じじぃの「科学夜話・第3講・量子もつれ・量子コンピュータ!宇宙の雑学」

量子コンピュータはなぜ高速なのか


量子コンピュータはなぜ速い?

2021年7月21日 量子技術ノート
量子コンピュータはなぜ高速なのか
過去の記事でも述べたように、量子コンピュータは、良いアルゴリズムが見つかっている問題に関しては高速に処理することができます。

結論だけ書きますと、n個の量子ビットの重ね合わせ状態を用いることで、2のn乗個の計算パターンを表現することができます。つまり、非常に多くの計算パターンを同時に表現することができるのです。
https://note.com/quantum_note/n/n8e8ced74154e

『宇宙とは何か』

松原隆彦/著 SB新書 2024年発行

第3講 ミクロの世界へ

シュレーディンガーの猫 より

シュレーディンガーの名前は「シュレーディンガーの猫」という有名な思考実験で一般に知られています。非常に難しい話ではありますが、なるべく簡単に説明してみましょう。

量子力学の世界では、すべては確率的なものであって、人間が観測した瞬間に1つの結果が決まるということがわかりました。これを世界全体に広げてみると、実はすべてのものが複数の結果が重ね合わさった状態にあり、人間が「見る」ことによって1つの確定した世界だけを選び取ってしまうのだと考えることができます。
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電子だったらいいんです。目に見えないミクロの世界の話なら、直感とずれていても別に構わない。でも、猫となると、直感と合わないことがどうしても気になります。

ただ、2023年になって、肉眼でギリギリ見えるサイズでの実験が成功したと報じられました。スイス連邦工科大学の実験では、原子を1京個集めた塊を量子的な重ね合わせ状態にできたというのです。

それなら、猫のような大きさでも確かに量子力学的な重ね合わせが起きるのではないか。そう考えることも、間違いではありません。

不思議な量子もつれ より

さらに不思議な話をしましょうか。
そもそも力は、普通は接触しなければ伝わりません。万有引力は時空間のゆがみで伝わる力なので、見かけ上は「離れているのに伝わる力」のように感じますが、時空間を見れば接触しています。そして、力も情報も、伝わるスピードはどう頑張っても光速を超えることはできません。

ところが、何かの情報が遠く離れた場所に一瞬で伝わったらどう思いますか。テレパシーだとかサイコキネシスだとか、超能力のように感じませんか。これも、スピリチュアル方面に量子力学が悪用されてしまう1つの理由なのでしょう。

まず、粒子を2つに分裂させます。ちょっと抽象的な言い方になりますが、粒子には「上向き」「下向き」という状態があると思ってください。粒子を分裂させたとき、片方が「上向き」なら、もう片方は「下向き」というように、必ず逆の値を取るようにします。その状態で分裂させた粒子を、はるか遠く離れた場所に置きます。

片方の粒子が「上向き」か「下向き」かは、観測するまでわかりません。観測前の、重ね合わせの状態ですね。それが、片方を観測した瞬間にどちらかに決まります。同時に、はるか遠くにあるもう片方の粒子が逆向きであることが決まるのです。
そんなことは、他の物理法則ではありえません。
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上向きか下向きかというのは、知らないのではなく決まっていません。こっち側も重ね合わせ状態なら、向こう側も重ね合わせ状態。それが、こっちを観測した瞬間に向こう側も逆向きに決まるのです。向こう側は観測しなくても決まります。光のスピードを超えて、情報が伝わっているように見えるんです。これを「量子もつれ」と呼びます。ただし、一見そう見えているだけで、量子もつれにおいて光のスピードを超えて本当に意味のある情報を伝えることはできないことも知られています。

2022年のノーベル物理学賞は、この「量子もつれ」の研究者であるフランスのアラン・アスペアメリカのジョン・クラウザー、オーストラリアのアントン・ツァイリンガーの3人が受賞しました。「量子もつれ」の現象を実験で確かめて正しさを証明するとともに、この効果を利用して情報を伝える「量子テレポーテーション」の実験によって、量子情報科学の分野を開拓したことが評価されました。

なお、「量子もつれ」を実験で確かめる方法を思いついたのは、北アイルランドの物理学者ジョン・スチュワート・ベルです。1990年に62歳で亡くなってしまったのですが、生きていたらノーベル物理学賞を受賞していたはずです。

量子コンピュータとは? より

今、世界中で研究開発が進められているのが「量子コンピュータ」です。みなさんもニュースなどで聞いたことがありますね。

今使われている「古典コンピュータ」は、0か1かの2進法の演算を組み合わせ、繰り返すことで高速に処理しているものです。それに対し、量子コンピュータは0か1かではなく、「0でもあり1でもある」という重ね合わせ状態で計算するんです。「重ね合わせ」や「量子もつれ」といった量子力学の現象を利用して、古典コンピュータでは膨大な時間がかかってしまうような計算を短い時間で行おうとしています。ものすごいブレイクスルーが起きる可能性があるので、期待されています。

もちろん、非常に小さいものを扱うわけですから、そう簡単ではありません。これまでの技術ではほとんどできませんでした。でも、今は技術レベルが上がって、ついにできそうなラインに来ているんです。まだ実用化はできていませんが、近い将来、量子コンピュータのおかげで生活が変わるかもしれません。

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じじぃの日記。

松原隆彦著『宇宙とは何か』という本に、「量子コンピュータ」というのがあった。

「今使われている『古典コンピュータ』は、0か1かの2進法の演算を組み合わせ、繰り返すことで高速に処理しているものです。それに対し、量子コンピュータは0か1かではなく、『0でもあり1でもある』という重ね合わせ状態で計算するんです。『重ね合わせ』や『量子もつれ』といった量子力学の現象を利用して、古典コンピュータでは膨大な時間がかかってしまうような計算を短い時間で行おうとしています。ものすごいブレイクスルーが起きる可能性があるので、期待されています」

まあ、「重ね合わせ」は「0でもあり1でもある」というのは、何となく分かる。

量子もつれ・・・理論上どんなに遠くに離れていても量子通信は可能で、数百キロをこえる通信に成功した報告があるそうです。また、通常の通信のように途中で傍受や窃用される心配がないので、安全な通信が可能になるとのこと。それ故に、量子通信は量子暗号通信とも呼ばれています。

量子もつれ」は原理的なところは理論上でも実験上でもすでに解明されており、あとはそれを実現するための技術開発という段階なのだそうだ。

量子もつれ」は、よく分かりません。 (^^;;

国産初「冷却原子(中性原子)方式」量子コンピュータ開発へ 産業界の10社と事業化に向けた連携を開始(大森賢治グループ)

2024/02/27 分子科学研究所
https://www.ims.ac.jp/news/2024/02/0227.html

日本が開発した量子コンピュータは、2~3年後には実用化されているのかなあ。