じじぃの「科学・地球_173_太平洋とはどんな海か・環太平洋火山帯」

Why there's a ring of natural disasters around the Pacific

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=DrwYtGf40hA

太平洋プレートが沈み込む海溝群

Plate Tectonics and the Ring of Fire

National Geographic Society
https://www.nationalgeographic.org/article/plate-tectonics-ring-fire/

まるで孤高のゴジラ!? 海上100mに屹立する「謎の奇岩」の正体(中川 隆夫,ブルーバックス編集部) ブルーバックス

東北地方の山並みに沿って南北に一列。九州地方でも南北に列をなす。そして、富士山から南に、伊豆小笠原諸島にもきれいに一列になった火山の列がある。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63715?page=3

太平洋 その深層で起こっていること

蒲生俊敬 (著)
世界最大の広さを誇り、世界最深点をそのうちに秘める太平洋。人類最後の秘境=深海底はどんな世界なのか? 水深1000mにひそむ火山の正体とは?
第1部 太平洋とはどのような海か
第2部 聳え立つ海底の山々
第3部 超深海の科学――「地球最後のフロンティア」に挑む

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『太平洋 その深層で起こっていること』

蒲生俊敬/著 ブルーバックス 2018年発行

第1部 太平洋とはどのような海か より

第2章 「堅い」太平洋――その海底はどうなっているのか

19世紀より以前の人類は、太平洋も含めた世界中の海について、その海底がどんな地形をしているのか、ほとんど何も知りませんでした。当時の人々は、「海底には起伏がなく、のっぺりとした平面がずっと続いているのだろう」といった程度の、ごくあいまいな認識しかもっていなかったと考えられます。
ところが、20世紀に入る頃から観測頻度が高まり、また観測手法が向上したことで、海底の地形は、のっぺりどころか、複雑な凹凸に満ちたものであることが、しだいに明らかになってきました。

海中にもあった環太平洋火山帯

西太平洋の海溝群のすぐ西側には、中央海嶺とは別のタイプの火山群があります。
これらの火山によって弧状列島や島々が形成され、一般に「島弧(とうこ)」、あるいは「島弧火山」とよばれています。海溝にほぼ並行して、細長く分布します。海溝と島弧火山は必ず連係することから、「島弧・海溝系」と、まとめてよぶこともあります。
図(画像参照)は、北緯10度以北の、太平洋プレートの沈み込みに関わる島弧・海溝系を示したものです。北から千島・カムチャッカ海溝、日本海溝伊豆・小笠原海溝、そしてマリアナ海溝が連なり、これらのすぐ西側に、島弧火山がずらりと並んでいます。
東北日本の多くの火山や、伊豆・小笠原海溝に平行して点々と連なる伊豆七島、鳥嶋、硫黄島西之島などは、すべて島弧火山の範疇に含まれます。明神礁や日光海山、春日海山などの海底火山も、数多く知られています。
古く冷たいプレートが海溝で沈み込むと、その西側にどうして火山ができるのでしょうか? 詳しくは第5章でお話ししたいと思いますが、重要なポイントは、沈み込むプレートがマントルに大量の水を供給するところにあります。この水がマントル物質と反応することでその融点を下げ、マグマが発生しやすくなるために火山が生じるのです。
太平洋を取り囲む陸上では、ベルト状に火山が連なっていることから、以前より「環太平洋火山帯(Ring of Fire)」とよばれてきました。火山による造山運動を重視した「環太平洋造山帯」という呼称もあります。
一方、太平洋という海に視座を移してみると、太平洋の海底にある火山もまた、首飾りのように環状をなしていますね。東側には中央海嶺、西側には島弧の海底火山群というふうに、活動的な火山が、太平洋の縁辺に沿ってぐるりと並んでいます。
米国の海洋大気庁(NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration)はかつて、海底火山の新しい研究プロジェクトを立ち上げた際に、「大西洋の環火山帯(Pacific Ring of Fire)」という呼び名を提案しました。活発な火山活動によって特徴づけられる太平洋のイメージが、まるごと伝わってくる絶好の名称ですので、本書ではこのあとも、折に触れてこうよびたいと思います。