じじぃの「台湾総統選・頼氏が勝利・習近平はどう動く・兵糧攻めか?夕刊フジ」

【台湾次期総統に与党・頼清徳氏】対中“現状維持”を主張…中国の統一シナリオとは【日曜スクープ】(2024年1月14日)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=VWdLtUOGh9c&t=682s

台湾包囲演習に中国空母 艦載機の発着120回 海上封鎖も


習近平 「台湾統一は必ず達成する!」


情報ライブ ミヤネ屋

2024年1月18日 日本テレビ
【司会】宮根誠司、澤口実歩 【解説】橋本五郎 【ゲスト】杉村太蔵おおたわ史絵 【専門家解説】峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所 主任研究員)

専門家解説 台湾総統選・“反中”民進党勝利・「台湾統一へ」

2024年1月13日、台湾総統選挙が行われ、民進党の頼清徳氏が次期総統に選ばれた。
頼清徳氏は選挙戦で中国と距離を置き、アメリカとの関係を重視する姿勢を訴えてきた。

大統領選に向けた共和党の候補者選の初戦でトランプ前大統領が勝利した。NBCなどの調査によると有罪判決を受けても大統領にふさわしいと答えたのが64%となった。
峯村健司氏、「(トランプ氏には)どうしても良いなとさせるところがある」
ことし11月の大統領選は共和党トランプ氏、民主党バイデン氏の一騎打ちの可能性が高い。

去年9月、峯村健司氏は『中国「軍事強国」への夢』を出版した。
これは中国国防大学教授劉明福氏の『強軍の夢』という本を翻訳した本だという。

劉明福氏は習国家主席の戦略作りや政策決定に影響を与える戦略ブレーンといえる。強軍の夢は2020年に出版されたが中国国内で草稿の約6割が削除された。中での第5章の「反台湾独立から祖国の完全統一へ」が削除された。削除されていた内容は「知恵を持って戦うことで敵の心を潰し人命だけでなくインフラなども一切破壊せず併合を図る中国の大勝利を目指すもの」だった。これを劉明福氏は「新型統一戦争」と呼んでいる。

峯村健司氏の想定する新型統一戦争のシナリオは今年のアメリカ大統領選でトランプ前大統領が再選すること。そして中国の最恵国待遇を撤回して1つの中国政策と戦略的曖昧性を見直して最大で約2700億円の武器を台湾に売却する方針を明らかにするというシナリオ。
台湾は中国による軍事圧力に対向するためアメリカとの連携をさらに強めていくとのこと。

2025年1月、中国は国家統一法」を制定すると中国政府の管轄権が台湾領空や領海に及ぶことを明記しており、これにより台湾の防空識別圏も中国のものとなる。
国家統一法について、
峯村健司氏、「法律を作ってから既成事実化する中国のやり方が見える。中国国民は100%が台湾は中国のものだと思っている」

国家統一法が施行されると、台湾海峡を通過する外国籍の船舶に対し警察による海上臨検が行われるようになり、さらに中国は台湾海峡含む東シナ海一帯で約2週間の台湾封鎖を実施する。これにより台湾の物流はほぼ遮断され、台湾は兵糧攻め状態になる。

日本の海運は9割が台湾周辺を通っているため、大きな影響が出る。

アメリカも日本も「中国は一つだけであり、台湾は中国の一部であると」という立場を取っている。
中国が台湾に対し海上封鎖しても、これは国内法であると主張した場合、アメリカも日本も軍隊を出動しにくい状態になるという。

この動きについて、
峯村健司氏、「習近平は急いでいる。昨年の春に任期を異例の3期目に延長して国内から反対もあったが、自分こそが台湾問題を解決すると言っている」

橋本五郎氏、「中国が台湾を兵糧攻めにするというのは、もっとも可能性の高いシナリオに見える」

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夕刊フジ』2024年1月18日発行

ケント・ギルバート「ニッポンの新常識」 より

台湾総統

台湾総統選(13日投開票)で、中国と距離を置く与党・民主進歩党民進党)の頼清徳(らい・せいとく)副総統が勝利した。最終得票率は頼氏が40.1%で、圧倒的だった。

2020年に香港では国家安全維持法(国安法)が施行され、「一国二制度」が事実上崩壊した。「自由」「民主主義」「人権」「法の支配」が危機にひんした。

今回の選挙結果は、香港の悲劇を見てきた台湾の人々の記憶が大きく影響したと私は見ている。台湾では、最先端の半導体産業が成長しており、中国依存を脱却しつつある。経済面も選挙結果の背景にあるだろう。

台湾当局は総統選前、中国が民進党が不利になるような世論工作に動くことを警戒していた。現に、台湾検察が、中国共産党の意向を受けて世論調査を捏造(ねつぞう)したネットメディアの記者を立件する事件も起きた。

中国の軍事的圧力や世論工作に屈せず、「自由」「民主主義」「人権」「法の支配」を選択した台湾の人々には、「誇り」と「たくましさ」を強く感じた。「あっぱれ」と言うほかない。

私には台湾人の知人が多い。
ある知人は、台湾出身者と中国出身者の間に生まれた「ハーフ」だが、「中国とのハーフ」とは決して言わず、自信をもって「台湾とのハーフ」と語っていた。台湾に誇りをもっていた。

かつて李登輝元総統が進めた「台湾民主化の精神」は、今も息づいているようだ。李元総統は日本に留学した際などに、日本の近代化を支えた「誠実」「勤勉」「自己犠牲」「責任感」「清潔」といった「日本精神(リップンチェンシン)」を学んでいる。

「台湾有事=日本有事」の危機が叫ばれるなか、日本の人々も「自国に誇りを持ち」「国を守る気概」を意識することは大切だ。李元総統が日本で近代化の成功を学んだように、今度は日本人も台湾の人々に学ぶ番だろう。

中国の習近平指導部は今後も、軍時演習や貿易政策などで、台湾の民進党政権に圧力をかけ続けるようだ。台湾侵攻にすぐに踏み切るとも思えないが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のように、習国家主席が一線を越えるかは予測不能だ。

中国が台湾にうかつに手を出せないのは、日本をはじめとするアジア地域に米軍が駐留していることが抑止力として働いているからだ。台湾総統選を見ながら、米軍の存在意義を改めて感じた。

台湾の人々は嬉々と隣り合わせになりながらも、強固な意思を示した。日本や米国は台湾の人々と連帯し、支持し続けるべきだ。それは日本や米国の安全保障だけでなく、世界の「自由」や「民主主義」にとって重要である。