じじぃの「歴史・思想_261_ユダヤとアメリカ・神の存在を信じるか」

Christian Zionists - USA

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=bY1TT4I2ohI

American Jews, Politics and Israel

多様な業界で活躍した著名なユダヤ

7月 26, 2017
ユダヤ人」という単語を聞いた時、どんな印象を持つだろうか?
恐らく最も多いのは、「ヒトラーによるホロコーストの犠牲者」というが多数派であり、最近では「パレスチナを弾圧するイスラエル」というイメージが強いように思える。また、一部のオカルト界隈では「世界を影で支配する権力者」という誤った情報を信じる人たちもいる。

《映画産業のユダヤ人》

・ワーナー兄弟(ハリー、アルバート、サム、ジャック)(ワーナー・ブラザーズ
・ウィリアム・フォックス(20世紀FOX
・ルイス・B・メイヤー(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、MGM)
ハリソン・フォード(俳優・スターウォーズ
http://monoamineblog.blogspot.com/2017/07/blog-post_26.html

ユダヤアメリカ - 揺れ動くイスラエル・ロビー』

立山良司/著 中公新書 2016年発行

多様な米国ユダヤ社会 より

米国ユダヤ社会の発展

1654年9月初め、「聖カテリーナ」という船がマンハッタン島南端の小さな港に着いた。ブラジルの港町レシフェから半年以上かけて長い苦しい航海の末、当時はニューアムステルダムと呼ばれていたこのオランダ領に着いたのだった。船には23人のユダヤ人が乗っていて、彼らこそ現在の米国に最初にやってきたユダヤ人とされている。彼らの到着から10年後、マンハッタン島は英国領となり、名称もニューヨークに変更された。そうして今、ニューヨークは米国ユダヤ社会ときっても切れない関係にある。現在でも全米のユダヤ人の約20パーセントがニューヨーク市とその郊外に住み、米国ユダヤ社会の中心となっている。
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1930年代になると、ナチから逃れた移民の波が大西洋を渡った。その中にはアインシュタインやエーリッヒ・フロム、ハンナ・あー連となど世界的な知識人も含まれていた。この結果、米国のユダヤ人人口は1880年から1940年の間に約20倍の500万人近くに増加した。
同じころ、ヨーロッパではユダヤ国家建設を目指したシオニズム運動が本格的に始まり、ロシアなどからパレスチナへ移住するユダヤ人も増えていた。しかし、米国への移民に比べるとパレスチナへの移民ははるかに少なく、1940年時点でパレスチナユダヤ人人口は46万人ほどだった。つまり圧倒的多数のヨーロッパのユダヤ人は、シオニズム運動の呼びかけにさほど魅力を感じず、米国という、より実際的な「約束の地」での成功を目指したのである。
シオニズム運動は最終的にイスラエルという国家をつくることに成功した。しかし、それはホロコーストという未曽有の悲劇を経た結果だった。しかもホロコーストの結果、ヨーロッパ各地のユダヤ人社会は壊滅的な打撃を受け、ほとんど存在しなくなってしまった。代わって米国とイスラエルの2つのユダヤ社会が世界のユダヤ社会の中心的な存在になったのである。

4分の1は神の存在を否定

ニューヨークのマンハッタンやブルックリンを歩いていると時々、真っ黒い服装の男性の集団を見かける。黒い帽子にフロックコートのような丈の長い黒い上着、黒いズボンをはいた超正当派(ハレディーム)と呼ばれるユダヤ教徒の一団だ。彼らは昔からのユダヤ教の戒律を厳格に守り生きている最も敬虔なユダヤ教徒のグループである。「ハレディーム」という呼称自体「神を恐れる人々」を意味している。
その一方でピュー・リサーチ・センターの調査によると、「神の存在を信じていない」と回答したユダヤ人は23パーセントいる。つまりユダヤ人の4人に1人は無神論者といってよい。
このデータは「神、または霊の存在を信じるか」という質問の回答をまとめたものである。米国人はよく「信仰心が強い」といわれる。実際この調査でみ、米国人一般の69パーセントが神または霊の存在を「固く信じている」と答え、さらに23パーセントが「ある程度信じている」と回答している。逆に「神、または霊の存在を信じない」という回答はわずか7パーセントに過ぎなかった。
もちろん、ユダヤ人の場合でも「固く信じている」が34パーセント、「ある程度信じている」が38パーセントで、信じている者が7割を超えている。それでも米国人一般と比べると、ユダヤ人は世俗化(非宗教化)の度合いが高いといえる。特に宗教以外で自らを「ユダヤ」と規定している者の場合、47パーセントが神の存在を信じていない。逆に超正統派はほぼ全員が神の存在を「信じている」と回答している。
このように同じ「ユダヤ人」「ユダヤ教徒」といっても、米国ユダヤ社会における神や宗教の位置づけは個人や宗派によりまちまちである。
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米国ユダヤ人の宗派別の割合は改革派が35パーセント、保守派が18パーセント、正統派が10パーセントを占める。この宗派構成はイスラエルとかなり違う。イスラエルでは正統派、特に超正統派の宗教界が強い発言力を持っている。このためすでに述べたように、宗派の違いが米国とイスラエルそれぞれのユダヤ社会の間で時折、摩擦を引き起こす原因となっている。
ピュー・リサーチ・センターの調査は所得や教育程度について、ユダヤ人と一般米国人を比較している。年間所得が10万ドルを超える世帯の割合は、一般米国人の場合18パーセントであるのに対し、ユダヤ人の場合には42パーセントと反芻近くに上っている。他方、所得が5万ドル未満の割合は一般米国人では56パーセントと半分以上であるのに対し、ユダヤ人の場合は31パーセントに留まっている。米国ユダヤ人は一般の米国人よりも高所得世帯が多いといえる。
ユダヤ人は教育程度も高い。米国全体では大卒者は29パーセントで、大学院修了者は10パーセントだが、ユダヤ人の場合は大卒者が58パーセント、大学院修了者は28パーセントに上っている。