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第3章 生活習慣病「糖尿病」「腎臓病」なき世界 より
1300万人を苦しめる「腎臓病
慢性腎臓病は8人に1人の国民病
人口1億2600万人の日本で、腎臓病患者が現在何人いるかご存知だろうか。なんと慢性腎臓病の推定患者数は2005年の集計で1330万人にのぼり、成人人口の約8人に1人に達する。また、高齢化に伴い、2015年には1480万人となり、今後も増加が予想される。もはや「腎臓病は国民病」と断言してさしつかえないだろう。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるとおり、内部で障害が起きていても自覚症状が現れにくい。と同時に、肝臓はタンパク質の合成工場のように機能し、壊れた部分の再生機能をもつ素晴らしい臓器でもある。
腎臓は人体にとって大事な役割をたくさん背負っており、細胞の数が多く繊細な構造だ。肝臓とは異なり、腎臓はひとたび壊れてしまうと再生できない弱点をもつ。つまり加齢に伴って、腎機能は必然的に弱まっていく宿命にあるのだ。
筑波大学の准教授で肝臓病の専門医・永井恵先生に、腎臓のメカニズムについて話を聞いた。
「食事や生活様式が近代化するまでは、腎臓病といrば、生活習慣病に関わらない免疫や遺伝の異常によるものでした。しかし、摂取エネルギー、塩分、脂質が過多になり、座りっぱなしの人が増えています。高齢化が進み、メタボリック・シンドロームの人が多くなっていることと腎臓病が増加することは、大きな意味で一緒です。メタボの人は血圧やコレステロール、中性脂肪の値が高く、高尿酸血圧症ですよね。すると動脈硬化を起こしやすくなります。腎臓には大小さまざまな血管がたくさんあり、血管の塊のような臓器です。動脈硬化によって血管が詰まると、その欠陥の先にある糸球体に血管が行かなくなってしまいます。すると腎臓の機能が失われていき、病気になってしまうのです。 (永井准教授)
糸球体とは、血液内にある老廃物や塩分を濾過する装置のことだ。1つの腎臓の中に、糸球体は100万個もある。100万個の糸球体は、1日にトータルで150リットルから170リットルもの尿をつくり、濃縮して膀胱に送る。1日24時間休むことなく尿をこし、1日1.5リットル程度の尿を体外に排出するわけだ。その濾過する力が下がった状態が続くことを慢性腎臓病と呼ぶ。
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仕事が忙しすぎて、食事中以外はまったく水分を口にしない人がいる。腎機能が正常な場合はまだしも、慢性腎臓病で飲水が十分できていない状態の人は、なけなしの力で一生懸命尿を作ってくれる糸球体の首を絞めているようなものだと自覚したい。
脂っこい食事は避け、節酒しよう
永井准教授は、動脈硬化が腎臓病のトリガーになると説明してくれた。血糖値の数学は皆がやたらと気にするが、中性脂肪の数字にはさほど敏感でもない。脂っこい食事をとり続け、中性脂肪が高くなりすぎると動脈硬化の原因となり、腎臓病悪化のトリガーになると永井准教授は指摘する。
「血糖値は、食後1時間から1時間半をピークとして下がっていきます。中性脂肪の数値は、食後から4~5時間後にピークが来るのです。つまり朝昼晩と3度の食事を摂ると、起きている間はずっと高中性脂肪状態になってしまいます。これも動脈硬化の大きな原因です」 (永井准教授)
食事の脂質を小腸から吸収したカイロミクロン(リボタンパク質)は、中性脂肪の塊だ。そのほかに肝臓でも中性脂肪が作られ、この2つが中性脂肪の大きな供給源となぅている。
中性脂肪がスムーズに分解されればHDL(善玉)コレステロールに変わるわけだが、スムーズに分解されなければ、中性脂肪を大量に抱えこんだLDL(悪玉)コレステロールが増えてしまう。
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「会食という点で、飲食することは、肝臓が悪い方には決しておすすめはしません。ですが、飲食自体が腎臓に対して、悪影響を及ぼす可能性は低そうです。むしろ缶ビール1本程度、日本酒1合程度を習慣的に飲んでいるほうが、慢性腎臓病は発症・進展しにくいとされています。脂っこい食事のみならず、おつまみになるようなしょっぱいものをたくさん食べたり、不眠になったり、アルコール摂取以外のリスク・ファクターを抱えることになりますので、ぜひとも節酒で健康的な会食をお願いします。どうせ飲むなら、1日で唯一最高で1杯で終わってください」 (永井准教授)
自分にどのような病気の可能性があり、臓器の機能がどのくらいあるのかを健康診断や人間ドックを通して把握しておくことが、楽しみのある日々の生活を送るには大切だといえるかもしれない。
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どうでもいい、じじぃの日記。
生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」をいう。
慢性腎臓病の主な原因は、糖尿病と高血圧だ。
慢性腎臓病の症状としては、夜間の排尿、疲労、吐き気、かゆみ、筋肉のけいれん、呼吸困難、足のむくみ、食欲不振などがある。