じじぃの「カオス・地球_277_地球を掘りすすむ・第2章・地震波・地球内部は?」

【廣瀬敬にきいた】地球の中心はマグマではありません

動画 YouTube
2022年1月20日に発売された「地球の中身 何があるのか、何が起きているのか (ブルーバックス)」について、著者の廣瀬敬さんにお話をうかがいました。
https://www.youtube.com/watch?v=hHAqUVby-T4

地球の内部構造 地殻・マントル・コア(核)


地震波速度と深さの関係


地球の中身はなんだろな? 目には見えないけれど、音は聞こえる!

2022.01.20 廣瀬敬
●ゆで卵というより玉ねぎ
これまでに明らかになった、地球内部の地震波速度分布を見てみよう。
地殻‐マントル境界はグラフの左端に位置するのでややわかりにくいが、深さ約2900kmのマントル‐コア(外核)境界と深さ約5200kmの外核内核境界では、地震波速度が不連続に変化する(グラフが直線的に上下する)のがひと目でわかる。これらの深さを境に構成物質が変化している証拠である。

ともかく、地球はたくさんの層に分けられることを知ってほしい。この内部構造はゆで卵というよりも、玉ねぎに近いかもしれない。
https://gendai.media/articles/-/91388?page=3

手のひらサイズの実験装置で、深さ約6400kmの地球の中心の超高圧を再現!

2022.06.20 廣瀬敬
●コアに含まれる大量の「不純物」
――本書では、地球のコアの正体は、水素を豊富に含む鉄合金ではないか、と書かれていました。コアの材料として、水素に着目された理由を教えて頂けますか。

廣瀬:水素に注目した理由は、主に2つあります。ひとつは、地球の水が「少なすぎる」こと、もうひとつは地球のコアに謎の「不純物」が含まれていることです。
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実際にダイヤモンド・アンビル・セルを使って、水を含んだマグマと金属鉄を反応させる実験を行いました。その結果、高温高圧下では、金属鉄は水由来の水素を非常に多く取り込む、ということがわかりました。高圧下では、どうやら水素はマグマの中にいるよりも金属鉄の中にいるほうが50倍も居心地がいいようです。
https://gendai.media/articles/-/96382?page=3

『地球を掘りすすむと何があるか』

廣瀬敬/著 KAWADE夢新書 2022年発行

第2章 地下30~2890km 鉱物の色彩豊かな「マントル」の世界 より

地下深部の構造をどうやって調べるのか?

マントルの上部は、カンラン岩でできていることはわかりましたが、さらに堀りすすんでいくと、構成する鉱物も変化します。しかし、ここから先は誰も見たことがない世界でいったいどのような方法で見ることができるのでしょうか。

地球の内部構造について、多くの情報をもたらしてくれるのが地震波です。基本的に、地球内部の観測は、そのほとんどが地震学といっても過言ではありません。もちろん、電磁気学や測地学などもありますが、情報量としては圧倒的に地震学です。

地震が起きると、P波(縦波)とS波(横波)が発生することは、皆さんもご存知でしょう。地震の最初にまずドンと縦揺れがきます。これがP波。少し遅れて大きな横揺れがきます。これがS波。P波とS波が地面の中を伝わってきている。その伝わるスピードが異なるということになります。この伝わり方を細かく分析していくことで地球の中がどうなっているのかがわかってきます。
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地震波の伝わり方は複雑です。ひとつの震源から発した地震波は、地中になんらかの境界面があると、そこで反射したり屈折したりしながら、さまざまな経路をたどって、地表の別の場所にある数多くの地震計で計測されます。それらのデータを解析することで、地中のどこに境界面があるかがわかります。ある特定の深度で、地震波の速度が変わったり、反射したり、不連続的に変化するからです。こういう変化は、ほぼ世界中でだいたい同じ深さで起きます。それを地震波速度の不連続面といいます(図、画像参照)。

なぜ地球の内部は固体とわかるのか?

こうした地震波の観測によって、まず、どの深さにそのような境界面があるのかということがわかってきます。境界面はひとつではありません。いちばん有名なのが、大陸の地下30キロ付近にある境界面で、何か物質が変化しているために、そこで地震波が反射してくるのがわかります。大陸の下では、深さ30キロという数字は世界中どこにいっても同じです。前述したように、これが地殻とマントルの境界です。1909年のクロアチアの地球物理学者A・モホロビッチが発見したことから、モホロビッチ不連続面(通称モホ面)といいます。
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地震波の観測で、不連続面があること、そしてその深さがわかりました。こうした地震学がもたらしてくれる情報はとても有用です。有用ではあるけれども、P波とS波の速度でしかありません。それだけの情報から、「実際にどういう岩石があるのか」を導き出すことはできません。秒速〇秒で地震波が伝わる物質といっても、いくらでも候補があるからです。

実際にその不連続面で何が起こっているのか。どんな物質からどんな物質に変化しているのか。それを明らかにする方法が、高圧高温実験です。