アルテミス計画
【記者解説】日本人が月へ!アルテミス計画で貴重な“水”を見つけられるのか?その先に“火星定住”も…
2024年4月11日 日テレNEWS
■「アルテミス計画」…「アポロ計画」以来半世紀ぶりに人類は月へ
末岡寛雄支局長
「『アルテミス計画』というのは、アメリカと日本と、それからEU(=ヨーロッパ連合)などが中心になって共同で進めている、有人月面探査ミッションのことを言います。長期滞在できる拠点を月に建設して、そこで水などの資源を開発することというのがその目的のうちの一つです」
「計画が3段階に分かれておりまして、第1段階として、既に2022年に無人の宇宙船を打ち上げて、月をぐるっと周回して、地球に帰ってきたんです」
「第2段階としては、2025年の9月に有人で月の周りを飛行して、それから第3段階として2026年の9月以降、人を乗せての月への着陸を目指しています」
「さらにこの計画では、月だけではなくて、その後、月から火星に人を送って、最終的には火星に人が定住することを目指すという壮大な目標があり、ここに日本人が入るということになったんですよね」
https://news.ntv.co.jp/category/international/02131bb2755f469f81b644d54984105a
世界はなぜ月をめざすのか
【目次】
はじめに
序章 月探査のブーム、ふたたび到来!
第1章 人類の次のフロンティアは月である
第2章 今夜の月が違って見えるはなし
第3章 月がわかる「8つの地形」を見にいこう
第4章 これだけは知っておきたい「月科学の基礎知識」
第5章 「かぐや」があげた画期的な成果
第6章 月の「資源」をどう利用するか
第7章 「月以前」「月以後」のフロンティア
第8章 今後の月科学の大発見を予想する
第9章 宇宙開発における日本の役割とは
終章 月と地球と人類の未来
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『世界はなぜ月をめざすのか』
佐伯和人/著 ブルーバックス 2014年発行
アメリカのアポロ計画が終了してから40年余――その間、人類は月に行っていません。
人々のあいだにはいつしか「いまさら月になど行く必要はない」という認識さえ広まってきています。
しかし、それは月での優位を独占しようとするアメリカの広報戦略にはまっているにすぎません。
じつは世界ではいま、アメリカ、中国、ロシアなどを中心に、月の探査・開発をめぐって激しい競争が水面下で始まっています。30~40年後には、月面基地が完成するともみられているのです。
第7章 「月以前」「月以後」のフロンティア より
月をステップとして火星・小惑星をめざす時代へ
月というフロンティアを開拓したあとには、月をステップとして、火星や小惑星をフロンティアとする時代がやってくるでしょう。早ければ15年後あたりから、遅くとも50年後までにはそのような時代の幕が開きはじめているはずです。
月は、人類が宇宙に出て行く最初のステップとしては、大変重要な位置にあります。海外旅行に行くときの、成田空港や関西空港のような位置づけです。しかし、月に何万人もの人々が生活する都市ができるかというと、それはすぐには難しいでしょう。
大きな人口を支える都市の建設をはじめるとすれば、月よりも火星のほうがはるかに有利です。
地球の100分の1未満の気圧とはいえ大気があること、そして、火星の極地方や地下には二酸化炭素や水が凍った氷が存在することがその理由です。人間だけでなく食用の動植物が生きていくためには大量の水が必要ですし、植物を増やすためには大量の二酸化炭素が必要です。火星にはメタンも存在しているようなので、植物に酸素をつくってもらえれば、メタンを燃やして燃料とすることもできそうです。
また、大気があることで、火星の気温変動は月のように極端ではなく、熱設計が簡単になるという利点もあります。これは第2章で解説したとおりです。おそらく火星は「第2の地球」として発展していくことでしょう。かつては海があったと推測されることから、人類が居住しながら現地調査をすれば、地球・惑星の形成や生命の誕生に関するさまざまな謎を解く鍵が、地球で見つかったのと同じくらい豊富に見つかることでしょう。
一方で、小惑星も月の次のフロンティアです。ただし人類が移住するということではなく、資源として活用するという意味です。
小惑星にはほとんど金属鉄でできているものや、有機靴を多く含むものなど、さまざまな種類がありますが、資源としてまず活用されるのは、金属鉄でしょう。この鉄は、もともとは分化した天体の核にあたるもので、天体衝突によって表層がはぎ取られた状態と考えられます。コバルトやニッケル、および白金族に分類される白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムなどの貴金属は、親鉄元素といって、鉄に溶け込みやすい性質をもっています。そのため、地球の場合、もともと地球の原材料物質にあったそれらの貴金属は、鉄が沈み込んで核を形成するときに、大部分が核に持ち去られたと考えられています。私たちは搾りかすの中から貴金属をとっているようなものです。
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現在、ベンチャー企業が小惑星資源を地球で活用するアイデアを提案して、話題になっています。ただ、私は、その計画は少々無理ではないかと考えています。月の資源のところでもお話ししたように、地球に持ち帰るためのコストが高ければ、持ち帰る意味がありません。宇宙エレベーターでも実現しないかぎりは、地球上の石ころから鉄を抽出するほうが、まだコスト的にはましに思えます。小惑星の資源は、やはり宇宙で、とくに最初は月で消費されるべきでしょう。
小惑星は低重力なので、宇宙船の着陸や出発にほとんど燃料か使わなくてすみます。また、小惑星そのものの資源が活用できるので、将来の宇宙時代の中継港としては最適です。ただ、そのような宇宙港としての活用が進むのは、その次のフロンティアである、木星や土星の領域が開拓されはじめた時代になることでしょう。