じじぃの「歴史・思想_262_ユダヤとアメリカ・福音派(エバンジェリカル)」

More white evangelicals than American Jews say God gave Israel to the Jewish people

OCTOBER 3, 2013 Pew Research Center
For example, twice as many white evangelical Protestants as Jews say that Israel was given to the Jewish people by God (82% vs. 40%).
Some of the discrepancy is attributable to Jews’ lower levels of belief in God overall; virtually all evangelicals say they believe in God, compared with 72% of Jews (23% say they do not believe in God and 5% say they don’t know or decline to answer the question).
https://www.pewresearch.org/fact-tank/2013/10/03/more-white-evangelicals-than-american-jews-say-god-gave-israel-to-the-jewish-people/

多様な業界で活躍した著名なユダヤ

7月 26, 2017
ユダヤ人」という単語を聞いた時、どんな印象を持つだろうか?
恐らく最も多いのは、「ヒトラーによるホロコーストの犠牲者」というが多数派であり、最近では「パレスチナを弾圧するイスラエル」というイメージが強いように思える。また、一部のオカルト界隈では「世界を影で支配する権力者」という誤った情報を信じる人たちもいる。

ユダヤアメリカ - 揺れ動くイスラエル・ロビー』

立山良司/著 中公新書 2016年発行

米国キリスト教社会とイスラエル より

イスラエルを支持するエバンジェリカル

ではキリスト教徒の中で、どの宗派、あるいはどのような教会や集団(教派、デノミネーション)がイスラエルを強く支持しているのだろうか。
米国のキリスト教社会派プロテスタントがずっと主流を占めているが、ハーバード大学政治教授のウォルター・ラッセル・ミードは冷戦終焉以降、プロテスタント内部でパワーバランスに変化が生じ、それが米国の政治や外交にも大きな影響を与えていると論じている。
ミードによれば、冷戦期まではリベラルで近代主義的なメインライン(主流派)が米国のプロテスタントの中心的な存在だった。しかし、メインラインは世俗主義の強まりなどで退潮し、代わって主流になったのがエバンジェリカル(福音派)だった。

エバンジェリカルは政治的には保守的で共和党を支持する傾向が強い。さらにエバンジェリカルの多くがイスラエルを強く支持しており、米国の中東外交を親イスラエルの方向に引っぱっているとミードは論じている。

エバンジェリカルの信者たちは、「神の子イエスが人間の罪を購い救済する」という「福音(よい知らせ)」をそのまま受け入れ、キリストの受難と復活だけが原罪を持つ人間を救済すると信じている。また聖書を字句どおり信じ、信仰に再び目覚める「ボーンアゲイン(新生)」体験を持っている信者が多いといわれている。ただエバンジェリカルといっても、明確な教義や神学があるわけではなく、教派横断的な側面が強い。
    ・
「神はイスラエルユダヤ人に与えたと思うか」というアンケート調査に回答した表(画像参照)で興味深い点の1つは、米国ではユダヤ人全般よりも、「神はイスラエルユダヤ人に与えた」と答えているキリスト教徒の割合が15ポイントも高いことである。それだけユダヤ人の方が世俗化していることがわかる。
ただ、そのことはここでは本題ではない。キリスト教徒の中でも宗派・教派別の違いを見ると、プロテスタントの場合、半数を優に超える64パーセントが「与えた」と答えている。なかでも白人のエバンジェリカルは82パーセントと、ほとんどといってよいほど圧倒的多数が「神はイスラエルユダヤ人に与えた」と考えている。1891年に米国大統領ベンジャミン・ハリソンに「ユダヤ人のためにパレスチナを」という嘆願書を出した長老派の牧師ウィリアム・ブラックストーンの考えは、120年以上たった現在も白人のエバンジェリカルのほとんどに受け継がれている。

聖書を字句どおり解釈

この2つの調査結果から推論できるのは、白人のエバンジェリカルの多くは「イスラエルの地」とユダヤ人との宗教上の結びつき、つまり「約束の地」という教えを信じ、それを現在の米国とイスラエルの国家関係にそのまま当てはめていることである。
エバンジェリカルの多くがイスラエルを強く支持している新工場の理由は、次のように説明されている。
第1はキリスト教徒一般に共通していることだが、イスラエルパレスチナ)はキリスト教発祥の地であるばかりでなく、イエスが生まれ、十字架にかけられ、復活を遂げた場所だという特別な思いを持っていることである。実際、エルサレムベツレヘムなどに行くと、米国からの聖地巡礼ツアー客がひっきりなしに訪れていて、キリストの足跡に触れたことに感動している姿をよく見かける。やはりキリスト教徒にとって、聖地であるイスラエルパレスチナは特別なのだろう。エバンジェリカルの場合、さらに第2、第3の理由から、イスラエルへの愛着がいっそう強いようだ。
第2の理由は、エバンジェリカルは聖書の記述をそのまま受け入れる傾向が強く、聖書に書かれたユダヤ国家についての教えと約束をそのまま信じているためである。多くのエバンジェリカルは、現在のユダヤ人も神が選んだ「選民」であると信じている。さらに神がアブラハムに「あなたを祝福する者を私は祝福し、あなたを呪う者を私も呪う」と約束したという聖書の記述(創世記12章3節)に基づき、エバンジェリカルの多くはユダヤ人を着にかける者には、神の祝福が与えられると信じている。また、ユダヤ人にカナンの地(約束の地)を「永久の所有地」として与えるという約束(創世記17章8節)も、多くのエバンジェリカルにとっては「絶対的かつ永久的な」約束であり、「ゆえに今も有効だ」と信じている。
第3にエバンジェリカルの中には、終末論に基づいてイスラエルを維持する者もいる。キリストがこの世に再び現れると信じ、その延長線上で現在のイスラエル国家の安全と繁栄を政治的に支持すている。キリスト教シオニストの場合、特にその傾向が強い。
もちろん、エバンジェリカルといってもさまざまな思想や流れがあり、すべてが聖書の記述をそのまま信じ、現在のイスラエルを強く支持しているわけではない。しかし、前節で引用したピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の調査結果のあるように、白人エバンジェリカルの実に82パーセントが「神はイスラエルユダヤ人に与えた」と信じていることも事実である。
ミードが述べているように、エバンジェリカルの多くは保守的で共和党支持者が多い。2012年の大統領選挙の出口調査では、白人エバンジェリカルの78パーセントが共和党候補のミット・ロムニーに投票し、民主党候補のオバマへの投票は21パーセントに留まっていた。