じじぃの「科学・地球_117_46億年の物語・未来・惑星変化のシナリオ」

Earth 100 Million Years From Now

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=uGcDed4xVD4

Earth 100 Million Years From Now

Prediction of Earth's Continents 100 million Years from now.

MapPorn
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地球進化 46億年の物語 ブルーバックス

著:ロバート・ヘイゼン 訳:円城寺守 渡会圭子

はじめに より

岩石に刻まれた記録を調べるほど、生物と無生物のどちらも含めた自然界が、何度も形を変えているのがわかる。
これまで語られなかった壮大で複雑に絡み合った生命と非生命の領域には驚きがあふれている。私たちはそれらを分かち合わなくてはならない。それは私たちが地球だからだ。地球上の物質すべて、私たちの肉体をつくる原子と分子も、地球から生まれ、地球に戻る。私たちの故郷を知ることは、私たちの一部を知ることなのだ。
第1章 誕生 地球の形成
第2章 大衝突 月の形成
第3章 黒い地球 最初の玄武岩の殻
第4章 青い地球 海洋の形成
第5章 灰色の地球 最初の花崗岩の殻
第6章 生きている地球 生命の起源
第7章 赤い地球 光合成と大酸化イベント
第8章 「退屈な」10億年 鉱物の大変化
第9章 白い地球 全球凍結と温暖化のサイクル
第10章 緑の地球 陸上生物圏の出現
第11章 未来 惑星変化のシナリオ

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『地球進化 46億年の物語』

ロバート・ヘイゼン/著、円城寺守、渡会圭子/訳 ブルーバックス 2014年発行

第11章 未来 惑星変化のシナリオ より

ノヴォパンゲア大陸かアメイジア大陸か:2億5000万年後

地球の消滅は避けられない。しかしそれはずっと遠い未来の話だ。もっと近い将来をのぞいてみれば、もっと穏やかで、ダイナミックだが相対的に安全な惑星の姿が見える。数億年先の将来を理解する鍵になるのは、やはり過去のことである。
プレートテクトニクスは今後も地球の変化にとって中心的な役割を演じるだろう。現在、大陸は広範囲に散らばっている。アメリカ、ユーラシア、アフリカ、オーストラリア、それぞれの大陸が大きな海で隔てられている。しかしこれらの陸地は常に動いていて、1年に数センチメートルから10センチメートル近くも移動しているのだ。1000キロメートル移動するのに3000万~4000万年しかかからない計算だ。海底の玄武岩の年齢を調べれば、すべての陸塊が動く方向をかなり正確に予測できる。
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これまでの軌跡のデータから考えると、すべての大陸がまた衝突に向かっているように見える。今からおよそ2億5000万年の間に、陸地の大半がまとまって1つの巨大な超大陸をつくるだろう。すでに気の早い地質学者がノヴォパンゲアと名前をつけている。しかし将来の大陸の配置については、まだ論争の的である。
ノヴォパンゲアをまとめるには、いくらか複雑な動きが必要になる。現在の大陸の動きから、1000万年から2000万年先を予測するのは簡単だ。大西洋が数百キロメートル広がる一方で、太平洋は同じくらい縮小しているだろう。オーストラリアは南アジアに向かって北へ移動し、南極大陸は南極点からややずれて、やはり南アジアに近づいている。アフリカも忙しく、少しずつ北へ移動して、地中海がなくなりそうになっている。数千万年のうちにアフリカは南ヨーロッパに衝突し、地中海が閉じる過程で、アルプスがかすむほどのヒマラヤ級の山脈が隆起する。
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イントロバージョン(内向モデル)説支持者によれば、いまだ広がり続けている大西洋も、同じパターンに従うと言う。おそらく1億年のうちに動きの速度が落ちて止まり、方向を変える。そして約2億年後、アメリカ大陸が再びヨーロッパとアフリカに衝突する。同時にオーストラリアと南極大陸が東南アジアに接合し、ここに未来の超大陸”アメイジア”が完成するのだ。この陸塊はアルファベットのLの字を横にしたような形で、使っているピースはノヴォパンゲアと同じだが、アメリカ大陸が西側になる。
当面、どちらの超大陸モデル(エクストロバージョンとイントロバージョン)にも見るべきものがあり、いまだ決着はついていないようだ。この友好的な論争の結果がどうあれ、2億5000万年後の地球の形が現在とはまったく違っていても、過去と同じ現象が繰り返されていちという点では、意見が一致している。ほんのつかのま大陸が赤道に集まり、氷河期の影響を減らして海面の高さの変化を抑える。大陸が衝突した部分で山が隆起し、天気や植物のパターンは変化し、大気中の二酸化炭素や酸素レベルは上下する。それらの変化が地球の物語の中心であるのは変わらない。

地球の変化の地図:これからの100万年

100万年後の地球は、今とそれほど変わっていないだろう。大陸はもちろん動いているが、現在の相対的位置から、せいぜい50~60キロメートル動いている程度だ。太陽は24時間ごとに昇って地球を照らし、月はだいたい1ヵ月で地球を1周する。
しかし大きく変わっているものもあるだろう。地球の多くの場所で、不可避な地質プロセスによって、地形が変っているはずだ。最もわかりやすい変化は、影響を受けやすい海岸線だ。私の大好きな場所の1つであるメリーランド州カルバート郡は、急激に浸食されつつある中新世の崖が何キロメートルも続き、化石が無限に出てきそうな場所だが、そのころには完全に消滅しているだろう。カルバート郡は端から端までたったの8キロメートルで、年間30センチメートルずつ小さくなっているのだ。そのスピードだと100万年どころか5万年も続かない。
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100万年で人間は何万回も世代が交代する。これまでの人間の歴史の、何百倍もの時間だ。もし人間が生き残れば、進歩を続ける技術によって、地球は想像を超える物理的変化を遂げるかもしれない。しかしもし人間が死に絶えれば、現在と同じような状況が保たれるだろう。陸上でも海でも生物がおおいに繁殖していると思われる。岩石圏と生物圏の共進化が、産業化が始まる以前のバランスを取り戻しているだろう。