じじぃの「地球の話・ヒマラヤ山脈のエベレスト・かつて海の底だった!面白い雑学」

世界一高いヒマラヤ山脈エベレストは、なんと海の底にあった?

2021年11月18日 ニュースがわかる オンライン
●エベレスト山頂に海底の痕跡
世界でもっとも高いヒマラヤ山脈の最高峰であるエベレストは、 8848メートルです。
山頂付近には、登山家がイエローバンドと呼んでいる地層があり、黒い岩尻にくっきりと黄色味をおびた帯のようになっています。イエローバンドの正体は、変成した「石灰岩」です。
この石灰岩は、ウニの仲間であるウミユリなどの生物からできたもので、中には化石も含まれています。
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『面白くて眠れなくなる地学』

左巻健男/著 PHP研究所 2021年発行

Part1 ダイナミックな地球のはなし――ヒマラヤ山脈はまだ高くなる? より

エベレスト山頂に海底の痕跡

世界でもっとも高いヒマラヤ山脈の最高峰であるエベレストは、標高8848メートルです。
山頂付近には、登山家がイエローバンドと呼んでいる地層があり、黒い岩肌にくっきりと黄色味をおびた帯のようになっています。イエローバンドの正体は、変成した石灰岩です。この石灰岩は、ウニの仲間であるウミユリなどの生物からできたもので、中には化石も含まれています。
イエローバンドを含む地層は、約3億年前に広がっていたテーチス海の底でつくられました。そのとき海洋底でできた地層が、今は8000メートル近い山の上にあるのです。

気が遠くなるほどの時間をかけて

テーチス海は、現在のヒマラヤ一帯からヨーロッパアルプスまで続いていました。数千万年前から、ヒマラヤ、アルプス一帯が隆起しはじめ、山々になる大陸が海から出現したのです。
年にたった1ミリメートルしか隆起しなくても、数千万年の経てば、数万メートルになるはずです。実際は、隆起する過程で雨風や河川などによって激しく侵食されるため、隆起と侵食のバランスで山の高さが決まるのです。

では隆起はどのようにして起こるのでしょうか。

隆起は、インド亜大陸ユーラシア大陸のような、とてつもなく大きな陸地を動かすプレートの運転によって起こります。陸地は、地球表面を覆う厚さ数十~百数十キロメートル程度の分厚い岩石からなる十数枚のプレートにのっており、ベルトコンベヤのように、1年前に数センチメートル程度の速さで移動します。
つまり、ヒマラヤ山脈は、もともとインド亜大陸を乗せたプレートがユーラシアプレートに衝突し、その間にあったテーチス海に堆積していた地層が、現在の高さまで上昇してできたと考えられています。しかもこの上昇は、今も続いています。

日本の地形の誕生

日本列島の場合はどうでしょうか。
私たちが現在、見ている山地や平野は、地球の歴史でいうと、つい最近できました。第四紀(約260万年前)以後のことです。それでも、私たちが生活の中で「つい最近」というのとはケタ違いですね。この第四紀という時代に、日本列島はほぼ今の姿に形づくられました。
今から260万年前ごろ、日本列島のあちこちで隆起、あるいは沈降が始まりました。隆起した場所は高くなっていくと同時に、雨風や河川によってどんどんけずりとられていきます。けずりとられる量より隆起量が上まわったところは山になっていったのです。
一方、沈降した場所は盆地になります。沈降とともに、まわりの隆起している山地からもたらされた土砂の堆積によって平野が出現しました。
このような隆起と沈降を「地殻変動」といいます。日本でもっとも隆起量が大きかったのは飛騨山脈で1500メートル以上、もっとも沈降量が大きかったのは関東平野で1000メートル以上です。
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1年間あたりの上昇量は、関東山地が0.5ミリメートル、四国山地は1~2ミリメートル、赤石山脈では1年間に4ミリメートルになるという報告があります。1年に1ミリメートルでも、260万年では2600メートルになります。まさに、「塵も積もれば山となる」とはこのことです。
ヒマラヤ山脈の隆起は1年間に10ミリメートル以上といわれますので、日本の山脈と比べるとずっと大きいですね。
改めて、インド亜大陸ユーラシア大陸のぶつかり合いの大きさに驚きます。