EPR Paradox and Entanglement | Quantum Mechanics ep 8 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5HJK5tQIT4A
Einstein-Podolsky-Rosen Paradox
世界中の天才たちを悩ませた「謎」とは? 物理学史上最大のドラマ 2016.10.22 山田克哉
量子力学が一応の完成を見たとされる1930年からわずか5年後の1935年、「EPR論文」とよばれる有名な論文が発表されている。それは、「量子もつれ」を用いて、量子力学が「不完全な理論」であると指摘するものだった。
EPRとは、この論文の三人の共同執筆者であるアインシュタイン(Einstein)、ポドルスキー(Podolsky)、ローゼン(Rosen)の頭文字をとったもので、その内容からしばしば「EPRパラドックス」ともよばれている。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49977?page=2
『絵解きパラドックス』 高橋昌一郎/監修 Newton別冊 2014年発行
EPRパラドックス 量子論は「光速度不変の原理」に矛盾する? より
アインシュタインは、「量子論は不完全であり、”完全な理論”の搭乗によって、コペンハーゲン解釈は否定されることになるはず」と考えていた。そして、1935年、ボリス・ポドルスキーとネーザン・ローゼンという共同研究者とともに量子論の矛盾点を突くための論文を発表した。その論文で指摘された主題は、アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼンの頭文字をとって「EPRパラドックス」とよばれている。
アインシュタインらは、この論文で「量子論が正しいとするとみちびかれる合理的でない結論(パラドックス)」という内容の思考実験を考案し、この思考実験を例にして量子論がい安全な理論ではないことを主張しようとした。
量子論によると、電子は自転しており(顕密には「スピン」という量子論にもとづく物理量)、観測するまでは右まわりと左まわりの状態を同時に取ることができる。この共存した状態を「量子重ね合わせ状態」とよぶ。さらに「量子からみあい(エンタングルメントという量子論的な状態にある2つの電子は、観測前にはそれぞれ右まわりと左まわりの自転の重ね合わせ状態にあったものが、観測によって片方の電子の自転(スピン)の向きが確定すると、もう片方の電子の自転の向きが逆向きに確定する。これは、ある種の保存則がなりたつために、2つの電子の自転の向きを合わせるとゼロにならなければいけないからだ。
ここで、電子からみ合いの状態にある2つの電子(電子1と電子2)が、同じ場所から別々の方向に向かって飛びだしていくような反応を例に、アインシュタインらの思考実験を考えてみよう。
電子1と電子2は同じ場所から正反対の方向に向かって飛んでいくとする。すると観測しない段階では、電子1と電子2は、ともに右まわりと左まわりの自転が共存した状態ある。
その後、観測によって、電子2が右まわりに自転していることが確定したとすると、どんなに2つの電子の距離がはなれていようが、その瞬間、電子1の自転は左まわりに確定する。逆に、観測によって電子2が左まわりに自転していることが確定したとすると、その瞬間、電子1の自転は右まわりに確定する。
アインシュタインらは、この思考実験において、十分にはなれたものに時間差なしで「瞬時」に影響が伝わることなどありえないと考えたわけだ。「光速度不変の原理」によれば、自然界の最高速度は光速のはずである。よって、光速をこえて電子に影響が伝わることはないと主張したのである。
アインシュタインたちは、もし「瞬時」に影響が伝わらないとすれば、2つの電子が分かれた最初の時点で、電子の自転方向は決まっていたことになり、たんに現在の量子論ではそれがわからないだけだと主張した。こうして「量子力学は不完全だ」と批判したわけだ。
しかし、アインシュタインらがいうように最初から決まっていたとすると、量子論とは矛盾する結論が出ることが、ジョン・ベル(1928〜1990)によって発見された。そしてベルは、どちらが正しいのかを判別するための実験を提案した。ベルの提案に基づく最初の信頼できる実験は1981年に出され、量子論のほうが正しいことが確認されたのである。
量子論によれば、2つの電子に瞬時に影響が伝わることがないが、量子からみ合いという現象があるので、観測される2つの電子の自転方向はつねに反対方向になる。量子論では、いかにはなれていても”からみ合っている”2つの電子の状態はセットとして考えなければならず、電子の性質は個別には論じられないのである。