世界のモバイル機種シェアの推移を表したグラフ
世界40ヵ国、主要OS・機種シェア状況 【2022年5月】
2022年5月17日 アウンコンサルティング株式会社のプレスリリース
スマートフォンの普及率は世界中で増加傾向にあり、国内外でインターネットマーケティングを実施するにあたり、世界の主要モバイルシェア状況を把握することは、重要な軸となっております。
アウンコンサルティングではこの度、世界40の国と地域を対象に、2021年4月から2022年4月までのモバイルにおける主要OS、主要機種のシェア状況をまとめました。
2016年4月からの世界のモバイル機種シェアの推移を表したグラフです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000034654.html
ウクライナ情勢も影 MWCで見たテクノロジーの地政学
ウクライナ情勢が深刻化するのと同時期に、スペインのバルセロナで2022年2月28日から世界最大級のモバイルテクノロジーの見本市「Mobile World Congress 2022(MWC)」が開催されました。展示を実際に見て感じた、ウクライナ情勢とも決して無関係ではないテクノロジーの動向を紹介しましょう。
MWCは新型コロナウイルスの感染拡大により20年は中止に追い込まれ、21年は大幅な縮小を迫られましたが、22年は大手スマートフォンメーカーのほとんどが出展するなど、現地はかつての活気を取り戻しつつあります。
その中で日本企業は日本独自の新型コロナ感染予防への水際対策の影響もあり、三木谷浩史会長兼社長が酸化した楽天グループや富士通などを除くと、出展やトップの参加は少なく、ほぼ存在感はありません。
米国企業のうち米アマゾン・ドット・コムはクラウド事業のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や、今やYouTubeよりも規模が大きいといわれる広告事業の「Amazon Ads」、サブスクリプションサービスを手掛ける「Amazon Fuse」をアピール。マイクロソフトはクラウド事業や2画面の新規端末である「Surface Duo2」などをアピールしていました。
このMWCではロシア関連企業の一部出展は中止されました。しかし、それはビジネス上の影響が軽微であるがゆえに、主催者が決断しやすかったのでしょう。
ファーウェイなど中国勢に注目
一方で特に注目すべきは、中国系企業の動向です。米国で開催されるCESとは異なり、欧州が主な開催地となるMWCには、米国と安全保障において緊張関係にある中国の企業が比較的多く出展しました。
22年は通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)、スマホを主力製品とするOPPO(オッポ)、ファーウェイから独立したHonor(オナー)、21年に日本へ進出した新進スマホメーカーrealme(リアルミー)など、50社以上もの中国企業が新製品を発表。ソフトウェアからモバイルデバイス、高速充電システムまで、最先端を行く自社のテクノロジーと存在感を欧州市場にアピールしました。
韓国メーカーのサムスン電子はCESで自社のビジョンや新製品のプレゼンを積極的にアピールして、半導体の製造拠点など主に米国に重きを置いています。それと同様の熱量で、中国メーカーはMWCでの発表に力を入れて欧州向けにアピールしたのです。
中国メーカーの強みは他国のメーカーと遜色ない、もしくは同等以上の品質と価格の安さです。最近では特にクラウド事業の市場シェア争いが活発です。米国と近い関係ではない欧州の一部の国は、その魅力に引かれて導入を検討しています。
とりわけ中国最大のテック企業であるファーウェイは、米国政府による半導体の入手を制限するなどの制裁措置を受けて、「安全保障上の脅威」という判断からファーウェイを含む中国企業5社の製品が米国内で販売ができなくなりました。英国やスウェーデンも、米国の動きに追随しています。
今回のMWCでファーウェイが発表した「2-in-1」のタブレットPC「MateBook E」や、e-inkディスプレー搭載の手書きメモも可能な電子書籍リーダー「MatePad Paper」などは、各国メディアの注目を集めました。しかし、いずれも米国への上陸予定はありません。
近年スマホ事業の不振が続くファーウェイが、次にどの段階に活路を開くのが見極めるうえでも、MWCのような場は重要な機会といえるでしょう。現代では単に新商品、新サービスの需要だけでなく、国家感の背景も見通さなければなりません。
ウクライナ情勢が示すように、もはやテクノロジーは経済・政治・金融の隅々にまで根を張っています。グローバルな見本市は、国家間の対立構造やその先の潮流の方向性をも浮き彫りにする、テクノロジーの地形学を学ぶ機会でもあります。今回のロシアに関連するものだけでなく、別の国に関連するものもこれから深刻化する可能性が増してきました。
グローバル企業のリーダーが経済安全保障の枠組みのなかで刻々と変化する情勢に合わせて対話するなかで、状況をリアルタイムで把握することは重要です。これは第三者に任せて受動的に把握できるものではありません。日本は22年3月から水際対策を緩和しました。日本企業の経営陣自らが能動的に体感し、学び続ける必要性がより増してくるでしょう。