じじぃの「科学・地球_338_世界を変えた100のポスター・映画『ジョーズ』」

Jaws Official Trailer #1 - Richard Dreyfuss, Steven Spielberg Movie (1975) HD

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=U1fu_sA7XhE

映画「ジョーズ」(原題:JAWS、1975)を再見。

2021-05-26 fpdの映画スクラップ貼
ジョーズ」(原題:JAWS、1975)を再見した。スティーブン・スピルバーグ監督の初期の作品の傑作の1本で、人喰いザメの恐怖を描いている。
1977年に「スターウォーズ」が登場するまで、世界興行収入の1位を維持していた。
タイトルのJAWSは、上下のあご(JAW)のことで複数形(JAWS)で、英語圏では、サメということではなく顎(あご)と認識されている。恐怖を煽るようなテーマ曲は、ストラヴィンスキーバレエ音楽春の祭典」(1967)という曲を元ネタとしている。実際に聴いてみると、よくわかる。
https://fpd.hatenablog.com/entry/2021/05/26/220328

『世界を変えた100のポスター 下 1939-2019年』

コリン・ソルター/著、角敦子/訳 原書房 2021年発行

081 映画『ジョーズ』 より

Film:Jaws[1975年]

スティーブン・スピルバーグ監督の映画『ジョーズ』は、空前のヒットを記録した最初の夏の映画としてよく取り上げられる。原作のピーター・ベンチリーの小説では、白い巨大ザメがアミティというアメリカの架空の海辺の町を恐怖に陥れる。このシンプルで直接的なポスターを見れば、映画館でどんな恐怖が待ち受けているか疑う余地はない。

この小説のペーパーバック版の表紙を描いたのは、ロジャー・カステルというアーティストだった。カステルはこの本の最初の数ページを読んだだけで、泳いでいる人間とその下待ち受けるサメという構図を思いついた。本の冒頭では若い女性が全裸で泳いでいて、このモンスターの最初の犠牲者になる。映画も同じショッキングな場面から始まる。バックに流れるのは、あの耳に残り恐怖の接近を暗示するジョン・ウィリアムズの音楽だ。サメは画面には現れないが、女性が水中に引きずりこまれるのでその結果を察することができる。
映画会社のユニバーサル・スタジオが採用したポスターは、カステルの絵の構図を引きつぎそれを劇的に変化させている。ペーパーバックのサメは、丸い鼻をして女性から離れており、歯をほとんど見せていない。映画ポスターのサメからはあるひとつの意図が明確に見て取れる。残酷なまでの直接性だ。見る者が最初に気づくのがサメ、その次がサメの歯、それから犠牲者だ。そうして絵を見上げていくとタイトルが目に飛びこんでくる。
サメの巨体は女性の小柄な体格と対照をなしている。この両者が実際の比率で描かれている可能性はあるのだろうか、と見る者は自問する。女性は幸か不孝か、いまにも自分を飲みこもうとしている脅威に気づいていないようだ。彼女が無邪気にたてる水しぶきと人食いサメの意図が、未知なるもの一般への恐怖を呼び覚ます。ジョーズはわたしたちが日頃恐れている怪物だ。深海で待ち受けているだけでなく、まさしくそこの暗い路地を曲がったところや、階段下の真っ暗な押入れにいるのではないかと怖れている怪物なのだ。
ポスターではサメの姿ははっきり見えているが、スピルバーグは映画のほとんどの場面で気配をにおわせる程度にとどめている。全体がわかるのはストーリーが三分の二進行してからだ。スピルバーグは知っていたのだ。観客の集合的想像の中のサメのほうが、小道具部門が製作したアニマトロニクスのサメよりもはるかに鮮明で恐ろしいことを。終始画面に入らないようにすることで、緊張感も高まった。
この映画が封切られてからしばらくのあいだ、人々は実際に海水浴をする気になれなかった。
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ジョーズ2』のポスターのサメは同じ図柄だが、今度は浮上して水上スキーヤー――もちろん女性――の背後で口を開けている。サブタイトルは「海が静かになった時……第二の恐怖が始まった!」だ。