じじぃの「サイコスリラー・ヒッチコックの鳥のような・凶暴化したカラス!小説『魔女は甦る』」

『鳥』 予告編

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=TyOB3XNVvQ8

読書メーター:『魔女は甦る』|ネタバレありの感想・レビュー

恐怖のラストというより、拍子抜けするラストだった。
ヒートという興奮を高める薬物に感染したカラスが一連の犯人。黒幕に巨大な製薬会社。終盤で判明したとき、ここからさらにどんでん返しがあるのかと思いきや、それもなく。推理を楽しむミステリーというよりは、性善説や正義に焦点が当てられてて哲学の方が近い。
それにしては、やたら描写が残虐。
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『魔女は甦る』

中山七里/著 幻冬舎文庫 2011年発行

3 魔女の下僕 より

「桐生隆の誤算は濃縮したヒートの効果が予想を遥かに超えていたことだ。試験体にされた3人の少年たちは見事な人間兵器となって殺戮を繰り広げた。スタンバーグ本社としてはヒートの出所を知られる前に証拠隠滅しなきゃならない。慌てて研究所を閉鎖し、データやら何やらを全て廃棄処分した。だが廃棄命令はあまりに急だったし、職員たちは書類を焼却、医薬廃棄物は穴に放り棄てるに留めた。実験に使用された小動物は薬殺した上で、これも放置した。死骸がそのまま腐乱し尽くしちまえばよかったのだろうが、その小動物の死骸を喰らったのが、ここら一帯に群棲するカラスたちだ。ところがその肉の中身は濃縮されたヒートで汚染されていた。当然、それを喰らったカラスの体内でヒートは濃縮を再開する。そしてヒートに侵されたカラスは捕食本能に攻撃性が加わり、民家のペットにまで襲いかかるようになった。現場付近で飼い猫が連続して行方知れずになったのは、つまりそういうことだ。だが、被害はそれに留まらなかった。そんな事情など露知らぬ桐生隆が、あの日研究所に向かう途中で奴等の襲撃を受けた」
桐生隆の名前が名前が出た途端、再度美里の足が止まる。
「まるでヒッチコックの映画だよ。そう考えると次に起きた嬰児誘拐事件もカラスの関わりが見えてくる。誘拐現場には桐生隆の肉片が落ちていた。そこで本部は両事件を一連のものとして捉えたんだが、現場にはカラスの羽毛も残っていた。当然だ。桐生隆の屍肉を貪った奴らがそこに舞い降りていたんだからな」

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どうでもいい、じじぃの日記。
中山七里著『魔女は甦る』を読んだ。
本の表紙はカラスの影絵で埋め尽くされている。
桐生隆という外資系会社に勤める研究員が、散らばった屑状の肉片になって発見されるところから話は始まる。
桐生隆は生物研究所でワクチンなどを開発する研究員だった。
実験に使われた小動物は薬殺した上で放置され、その死体をカラスが喰らう。
カラスの体内に濃縮された実験用薬のせいで、凶暴化し始めたカラス。
この小説は科学という鎧をまとって、もしかしたらという話に仕上げている。
少し、哲学書っぽいホラー小説だった。