じじぃの「歴史・思想_576_日本は第2のウクライナとなるのか?円安」

プーチン核言及の狙い 米の対露戦略徹底分析 ウクライナ最新情勢は 【前編】

動画 fnn.jp
https://www.fnn.jp/articles/-/354359

世界の政治・経済を震撼させたコロナ・パンデミック

プライムニュース 「プーチン核言及の狙い 米の対露戦略徹底分析 ウクライナ最新情勢は」

2022年4月29日 BSフジ
【キャスター】長野美郷、反町理 【ゲスト】永濱利廣(第一生命経済研究所 首席エコノミスト)、手嶋龍一(外交ジャーナリスト)、中山俊宏(慶応義塾大学総合政策学部教授)、合六強(二松學舍大学国際政治経済学部准教授)
一向に情勢収束の兆しが見えないなか、ウクライナのゼレンスキー大統領は各国にさらなる軍事支援を要請し、アメリカはウクライナ支援を加速させている。
NATOの盟主アメリカは、当初から軍の派遣を否定する一方で軍事支援には応じてきた。
これまで旧ソ連圏内の紛争とは一定の距離を置いてきたアメリカが、ウクライナ支援に応じている背景には何があり、真意はどこにあるのか。アメリカの戦略とバイデン政権の内情を探る。
https://www.fnn.jp/subcategory/BS%E3%83%95%E3%82%B8LIVE%20%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9

日本は第2のウクライナとなるのか!? コロナとウクライナが世界とあなたの生活を一変させる

著者 浅井 隆 (著),織田 邦男 (著),川上 明 (著),関 和馬 (著)
ロシアがウクライナに侵攻した。
この先、極東有事はありうるのか? 元自衛隊空将の現場の経験、アナリストのチャートが示す真実などを元にウクライナ危機に迫り、国防に対する意識を高めるための情報や考え方を伝える。

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『日本は第2のウクライナとなるのか!?』

浅井隆/著 第二海援隊 2022年発行

プロローグ より

対岸の火事ではすまされないウクライナ情勢

2022年2月、信じられないことが起きた。あのプーチン率いるロシア軍が、ウクライナに侵攻したのだ。市街地への攻撃で多くの国民が犠牲となり、また人々が着の身着のままで逃げ惑う様子は、テレビやインターネットで放送され、世界中を震撼させた。
ウクライナ軍、およびウクライナ国民からなる義勇軍は必死の抵抗を行なっているが、圧倒的な力を持つロシア軍はウクライナ全土で戦闘を展開し、人々を蹂躙(じゅうりん)し続けている。
プーチンがこの侵攻の最終目標を何に定め、そしてこの本が出る頃にどこまでの事態に発展しているのか、まったく想像も付かない。しかし私は、この遠く8000キロも離れた異国の有事を「まったくの他人事」どころか、「明日は我が身」という重大な危機感をもって捉えている。
まず私の頭によぎったのは、ウクライナ危機は「10年後の日本」の姿になり得るということだ。ある安全保障の専門家は、日本はウクライナよりも危険であると指摘する。ウクライナの場合、脅威となる隣接国はロシア一国であるが、日本の場合は中国、北朝鮮、ロシアの三国が隣接しているためだ。いずれも超独裁国家で核保有国だ。隣国にこれほどのリスクを抱える先進国は、実は日本だけなのだ。

第3章 世界恐慌は起きるのか!?――ウクライナ危機と相場 より

日経平均1万4000円も視野

数年先を見れば、1万4000円まで下落の可能性もある。10年先、20年先を見れば、日経平均は1989年12月に付けた3万8915.87円以上に上昇している確率は高いが、その前に大きな調整(下落)があると考えるのが自然である。
ウクライナ危機により、その時期が早まる可能性もある。その時の下値支持線は、1万4000円になる。国家破綻のような出来事が起きれば、株も大きく売られることになるが、日本の会社がなくなるわけではない。その時は、絶好の買い物を与えてくれるであろう。身近な例では、1997年の韓国の例がある。もちろん、経済規模が違う日本に当てはまるのはおかしいと考える人もいるであろうが、参考にはなる。
1997年12月3日、韓国が国家破綻の危機になり、国際通貨基金IMF)と資金支援の覚書を締結した。いわゆる「IMFショック」である。この時、韓国に乗り込んできたIMFは、構造改革と称し金融・貿易の保護政策をすべて撤廃させた。韓国人は経済の国家主権を失ったと嘆き、日本による植民地化に続く「第2の国恥」と呼び、今でも当時のトラウマを持っている人がいるほどである。
一方、株式市場は翌年を大底に、2021年までに韓国の株価指数は10倍以上になっている。仮に、日経平均がショックにより1万4000円まで下がったとしても、20年後には14万円になっている、という計算になる。

グレーリノ(灰色のサイ)とブラックスワン(黒い白鳥)

グレーリノ(灰色のサイ)とは、「大問題に発展する可能性が高いにも関わらず、軽視されているリスク」のことを言う。アメリカの経済学者ミッシェル・ウッカーが、2013年1月のダボス会議で提起した金融用語である。
実は、ヘッジファンドなど金融関係者の間では、「日本の借金問題は、グレーリノだ」と囁かれている。リノとは、英語でサイのことだが、サイは普段はおとなしいが一旦暴れ出すと手が付けられなくなる。何かのきっかけで日本の借金問題が暴れ出したら、国債暴落、円暴落、株暴落を引き起こすことになることは必至だということだ。
ちなみに、中国の不動産問題もグレーリノだと言われている。
参考までに、ブラックスワン(黒い白鳥)とは「前もってほとんど予想できず、起きた時の衝撃が大きい事象」のことを言う。

円/米ドルの現状と今後

2022年3月現在、円/米ドルのカギ足は「買い転換中」である。つまり、買い方優勢の状況だ。ここでの買い転換中とは、円安方向を意味する。
そして、長期周期も円安方向に向いている。1971年の360円から2011年の75.32円で長期円高トレンドは終了したと判断でき、その間約40年間、円高局面が続いたことになる。2015年以降、100円ー120円で推移しており、変動相場制になって以降、過去に例を見ないほどの狭い範囲での動きになっている。いずれ上か下に大きく動くことになるが、長期周期が円安方向に向いているので、上に行くことになるだろう。
ただし、短期的には100円割れの可能性もある。株式などのリスク資産が調整するようであればリスクオフとなり、円キャリートレードの巻き返しにより円高に振れるためである。その場合、1995年4月の79.75円を「一番底」、2011年10月の75.32円を「二番底」とした「三番底」を形成する可能性もある。いずれにせよ100円以下の滞留時間は長くない。

危惧される円安要因

先程述べたように、長期周期が円安方向に向いているが、具体的に円安となる要因を以下に挙げておく。
①日銀の信頼が失われた時
日銀の信頼が失われると、必然的には日銀が発効している”銀行券”の信頼も失われることになる。つまり、”円”の価値が下がることになる。日銀の信頼が失われる代表的なことは、日銀が債務超過にあることである。債務超過とは、民間で言えば倒産状態だ。
日銀の純資産と引当金の合計は、10兆円程度しかない。それに対し、債権や株などの価格変動資産を500兆円以上も保有している。相場の変動により、10兆円が一気に吹き飛ぶ可能性も十分ありうる。金利1%の上昇で24.6兆円の評価損となり、日経平均1000円の下落で1.5兆円の評価損となる。
②日米の金利差が拡大した時
一般的に、日米の金利差が拡大した時に円安になる。たとえば、金利が10%のドル貯金と金利がゼロの円貯金だったら、ほとんどの人は円を売ってドルに替え、ドル貯金にすることだろう。アメリカ経済が予想以上に強くて米金利が上昇した時、日本の金利がそれに付いていけない場合は、金利差が拡大する。
双子の赤字になった時
双子の赤字とは、「財政」と「経常収支」の2つが赤字になっている状態のことをいう。1980年代のアメリカをイメージする方も多いことだろう。経常収支は貿易収支、貿易外収支支、移転収支に分けられるが、貿易収支の影響が大きい。つまり輸出が減り、輸入が増えれば経常収支が赤字になる確率が高くなる。双子の赤字が起こった場合、ほぼ間違いなく縁が大幅下落する。

世界恐慌は起きるのか?

率直に言うと、この質問に対する答えは「イエス」である。ウクライナ危機によりその時期が早まった確率が高いと言える。きっかけは、日本の借金問題、中国の不動産問題、ニューヨークダウバブルの崩壊、第三次世界大戦などいろいろと考えられるが、これらすべての問題が未来永劫何事もなかったとなる確率は、限りなくゼロに近い。日本国債は、景気が良くなっても悪くなっても暴落するという綱渡りをしているところだ。この綱がだんだんと細くなっている状況である。先ほどのグレーリノが暴れ出さないよう、願うばかりだ。特にチャート、周期性などから判断して要注意な年は、2025年(巳年)から2026年(午年)である。