脳関門研究の歴史と未来予測
脳へ薬剤を送りこめ~「脳関門」をどう突破するか
2018/6/21 Yahoo!ニュース
●身体にある関門とは
脳には血液脳関門(Blood-Brain Barrier、BBB)や血液脳脊髄液関門(Blood-Cerebrospinal Fluid Barrier、BCSFB)があり、網膜には血液網膜関門(Blood-Retinal Barrier、BRB)があり、これらが脳や網膜へ必要な物質以外の異物が簡単に入らないようにしている。
そのため、薬を患部へなかなか到達させられず、アルツハイマー病などの脳神経疾患や糖尿病性網膜症などの網膜の病気の治療は難しいとされてきた。
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20180621-00086788
PartⅠ もっと知りたい!脳のはなし――守りは堅いのに、体によくないものは大好き より
厳重に守られている脳
脳は非常に重要な臓器です。その証拠に、人体のなかで、脳ほど手厚く保護されているものではありません。心臓も重要な臓器の1つですが、肋骨という隙間だらけの骨に守られているだけです。
それに比べて脳に守っている頭蓋骨の固いこと。よく石頭なんていわれますが、ちょっとやそっとでは、折れたりしないのが頭蓋骨です。その上には頭皮があり、頭皮には、毛髪が生えています。体毛は、本来、体温を保ったり擦(こす)れたり衝撃から皮膚を守るために存在しているものですから、このことからも頭部が大事にされていることがうかがえます。
次に頭蓋骨の中へと視点を移してみましょう。脳は頭蓋骨の下で、脳脊髄液と呼ばれる無色透明な体液に浸(つか)っています。これはさながら、お豆腐が水の中に浸って売られているのと同様で、その第1の意義は、衝撃を吸収するためにあると考えて差し支えないと思います。脳脊髄液の驚くべき働きについては、「脳を流れる水の働き」でご紹介します。
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硬膜とクモ膜、軟膜と脳表はぴったりとくっついていて見分けがつかないのですが、クモ膜と軟膜の隙間には、クモ膜下腔と呼ばれるスペースがあり、そこを脳脊髄液が流れています。
このように何重にも守られてようやく脳組織にたどり着くことができるのです。
アルコールは通すのに、重要な薬は通さない
ここまでは、脳を物理的に守る話でしたが、脳は物理的にだけでなく、化学的にも手厚く守られています。
脳を化学的も守るしくみは、血液脳関門と呼ばれています。関門というと、何か立派な門番がいて、ここから先は通さないというしくみがあるのかと思いますが、じつはそうではありません。脳に出入りするすべての毛細血管を監視して、余計なものが脳に入ってこないようにするしくみがあるのです。
血液にはいろいろなものが溶け込んでいますが、代表的な例としては、食べ物を消化した後にエネルギーとなる、ブドウ糖やアミノ酸、脂質などです。また、薬も血液に溶けて運ばれますし、アルコールやカフェインが”効く”のも血液から脳に届けられるからです。
アミノ酸の代表は、化学調味料にも含まれている、旨味(うまみ)成分であるグルタミン酸です。そのグルタミン酸は、脳の中では興奮を伝える仕事をしています。しかし、もし食べ物に含まれるグルタミン酸が、ダイレクトに脳に届いてしまったら、脳が興奮しっぱなしになってしまい、たとえば、けいれんが止まらなくなって大変なことになります。
そうならないように、血液脳関門ではグルタミン酸のような物質はブロックして、血液から脳に入ってこないようにしているのです。
一方、ブドウ糖は脳にとって唯一無二のエネルギー成分ですから、積極的に取り入れるしくみが存在しています。
薬も同様に、選ばれたものしか通ることができません。しかし、やっかいなのは重要な薬ほど脳に届けるのが難しいことです。たとえば、せっかくアルツハイマー病に効くかもしれない薬を発明したとしても、今後はそれをどうやって脳に届けるかが重要な問題となります。
薬学の研究分野では、薬物送達という、”薬を脳に届けるしくみを専門に研究する”分野があるほどで、非常に小さいナノカプセルに擬態して脳に届けるようだとか、血管が無理なら鼻から届けようなど、さまざまな工夫が研究されているのです。
一方で、アルコールやカフェイン、ニコチン、ドラッグなど脳には入ってきてほしくない物質ほど脳に届いてしまうのは困ったことです。
以上のように、脳は他の体の部位とは隔絶した存在ということができます。
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どうでもいい、じじぃの日記。