e7d2748d05b716edaf2242a9a3912336c9af02

世界はなぜ月をめざすのか

【目次】
はじめに
序章 月探査のブーム、ふたたび到来!
第1章 人類の次のフロンティアは月である
第2章 今夜の月が違って見えるはなし
第3章 月がわかる「8つの地形」を見にいこう
第4章 これだけは知っておきたい「月科学の基礎知識」
第5章 「かぐや」があげた画期的な成果
第6章 月の「資源」をどう利用するか
第7章 「月以前」「月以後」のフロンティア
第8章 今後の月科学の大発見を予想する
第9章 宇宙開発における日本の役割とは

終章 月と地球と人類の未来

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『世界はなぜ月をめざすのか』

佐伯和人/著 ブルーバックス 2014年発行

アメリカのアポロ計画が終了してから40年余――その間、人類は月に行っていません。
人々のあいだにはいつしか「いまさら月になど行く必要はない」という認識さえ広まってきています。
しかし、それは月での優位を独占しようとするアメリカの広報戦略にはまっているにすぎません。
じつは世界ではいま、アメリカ、中国、ロシアなどを中心に、月の探査・開発をめぐって激しい競争が水面下で始まっています。30~40年後には、月面基地が完成するともみられているのです。

終章 月と地球と人類の未来 より

100年後の月の風景

100年後の月には、どのような景色が広がっているでしょうか。私がふくらませている想像を、ここで紹介してみましょう。

そのころ月は、次のフロンティアである火星や小惑星へと向かう最前線基地となっているはずです。現在の南極大陸の基地に行くような感覚で、研究者や技術者は雨季へ向かうでしょう。滞在の目的は、科学観測と資源採掘です。科学観測の中には、月そのものの研究だけでなく、地球観測や天文観測も含まれます。月の永久影地域では、基地の人口を支えるために、そして、火星行きロケットの燃料をつくるために、氷が採掘されます。

月の表面の各所には、レゴリスからつくった巨大な太陽電池パネル群が設置され、月基地のエネルギーを支えています。それらは地球からも小望遠鏡で観測できることでしょう。

月の表側と裏側の上空には、地球と月の重力の関係から、物体が安定してとどまっていられるラグランジュポイントという場所があります。ラグランジュポイントには資源となる小惑星が持ち込まれ、月基地や火星ロケットのための原料が採掘されていることでしょう。また、ラグランジュポイントには巨大な宇宙ステーションが建設され、国際宇宙ステーションに代わる施設として、微小重力環境でのさまざまな研究課題が実施されていることでしょう。大型火星ロケットも、打ち上げ負荷の少ないラグランジュポイントで建造されることでしょう。

観光客はいるでしょうか。いつの時代も冒険鋤はいるものですから、みずからの足で月面を歩きたいという目的で月を訪れる人も多数いるに違いありません。観光業はもっぱら民間企業によって振興されていることでしょう。ただ、この時代になると、現地に行く以外の観光方法もあります。月面で活動するロボットが知覚した情報を、地球の人間にリアルに伝える技術がとっくの昔に確立しているはずです。電波が届くまでの1秒強のタイムラグによる違和感は残りますが、人類は地球にいながらにして、月面にいるかのように感じる「旅行」を楽しめるようになるでしょう。月面での科学的・技術的作業も、可能なかぎりロボットがすべておこないます。

ただ、月の先のフロンティアである火星や小惑星をめざす者たちは、仮想旅行では満足しません。月の大地にみずからの足でしっかりと立ち、次の目標の星を見すえているはずです。

さて、みなさんは、100年後の月世界をどのように想像しますか?