じじぃの「科学・地球_116_46億年の物語・緑の地球・陸上生物圏の出現」

【紹介】眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く (アンドリュー・パーカー)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CLMCsELTxQ4

255. パンゲア

2018年09月10日 地理講義
地球の陸地は20億年前に陸地ができ、2億5,000万年前まで、1つの大陸パンゲアであった。
パンゲアはその後に分裂移動したが、ウェーゲナーは大陸の分裂と移動の理由を解明できず、ウェーゲナーの大陸移動説は広い支持を得られなかった。
1960年代、アメリカは軍事目的の海底地形調査を進めた結果、大陸移動説はプレートテクトニクスとしてよみがえった。
https://blog.goo.ne.jp/morinoizumi33/e/80b468ba13e06bffef7e8a1c3f8f50cf

地球進化 46億年の物語 ブルーバックス

著:ロバート・ヘイゼン 訳:円城寺守 渡会圭子

はじめに より

岩石に刻まれた記録を調べるほど、生物と無生物のどちらも含めた自然界が、何度も形を変えているのがわかる。
これまで語られなかった壮大で複雑に絡み合った生命と非生命の領域には驚きがあふれている。私たちはそれらを分かち合わなくてはならない。それは私たちが地球だからだ。地球上の物質すべて、私たちの肉体をつくる原子と分子も、地球から生まれ、地球に戻る。私たちの故郷を知ることは、私たちの一部を知ることなのだ。
第1章 誕生 地球の形成
第2章 大衝突 月の形成
第3章 黒い地球 最初の玄武岩の殻
第4章 青い地球 海洋の形成
第5章 灰色の地球 最初の花崗岩の殻
第6章 生きている地球 生命の起源
第7章 赤い地球 光合成と大酸化イベント
第8章 「退屈な」10億年 鉱物の大変化
第9章 白い地球 全球凍結と温暖化のサイクル
第10章 緑の地球 陸上生物圏の出現
第11章 未来 惑星変化のシナリオ

                • -

『地球進化 46億年の物語』

ロバート・ヘイゼン/著、円城寺守、渡会圭子/訳 ブルーバックス 2014年発行

第10章 緑の地球 陸上生物圏の出現 より

世界という舞台劇

5億5000万年前から今まで動き続けている大陸は、地球の進化と多様化する生物相にとって、変更のきく舞台であり続けている。この話は単純な3幕物の舞台劇と考えると想像しやすい。
第1幕――カンブリアの始まり。5億4200万年前。原生代に存在した超大陸ロディニアは、いくつかに分かれて四散している。最大の陸地は南極から赤道に向かって広がるゴンドワナ大陸で、この名はインドの地名に由来する。現在の南側の大陸とアジアの広い範囲が、この巨大な1つの陸地にまとまっていて、その大きさは南北に1万3000キロメートルにも及んでいた。超大陸ロディニアのあとにできあ大陸は、すべて南半球に位置していた。そこにはローレンシア大陸(現在の北米とグリーンランド)をはじめ、いくつかの大きな島(ヨーロッパの大半)も含まれる。北半球はほぼ海で陸地はなかった。その後の2億5000万年で、すべての大陸がプレートによって北へと運ばれた。ローレンシア大陸はまず、のちにヨーロッパになる大陸と、シベリアの大部分と合体して2倍以上の大きさになった。
第2幕――およそ3億年前、北へ向かっていたゴンドワナ大陸ローレンシア大陸と衝突して、最も新しい超大陸パンゲアが誕生した。ゴンドワナ大陸ローレンシア大陸が1つになったことで起こった最も壮大な地質学的事件は、北米とアフリカの間にあった古代の海が消滅し、アパラチア山脈が生まれたことだ。現在のアパラチア山脈メイン州からジョージア州にかけて連なっているが、比較的のどかな、丸みを帯びた山脈だ。うねるようなその地形は、浸食の力がいかに大きいかを示している。3億年前にはのこぎりの歯のようにとがった山頂が、10キロメートル程度の高さまで突き出し、世界屈指の大きな山として、現在のヒマラヤに肩を並べるほどだった。超大陸パンゲアができたとき、乾いた陸地のほぼ4分の3が南半球に位置していた。そして1億年の間、超海洋のパンサラッサ(ギリシャ語で”すべての海”という意味)が超大陸パンゲアを囲んでいた。
第3幕――1億7500万年前。陸地が割れて、大西洋の形成が始まる。超大陸パンゲアの陸塊が7つの大きな陸地に分かれ始めた。まずローレンシア大陸ゴンドワナ大陸が分かれ、北大西洋が生まれる一方、大陸はさらに分かれて、さらに北西と南東へと広がった。南極大陸オーストラリア大陸ゴンドワナ大陸から分かれてそれぞれ小さな大陸を形成し、南へ移動した。南米大陸とアフリカ大陸西海岸の間の裂け目が南大西洋を開き、インドはアフリカ大陸東海岸から離れて、その後5000万年前にわたる北方への長い旅路についた。やがてアジア大陸にぶつかり、しわが寄るようにヒマラヤ山脈が盛り上がった。

動物の爆発的増加

およそ5億3000万年前、動物が進化によってある特徴を手に入れたことで、停滞した状態は途切れた。多くの種類の動物が、身を守るための殻を硬い鉱物からつくるようになったのだ。すでに何十億年も前から、生物はストロマトライトに鉱物の層をつくっていたが、殻をつくるという進化はどのようにして起こったのだろうか。わかっているのは、およそ5億8000万年前にあったガスキアス氷期のあと、どこかで名もない動物が、ありふれた鉱物(炭酸カルシウムと二酸化ケイ素が多い)から硬い体の部位をつくるという、すばらしい技を習得したということだ。そこには激しい生存競争があったと思われる。捕食者は硬い殻を割ってエネルギーを浪費するのを避け、軟らかい体の動物を食べようとするからだ。やがて殻をつくるか死ヌかという問題となった。そのころの化石の記録は驚くほど豊富で、生きていたときの姿そのままの生物の骨格が堆積層に詰まっている。カンブリアの”大爆発”と呼ばれる時期だ。
    ・
本当の”大爆発”は数百万年後、およそ5億3000万年前に起きた。あらゆる種類の有殻動物が、やや唐突に登場したのだ。そして進化上の軍備拡張競争が起こった。捕食者も被食者もどんどん大きくなり、歯や爪、外骨格や甲板(殻)、身を護る鋭いとげなども現れた。生物があふれる古生代の海の非情な世界を生き抜くためには、目を持つ必要に迫られた。殻を持つ生物が何世代にもわたって生まれては死に、その炭酸塩を含む骨格が、浸食に強い石灰岩の地層形成にひと役買っている。それらは過去5億年の地球史を変わらぬ姿で彩ってきた。化石が詰まったすばらしい炭酸塩の崖や屋根が世界のあちこちに存在し、何十もの国で周囲の風景を圧倒している。カナディアンロッキーの最高峰やドーバーの白い崖を形成し、エベレスト山の山頂をおおっている。

ヒトの時代

地球が存在していた期間の99.9パーセントには、人類は存在していない。この惑星の歴史の中で、私たち人類の歴史はほんの一瞬にすぎない。
ホモ・サピエンスの出現は、6500万年前にマンハッタンと同じくらいの大きさの小惑星衝突を生き残った。齧歯(げっし)類のような動物にまでさかのぼれるかもしれない。恐竜が絶滅してから数百万年のうちに、哺乳類は野原、ジャングル、山、砂漠、空中、海中などのニッチに広がった。しかしそれでも過去6500万年を楽に生きてきたわけではない。それら新たに誕生した哺乳類の多くが、また大量絶滅現象で死んでいる。そのような現象は5600万年前、3700万年前、3400万年前に起きたと考えられているが、原因はまだよくわかっていない。
その最後の惨禍を生き延びた動物から、ようやくヒトの祖先となる系統が生まれた。サル、類人猿、そして私たち。元をたどればみんな3000万年前に存在していた、共通する霊長類の祖先へと行きつく。最初のヒト科の動物(直立で歩く霊長類を含む科)が出現した800万年前の中央アフリカだった。
その一方で2000万年前に再び始まっていた氷結が、しだいに激しく頻度も多く起こるようになっていた。おそらく過去300万年の間に、氷が極から高緯度帯のかなり大きな領域、おそらく米国中西部の南側まで達していた。前の時代のスノーボール減少ほど極端ではなかったにせよ、氷河期が繰り返し起こるたびに、海面が何十メートルも低下した。アイスブリッジ(氷橋)がアジアと北米をつなぎ、マンモス、マストドン、やがてはヒトと、あらゆる種類の哺乳類が新世界、すなわち現在のシベリアから北米大陸、さらに南米大陸へと移動した。
これら氷河期が驚くべき進化へとつながった可能性がある。ある理論によると、気温が低い環境では、母親のすぐそばにいるや子や、頭の大きな子のほうが生き残る確率が高くなる(頭が大きいほうが熱を失いにくいから)。頭が大きくなれば脳が大きくなる。また母親の近くにいる時間が長ければ、学習する時間も多くなる。”道具をつくるヒト”という意味のホモ・ハビリスが、250万年前の大規模な氷河期の直後に出現したのは、おそらく偶然ではない。