Iceland - Tingvellir National Park
【アイスランド・シンクヴェトリル国立公園】ヨーロッパとアメリカ大陸の境目！？水中に隠された地球の分かれ目！
2019年8月15日
アイスランドの首都レイキャビクから40kmのところに、地表に現れた大西洋中央海嶺の割れ目を見ることができるという極めて珍しいスポットがあります。それがシンクヴェトリル国立公園（Tingvellir National Park）です。
この割れ目は、ギャオ（Gja）又はアルマンナギャオ（Almannagja）と呼ばれ、この一帯は現在も地下変動が続き、地熱・火山活動も盛んとなっています。
https://tripnote.jp/iceland/thingvellir-national-park
Part1 ダイナミックな地球のはなし――アイスランドは地質学的宝庫 より
史上最大の噴火
人類が経験した最大の噴火の1つといわれているのがアイスランド共和国（以下、アイスランド）のラキ山の噴火です。ラキ山には、長さ約25キロメートルにも及ぶラーカギガル火口群があり、約120個の火口が整列しています。
これらは、1783年6月、ラキ山の地面が突如割れて火が噴き出し、25キロメートルにわたってまるで炎のカーテンにようになった噴出源です。
火口は、小休止を挟みながら、5ヵ月間にわたって大量の溶岩を流出しました。当時のアイスランドの全人口5万人のうち1万人が亡くなる大惨事でした。さらに、北半球一帯では、空を覆う火山灰のために日照時間が減り、飢饉が起こりました。
アイスランドは、今も活発な火山の島です。2010年春にも、大規模な噴火がありました。南部にあるエイヤフィヤトラ氷河の火山が、3月に噴火し、4月14日に再び大規模な噴火を起こしました。
噴き上げられた火山灰は上空11キロメートルに達し、やがて風に乗って南東に流れ、ヨーロッパ北部を広く覆いました。火山灰によるエンジントラブラを恐れた各国航空当局は、4月15日から21日にかけて発着停止や空港閉鎖に踏み切り、交通に大きな影響が出ました。
日本のような弧状列島の火山は山頂から噴火し、二酸化ケイ素（SiO2）が多く粘っこい安山岩溶岩が多いのが特徴です。他方、アイスランドの火山の特徴は、谷底の割れ目から噴火し、比較的さらさらした玄武岩質溶岩が多い点にあります。
割れ目は広がり続けている。
アイスランドで見ることのできる大西洋中央海嶺は、東に移動するユーラシアプレートと西に移動する北米プレートの境目にあたり、割れ目地帯になっています。
2つのプレートは、1年をかけて左右にそれぞれ1～1．5センチメートル、合計で2～3センチメートルほど移動しています。それにともなって割れ目が少しずつ広がり、間に玄武岩質マグマが入り込みます。
アイスランドでは、この地割れを「ギャオ」と呼びます。とくにシンクヴェトリル国立公園にあるギャオは、観光地としても有名です。
930年～1798年にかけては、切り立った崖の間にあるギャオの底で、民主会議「アルシング」が行われていました。声が崖にぶつかって反響し合い、遠くまで届いたといいます。
また、割れ目地帯では火山活動が活発なため、高温の水蒸気が噴き出しています。地下の熱水や高温の水蒸気をくみ上げて地熱発電が行われているほか、暖房や温室栽培などに利用されています。
アイスランドから糸魚川市へ
新潟県糸魚川市にフォッサマグナパークという地質公園があります。フォッサマグナパークには、人工的に斜面を採掘し、糸魚川ー静岡構造線の断層面を見られるようにした「露頭（ろとう）」があります。露頭とは、地表に地層や岩石が露出した場所のことです。
この露頭は、東側が北米プレート、西側がユーラシアプレートに分かれています。
そこで右足は北米プレート、左足はユーラシアプレートというふうに、2つのプレートをまたいだ立ち方ができるのです。プレートの境目には、北米プレートとユーラシアプレートがぶつかりあって岩盤が何度もこすれて粉砕され、それが粘土になった粘土化帯（断層粘土）を見ることができます。
アイスランド付近で生まれた北米プレートとユーラシアプレートは、ふたたび地中に沈み込んでいきます。糸魚川市は、2つのプレートの終着点をじかに見ることのできるめずらしい場所なのです。
北米プレートとユーラシアプレートの境界は、日本海頭部、タタール海峡、ベルホヤンスク山脈、チェルスキー山脈、北極海、グリーンランド海、アイスランドと大西洋中央海嶺にかけての広い地域に延びています。
