じじぃの「歴史・思想_588_福島香織・台湾に何が・まともではない習近平の性格」

【米中首脳会談】習主席「火遊びすれば、必ずヤケドする」警告

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Bi0UUYB2qwM

米中首脳 電話会談


米中首脳電話会談 習主席「火遊びをすれば自ら身を滅ぼすことに」強く警告

2022/7/29 Yahoo!ニュース
アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席が28日、電話で会談しました。習主席は、台湾問題をめぐり、「火遊びをすれば、自ら身を滅ぼすことになる」と述べ、干渉しないよう強く警告しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c07a3c4427f0fe825afa891e996090f9f05e32f9

『台湾に何が起きているのか』

福島香織/著 PHP新書 2022年発行

第1章 今、台湾に迫る危機 より

米国紙ではなく英紙がすっぱぬく

この8月のペロシ訪問計画を最初に報じたのは、英紙『フィナンシャル・タイムズ』(FT、7月18付)だった。
ペロシはもともと4月10日、米国の台湾関係法制定43周年記念日(4月10日)に合わせて下院代表団を率いて台湾を訪問する予定だった。だが、ペロシ自身が新型コロナに感染してしまったので延期されていた。それを8月上旬に行う、と米国紙ではなく英紙がすっぱ抜いて報じた。
米国においては、大統領に万一のことがあれば副大統領が代行し、副大統領に万一のことがあれば下院議長が代行する。つまりペロシは米国の政治序列第3位の人物である。この地位の人物の訪台は、実現すれば1997年のギングリッチ下院議長以来の25年ぶりという。ただ、ギングリッチ共和党で当時のクリントン民主党英検にとっては野党だった。ペロシ民主党の与党議員。ギングリッチとは台湾訪問の重要度が違う。
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4月のペロシ訪台計画のときも中国は強烈に批判していたが、8月上旬といえば北戴河会議中、秋の党大会前の2、3ヵ月というタイミングということもあって、中国の恫喝は、これまで以上に激しいものだった。
外交部の趙立堅報道官は7月25日の記者会見でこう語った。
「もし、ペロシ下院議長が訪台するなら、『一つの中国』の原則と中米間の3つの共同コミュニケの規定に違反し、中国の主権と領土完全性を深刻に損害するものであり、中米関係の政治基礎は深刻に衝突し、台湾独立派分裂勢力に深刻に誤ったシグナルを発することになる、中国は断固反対する。……米国はペロシ議長の訪台をアレンジしてはならず、米台のオフィシャルな往来を停止し、台湾海峡情勢の緊張を原因を停止し、米国が台湾独立派を支持しないという約束を実際の行動をもって示すよう、中国は要求する」
「我々は厳正に対処する。もし、米国が一方的に強引にそのようなことを行うとしたら、中国は断固たる措置をとって、国家主権と領土の完全性を断固として守る。それによるすべての結果は完全に米国の責任だ」

習近平の視野にあるのは自分の立場だけ

こうした緊張状況の中で、米バイデン大統領は中国の習近平国家主席と7月28日にテレビ会談を行った。
この会談は習近平にとって、秋の党大会前に人事などの調整を詰める非公式の「北戴河会議」直前の米中会談ということで、重大な意味があった。2時間20分に及ぶ長時間の会談の詳細は今なお明らかでないが、ほとんどが台湾海峡問題に費やされたようだ。
会談後にホワイトハウス新華社が発表した内容を整理すると、習近平が激しい言葉で威嚇し、バイデンがなだめる側に回ったようなニュアンスだ。
習近平は「台湾独立勢力と外部勢力の干渉には断固反対する」「いかなる台湾独立勢力にもいかなる生存空間を与えない」「火遊びする者は自らを焼く」と激しい言葉をバイデンにぶつけた。
新華社によれば、バイデンは台湾独立を支持しない立場を繰り返したという。だが米国の公式発表では「台湾独立を支持しない」という文言はなく、バイデンは「米国は台湾海峡の平和と安定を改変するいかなる一方的な挙動に強烈に反対する」と発言したことになっている。
本来、この会談で期待されていた米中通商協議の第1段階合意に基づいて、米国の対中関税をいつ引き下げるのかについての話題は、少なくとも米中公式の発表では触れられていない。もし、習近平が本当に発表通りの「火遊び」発言をしたなら、とてもそんな前向きな話題を話し合う雰囲気にはならなかっただろう。
おそらくバイデンはペロシ訪台を阻止したかったのだが、中間選挙を控えて、ペロシの行動を強引に止めることは民主党全体に不利であることも承知して、強くいえなかった。だが、下院議長の訪問は米国政府を代表するものでもなく、ペロシ個人の信念に基づく訪問であり、米国の政治システムではそれを強引に止めることもできないのだ、と中国に説明したところで、習近平にはおそらく通じない。

江沢民胡錦濤のように外交に比較的明るい指導者なら通じたとしても、習近平の視野にあるのは国際社会ではなく、中国国内における自分の立場だけなのだ。