じじぃの「カオス・地球_146_2050年の世界・テクノロジー・通信革命」

# 046【Zoom運用方法編】相手のパソコンを遠隔操作!Zoomリモートコントロール

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zl2PUa4w9aE

Zoomを使ったリモートワーク


Zoomの「中の人」が語るリモートワーク使いこなし術

2021年6月18日 フリパラ
日本でもすっかり浸透した「リモートワーク」ですが、PCを職場から家庭やサードプレイスに移すだけがリモートワークではありません。
海外でのリモートワーク最新事情を、Web会議システム「Zoom」を提供するZVC Japanの佐賀文宣カントリーゼネラルマネージャーに聞いてみました。
https://note.com/frepara/n/n55a27b989da6

2050年の世界――見えない未来の考え方

【目次】
序章 2020年からの旅
第1章 わたしたちがいま生きている世界
第2章 人口動態――老いる世界と若い世界
第3章 資源と環境――世界経済の脱炭素化
第4章 貿易と金融――グローバル化は方向転換する

第5章 テクノロジーは進歩しつづける

第6章 政府、そして統治はどう変わっていくのか
第7章 アメリカ大陸
第8章 ヨーロッパ
第9章 アジア
第10章 アフリカ・中東
第11章 オーストラリア、ニュージーランド、太平洋
第12章 この先の世界を形づくる大きなテーマ――不安、希望、判断

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『2050年の世界――見えない未来の考え方』

ヘイミシュ・マクレイ/著、遠藤真美/訳 日経BP 2023年発行

第5章 テクノロジーは進歩しつづける より

つぎの30年に関する大きな疑問

革新的な進歩が起きるのは、科学のブレイクスルーが突然生まれるときか、既存のテクノロジーを組み合わせて改良し、そこから開発された商品やサービスが世界中に一気に広まるときである。
抗生物質の開発が前者の好例であり、iPhoneが後者の好例である。抗生物質は医療を一変させ、人類の健康に大きく貢献した。iPhoneは世界のコミュニケーションのあり方を一変させ、人類の行動に大きな影響を与えた。

テクノロジーがどの方向に進むのか、どのように使われるのかを予測するときには、革新的な進歩は悩みの種になる。漸進型の進歩がわたしたちにどのような影響を与えるのかについては、よく考えて判断できる。それが正しいときもまちがっているときもあるだろうが、少なくとも、実現可能だとすでにわかってわかっていること、あるいは怒りそうなことにもとづいている。これはいわゆる「既知の未知」だ。革命型の進歩は「未知の未知」であり、想像すらつかない。

革命型の進歩の古典的な例となっているのが、iPhoneがもたらしたインパクトである。スティーブ・ジョブズは2007年のプレゼンテーションで、こんな有名な言葉を残している。「ときおり革命的な商品が現れて、すべてを変えてしまう」

通信革命はどこまで進むのか

パンデミックが世界を襲う前、通信革命は中年期に入ったばかりだった。それが突然、10年進んだ。日常生活に浸透するのに10年はかかっていたであろう大きな変化が、ほんの数週間で起きたのだ。

現金の使用を例にあげよう。スカンジナビアでは、物理的なお金がすでにオンライン決済に置き換わっており、現金を使うことは減っていた。だが、ドイツなど、残りのヨーロッパの大部分では、「現金は王」のままだった。そこでもカードやモバイルでの決済に一気に切り替わり、現金が使われなくなった。パンデミックが発生したとき、小売流通システムが小売店やスーパーマーケットから宅配にシフトする流れはすでに世界中に広がっていた。主要国のなかでオンライン売上高の割合がいちばん高いのがイギリスで、2019年末時点で小売売上高全体の5分の1を占めた。しかし、外出が制限されると、その割合が一気に高まり、数週間で3分の1を突破した。これと同じことが在宅勤務にも起きた。オフィス以外の場所で働く環境が整ってきて、在宅勤務はすでに少しずつ増えていたが、先進世界のいたるところでオフィスが閉鎖されると、人びとの生活は一変した。ズーム会議は、そんな新しい日常の風景の1つになった。
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つぎは教育である。テクノロジーは教育を大きく変えている。ほぼ無限に情報を広められるようになったのはすばらしいことだが、その情報に関する知的な議論が困難になっているのは望ましくない。

30年前の時点で、30年後にはインターネットに接続できる個人が当時の多国籍企業の研究部門に匹敵する情報にアクセスできるだろうことは容易に予想できた。検索エンジンが教育を変えているのは、だれでも知識を入手できるようになっているからだ。ところが、その情報を評価する個人の能力は変っていない。それどころか、情報に無限にアクセスできるせいで、情報のゴミ屋敷ができてしまっている。考えを発信するスキルに長けている人があまりにも多い一方で、その考えの価値を見きわめられない人があまりにも多い。ネットを通じて正しい情報を広めやすくなっているが、偽情報もそれと同じくらい簡単に拡散する。

その1つの結果として、世界の教育産業の地位が高まっている。本、学校、大学、QJTを柱とする旧来の教育の構造は予想されていたほど変化していない。子どもたちはいまもかばんを背負っているし、400年以上前のシェークスピアの詩「人間の7つの時代」に描かれているように、「かたつむりのようにのろのろと、いやいやながら学校に通っている」。たとえば1960年代のトップ大学はいまもトップ大学である。博士号はいまも博士号だし、高等教育の教員になるには当時以上に必須の条件になる。専門知識はいまも称賛されているが、ないがしろにされるときもある。背景のノイズが大きければ大きいほど、シグナルを見つけるのはむずかしくなる。そのため、信頼できる教育・研究機関はかつてなく重要になっている。

さらに、それと並行して知識産業が成長している。技術の進歩を勇敢なアウトサイダーがもたらすこともある。初の有人飛行を成功させたのはライト兄弟であって、20世紀はじめの大規模製造企業ではない。しかしIT革命では、何千ものスタートアップが巨額の資金を調達するようになっている。つぎなるユニコーンを生み出そうと、膨大な資源が新しいテクノロジーにつぎ込まれている。よいアイデアにはかつてない規模の資金が集まる(数々のだめなアイデアもそうだが)。

これには既存の教育機関が関係してくる。大学とその卒業生は、スタートアップの多く、おそらくは大半の設立になんらかの形でかかわっている。大学にとっての課題は、卒業生が立ち上げた事業をどうやって収益につなげるかである。だが、大学はそれに火をつけるふだけであることはわきまえておかなければいけない。その火はほかのどこかで燃え上がる。
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そして最後が、テクノロジーと雇用市場である。通信技術が進歩して、仕事の大部分を在宅でできるようになると、雇用主と個人の関係が変わるのは避けられない。リモートで働いている人は成果で評価され、労働時間を自分で管理する。雇用から自営への転換をうながしている力は、在宅ワークだけではない。製造業からサービス業へのシフト、需要に柔軟に対応する必要性、労働力の高齢化などもあるが、在宅ワークへのシフトは強力な要因である。

それはだれの目にも明らかだ。だが、この先どうなるかわからないことがたくさんある。1つは、自営に転換する流れがどこまで広がるかだ。イギリスでは、労働力に占める自営の割合は2020年には15%に達していた。これは統計をとりはじめた1860年代以降でいちばん高く、1979年の8%の2倍近い。自営の割合が上がりつづけるのはほぼまちがいないが、2050年にはおそらく頭打ちになっているだろう。企業に属さずに自分で考えて仕事をすることを選べば、多くの人がさまざまな束縛から解放される。それでも、自営でやっていくには多くの人とはちがう心構えが絶対に必要になり、これからも企業に雇用される形態が基本になるだろう。

また、新しい通信技術が仕事の質にどう影響するかもはっきりしない。繰り返しの定型作業はこのまま減っていき、賃金全般の水準や仕事の満足度が上がるのか、それとも、雇用市場が空洞化し、高スキルと低スキルの仕事は増えて、中間の仕事はなくなってしまうのか。