じじぃの「カオス・地球_373_世界はなぜ月をめざすのか・第5章・マグマの大移動」

Collisions of the Early Solar System [4K]

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https://www.youtube.com/watch?v=5cw0dO5RF-8

【中国のロケットが月に衝突!?】SpaceXのファルコン9ロケットは誤報、中国の月探査「嫦娥計画」と長征ロケット、月の砂のサンプルリターン!月面の植物育成実験、世界初!月裏側に着陸

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嫦娥6号 月面の物質「サンプルリターン」成功


中国が月の裏側からのサンプルリターンに世界初の成功、嫦娥6号と中国の将来月面開発計画を解説

2024.6.25 Yahoo!ニュース
嫦娥6号は5月3日に長征5号ロケットで打ち上げられ、5月8日に月周回軌道へ投入されました。嫦娥6号は、軌道船と帰還船、着陸船と離陸船の4つから構成されています。軌道船と帰還船は月周回軌道上で待機し、着陸船と離陸船が月面に着陸します。そして、6月2日7時23分(日本時間)に月の着陸に成功した嫦娥6号からの画像 出典:CNSA裏側に位置する南極のアポロ・クレーターへの着陸に成功しました。

嫦娥6号の着陸船は、ドリルで土を掘る方式と、ロボットアームで砂をかき取る二つの方式で、月の土壌を収集します。サンプル収集装置以外にも、中国に限らず、イタリアの再帰反射器や、ESAスウェーデンが開発した月面負イオン検出器、フランスのラドン検出器など様々な国のペイロードが搭載されています。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/698ba908146c05e265d96f81f26c32b990751dab

月は地球のマグマオーシャンからできた

2019年11月 計算科学の世界
地球を回る月はどのようにできたのでしょう?原始地球に別の天体が衝突して形成されたという巨大衝突説が有力ですが、月と地球の同位体比がよく似ているという観測結果とは矛盾しています。
細野さんたちは、原始地球にマグマオーシャンの存在を想定すると、この矛盾が解消されることをシミュレーションで示しました。
新たに開発されたシミュレーション法は、津波の予測にも役立ちます。
https://www.r-ccs.riken.jp/newsletter/201911/interview.html

世界はなぜ月をめざすのか

【目次】
はじめに
序章 月探査のブーム、ふたたび到来!
第1章 人類の次のフロンティアは月である
第2章 今夜の月が違って見えるはなし
第3章 月がわかる「8つの地形」を見にいこう
第4章 これだけは知っておきたい「月科学の基礎知識」

第5章 「かぐや」があげた画期的な成果

第6章 月の「資源」をどう利用するか
第7章 「月以前」「月以後」のフロンティア
第8章 今後の月科学の大発見を予想する
第9章 宇宙開発における日本の役割とは
終章 月と地球と人類の未来

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『世界はなぜ月をめざすのか』

佐伯和人/著 ブルーバックス 2014年発行

アメリカのアポロ計画が終了してから40年余――その間、人類は月に行っていません。
人々のあいだにはいつしか「いまさら月になど行く必要はない」という認識さえ広まってきています。
しかし、それは月での優位を独占しようとするアメリカの広報戦略にはまっているにすぎません。
じつは世界ではいま、アメリカ、中国、ロシアなどを中心に、月の探査・開発をめぐって激しい競争が水面下で始まっています。30~40年後には、月面基地が完成するともみられているのです。

第5章 「かぐや」があげた画期的な成果 より

高純度斜長岩の発見で深まる謎

すでにお話ししたように、月の地殻の主成分となっている鉱物は斜長岩です。
斜長岩が集まった斜長岩地殻があることが月の特徴であり、マグマオーシャン仮説の重要な根拠となっていますが、斜長岩をうまくマグマから分離して浮上させるしくみは、じつはよくわかっていません。地殻の斜長岩の成分をくわしく調べることが、そのしくみを解明する鍵となるはずでしたが、「かぐや」が高純度斜長岩という岩石を発見したことで、さらにわけがわからなくなってきたのです。

斜長石には、微量元素として重量の0.5%前後の鉄が入っていることがあります。この鉄が、太陽光に含まれる波長1.2μm付近の赤外線を、少し吸収します。この吸収は、斜長石が鉄を主成分とするほかの鉱物と共存していると、その鉱物の鉄による1μm付近の強い吸収にかき消されて、見えなくなります。見えてくるのは、斜長石の含有量が体積の98%以上なくてはなりません。

この性質を利用して、大竹真紀子博士らは月表面のあちこちに、高純度の斜長岩(ほとんど斜長石でできた岩)が存在することを示しました。もともと体積にして90%程度の斜長石を含む斜長岩ですら、マグマの海からの斜長石の浮上でつくるのは難しいと考えられていました。斜長石が浮き上がるときに、どうしてもまわりのマグマを鉱物のすきまに取り込んでしまうため、斜長石だけを集めることはできないからです。

高純度な斜長岩が見つかったことは、斜長石の粒のすきまからマグマを絞り出す、何らかのしくみが働いていることを意味します。斜長石がマグマの海から浮き上がる過程は、私たちが考えるよりも、もっと複雑なもののようです。月の謎がさらに深まりました。高純度斜長岩がどのような岩石組織をもっているのか、ぜひ資料を地球に持ち帰って分析してみたいものです。

奇想天外! 「マグマの大移動」仮説

月の地殻が、表は薄く、裏は厚いということはアポロ時代からわかっていました。しかし、なぜ厚さに差ができたのかということは、まだよくわかっていません。人類は月の裏側にはまだ着陸していないので、裏側の情報をあまりもっていないのです。

備考. 中国が打ち上げた無人探査機「嫦娥(じょうが)4号」が中国時間2019年1月3日、世界で初めて月の裏側に着陸した)

大竹博士らのグループは、高地の斜長岩に含まれている輝石に着目しました。さきほど述べたように、斜長岩ができるときに、斜長石に少量のマグマを取り込んで集まっているはずです。そして、高純度斜長石の高地岩石には、取り込んだマグマが固まるときに出てきた輝石が含まれているはずです。この輝石の化学組成を推定することで。表と裏のマグマの化学組成について情報が得られないかと考えました。

具体的には、鉄が吸収する赤外線の波長の変化から、輝石に入っているマグネシウム(Mg)と鉄(Fe)の割合を調べて、Mg /(Mg+Fe)という計算の値、すなわち、輝石の中で鉄とマグネシウムの両方が入りうる場所に、マグネシウムが占めている割合を計算しました。すると、マグネシウムの濃度は裏の高地のほうが濃く、表の高地は薄いことがわかったのです。これは何を意味するのでしょうか。
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しかし、マグマが裏から表」へ、月をぐるりと移動する、という現象が本当にありえるのでしょうか。ありえるとすれば、月に限らず、地球や火星や金星など固体天体の形成初期は、私たちの想像を超えるダイナミックなものだったのかもしれません。
たしかに、そんなマグマの大移動が起こるのであれば、表側に海が集中していることや、熱源となる放射性元素が濃集されていることも説明ができます。放射性元素は鉱物よりもマグマに集まりやすい元素です。放射性元素がマグマとともに表側に集まれば、月のマントルを溶かして海の玄武岩をつくるための十分な熱エネルギーを得ることができます。表に海が多い理由は、そのせいかもしれません。