じじぃの「カオス・地球_262_すばらしい医学・はじめに」

「こんなに面白い人体の本は、初めてだ!」圧倒的人気のサイエンス書 第2弾『すばらしい医学』 9月13日発売

■読みだしたら止まらない!知的好奇心を刺激する医学のエピソード
肛門は、精密機械のようによくできた臓器である。「降りてきたのは固体か液体か気体か」を瞬時に見分け、「気体のときのみ排出する」という高度な選別ができるからだ―。これはSNSで広く拡散された『すばらしい人体』の一節です。
コロナ禍で多くの人が「免疫とは何か」「ワクチンが効くメカニズムとは」といった健康への関心を強めるなか、人体や医学という学問の面白さについて網羅的に語った本書はサイエンス書としては異例の売上を記録しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000045710.html

すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険

【目次】

はじめに

第1章 あなたの体のひみつ
第2章 画期的な薬、精巧な人体
第3章 驚くべき外科医たち
第4章 すごい手術
第5章 人体を脅かすもの
おわりに

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『すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険』

山本健人/著 ダイヤモンド社 2023年発行

はじめに より

私は外科医として、毎日のように手術に携わり、生きた臓器に触れている。お腹をメスで切り開くと、そこには自然界が生み出した美しく複雑な構造物が横たわっている。

臓器の様子は、人によって全く違う。黄色い内臓脂肪が分厚く臓器を覆っている人もいれば、内臓脂肪が白っぽくて薄い人もいる。胃が大きく足側に伸びている人もいれば、上方にとどまる人もいる。大腸が蛇のようにお腹の中にぐろを巻いている人もいれば、比較的短くストレートな人もいる。同じ名前のついた血管でも、その太さや分野の形態は人によって違う。こうした個人差が、手術の難度に影響を与えることもある。

一見すると不思議に思えるが、考えてみれば当たり前のことだ。
人によって、背丈や顔のつくり、正確は全く違う。それと同様に、臓器の様子にも個人差があるのだ。顔だけで人を区別できるように、臓器の様子によっても人を区別できる。手術中の画像を見るだけで、「誰のお腹の中か」を思い出せることも、外科医であればよくあることだ。
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私は日頃、全身麻酔によって意識を失った患者を相手に、お腹を切り開いて病巣を切り取っている。お腹の中の作業が終われば、皮膚を縫い閉じ、その後は麻酔科医が患者を麻酔から覚ます。手術の種類にもよるが、多くの場合、数日~1週間ほどで、患者は元気に自宅に帰っていく。

これは、私にとって至極ありふれた日常的な光景だ。

だが改めて思う。こうした光景が当たり前になったのは、医学の歴史において「ほんの最近のこと」である。

任意のタイミングで患者の意識を失わせ、眠っている間に体を切り開き、臓器を切り取り、再び縫い閉じた後に患者を目覚めさせる。こうした治療が可能になったのは、全身麻酔が普及する19世紀後半から20世紀にかけてである。
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私たちは今や、痛みを感じることなく手術を受け、短時間で元の生活に戻ることができる。かつての人たちが想像すらしなかった未来を、私たちは生きているのだ。

医学がこれまで何を達成し、どのような治療を生み出してきたのか。この途方もない医学の進歩を知れば、誰もが驚嘆するはずだ。

医学を学び、自らの体について知ることは、途方もなく楽しい営みだ。
私は医学生の頃から約20年間、絶えず味わってきた知的好奇心を満たす喜びを、多くの人に伝えたい。

本書はそんな思いで執筆した。

本書は、まず第1章で、人体が「いかによくできた構造物であるか」「なぜこれほど優れた機能を持っているか」について、頭からつま先まで順に解説していく。

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本書では、情報の信頼性を担保するため、100以上の出典を掲載した。また、専門領域外の詳細な知識については、各専門医に監修を依頼し、正確性を損なわれないよう留意した。

さらに、巻末付録として「超圧縮 医学の歴史」を掲載した。医学の進歩を語る上で欠かせない重要な出来事や偉人について、ダイジェストで紹介している。これを読めば、医学史の全体像がさらに理解しやすくなるだろう。

本書で語る一つ一つのエピソードは、誰もがよく知る身近な話題から始まるが、奥に続く知識の海は深く広大だ。本書を読めば、「医学」という学問を、まるで高台から俯瞰(ふかん)するような心地良さを味わえるだろう。

それでは、いよいよ出発だ。すばらしい医学の世界へ。