じじぃの「カオス・地球_281_地球を掘りすすむ・第7章・かつて火星に海があった」

NASAも驚愕した火星に眠るミステリー6選

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ASu4EHG6tMA

地球コアとその形成過程


地球コアに大量の水素 ~原始地球には海水のおよそ50倍の水~(プレスリリース)

2021年05月11日 SPring-8 Web Site
発表のポイント
◆ 本研究グループが世界をリードする超高圧高温実験と微小領域化学組成分析により、地球形成期の超高圧下(約50万気圧)でおきた、コア-溶融マントル間の水素の分配の決定に世界で初めて成功しました。その結果、当時地球に存在した水の9割以上が水素としてコアに取り込まれたことがわかりました。

◆ 地球コアには鉄・ニッケル以外の軽い元素が大量に含まれていることが知られていましたが、その軽元素の種類と量はこれまで謎とされていました。今回の成果により、水素がコアの主要な軽元素であることがわかりました。また地球のみならず、火星など地球の1/10以上の質量をもつ岩石型惑星においても、大量の水が水素としてコアに取り込まれた可能性が高いことがわかりました。

◆ 現在の海水の量やマントル中の水の量を説明するには、現在の海水のおよそ50倍に匹敵する量の水が原始地球に存在したと考えられます。今後、これを鍵として、地球の起源(特に材料物質や集積プロセス)の理解が進むと期待されます。
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2021/210511/

太陽系形成時に木星が動いた!? リュウグウから見える惑星形成の謎 ~はやぶさ2試料分析最新レポート・後編

2023/10/27 JAMSTEC BASE
●原始太陽系「スノーライン」の謎
また、原始太陽系円盤には「スノーライン」と呼ばれる境界線があったと考えられています。水が気相(気体)で存在する領域と、固相(固体)つまり氷で存在する領域の境目ですね。これは火星と木星のあいだにある小惑星帯に近いところにあるのですが、そこにはリュウグウのような炭素質の小惑星もあります。
https://www.jamstec.go.jp/j/pr/topics/explore-20231027/

『地球を掘りすすむと何があるか』

廣瀬敬/著 KAWADE夢新書 2022年発行

第7章 地底から浮かび上がる宇宙の成り立ち より

火星から海がなくなったのはなぜか?

火星と地球の明らかな違いは海です。

現在の太陽系で、表面に海がある天体は地球だけです。しかし、火星にも昔は海が存在したということは皆さんもご存じでしょう。火星の海がなくなったのは約38億年前のことです。火星ができてから7億年後に、海は消失してしまったのです。

なぜ、火星から海がなくなってしまったのか。それは、磁場がなくなってしまったからだと考えられています。海洋底の磁気異常のことはすでにお話ししました。地球の海洋底には、磁化した向きが反対の領域が縞状に並んでいる、ということでした。火星にもこのような磁気異常が観測されます。これが、火星にもプレート運動があったことの証拠であると同時に、初期の火星には惑星磁場が存在したことを示しています。

ところが、火星の磁場は40億年前に消えてしまいました。地球では、前述したとおり、磁場が地表の環境を守ってくれています。磁場が消滅してしまった火星では、宇宙線太陽風を直接浴びることになりました。そのため、大気が剥(は)ぎ取られ、海の水も蒸発してしまったと考えられています。

では、なぜ火星では磁場がなくなってしまったのか。なぜ地球と違った運命を運命をたどることになったのか。それは、火星がスノーラインに近かったことと、、マグマオーシャンが浅かったところが大きいと私たちは考えています。

4章で、惑星磁場を発生させているのは、液体コアの対流運動だとお話ししました。つまり、火星では、コアが40億年前に対流をやめてしまったはずです。地球の例でもわかるように、コアには鉄以外の不純物が含まれていて、それがコアの性質に大きく影響しています。

私たちは、火星コアの不純物を、硫黄と水素だと考えていて、そのために磁場が消滅したと考えています。

コアに含まれる不純物は何か、それはどれくらいの量が含まれているのか、それがコアの性質を決めるうえで重要で、従って惑星の個性を決めるうえで重要です。そしてそれは、太陽(中心星)からの距離と、マグマオーシャンの深さによって決まるところが大きいと考えられるのです。

火星の磁場が失われた理由

ですから、火星のコアの不純物、その主なものは硫黄と水素だろうと私たちは考えているのです。そこで、硫黄と水素を含む液体鉄をつくってみたところ、硫黄と水素はとても”仲が悪い”ということがわかりました。”仲が悪い”とはどういうことかというと、温度が高いときには混じり合っているけれども、温度が低くなると硫黄に富む液体鉄と水素に富む液体鉄のふたつに分離してしまったのです。

つまり、火星のコアの温度がまだ高かったときには、硫黄と水素は両方混じり合っていました。しかし、次第に冷えてくると、水と油のように分離してしまったと考えられます。

するとどうなるのか。火星の液体コアが上下ふたつの層に分離してしまうだろうと考えられます。コアが2層に分離してしまえば、対流が起こりにくくなります。

地球では、コアの中で対流が起こることで電磁石の原理(電磁誘導)で磁場が発生しています。ところが、火星ではコアが2層に分かれてしまったために、対流が起こりにくくなり、それによって火星の磁場が消滅した、というのが私たちの考えです。

火星に起こったことを整理しましょう。太陽系の初期に、大量の水(水素)と硫黄がやってきた。水素と硫黄は不純物としてコアに取り込まれ、そのため、コアが冷えるにつれて、2層に分離してしまった。そして、磁場が消滅した。それにより太陽風の影響をうけ、大気が剥ぎ取られ、海が消滅した。これが私たちが考えた、火星のシナリオです。