How TikTok videos can mislead about war in Ukraine
Russia-Ukraine war
Ukraine war: False TikTok videos draw millions of views
25 April 2022 BBC NEWS
●TikTok has emerged as one of the leading platforms for snappy false videos about the war in Ukraine which are reaching millions.
With a user base of more than one billion people - more than half of whom are under 30 - TikTok is where many young people have been getting updates about the conflict, as the platform struggles to stem the flow of misleading information.
https://www.bbc.com/news/60867414
ウクライナ侵攻とテクノロジー 浮き彫りにした課題
ロシアによるウクライナ侵攻で現地から届けられる切実な状況、残忍な行為が日本に伝えられる一方、寄付やデモ以外にできることはないかともどかしく思う人も多いと思います。テクノロジーの活用によってできることがある一方で、課題も浮き彫りにしています。
31歳のデジタル大臣によるウクライナからの要請もあり、米スペースXを率いるイーロン・マスク氏は衛星インターネットサービス「スターリンク」の送受信機をウクライナに提供し、ロシアによる通信の遮断に対して対抗しました。
米ベンチャー企業のエアビーアンドピーも、民泊のシステムを通じて実質的に直接ウクライナのホストに資金を集める仕組みを奨励しました。手数料を限りなく少なくして支払った額がホスト側に届くというものです。
今回の侵攻は物理的な攻撃にとどまりません。フェイク動画や誤情報の拡散、サイバー攻撃など、情報戦の要素も増しており、テクノロジーの課題も浮き彫りにしています。日本も大国に隣接しているため、ひとごとではありません。
暗号資産が経済制裁の抜け道に
フェイスブックなどを運営する米メタはロシアの検察当局によって過激派組織と認定され、同社が運営するインスタグラムは通信を遮断されました。ロシアの銀行が国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除されたり、国際企業がロシアから撤退したりしています。西側各国によるロシアへの経済制裁は過去にないほど大規模なものとなっています。
それでもなお、ロシアはいまだ決定的なダメージを被るに至っていません。欧米諸国のほかに制裁には積極的でない国もあるという理由もありますが、かつてのような既存の送金チャネルが金融の流れの中心ではなくなりつつあるからです。
今回の侵攻を受けてウクライナ政府は、暗号資産のイーサリアムとビットコインなどを通じて5200万ドルを超える寄付を集めています。暗号資産のような新しい通貨の形が、ウクライナの人道支援において役立つことは意味があることです。しかし裏を返せば、ロシア側もこうした形の資金の移動が可能であるということを意味します。
米バイデン大統領は22年3月9日に署名した大統領令において、暗号資産のメリット・デメリットを評価する報告書を作成するとしています。ウクライナやロシアでの現状も考慮に入れた暗号資産の活用や監視に動くとみられています。
SWIFTの決済停止によってルーブルは暴落しましたが、ビットコインそのものはロシアからのアクセスを遮断していない暗号資産交換所もあるので、取引の抜け道があります。だからこそ、経済制裁の影響力は相対的に低下していると見ることもできるでしょう。分散化のネットワークができることによるメリットはたくさんありますが、こうした非常事態においては逃げ道にもなりうるともいえます。
フェイク動画に備えを
金融の流れが多方面に行き交うようになったのと同じく、情報のチャネルも多様化しています。国営放送をほぼ唯一の情報源とするロシア国内の中高年と、ツイッターを動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のように複数のSNSを使いこなしている若い世代では、入ってくる情報の量と内容がまったく異なりますし、真実かどうかを見極める能力にも違いがあります。
TikTokに関しては、親会社の北京字節跳動科技(バイトダンス)が中国政府からの独立性を担保しているという発表をしています。とはいえ中国の政治的な動きも見ておかなければなりません。
ウクライナ情勢に関しては、英シンクタンクであるデモ(Demos)のソーシャルメディア分析センターリサーチディレクターのカール・ミラー氏による分析では、大規模な偽情報の拡散活動が報告されています。
しかも偽のウクライナ大統領が降伏を呼びかけるフェイク動画や、過去の軍事演習の動画を組み合わせてまるで戦闘が現在起きているようにみせかけたフェイク動画などが出回っています。人工知能を使って巧妙に似せて作られ、ぱっと見では本物と見分けがつかないだけに、多くの課題が浮き彫りになっています。
新型コロナウイルスもそうでしたが、混乱している時こそ偽情報の影響が大きくなりがちです。普段から警戒したり手口を把握したりしておくといったテクノロジーのリテラシーのアップデートが必要でしょう。残念ながら日本のテレビ局であっても、フェイクへの対抗手段である「ファクトチェック」をせず、偽情報に影響された内容を報道するなど無防備な状態が露呈しています。