じじぃの「カオス・地球_14_壊れゆく世界の標・パレスチナの希望」

Greater Israel, Conspiracy Theory Or A Living fact? - Tariq Ismail Sagar [November2020]

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ej5eW76NNZk

Greater Israel


What is Greater Israel? Why is the idea not acceptable to the Palestinians and Islamists

MAY 21, 2021 Josh
●Greater Israel: What is it?
1. Greater Israel is an expression with a biblical and political meaning to it which has differed and evolved over time. It is called the Zionist Plan for the Middle East.
2. The concept of a “Greater Israel'', according to the founding father of Zionism Theodore Herzl, is a Jewish State stretching “from the Brook of Egypt to the Euphrates.”
https://www.jagranjosh.com/general-knowledge/what-is-greater-israel-why-is-the-idea-not-acceptable-to-the-muslim-community-1621507466-1

NHK出版新書 壊れゆく世界の標(しるべ)

【目次】
第1章  命を守らない国家
第2章  アメリカを覆う「被害妄想」

第3章  スローガンを叫ぶだけでは何も変わらない

第4章 変革は足元で始まっている
第5章  可能なる平和を求めて
第6章 持続可能な社会への道標
第7章 知性の悲観主義、意志の楽観主義

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『壊れゆく世界の標』

ノーム・チョムスキー/著、デイヴィッド・バーサミアン/聞き手、富永晶子/訳 NHK出版新書 2022年発行

第3章  スローガンを叫ぶだけでは何も変わらない より

パレスチナの希望

――11月29日は国連が定めたパレスチナ人民連帯国際デーですね。1947年の同日、国連総会でパレスチナをアラブ人とユダヤ人をふたつの国家に分割する決議181号が打ちだされました。パレスチナを代表する詩人、マフムード・ダルウィーシュ(1941年ー2008年)の傑作のひとつに「Under Siege」という詩があります。これがその詩の冒頭の1節です。  この丘の斜面で、黄昏と、時という大砲に対峙する

  壊れた影の庭の近くで
  われらは囚人がすることをする
  職のない者がすることを――
  希望を育てるのだ

次々に土地や海域がイスラエルに併合され、パレスチナ独立国家が設立される可能性が薄れており、パレスチナ史においてもとりわけ暗澹たる時代にあって、長年あなたが結束を誓ってきたパレスチナ人にいま、どんな希望があるのでしょうか?

たしかにいまは、パレスチナ史において非常に厳しい時機だ。パレスチナ人の権利と今後の見通しを憂えている者は、ふたつの事柄に十分注意を払わなくてはならない。ひとつは、実際の状況を明確に把握すること。ふたつ目は、パレスチナ人の置かれている危機的状況を改善し、危機に打ち勝つ――少なくとも危機を軽減する――ために何ができるかをはっきりと理解することだ。

熟考しなければならないのはこの2点だが、いまのところ誰も目を向けていないように思える。現状について最近議論にあがるのは、ほぼふたつの選択肢だけだ。ひとつは、何らかの形で二国が合意に達すること。要するに、1970年代から存在するおおまかな国際的同意に沿った合意を導きだすことだね。もうひとつ考慮されているのは、彼らをひとつの国にまとめてしまうことだ。つまり、イスラエルヨルダン川西岸地区(ウエストバンク)を占領し、その後、パレスチナ人の「反アパルトヘイト運動」を解決する努力をすればいい、というわけだね。

しかし、この議論は、3つ目のきわめて重要な選択肢を見落としている。すでにわれわれの目の前で実行されている。この50年間イスラエルの政策の主な指針であり続けてきた「グレーターイスラエル構想」という選択肢だ。イスラエルは、かつてはガザ地区、いまはウェストバンクと呼ばれる有用性のある地域のみに入植者を送り込み、そこを自分たちの領土にして、パレスチナ人の居住地域は避けてきた。イスラエルはナーブルスもトゥールカリムも欲しくない。パレスチナ人とは共存したくないのだよ。

現在のイスラエルパレスチナの争いは反アパルトヘイト運動とはまるで違う。南アフリカでは、白人たちには、白人たちは黒人たちが必要だった。実際、政府は国際社会に批判されないよう、バンツースタン(注:バンツー族などの黒人居住域)に助成金を交付しようとさえした。いまパレスチナで起こっていることは、それとはまったく違う。イスラエルはとにかくパレスチナ人を排除したがっている。たしかに安価な労働力としてパレスチナ人を雇ってはいるが、それならタイやほかの国からいくらでも手に入るからね。実際、アジア人労働者を安く雇っている。

イスラエルはとにかくパレスチナ人を追いだし、グレーターイスラエルを築きたいのだ。

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この危機を解決するために何ができるか。これに関して、非常に重要な点がひとつある。アメリカだ。アメリカは、これまでほぼずっとイスラエルを支援してきた。今後もこのグレーターイスラエル構想を支援し続けるなら、イスラエルはいまの計画をこのまま続行するだろう。世界のゴッドファーザーが「どうぞ」と言うかぎり、中止する理由はどこにもないのだから。

では、実際にこのまま続くのだろうか? その答えはまだわからないな。アメリカ国内でイスラエルを支持している人々は、この20年のあいだに劇的に変化している。20年前、あるいはもっと前、イスラエルはリベラル派の寵児だった。彼らはイスラエルを愛し、世界で最も素晴らしい国だとみなしていた。ほぼ世界中が同じ見解を持っていたと思う。あなりにも素晴らしい国なので、スウェーデンの若者たちはキブツと呼ばれる農村形態の集団生活をしてもいいとさえ思っていたくらいだ。
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ところがいま、これまでずっと変わることのなかったアメリカの政策を転じる可能性が開かれている。アメリカが行なっているイスラエルへの軍事的および経済的援助がいかに不当化はすでに述べたが、これはわが国の弱みのひとつだから、誰も話したがらない。しかし、アメリカのこうした政策は現状を改革しようとする活動家たちに動機を与えている。イスラエルが絶えず国際法を破り、被占領地域のパレスチナ陣を弾圧するなどして彼らの人権を侵害していることも、そうした活動家が積極的に行動に出ている理由だ。

メディアはこのすべてを大々的に報道すべきだ。そうすれば、アメリカの政策に変化が生じるかもしれない。劇的な変化でなくてもいい。イスラエルへの巨額の経済援助及び軍事援助を打ちきる、あるいは削減の可能性を持ちだすだけでも大きな効果があるはずだ。

打てる手立てはあると思う。絶望的な状況だとは思わないな。
しかし、そうした手立てを明確にする必要がある。正しいことをしたと満足感を得るために何をすべきかではなく、効果的にできることは何かを自問するんだ。警察予算の削減という前述の議論と同じで、自滅する方法ではなく成功に繋がる方法で進めていかねばならない。